-A VAGRANT LIFE IN NEW YORK-
飯沼省



 新年の抱負

HAPPY NEW YEAR!!!

大晦日は友人宅で【UNO】大会。朝8時までブッ通しでやってしまいました・・・。爽快なる初日の出を浴びて帰宅→夕方まで爆睡。

子供の頃は、正月によく家族で花札をやったものです。それを思い出してしまった。

日本人からよく聞かれる「夢は何ですか?」という質問を、カナダ人は「あなたのゴールは何?」という風に聞いてきます。そんな時、この【夢】という響きと、【ゴール/GOAL】の違いに、日本人と外国人の違いを感じます。

【夢】という言葉は、どこか漠然としていて、決して達成されなくても構わないような、正に【夢】というイメージがある。それだったら俺は「プロレスラーになりたい」とか、「世界一の富豪」とか好きなことが言える。

でも、【ゴール/GOAL】と聞かれると、真剣に自分のキャリアを考えて答えようと思うんだな。ゴールに向かうためには、まずアレやって、コレやってという風にその過程までが浮き出てくるから。

そう、その【達成するために何をやるか?】が、ゴールにはあって、夢には無い部分だろう。

ひとつ「展覧会」というゴールがあったとして、それをただ「やり遂げる」のか、「成功させる」という意気込みでやるのかでも大きく違う。

2004年の抱負は、その小さなゴールを幾つも積み重ねること。

2004年01月01日(木)



 2003年を振り返る

2003年はどんな年だっただろう?

やっぱり【Tokyo Doll】のお陰で、だいぶ地元に馴染んできた気がする。道を歩いていても、ギャラリーに出掛けても顔見知りが格段に増えた。

トロント来て、丸4年経ったけど、今までどこか日系コミュニティや日本人を意識して活動していた所がある。あの展覧会のベクトルは完全に”こっち”の人向けだったし、宣伝もこっちのメジャーな媒体を使った。云わば、日系からの【脱皮】を目標にしてたんだ。

それが実現できたのは、それまでのキュレーション活動とは違い、Rafiというカナダ人と組んでやれたことが大きい。奴とはそれこそ毎日顔を合わせて、本気でケンカもしたし、心の底から笑ったし、悔し涙も流したし、とにかく本気でやれた。

外国に住んで数年は、「ひょっとして、外国人と本当に打ち解けることは無いんじゃないか?」と思い込んでた。言葉や文化の壁はもちろん、自分で自分のことを日本から来た【よそ者】だと思っていたから。

日本生まれだって、多少言葉が喋れなくたって、堂々としてりゃぁいいんだ。と、頭で分かっていても中々行動が伴わなかったものだ。そもそもカナダは移民の国。そんな事を気にしていたら、いつまでたっても同じ人種のコミュニティーから出られなくなのは分かっていた。

そんな時期にRafiと出会って、【Tokyo Doll】をやって、気付いたらそんな悩みをとっくにクリアしている自分に気付いた。自分のアートを追及する、という部分ではあまり目に見えた成果は無かったけど、アーティストの前に一人の人間として、この一年はデカかったな、と思う。



2003年12月30日(火)



 平常通り

2003年も、もう残すところあと2日となりました。暫く正月を日本で過ごしてないので、日本式の正月がかなり恋しい気分。

やっぱ、大晦日は早めに風呂入って、年越しソバ食いながらTV見て、新年明けたら神社へ行くってのがイイね。ウチの実家からは【寒川神社】という割と有名な神社が近かったから、そこでお参りして、おみくじ買って、夜店で買い食いってのがパターンだったなぁ。懐かしい。

こっちでは、一応カウントダウンが市庁舎前であるけど、ただ「3,2,1,Happy New Year!」花火がパパン、と上がるくらいで呆気ないほどシンプル。その後すぐに、みんなゾロゾロと帰っていくだけだから。新年も1月2日からお店も会社も平常通り始まるんで、あんまり【ホリデー】って感覚もないし。

