-A VAGRANT LIFE IN NEW YORK-
飯沼省



 クエンティン・タランティーノ

【Bits】のHさんに借りた日本の雑誌【BRUTUS】で、
映画監督のクエンティン・タランティーノ特集をやってて、
無性に観たくなり、向かいのHMVへ走って
【パルプ・フィクション】のDVDをゲット。
ついでに【クレイマー・クレイマー】もオマケで買う。
【パルプ〜】のトラボルタとウマは、超絶にかっこいい。
前に持ってたビデオは、日本語字幕だったので、
今回初めて英語で観たら、また色々と発見があった。
クエンティンの書く台詞のテイストって、
とてもトム・ウェイツ(大好きなミュージシャン)に近いってこと。
トムも、若い頃働いていた深夜のピザハウスでの
客同士の会話や、
実生活で得た小ネタを作品に取り入れていたが、
クエンティンもそうで、そういうのが
ああいうバイオレンスな中にも
凄いリアリティを生んでいることを痛感。
人間味を感じれて、とても好き。

夕方、強烈な睡魔にやられて撃沈。
深夜2時ころ起き出して、昨日の作品をさらに加筆。



2004年02月21日(土)



 案内状を発送

夕方、Danforthにある日本食レストランで送別会。
微妙にテーブルが【ヤング】と【アダルト】チームに別れてて、
俺様はもちろん【アダルト】チーム。
若い頃は、年上の人と飲むのが楽しくて、
よく顔を出したものだが、
ウチの【ヤング】チームは、同時代の枠内で楽しんでる印象。
ガツガツした奴があんまいないし、
どこか大人しい。

その後、バーに移って飲んだあと帰宅。
新作に取り掛かる前に、旧作の中からリニューアル予定の
作品を2つ選んで、同時に修正していくことにした。
両方とも昨年の【Artfocus】に出したもので、
一旦は完成したけど、いつも未完成の??マークがあった。
思い切って加筆and加筆!

そのまま朝を迎えて、郵便局へ。
個展の案内状を50通発送。
こうやって送るのは、過去に絵を買ってくれたクライアントだけで、
あとは直接手渡しか、メール。
メールで招待状って味気ないけども、
それだけ住所も分かって、手紙が送れる人が少ないんだから
しょうがない。
新しく人と出会っても、交換するのはメールアドレスくらいで、
名刺持ってる人以外、住所なんて聞かないもんな。
余計なお世話だけど、
郵便の利用率が減ってきて、経営大丈夫なのかな?
郵便局。


2004年02月20日(金)



 人の価値ってどこで決まるんだろう?

近頃【Bits】のミーティングなどに参加して思うんだけど、
人の価値ってどこで決まるんだろう?と。
「あいつ、いい仕事するね」って、よく聞くけど
皆はどこを指して「いい仕事」と言ってるのか。
たぶん、10人いれば微妙にズレがあると思うんだけど。

人の価値=結果が全てではないことは分かってる。
ミーティングでは全く発言しないで、チームの和を乱すけど、
デザインやらせたら文句の付けようが無いとか、
営業で広告が取れないけど、その人がいることで
チームが一丸となれる雰囲気を作る人とか。

たぶん
経営者から見ると、結果の出ない人間より
利益を生み出す人間がいいに決まってる。
でも、部外者から見ると
「あいつ、仕事は出来ないけど、
チームの潤滑油としては一級品だな。」
とか、人間味のほうを評価しちゃったりする。

じゃあ、仕事が出来ないからといって、
一級の潤滑油をクビにするのはもったいない。
結論言っちゃうと、どっちも必要なんだよね。
やっぱり【人材】と言うくらいだから、
会社の資材であることは間違いない。
大切なのは、
良い部分をどれだけ伸ばしてあげるかだと思う。
それには、上に立つ人間が目利きでなければ
ダメだとも思う。
部下が放った、快心のショットを「すげぇぞ、おメエさん!」
と、いちいち気づいてあげないと。

