-A VAGRANT LIFE IN NEW YORK-
飯沼省



 脱力

一昨日キャンバスを地塗りしたものの
それから全然進んでない。
ぼや〜っと描きたいものが浮かんではいるけど
それを描く勇気がまだない。
そう、描き始めるときって勇気がいるんです。

ここ1年くらい、全く下書きをしなくなって、
いきなりキャンバスに絵の具を乗せていくようになった。
だから余計に描き始めるまでに時間が掛かる。
今、描きたいのは人物でなく
都会の風景画。
実際にあるような、無いような風景を頭の中で
組み立てる。
2時間くらいウダウダとしてたら突然
フッっと、雨上がりのような匂いが鼻を突いて
地面から水蒸気が立ちのぼる光景が見えた。

描け!

というGoサインだと思い
絵の具を調合をする。
よしよし、
いい色になってきたぞ。
仕上げに青をちょっと足して・・・

青が無いーーーーーー〜〜!

ガーン。
目の前に見えていたはずの光景は消えうせ、
何だか分からない脱力感と眩暈に襲われる・・・
天使が逃げたってことは、
こういう時のことを言うんだな。

あ〜、もう寝よ寝よ
という感じ。
そうは言っても寝れないので
二コール・キッドマン主演の【Hours】を観る。
それがかえって逆効果で
今度はイライラして体が火照ってきた。
ほんと絶望的な映画だな、コレ。


2004年04月24日(土)



 早起きは三文の得。だろうか

普段だったら午前中は寝てるけど
今日は珍しく7時起床。
っつーか、ほとんど寝れずに諦めて起きたんだけど。
そんな早朝(?)にいきなり電話が鳴った。
取ると、某弁護士さんからのTEL。
何だ?強制送還されるのか!?
と、一瞬身構える。
だいたい朝一の電話なんて緊急か
何か大変な事態、って感じするでしょ?

「カフェの壁に絵を描いてくれませんか?」

えぇ〜!?
飛び道具のような、その言葉に対応できず
もう一度弁護士さんの名前を聞き返す。

「あの〜、○○さんですよね??」
「そうです。元気ですか?」

やはり某弁護士さんに間違いはなく
淡々と用件のみを続ける。
とりあえずメモに殴り書きをして
後で読み返すと

知り合いのレストラン
改装
カフェをはじめる
場所はMarkham
俺の絵のファン
壁に絵を描いてほしい
一度下見にいく
車無い
弁護士さんが乗せてってくれる

という事らしい。
確か電話で「OKです、やります!」と
答えた記憶がある・・・
やるのか?俺。
やれるのか?
壁に絵って、いくらもらえばいいんだ?
画材は何で描く?

タバコを一服して
頭が覚醒してきたところで再度電話を掛けなおす。
とりあえず見てみなきゃ話にならん。
下見に行く日時を決める。
しまった、見るまでOKするべきじゃなかった・・・
後の祭りです。
頭ん中でサルがダンスしてます。


2004年04月23日(金)



 Queen EastからWestへ

Queen Eastの外れにある
Beachesと呼ばれる地区にお出かけ。
昼間ということもあって、
犬と赤ん坊率が高い。
すれ違う人は皆、このどちらかを連れている。
この辺はヤッピー(死語か?)が多いから
まるで二子玉か自由が丘かというくらい
昼下がりの奥様がウロウロしてるのだ。

昔、絵を展示したことがある高級イタリアンの
【Peppino's】へ寄る。
オーナーも憶えててくれて、コーヒーをご馳走になる。
ヨーロッパ風の苦味のあるダークなやつだ。
バケットも出てきて、オリーブオイルに浸して
つまみながらサッカーの話をする。
ジダンが今世紀最も偉大な選手に選ばれた話。
こういうのって、何か総合力で計ってるようで
デルピエロとレコバが好きな俺からすれば
納得できない人選だ。

午後から、今度は真逆のQueen Westへ。
デザイナーズ・トイ・ストアの【Magic Pony】が
ギャラリースペースをオープンして、
まだ顔を出してなかったのでご挨拶。
あいにくオーナーのステーブとクリスティンは不在。
店番には、なぜかTaniyaがいた。
Derrickの元彼女だ。
ギャラリーは、ショップの奥手にあり
こじんまりしてるが清潔でいい感じ。
現在展示してるStephen Crowhurstは
【Shift】や【Idn】でも使われてるグラフィック・アーティストで
期待していたのだが、あんまり良くなかった。

【Drake Hotel】でオーナーのJeffに会う予定だったけど
ミーティングが長引いていて、結局会えず。
一階のラウンジは、まだ夕方にも関わらず
多くの常連客が飲んだくれてる。
まだオープンして数ヶ月だが、すっかり地元の名所と
なったような雰囲気。

帰りがけ、【Engine】や【Burston】など
ギャラリーをはしごする。
丁度アートスクールのOCAD卒業生展を
あちこちでやっており、なかなか面白かった。
でも日本の学生に比べるとテクニックはかなり下。
それを補うだけの表現力という意味では上かな。