年末といっても、そんな感じだから特に大掃除や買出しもせず、普段どおりに過ごしてます。

新作の絵の構想を練ったりしていると、トロントの某ギャラリーから来春の展覧会のオファーがあった。そのすぐ後に、3月のコンベンション・センターで開かれるショウの話も同時に来たりして、中々幸先が良い。

郵便受けを見ると、【Artfocusマガジン】から封筒が届いていた。10月にアワードを獲った時の副賞、画材店の商品券だった。それを持って早速近所の画材店へ。前から狙っていた、シルクスクリーンの制作用具一式を買った。それでも商品券の差額がたくさんあったので、絵の具や備品を大量に仕入れる。これで年末年始の制作には事欠かないはず。

夕方には、先日のオープンスタジオに来られなかったお客さんが突然訪問してきて、絵を購入してくれた。実質的にこれが今年最後のお客さんだろう。記念にパチリ。

2003年12月29日(月)



 カナダ、品揃え悪すぎ

昨日はスタジオ・セールをやって一歩も出掛けられなかったので、今日は買い物する気満々。彼女と一緒に朝から街へ繰り出す。

ちなみに、狙っているものは
*ステレオ・コンポ(MD付き)
*エリザベス・ペイトンの画集
*Woody Allenの映画BOXセット
*アラーキーの写真集
*シルク・スクリーン制作キット
*ガンダムのプラモデル(パーフェクトシリーズ)

30超えて【ガンダム】かよ!って思った人、殺す。マジで欲しい。

まず画集などを見に、Markhamにあるアート専門書店へ。しかーし!俺の欲しかったアラーキーもペイトンも【セール除外品】マークが付いているではないか!!横に並んでいるスタン・ダグラスの画集なんて90%オフとか、異常な値段が付いてるのに。

周りがセールで浮き足立ってるので、何となく定価でも「買っちゃおうかな?」という気にさせられる。ヤバイ、ヤバイ。そんな手には乗らん。諦めてオンライン・ショップのAmazonで買うことにする。

すぐ近くにあるサブ・カルチャー・ショップ【The Beguiling】にて、オレのカレンダーの売れ行きを調査。ガ~ン、ほとんど売れてない・・・。

続いてステレオを見に電気屋へ。日本では当たり前な【MD付き】コンポも、こっちでは当たり前に販売されてナイのだ。「Mini Disc,何ソレ!?」って感じで誰もそんなの買わないからです。

頼みの綱の【SONY STORE】でも、MD搭載は一機種のみ。しかも$599(6万近い)というバカ高い値段を付けている。こっちでは未だにCD+カセットが主流なのですよ。カセットです!カセット!!

これも早々に諦め、またまたオンラインショップのEbayで買うことにする。

その後みたDVDやガンプラも、在庫切れや店頭で買うよりオンラインで買った方が安いことが判明。何てこった。買い物する気度が激減です。

最近、オンラインで買い物することが多くなり、今日の探索でそれに拍車が掛かりそうだ。カナダ、本当に品揃え悪すぎ。


2003年12月27日(土)



 オープン・スタジオ

今日は年に一度の大売出しの日【Boxing Day】。たまたまスタジオがショッピング・エリアにあるんで、それに便乗してスタジオ・セールをやろう!と思い立ったのが10日前。

それから絵の展示やプリントのオーダーをして、招待状の印刷や発送を済ませたのが、ほんの4日前。本当に客来るんかい!?と思いつつ、今朝は7時に起床して、外に立てかける看板の制作。

外に出ると既に30人くらいの行列・・・。

もちろん、スタジオじゃなくて、向かい側にあるブティックのオープンを待つ客だ。普段行列なぞ見かけることのないトロントでも、今日ばかりはアチコチでこの光景を見るはずだ。

12時にスタジオをオープンして、最初にお客さんが来たのが午後1時。見覚えのない顔だが、ちゃんと招待状を持参してくれている。夏のQueen Westでのショウの時のお客さんだった。