本題に戻ると、人の価値って
やっぱり人に必要とされることと同義語じゃないかと。
結果だけじゃなくても、何かを求められる人、
それが人の価値じゃないかと思うんだ。

「私は社会から必要とされてない人間だ」
とか言い出す奴が必ずいるけど、
世捨て人でもない限り、皆だれかと繋がっている。
繋がっているということは、
少なくともアンタを必要としてる人がいる。
価値っていうのはイコール結果じゃないことだけは
確かなようだ。

2004年02月19日(木)



 感動のゴール

昨夜は、あれから朝9時まで描き続けた。
で、目の焦点が合わなくなってきたので
倒れこむように夕方まで爆睡・・・
しようと思ったら、隣のビルの改築工事が始まり、
ドカーン!ドッカーン!
と、もの凄い音と振動で寝れやしない。
必死に布団にしがみ付いてると、
今度は玄関のベルが鳴った。
【トロント・アート・エクスポ】のPeterだった。
午前中にミーティングに来るのをすっかり忘れていたのだ。

「Hi Tomo, How's going?(どう、元気?)」

「Y..Yeah, I'm okay(オ、オーケーだよ・・)」
笑顔も引きつるっつーの。
寝れないじゃん!

契約書にサインして、出展の詳細を色々と聞くが、
ほとんど耳に入らず。
それを察してか、Peterもほどなく帰った。

ぼ〜っとしながら、とりあえずコーヒーを飲み、
今朝まで描いてた絵を眺める。

う〜ん、

見えた!

それからまたキャンバスに向かい、
何と、一気にフィニッシュへ!
感動です。
これがスポーツだったら、
勝利者インタビューがあるはずだが、
さすが孤独な絵描き業にはスポットライトは当たりません。
誰もインタビューしてくれません。
おまけに、完成しても誰も喜んでくれません。
ちょっと嫌になる。

気分転換にメールをチェックすると、
励ましのお便りが一件あり。
「体に気をつけて、良い作品を描いてくださいね。」
これですよ。
あなたの一言のお陰で、安眠できそうです。
おやすみ・・・。


2004年02月18日(水)



 やっぱり塗りつぶしました。

あ〜、やっちゃった。
一昨日悩んでいた新作、「完成だ!」というところで寝て、
翌朝起きたらやっぱり納得いかん。
で、
塗りつぶしちゃいました。YAY!
我ながら、締め切り作業には向かないタイプだと再認識。
まだ、会期には時間があるけど、
これが後々響いてくるんだな、きっと。

いつもはJAZZ系の音楽を聴くところを、
今夜は【Incubus】とかアッパーなものに変えて
気分をハイテンションにする。
それで一気に遅れを取り戻す・・・予定だが、
ただの灰・テンションになる予感もあり。
慢性的な睡眠不足なので、体が火照ってしょうがない。



2004年02月17日(火)



 チャレンジ中

描きまくってますよ、順調に。
そして
順調に24時間という枠も無くなってきました。

描く

寝る

食う

この3つで人間は生きていけるらしい。

ただ、今描いてる新作、やばいです。
全然見えてこない。
慣れないグレーとかブラウンを選んだのが
ハマった原因。
「新境地!」とか言ってチャレンジしてみたら
ぜんぜん良くないじゃん。
女の子の顔もインドの漫画みたいになってきたし、
あーもう最悪。
得意な色に塗り直しちゃおうかな?とも思ったけど、
でもやっぱりチャレンジしていくべきなんだろうなぁ。
それは別に個展でいいもの見せたいとかじゃなくて
自分が見てみたいという欲求。
この欲求だけは、どうすることもできない。

あと最近、アクリルやめて油絵に戻ろうかなと思ってる。
綺麗だけど、塗り重ねても重ねても
一向に深みが出ない。
厚化粧のおばさんみたいに、
ただ上っ面が厚くなっていくだけ。
ギャラリーのぞいても、いいなと思うのが
油で描かれてたり、好きな作家も油が多いしな。
乾燥時間が長いのと、
筆やパレット洗浄するのがめんどくさいのが
いまいち戻れない理由。



2004年02月15日(日)



 すげーかっこいい男の話。

去年の夏、
【Distillery】のアウトドアショーに出展してた時だ。
20分くらいの間、じーっと俺の作品を見つめる
ちょっとインテリ風の男がいた。
「リビングや寝室に飾る絵を探してるの?」
と聞くと、
「いいや、ホテルなんだ。」
そう答えた男が残した名刺には
【The Drake Hotel】と書かれていた。

