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■ アートと資金の関係
朝9時にRafiが迎えにきて、ミーティングの会場へ。前夜Rafiが徹夜で作った企画書の出来は及第点。でも、もっと良くしないといけない。
時間通りに担当者と会い、長いミーティングが始まった。丁度いまやっている展覧会をトヨタがスポンサーになってる関係から、俺が去年やった【Let's Have a Dream!】の話になった。アレもトヨタがメインスポンサーだったので。
大きな展覧会の場合、大企業の資金協力は不可欠である。経済が良いときほど面白い展覧会が開催されるのは、企業が積極的に協力してくれるから。その中には、余りアートには興味のない企業のサポートも含まれる。しかし、一旦景気が傾くと、そういった企業は手を引き、残るのは社長が根っからアート好きか、企業イメージにアートが関わってる企業のみ。
トヨタ・カナダは前者の方、社長がアートに深い造詣があったことが大きかった。その社長は今年初め、長い任期を終え日本へ戻ってしまった。その事は、担当者もよく知っていて、「これから行われる数々の展覧会のサポートを今度は誰が引き受けてくれるんだろう?」と頭を抱えていた。
それは特に、カナダで日本人が行う芸術活動へのダメージとも言い換えられる。ニューヨークを除けば、美術館やギャラリー、キュレーターからオーガナイザー、アーティストに至るまで、展覧会の為に企業スポンサーを獲得するのは至難の業だ。
俺がカナダでショウをやる場合、マイノリティである日本人であることも加わって、一層厳しい。まず白人至上主義の企業は全滅。いわゆる多国籍企業は、逆に特定の人種のみの催しをサポートしない。頼みの日系企業は'超’有名人でない限り、個人のサポートなんて見向きもしない。
そんな中、あのトヨタだけは門戸を開いてくれていたのだ。幸い【Tokyo Doll】展には、ベネフィットが一致する企業やスポンサーが付きそうだが、この展覧会限りの付き合いになりそうだし、今日の担当者とはその辺の話題が中心になってしまって、非常に長い会議となった。
これから何度となくミーティングしていく上で、今日みたいな話が出来たのは有益だったと思う。何故なら、新しい提案を世に送り出す者同士として、資金の問題は共通の悩み。それを前提に、何が出来て、何が出来ないかを考えるのがスタートラインだからだ。
通常、アーティスト同士などの会話では、机上の理想だけで企画が膨らみ、最終的に「一体これ誰が払うの?」ってくらいに理想主義な発想が多い。だから意外なことに、アーティストが考える企画の場合、後々Yes,Noが資金力によって左右されてしまい、企画が小さくなってしまうことが多いのだ。
逆に、資金やバジェットの問題を考えるのが先にくる、今回みたいな会議の方が、少ない資金でどれだけ面白いことが出来るか?というクリエイティブな企画になる可能性が高い。
話が逸れてしまったが、今日の会議はそういった理由で「良かった」としよう。問題はその後、Rafiと2人でLynnのデザインオフィスへ行き、彼女がミーティングを終えるまでロビーで一時間ほど今日の会議について反省会をしたのだが、久しぶりにお互いの感情がぶつかり合ってしまった。
もちろん、今まで幾度となく意見のやり取りをしてきたわけだから、【Tokyo Doll】展をより良くするという共通のゴールがあれば、どんなぶつかり合いでもいい。しかし、今日の場合は、問題が俺の英語力にあると感じた。
日本語で100%言いたいことが、英語だと60−70%になってしまう部分。その40−30%のズレがどんどん積み重なってしまった結果、俺自身にすごいフラストレーションが溜まってしまったのだ。
Rafiは第一言語が英語だから100%自分の意見を言える。そして俺もほぼそれを理解できる。でもそれに対して100%の意見を返すことができてない。立場が対等だからこそ、どうしても伝えたいその40−30%のロスが許せないんだ。
人種や文化の壁は乗り越えようとは思わないけど、英語という、たかが言語の壁は乗り越えなきゃイカン壁だな、と思い直した。
2003年05月06日(火)
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