-A VAGRANT LIFE IN NEW YORK-
飯沼省



 カーロス勝利!

朝イチで【日刊スポーツ】ウェブサイトをチェック!日本で行われた【PRIDE】に我等がカーロス・ニュートンが出陣してるからだ。グレイシー一族対日本勢の5対5マッチ。カーロスは日本代表の一員として、先鋒であのヘンゾ・グレーシーと対戦。

結果・・・「判定2−1でカーロス・ニュートン勝利!!」ぐぉーー!!!やったぜ!めちゃくちゃ嬉しい!勝利者インタビューでは、恒例の『かめはめ波』をカマしてくれたみたいだし、試合内容も断トツで良かったみたいだし、言うことなし!

相手のヘンゾ・グレーシーは一族随一のテクニシャンで頭脳派だったので、長い試合になるだろうとは思っていたけど、寝技でも終始圧倒してたみたい。ただ、危ない場面も幾度かあった様子で、それをよく抜け出したとか書いてあった。早く映像が見たい。


午後、Rafiの家で【Tokyo Doll】作品のパッキング。明日の朝9時に搬入なので。カタログの印刷トラブルも何とか脱して、あとはもうオープンを待つだけだ。

夕方、Runnymadeのレストランへ向かう。知人を通して展示のオファーがあり、その下見。ハイパークという巨大な公園の北に位置するこの辺りは、小洒落た店が立ち並んでいて環境もいい。

【Westwood Grill】という名のレストランは、奥まった住宅街にあり、つい2週間前にオープンしたばかり。オーナー夫妻が出迎えてくれて、軽く食事をした。

俺のスケジュールでは、来年の2月まで展示場所が決まっており、手元にはストックが数枚あるだけ。しかし、どうしても来年まで待てないというので、ストックの数枚を火曜日に搬入することにした。で、今やってるButler'sが終わったら、そこからも数枚持ってくる。

てことは、他の会場用にまた数枚描かないといけないな。【Tokyo Doll】がオープンしちゃえば時間的に余裕が出来るはず・・・だと願う。

2003年10月05日(日)



 髪を切る

寝不足が続いてるからか、一日中ずっと眠気を感じる。Rafiと待ち合わせてDesign Exchangeへ。ディスプレイの最終確認と、レセプションのケータリングの話をした。

昨日完成したばかりの【Tokyo Dollバッジ】をEliseにもあげたら大喜びしてた。たった直径1cmの小さなピン・バッジ。会場のみで販売する予定。こっちでは、わりといい大人も服やカバンにバッジを付けてるので、結構人気になるんじゃないかな?

3時にスタジオでKazuさんと会う。次号の写真の件などなど。

4時に美容院の予約。一ヶ月ぶりに髪を切った。美容師のチャコちゃんとは、もう4年の付き合いになるけど「最近髪質良くなったねぇ」と言われた。ブリーチとヘア・マニキュアの相性だろうか?とにかく、これでコザッパリしてオープニングに望める。

帰りにふらっと寄ったHMVで【Jeff Buckley】の新譜を発見!デビュー前の貴重なライブ2枚組みだ。資金難なのにおもわず買ってしまった・・・反省。

簡単に夕食を済ませ、【Pull】の帽子デザインと少年ナイフのイベントT-シャツ・デザインを同時進行。BGMはもちろん今日買った【Jeff Buckley】


2003年10月04日(土)



 Anything Else?


無理やり時間を作って深夜映画を観に行ってきました。いや〜、久々に笑った。ウディ・アレンの新作【Anything Else】ですが、ここ数作では一番好きかも。ウィットに富んだ台詞を楽しめるだけの英語力がないのが難点だけどね(苦笑)

コメディだから映像は軽かったけど、全体的に黄色がかったフィルムの色がとても印象に残った。ちょうどホームページのトップ画像を変えたばかりなんだけど、偶然にも同じような色彩だったので。

今日、日中は【Tokyo Doll】の諸作業に追われ、特にWebの更新がストップしてるのを俺が補助することになったら大変だった。違うオペレーションシステムのサイト作成ツールを無理やり引っ張ってきて更新した。朝起きてから、映画に出掛けるまではずっと缶詰め。