それが俺と、DrakeのオーナーJeffの出会い。

それから半年、
全財産(5億!)と第二の人生を賭けたホテルが
2年の改装期間を経て、今日オープンした。









・・・・・・・・・・・・・
「残りの人生、アートと共に生きたい。」

ニューヨークにある【チェルシーホテル】のように、
アーティストやミュージシャン、作家、俳優・・・
夢を追いかける者たちが巣くうホテルをつくりたい。
それが彼の夢だった。

彼はほんの数年前まで、ITベンチャーの旗手、
青年実業家として富も名声も手にしていた。
その彼が、あっさりと会社を売り渡し、
手に入れたすべての金を使って一軒のホテルを買った。
Queenのギャラリー街中心部に位置する
その古びたホテルは、長い間買い手が付かず、
廃墟のように横たわっていた。

メディアや新聞は、事あるごとに彼を取り上げた。
「現代の夢追い人」というのもあれば、
「TOO クレイジー(トチ狂ってる)」という声もあった。
しかし、アート界からは常に暖かい励ましと
サポートを受けたという。

気の遠くなるような長い時間をかけ、
内装にも徹底的にこだわった。
建物に入った瞬間から壁も天井もアート。
一部屋ごとにコンセプトもインテリアも違う。







ヨガ・ルームや、ルーフトップ・パティオ、
鞭をもった番人がいる「セラピールーム」なんてのもあった。
一階には50年代ニューヨークを思わせる
巨大なボールルーム。
地下にはライブステージ。
そして、無料でアーティストに貸し出す予定の
アトリエまである。

プレ・オープンの今夜は招待客オンリーで、
いかにも皆アート界のパトロンですって人達でギッシリ。
ジーパンでノコノコ行った俺が馬鹿だった。
明らかに浮いてる。
ほら、アート系のホテルっていうから、
アーティストとかも沢山来ると思ったんだよね。
しかし、ギャラリーのオープニングとは明らかに人種が違う。
よくさ、グラミー賞とかであるじゃない
セレブ達がここぞとばかりに露出したドレスを着るの。
あんな感じの、オッパイ出そうな女性がいっぱいいてさ、
トロントにもこんな場所があるんだな〜、って
オッサンらしく感動してしまった。








顔見知り誰もいないし、
ジーパンのオッサンには誰も話しかけてくれないので
仕方なくバーのにいちゃんと喋っていたら
そこにJeffが登場。

おおーー!
「ジーパンじゃん、Jeffも!」

それが第一声(笑)
輝かしいオープンの日、
この雰囲気の中でジーパン一丁。
それでこそ男。
「今日、招待客は200人くらいいるんだぜ、
その中でジーパンは、俺とトモの2人だけ(笑)
俺たちってカッコいいじゃん!」
って、
何故かジーパンの話で大盛り上がり。

やっぱりアンタかっこいいよ。


(そんなかっこいい男に興味を持ったら
http://www.thedrakehotel.ca/home.asp
↑ウェブサイト見てみて)

2004年02月13日(金)



 ファクトリーみたいに

Marcel Dzamaの展覧会を観に【Olga Korper Gallery】へ。
2001年に同じ場所でやった時は
オープニングは酷い混雑だったから
今回は外して平日にしたんだよね。
そしたら大正解。
俺以外、誰もいなくて貸し切り状態。
ゆっくり作品見れたし、
ギャラリーのディレクターも暇だったので
一点一点付いて回ってくれた。

どうも、Dzamaの作品は【感染(うつ)るんです】の
吉田戦車とダブって仕方ない。
ヘタウマのキャラクター作りといい、
シニカルな視点といい、
「Dzamaは吉田戦車だった!」と言われても
「やっぱりね」と思うかもしれない。

近くの【Butler's Pantry】やあちこちに個展のカードを
配りつつ、SPINギャラリーへ。
ちょうどTVクルーが入ってて、Junoがインタビューしてた。
名前は忘れたけど、日本の【ミヅマギャラリー】で
やったことのあるアーティストの取材で、
彼女の載った【ぴあ】とか【東京ウォーカー】があったりして
すごい懐かしかった。