メーリング・リストは不特定多数の人が記入するので、こんな風に初めて言葉を交わす人もいる。3枚お買い上げで、カレンダーをフリーでプレゼント。

それからパラパラとではあるが、夕方6時の終了までに15組もの来客。中には、偶然外を通りかかった人が2枚も買ってくれたり、高校生とかも、恐る恐る入ってきたりして面白かった。

これで何とか正月に餅が食えそうです(笑)。

2003年12月26日(金)



 クリスマス・イブ

クリスマス・イブです。街中がクリスマス・ショッピングモードで、外へ出るのも嫌気がさす。が、気付いたら友達Kがウチに来てて、まんまと出掛けるハメに。彼女と3人でノコノコとQueen Westへ。

日本食品店【サンコー】で、今晩のパーティーの食材やお菓子を仕入れて、帰り道にある雑貨店をハシゴして「プレゼント交換用」のギフトを探す。「プレゼント交換」て、いったい何歳だ?オレ。

夕方、クリスマス会(?)をやるKのコンドへ到着。いつも通り、日本のビデオを観まくる。今日のビデオは【六本木24時密着】。むむ〜、日本の客商売って恐ろしい。恒例のケンタッキーやピザ、手作りのちらし寿司などを食う。


8時に一旦抜け出して、Kingにある【敏鮨】へ。カーロス・ニュートンやT軍団長らと寿司食べ放題にチャレンジ。

カーロスと会うのは久々。日記には書いてなかったが、カーロスがトロント郊外に引越したため、毎週日曜日にカーロスの自宅にあったジムでのトレーニングが廃止になってしまったのだ。T軍団長の息子Dによると、新居は【豪邸】らしい。

【Bits】でも巻頭インタビューをやったばかりなので、この辺でもう一段の知名度アップを狙いたい。しかも、日本では大晦日に3箇所で大きな格闘技イベントが行われるので、それに出ない手は無いと思うのだが、あいにくカーロスはラスベガスで行われる試合に特別出場することになり、断念したそうだ。個人的には【猪木祭り】に出て華を咲かせて欲しいのだが・・・。

寿司では、納豆がとにかく不評のうえ、20巻くらい頼んでしまった手前、オレと軍団長が責任を取り、完食。そのお陰でほとんど魚が食えず、猛烈に後悔。ほとんど納豆協会の会長と化す。


元世界チャンプのOMARも奥さんと息子を連れて合流。OMARとは練習をしたことは無いが、何度か顔を合わせたことがある。あらためて挨拶すると、「ウチの道場へおいでよ」と誘われる。背丈はオレと同じくらいだが、恐ろしく強いという噂。う〜ん、行きたい。

皆がカラオケに行くというので、俺は離脱してKのパーティーに帰還。それから何故か高校の入試テストを受けさせられる。前にTVで学力テストの番組を観た影響。しかし、なぜにクリスマスにテスト?しかも国語、理科、社会、数学、英語の5教科。

数学は全くお手上げだったけど、国・英はほぼ満点。理・社も合格ラインでびっくりした。なかなかヤルな、オレ。大学でも行っちゃおうかな?と妄想が頭をよぎる。

それから朝5時まで【UNO】勝負。酒も入ってどんどん馬鹿になる。でも最後はオレの1人勝ち。儲かった。


2003年12月24日(水)



 年末の郵便

郵便局にて、26日の【オープンスタジオ】の招待状を顧客に送付。しっかし、メチャ混みである。20分くらい余裕で並んでしまった。

ほとんどがクリスマス関係の用事だろうな。馬鹿デカイ箱をもって、「送料が高い!」と店員に怒ってる客がいたが、それで店員がディスカウントしてくれるならビックリものだが、そんな訳ないだろ。早くしろ!早く。

次の客は、「クリスマスまでに届けたい!」と言うなら、クーリエに頼め、クーリエに!大体、こんな切羽詰まった時期に来るな!そういうオレも所詮は切羽詰まり組ですが、何か?

【Tokyo Doll】の作品を返送してくれる業者KからTELがあり、年末は日本の税関が閉まり、空港にて保管される可能性アリとの事。しかし、問題は、そこで【保管料】なるものが加算されるという!!マジで?