明日は再びDesign Exchangeにてディスプレイの再検討である。

2003年10月03日(金)



 直感

午後、Queen Westのブティック【Pull】にて、オーナーに完成したばかりの帽子を渡す。合計5点の帽子にペイントをした。オーナー以上に店の従業員の子達が気に入ってくれた様子。とても嬉しい。

サンプルのつもりで作ったから、まだサインを入れてなかったので、一度スタジオに持って帰って、サインを入れて納品。明日には店頭に並ぶらしい。で、続けざまにもう10点の追加注文を受けた。

夜9時、10月30日の少年ナイフとのジョイントに向けて、CamillaとWalterと3人でミーティング。かなりアイデア爆発してました。

前もって、それぞれ資料などを下調べしていたので、具体的な案をひとつづつシュミレーションしていく。そんな中で、ポロッとCamillaがつぶやいた一言がピンと来た。タイトルが決定である!

こういうのって、インスピレーションの交換だから、アンテナに引っかかるものだけを信じて、直感的に「良い」「悪い」を決めていく。そのタイトルも正に直感でピンと来た。

2003年10月02日(木)



 ディスプレイについて対立

朝10時、Desing Exchangeにて【Tokyo Doll】のディスプレイについて会議。ギャラリーのディレクター主導による案が2〜3と、こちら側からの提案を掛け合わせたスタイルで検討。

整然と作品が並ぶ“ミュージアム・スタイル”も良いが、なるべくアーティストの展示案を取り入れた展示にしたい。それは多分、俺がアーティスト側の立場に立ってるからで、Rafiやディレクターとは対立した。

100%俺がコントロール出来るわけでは無いけど、会場も展示も美術館スタイルで統一するのはどうしてもつまらないと思ってしまう。やっぱその辺も日本人的な感覚なんだろうか?「ゴチャゴチャした〜」感じまではいかないが、雑然とした雰囲気を出したい。

その辺を説明しようとしても、なかなか伝わらない。それで作戦変更。とりあえずRafiとディレクターに概案を作ってもらって、そこに俺の考える「雑然感」を注入することにした。

数時間に及ぶ会議で、最初は0%だった俺の意見が40%くらい採用された。ディレクターからすれば、こんなワガママな奴は初めてだっただろう。最初は怪訝そうに聞いていたけど、最後には「まぁそれも面白いかもな」という態度に変わってきた。

参加アーティストの中には「こう展示して下さい」という展示図を付けてくる人もいて、やっぱりそういうアーティストとしてのこだわり部分は取り上げてあげたい。開幕までは実際のディスプレイが見れないので、あとは現場で対処したいと思います。

2003年09月30日(火)



 少年ナイフ

少年ナイフの直子さんと電話で喋った。去年の【Let's Have a Dream!】に参加してもらってから、早一年!!その時は忙しすぎてロクに挨拶もしてなかったなぁ・・・。

丁度【Tokyo Doll】が終わった頃の10月30日に、少年ナイフがコンサートでトロントにやって来る。5年ぶりとか言ってた。電話を掛けたのは、特別に【Bit's】のインタビューをやる事になったのと、コンサートがハロウィン前夜なので何か面白い事をやろうか!?という相談の為だ。

小一時間くらい音楽の事とか、プライベートの事とか喋っていたけれど、頭の中ではずっと「あ〜、何か俺と似てるわ・・・」と頷くことしきり。

絵描きとして俺は、日本じゃ一枚も売れたこと無いけど、こっちだとそれで生活できたりする。だから生活できるこっちに住んでるだけだし。少年ナイフの場合、デビュー前にアメリカ公演をやったのは「地元大阪よりお客さんが入るから」という単純な理由だったりするし。

英語喋れなかった頃も平気で英語のインタビュー受けてたり(笑)お互い英会話習った事ないけど、そういう必要性に迫られて喋るようになったり。歌詞で英語の文法が間違ってるのに後で気付いても直さないとか、絵のタイトルが間違ってるって指摘されても「いいじゃん」と開き直るとか(笑)そういういい加減なところも似てる。