あらためてSPINの新スペースを見渡すと
とにかく「広い」。
これから窓際にカプチーノ・バーを作ったり、
奥にバックギャラリーを作る予定らしい。
ビルの一階には別のギャラリーが入るというし、
春にはMOCCAが近くに移転してくるし、
この辺がトロント・シーンのコアになりそうな
雰囲気がプンプンする。

Junoが「1950年代のニューヨークだったら、
ウォーホルじゃなくて、シュナーベルになりたい」
と言うので、
「だったら、メアリーブーンみたいなギャラリストに発掘
されなきゃいけないじゃん。
ここSPINだったら、ウォーホルのファクトリーみたいに
なれる可能性だってあるよ。」と答える。
あながち冗談じゃなくて、
本当にそうなったらいいな、と思う。
いつでも
アーティストや
ミュージシャンや
ジャーナリストや
クリティックらが出入りし、
お喋りをし、作業をする。

シーンっていうのは、そうやって交流することで
盛り上がっていくのだと思う。
日本みたいに、ジャーナリストや評論家とアーティストとの
隔たりがありすぎるのは好きじゃない。
自分の作品がどう見られているのかを
聞きたいし、時には「そうじゃないよ」と反論したい。
そういう直接的な交流が熱を生んで、
シーンが活性化していく。

その「場」にSPINがなって欲しいな、と
勝手な希望を抱いてるわけです。

2004年02月11日(水)



 コルシカ島

ずっとイタリアだと思い込んでいたけど、
実はコルシカ島(フランス領)だった。

2月6日の日記にも書いたけど、
今夏にコルシカ島で個展をやって欲しいというので、
本日【Gallery Hittite】にて、ウガンダのアーティスト
David Kibbukaとコルシカ財団のMr. Harvieと3人会談。
一応、7−8月くらいに考えていたんだけど、
Mr.Harvieは先日、ロスで某有名アーティストと
その時期をブッキングしてしまったらしく
無名のオレは、その前後にせざるを得なくなった。
前は無理だろうから、9月以降になるかな?

そこで、オレが「イタリア行ってみたかったんだよねー」
と言うと、「バカ!コルシカ島はイタリアじゃない!
それにフランスでもない!コルシカはコルシカなんだ!」
と、お叱りを受けました。
フランスとイタリアのほぼ中間に浮かぶ
美しい小島、コルシカは、
ヨーロッパの人々にとっては手軽なリゾート。
あのナポレオン一世の出生地でもある。
現在フランス領でありながら、
断続的に民族主義運動が起きているのは、
カナダにおいてのケベックに酷似している。

Davidは来年の夏にやるらしく、
出来れば同じ時期にやらないか?と誘ってくれた。
やっぱ、夏がいいよなー。

とりあえず今日は話がまとまらなかったので、
明後日、スタジオで実際の作品を見ながら
詰めることにした。



2004年02月10日(火)



 Inside Art Expo

ずっとオファーを受けていた
【Inside Art Expo】への出展を決めました。
会期が3月18−21日と、
思いっきり個展(3月3−21日)と被るので
渋ってたんだよね。作品もないし。

けど、今年の【Inside Art Expo】には
特別に「日本コーナー」が設けられて、
領事館やJCCCの協力による日本庭園や
日本画の展示があるのだという。
そこに、カナダで活躍する日本人アーティスト
を展示する。これが概要。

去年も出た、油彩風景画の慎也さんは
すでに出ることを決めてたんだけど、
オレはさっきの理由で出ないつもりだった。
けど、オーガナイザーのPeterに
何度も説得された時に、
「観客は、伝統的な日本の美術と共に、
現代のコンテンポラリーの作品を見たがってる。
その部分を埋めるのはTOMOの作品じゃないか?」
という、心トキメク台詞(笑)を言われて、
「よし、じゃあやったるか!」
と思ったわけです。
そう、おだてに乗りやすい性格です。

でも、ほとんどの作品は個展に回っちゃうので
新たに描かなきゃいけないのは明白で、
個展がスタートしても制作に追われることになった。
これでよし!か?

2004年02月09日(月)
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