税関の都合で休んで、その上保管料まで取るとは何事だ!?逆にこっちが延滞料金払って欲しいくらいだぞ。それから業者Kと色々相談して、それを回避するには今日中にトロントから荷物を強制出荷させることだと判明。

税関申告書やら受取人情報などをFAXにて慌しく交換。まったく、最後まで気が抜けない。



2003年12月22日(月)



 【オープン・スタジオ】の準備

【Butler's】の撤去日。朝9時に到着し、そそくさと撤去作業を始める。店はまだ開店前で、スタッフが「せめてクリスマスが終わるまで、あなたの絵を飾っておきたいわ」と言ってくれた。ありがたい。

ありがたいついでに、カレンダー買ってもらった(笑)

結局【Butler's】では14枚も売れて、おまけにカレンダーまで販売させてもらい、感謝感激。

スタジオに戻ってから、急遽26日にやることになった【オープン・スタジオ】の準備をはじめる。たった一日のオープンなので、そんなに期待してはいないけど、スタジオの周辺はショッピング・エリアなんで、休憩がてら覗いてくれればいいと思ってる。

まずは顧客に知らせなきゃ、と思い、招待状兼クリスマス・カードを作成。一枚一枚手書きでメッセージを添える。この時に注意するのは「Merry Xmas」と書かないこと。宗教上、クリスマスを祝わない家庭もあるから、ここは「Wishing you a happy holiday season(良い休日をお過ごしください)」で統一する。

顧客リストを全て網羅すると200件以上あるので、それから厳選して50件くらいに送付。主にダウンタウン近郊の人をリストアップするが、Excelに住所録を打ち直すのに相当時間が掛かった。E-mailで送れる人にはE-mailで送付。



2003年12月21日(日)



 男のロマン

年末の大掃除ならぬ、年末の補修工事をした。このスタジオを借りて3年、あちこちにガタがきていて、壁に直付けした本棚が落ちそうになったり、CDの棚が重みで傾いたりして、それらを補修した。

ケンジントンの工具店で材料を仕入れに行き、ついつい余計な物まで買ってしまう。工具店に立ち入ると、目に付くもの全てが必要なものに思えてしまう。これが男の性なのか!?

お陰で俺の工具箱も、年々大きくなり、今では簡易修理工になれそうなほど充実した工具が揃ってる。

少なくともウチのビル専属の修理人ダニエルよりは、良い工具を持っているので、たまに「9番スパナ貸して」とか言ってくる。いいか、俺は画家だ。お前の親方じゃないんだ。

こっちの男性は、大工仕事が出来て当たり前なので、テーブルや棚、パティオや納屋くらいは自力で作ってしまう人が多い。そのため、ホームセンターには、プロが使用する本格的な工具が揃う。堪らない。

さぞかし、本業の大工は儲からないかと思いきや、そうでもないらしい。

知り合いで、クローゼットを作ったHという男がいる。Hは得意げに「このクローゼットには高級パイン材を使ってるんだぜ、へへへ」と自慢するが、どう見ても下の引き出しとか開かないくらい斜め45℃に傾いており、奥さんが困っていた。

そこで奥さんは旦那が留守の間に、大工を呼んで直してもらったらしい。旦那は気付かずに「これ、俺が作ったんだ。へへへ」と、相変わらずの調子。こんな奥さん多いんだろうな。密かに。


2003年12月20日(土)



 【マフィアに脅される】 の巻

11時に印刷所に寄り、カレンダーの追加制作を頼む。来週にオープン・スタジオを行うので、その景品にも使うので。

それからRafiのオフィスで、【Tokyo Doll】作品の返送作業。日本のクロネコヤマトさんの協力で、税関の手続きやらフォームの記入が簡略化された。ありがたい。ただ、内容物の確認に思ったより時間が掛かり、次の予定がある俺は先に失礼。あとはRafiに任せることにした。

午後2時、高級ブティックが立ち並ぶYorkville地区にあるギャラリー【H】でミーティング。これは急に、昨日決まったもの。

バイヤーの友人Joanに数週間前に渡した、俺のポートフォリオ(作品集)がギャラリー【H】のオーナーの目に留まり、すぐに会いたいと連絡を受けたからだ。

Joanと待ち合わせて【H】に着くと、玄関先で黒ずくめのスーツを着た、3人組のイタリア人が待ち構えていた。手には葉巻、スーツはどう見てもオーダーメイドのもの。何だ?コイツらは!?