4月に日本で美大予備校の講師をやった時に、「海外で活動していくコツは何ですか?」という質問に、“図太く生きる”ことだと答えたけれど、これは強ち間違っていないよね。センシティブ過ぎて波状攻撃に遭って立ち直れない人をよく見るし。

基本的に世界は色んな人種で成り立ってるんだから、どこに行こうと自分自身でいればいいのよ。けど、その自分自身がはっきりしないから言葉が喋れないと不安になるんだと思う。

フランス語喋れないのに「フランスへ行け!」って命令されたらどうする!?って話で、俺も直子さんも「とりあえずフランス語講座に通う・・・のが面倒くさいので、行ってから覚えます(笑)」という答え。やっぱそれだよなぁ、そうやって生きてきたもんな今まで。


2003年09月29日(月)



 年に一度のブック・フェスティバル

トロントで開かれるお祭りの中で、最も好きな【Book Festival】が開催された。会場はスタジオの目の前のQueen street。玄関を開けると、すぐそこが会場なのである。

午後から予定が詰まってるので、頑張って早起きして朝9時からウロチョロする。去年より若干少ないかな?と思ったが、それでもトロント中の大・中・小出版社が一堂に会してる光景は圧巻。

それはまるで年末セールのごとく「90%オフ!」とか「2冊で$5!」とか、投売り状態である。勢いにつられて5冊ほど購入した。

もっと見たかったけど、後ろ髪を引かれる思いで約束のあるCamillaのスタジオへ向かう。10月末にコンサートでやって来るS・Nと何か面白いことをやろう!という話になって、Camillaにキュレーションをお願いすることになった。

Mocca(現代美術館)のキュレーターであるCamillaとは、6月にBit'sの取材でインタビューを通して知り合った。彼女も大のS・Nファンということも手伝って、話がトントン拍子に進む。

盛り上がって話してると、同居する彼氏も首を突っ込んできて、このプロジェクトに参入することになった。彼も著名なアーティストで、この種のハプニングには目がないという。

こんな三人が集まったものだから、膨大なアイデアが出てきて収集つかなくなり、とりあえず頭の整理をするために今日は2時間ほどで終わらせた。これは楽しみになってきたぞ。

5時にRafiとのミーティング。最後の詰め詰め詰めめめめめ!!頭痛くなるくらいに詰まってきた。そうです【Tokyo Doll】まであと10日!!!!



2003年09月28日(日)



 スパシーバ!PAUL!!















今月18日に世界で初めて一度だけ放送された番組【Paul McCartney in Red Square】がケーブルテレビで再放送された。その時は見逃していたので、今夜は何としてでも観ようと、夜の予定を全てキャンセル。

そこまでして観た甲斐があった。映像は5月にモスクワの【赤の広場】で行われたポール・マッカートニーのライブ+ドキュメント映像。ビートルズ時代を含めてポールがモスクワに足を踏み入れるのは初めてで、「長年の夢がかなって嬉しい」というポールとロシアの民衆の待ちわびた表情が重なる。

圧巻だったのは「Hey Jude」で、ポールの第一声♪Hey〜..の所でドドドーッ!!と、群集のざわめきが凄まじい勢いで連鎖する。それは足を踏み鳴らす音であり、手を叩く、叫ぶ、人々がぶつかる音であり、魂が高揚の絶頂にあるときに生まれる音圧でもある。

一種、神がかり的とも言えるポールのパフォーマンスに観客は魂を解放された信者となり、あのような現象が起きたのではないか。そこに圧倒的な音楽のパワーを見せ付けられた思いがした。こんなにも人の心を掴む芸術は他には無いと、ある意味で俺がやってるアートなんて何てちっぽけな一人芝居なんだと脱力した。

もちろん、アートと音楽を同一線上で語ることは出来ないが、もしも“人に必要とされる”ものが芸術だとしたら、音楽はアートの非じゃないくらい強力なエネルギーをもっている。