夜、キャンバスを地塗り。
そろそろ5月のアウトドア・ショーに向けて
描き始めなければ。


2004年04月22日(木)



 75周年記念

最近、ずっと天気が悪い。
朝から雨が降ったり止んだり。
5月2日のコンサート関係が
すごく忙しくなってきて、
今日はお世話になっている
M社長のところでミーティング。
実はこのコンサートに今年で75周年を迎える
日本とカナダの文化交流記念公式行事としての
冠が付いたのだ。
我ながらビックリ。
そういう絡みで、コンサートの中で何人かに
スピーチをお願いすることになり
総領事館から一名
会場である日系文化会館から一名
そして商工会の会長でもある、このM社長にも
お願いすることになった。
俺が主催するイベントでそこまでしてもらうのは
何だか恐れ多い・・・。

4時にミーティングを終え、
スタジオへ戻って友達と会う。
雨の中ケンジントンへ行き、洋服を物色。
かなり雨がひどくなったのでカフェで雨宿り。
結局そこでずっと喋ってた。

友達と別れてチェスター駅へ向かう。
Bitsで日本食レストランの特集をやるので
その表紙に使う写真を撮るのだ。
スタッフ総勢7名が参加して
俺の描いた絵コンテどおりに役柄を演じてもらう。
「寿司の食べ放題」がテーマなんで
ガチンコでマジ喰いしてもらい、
その様子を収めるのだ。
最初、カメラマンの子に撮らせてたんだけど、
あんまり納得できる絵が撮れてなかったので
最後はやっぱり自分でシャッターを押す羽目になる。
7人も被写体がテーブルに座ってるので
人と人とが被ったり、ピントが甘かったりで
結構難しい。
そうしてる間に、ほとんどの寿司が無くなった。
ほとんど食えず、納得いなかいので
残ったメンツと共に違う日本食レストランで二次会。
焼き鳥とサワーで締める。


2004年04月21日(水)



 ビッグ・チャンス到来

朝イチでDon Millsの日系文化会館でミーティング。
相変わらずココは遠い!
ほんと行くだけで嫌になる。

ディレクターのChristineとミーティングを兼ねて
近場のカフェでランチ。
彼女とはプライベートでも遊んだり、
道端で偶然会って立ち話する仲なので
あんまり緊迫したミーティングにはならない。
それも良い部分と悪い部分があるんだけどね。

一応、5月のコンサートの件で
詰めるものは詰めて、話はまとまった。
それから話は変わって、5月末に【小林記念ホール】の
こけら落としGALAにて、Jazzシンガーの
Holly Coleが演奏するという話題になった。
2日前にシド池田に、一テーブル$200と聞いて、
高すぎて絶対無理!と思っていた話だ。

Holly Coleといえば、今から10年前に
「Calling you」という曲にノックアウトされ、
以後一枚も欠かさずにアルバムを買っている
大ファンのシンガー。
Chirstineは、それを知ってか知らずか
(知ってるはずないけど)
そのHollyが立つステージのアートディレクションを
俺にやってくれないか?と打診。
思わず絶句!

やるに決まってるじゃないですか!
めちゃめちゃ、やる!
で、
アートディレクションて、何やればいいの?
って感じだけど。

2004年04月19日(月)



 Richie Kotzen

今日、日曜日は珍しく一日中家にいて
パソコンの前でずっと書類作成。
自分のアート関係の溜まった書類はもちろん、
Bitsや5月のコンサート関連の書類を
一気にケリをつけた。

ネットだけで販売されているRichie Kotzenの
CDをやっと手に入れたので
BGMはそれを延々とリピート。
Richieはヘビメタ系のギタリストとして日本では
知られているけど、スタンリークラークやレニーホワイト
などとフュージョン・トリオを結成するなど
腕達者として知られてもいる。
でも、一番の魅力は彼のボーカル。
俺もあんな声に生まれたかったなー、と
心底シビレル声の持ち主。


息抜きでギターを弾いてるうちに
また一曲できた。
何だか最近、絵よりも曲の方がよく書けるみたいだ。
けど、こっちの方は発表の場が全然無いんだけどね。

この間、
「影響を受けた作品」と
「好きな作品」の違いという話しをして、
俺にとってRichieは、そのどちらにも入るミュージシャン。
好きだし、影響も受けてる。
白人なのに、アル・グリーンやサム・クック、サム&デイヴ
のような黒人特有の発声で歌える人。
LAでは、よくクラブでプレイしてるみたいだし、
つい最近はUKツアーを行った模様。
北米ツアーはやらないんだろうか?