ここからの俺は、まるでイタリアのマフィアもの映画に巻き込まれた主人公である。

ギャラリーに入ると、オーナーらしき初老の女性が、ワイン片手に手招きしている。「始めまして」と手を差し出すと、「葉巻は吸わないの?」と極上のダビドフを渡された。これが挨拶代わりなのか?

後ろを振り返ると、さっきの3人組がニヤニヤ笑っている。「Sure(もちろん)」と答えて、マッチで葉巻に火を着ける俺。

オーナーが3人組の1人を横に呼び寄せ、「彼があなたに用があるってよ」とだけ言い残し、席を立った。「やばいよ、やばいよ〜、この展開!」と内心ひきつっている俺を見透かすように、男は「音楽でもかけてリラックスしようか」と、オーディオのスイッチを入れる。

流れてきたのは、聞き覚えのあるピアノのコンチェルト。すると、男の1人を指し「この曲は彼の演奏だ」と言い、CDを差し出してきた。俺はあんまり詳しくないが、イタリアでは相当有名なピアニストらしいことが、CDのジャケットに記された「全曲集」という表記で分かった。

「私は、イタリアのコルシカ財団のCEOです。是非あなたの展覧会をやりたい。」

・・・・ポツリとつぶやき、じっと俺の目を見た。その目は、明らかに俺の様子を伺い、次の反応があるまでは決して視線を外さないという意思が読み取れた。

「もう少し、詳しい話を聞かせてくれませんか?」と答え、葉巻をグッと灰皿に押し付けた。現実離れした唐突なオファーに、そう答えるのが精一杯。内心、「有り得ねぇ〜よ、絶対」と思いながら。

それから男は、俺の今までの作品(多分ウェブサイト)を見たこと、経歴を簡単に調べさせてもらったこと(”Lets Have a dream"の寄付金額を知っていたことには驚かされた)、それにバイヤーのJoanの人間関係も調べたと言っていた。

向こうのオファーは、航空券は実費であること以外は、一切の費用を持つとのこと。額装や展示、ホテルや滞在費、それにオープニング会場には、さっきのピアニストの別荘を提供するという。その代わり、3枚ほどの絵を無償で財団に寄付すること。以上が基本的な条件。

即座に頭の中で「Nooooo!」サインが出た。まずこの状況で話し合うのが嫌だ。イタリアの文化かもしれないが、昼間からワインで酔っ払い、ギャラリー内で葉巻をプカプカさせ(絵にヤニが付くっちゅーの!)、後ろではオーナーと男がダンスを踊っている、そんな現実離れした状況での交渉は誠意が感じられなかった。

「大きな話なので、慎重に考えたい。第一、僕はあなたたちの事をよく知らないし、一体どうやって信用していいのかも分からない」率直にそう答えると、「OK, トロントに来る機会は来年早々にもあるし、その時には君のスタジオに行ってもいいかな?」と、変化球を投げてきた。

連絡先や、今後のコンタクトについてはJoanに話してもらい、一足先にギャラリーを出た。今までの俺の舞台が【ハリウッド・コメディ映画】だとしたら、この数十分は【イタリア・マフィア映画】に足を踏み込んだようなもの。

「何だったの!?怖ぇ〜よ、マジで!【ゴッド・ファーザー】かと思ったよ」

出てきたJoanに泣きつく(笑)。確かに疑心暗鬼なところはあるが、こちらも下調べをして、次の交渉に臨みましょう、というJoanの助言に一応、同意。

帰り道、ジャケットに染み付いた葉巻の匂いがツンと鼻を突いた。


2003年12月19日(金)
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