そのポールだって、やがては老いて、この世から去っていく。作家が死後も美術館に展示され続けるアートとは違って、今この時、同じ時代に生きてる者しか触れることのできない特別な存在だ。ポールの死後には、もう二度と誰も彼の芸術には触れることが出来なくなるのだから。

ポールの前で人は歌い、喜び、そして涙を流す。普段僕らの周りでは、気軽にコンサートが観れ、CDが聴け、ポールのコンサートだってすぐに観ることが出来る自由がある。特別のことが当たり前になっている世界と、モスクワの民衆の間には大きな違いがあった。

それは心の底からの渇望であり、喜びである。それらに応え、与えることが出来る人間はポール以外に誰がいたというのか。本当に素晴らしいよ、ポール。


2003年09月27日(土)



 帽子にペインティング

朝10時、日本領事館にて【Tokyo Doll】の開催報告と8日の内覧会の件について打ち合わせ。まぁ政府機関だから当たり前かもしれないけど、とにかく細部まで突っ込んだ質問が多い。逆にそれによってこちらも見過ごしていた問題に気付かされる。

その足でKing Eastにある【Hiro Sushi】へ招待状を届ける。近くには趣味のいいインテリアショップが点在するので、ついつい長居をしてしまう。

さて、先日から取り掛かってる新プロジェクト【PULL】というショップから頼まれている帽子のペインティングを始めた。どんな画材がマッチするか相当試行錯誤したけど、結局ジェッソと布用顔料を混ぜたものを使うことにした。

試しにT-シャツにペイントして、それを洗ったりしたけど全く色落ちしなかったので。サンプルで渡された帽子の中からナイロン地で目が詰まったものを最初にトライ。

オーナーが気に入っていた【Bubble】シリーズを描く。思ったよりも絵の具の乗りが良く発色もいい。第一段階を終えたところで、別素材の帽子にも描き始めるが、こっちは繊維との相性が悪く、2,3度塗らないとムラになってしまう。

数時間後、最初に手がけた方は素晴らしい出来になったが、もう一つのはどうしてもムラが目に付く。意地になって塗り固めてもボテボテするだけだしなぁ・・・。

途中でストップして、改めて画材の研究をする。これまでの絵の具に少量のアクリルを混ぜてみた。やっぱりダメ。明日エアブラシか、シルク用の塗料でも買って試そうかな?


2003年09月26日(金)



 不健康そのものです

毎朝、まるでモーニング・コールのようにRafiからのTELで起きる。だからどんなに寝不足でも昼まで寝ることは無い。

Rafiは子供がいるので、朝7時には起きて、9時には仕事をスタートしてるのだが、俺が寝るのは朝5,6時だと知ってるので、いつもは11時くらいまで電話するのを待ってくれてる。けど、今日は朝9時前に電話があった。

【Tokyo Doll】の展覧会カタログがほぼ仕上がったのだが、そこに重大なトラブルが発生したという。すぐにウチに来てもらい緊急ミーティング。それは作業的なミスとか、人為的なものでなく、資金的な限界からくる予定変更と言うべきか。

作品がカナダに届くギリギリまで印刷所には待ってもらっていたが、ここで更に無理をお願いすることになりそうだ。とにかくここで、二人で悩んでいてもしょうがないので、Rafiに印刷所の件はまかせて、俺はポストカードの配布作業を終わらせることにした。

来年のコンサートのプロデュースを頼まれた件で、スカボローのRon氏とコンタクトを取る。基本的な条件では合意に達したので、あとは会場であるJCCCを押さえるのみ。シド・イケダさんを通して押さえようと思ってるのだが、一向に捕まらず。彼は“Busy Man”で有名だ。

夜9時、【Tokyo Doll】デザイナーであるTerryのオフィスに集合して、今朝のトラブルについてミーティング。腹へった・・・、気付いたら今日何も食べてない。ここ数日ほんとに食生活が悪い。ちゃんと食べたのは、日曜にRyanと寿司を食ったくらいで、あとは生パンをそのまま口に放り込むだけのもの。それに反比例してコーヒーの量が増え続けている・・・



2003年09月24日(水)
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