興味を持ったらオフィシャルページへGO!
http://richiekotzen.com/



2004年04月18日(日)



 夢の中で

昨夜から今朝まで
睡眠のない夢の中で過ごしてて、
現実というものを見失っていた。
明るいようで暗い
楽しいようで切ない夢だった。
それをずっと引きずったまま
夕方まで過ごしていたら、
フッと、カレンダーが目についた。

「やばい!」

今日は大事な仕事があったんだ!
と、一瞬にして現実に引き戻される。

新○会の総会に呼ばれてて
本当だったら午後2時には
Bathurst北の教会に着いてなきゃいけないのに
気付いたのが4時。
慌てて持っていく書類をかき集め、
会場の住所が書かれた紙をポケットに入れる。
ストリート・カーのみで行ける場所だと思っていたら
さらにバスに乗り換えねばならず、
やっとこ会場に着いたのが5時…
当然、大ヒンシュクを買ってしまった。

総会の後で、ハワイから偉いお坊さんが来ていて
講堂では、ありがたい説法が始まっていた。
ほとんど耳に入らず、
ただ謝るチャンスだけを探していた。
俺の悪い癖で、
謝らなきゃいけない場面では、
なぜか堂々と胸を張って謝ってしまうところがある。
謝られた方からすれば、ちょっとは腰を低く
「すみませんねぇ〜」ゴマすり ゴマすり
くらいはして欲しいはずだ。

遅れたものは取り返せない。
なら、遅れたことを謝るより、
そこでやれることを一生懸命やる。
それが大事だと、身勝手な持論をもっている。

何事も無かったようにローストビーフ・ディナーを頂く。
一応、最後まで居て、日系の知り合いなどに挨拶して
会場を去る。

そのまま家に帰る気にならず
リトル・イタリーのカフェを2軒はしごした。
大好きなパティオがある【Kalender】には、
なかなか一人では入りずらいので
横のスタバで我慢する。
日中は16度もあったので
パティオも大いに賑わっている。
それを横目に数枚のスケッチをする。
たぶん、これはパステルで描くだろうなぁ、と考えつつ
コーヒーをすすっていると
今朝の夢がまた目の前を覆ってきた。

その夢が消えないように
大事に大事に
抱えるようにして家に帰る。



2004年04月17日(土)



 本当の日本食がたべたい!

最近、やけに日本食レストランに行く機会がある。
ほとんど仕事のような感じで
寿司や天ぷらを毎日毎日食べている。
でも、俺が食べたい日本食って
ほんとは寿司や天ぷら、照り焼きなんかじゃなくて
お母さんが何気なく食卓に並べていたような
煮物や酢の物、ちょっとした小鉢。
つまりサイドメニューだ。
色で例えると
メイン料理はカラフルな鮮色で、
サイドは、茶や黒っぽい感じ。

しかし、自分で作らないかぎり
こっちでは食べることができない。
そもそも、こっちの日本食レストランは
中国人や韓国人の経営が多いから
いい加減なメニューばっかりだし、
例え日本人の店であっても
カナダ人にウケるように経営しているから
中国人の所と大差ない。

今度、日本へ帰ったら
お惣菜の料理本を買ってこようと
最近マジで思うようになった。


2004年04月15日(木)



 再びDesign Exchangeへ!

昨年10月の【Tokyo Doll】でグランプリを獲った
ワクイアキラくんの個展をやるために
年明けから色々なギャラリーと交渉を進めていた。
そして、今日やっと正式に会場が決まった。
候補リストの一番手に挙げていた
Design Exchangeに決定したのだ!

そう、【Tokyo Doll】と同じ
あのDesign Exchangeだ。
正直、自分でも「まさか」と思っていたが、
観客動員数やメディアの露出で
【Tokyo Doll】が高い評価を得たことが
やはり決め手となった様子。

久々にディレクターのEliseに会うと、
また仕事が一緒にできることを
彼女も喜んでくれていて
たった半年前なのに懐かしくさえ感じた。
ただ、ちょっと寂しかったのは
受付デスクに座っていたスタッフの女の子たちが
まるっきり入れ替わっていたこと。

Rafiとも、会場が決まったことで
一安心だと、お互いを労いつつ飲む。
そういえば、奴は週末モントリオールへ行っていた。
どこにそんな金があるんだ?

2004年04月13日(火)



 初々しさ

Easter(復活祭)のため、
どこもかしこも休みだ。
人によっては4連休とかで、日本でいうと
ゴールデン・ウィークみたいな感じかな。

5月にプロデュースしているコンサートの
司会者Mさんにスタジオまで来てもらい、打ち合わせ。
日系コミュニティーに幅広く貢献している方だけに、
面識は何度かある。
こういったイベント事は司会者の能力によって
左右されることが多々ある。

出てきただけで場を和ませる雰囲気を持った人。
喋りに乗せられてテンションを上げられてしまう人。
しっかりしてるのに、「大丈夫かな?」と心配になってしまう人。
威厳をもってピシッと会場を制する人。
様々な名司会者を見てきたが、
Mさんの場合は
ベテランなのに初々しさを感じさせる人だ。

だいたい慣れた人と打ち合わせすると
こっちも大まかになってしまい
「そこは適当に”アレ”して下さい。」みたいな
流す部分があるけど、
Mさんは熱心に説明を聞き、
小さな疑問があればすぐに質問してくれるので
こちらも気を引き締められた。

2004年04月11日(日)
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