-A VAGRANT LIFE IN NEW YORK-
飯沼省



 会場のクオリティ

昼よりRafiとのミーティング。“HYPE TOKYO Part2”の開催に不可欠な要素として、会場のクオリティを上げるというのがある。

前回のAcadia Galleryを考えると、立地的、設備的問題も然ることながら、ネームバリューという点を考えると決して一流のギャラリーではなかった。もちろん、一般への親しみ易さや、二流のギャラリーで一流の作品を紹介することの刺激もあったので逆に効果的ですらあったのだけれど。

今回のHYPEでは、作品と会場のクオリティを同等に設定し、業界内での評価も視野に入れた展覧会にしたいと思う。具体的に言えば、「2004年といえば、HYPEがあったねぇ」という記録に残るようなもの。

そこで、我々がコンタクトを取っているのがM(仮)ギャラリー。トロントのノン・プロフィット(非商業的)ギャラリーでは最大の箱。それと前回書いたMocca(現代美術館)の2つである。ただしMoccaが数年後に都心へ移ってくるため、内部が非常に慌しくてタイミングが難しいと感じている。

また、西のバンクーバーからもアプローチが来ている。これは巡回展という可能性も出てくるかもしれない。カナダのアートシーンは世界的に見れば全く相手にされてないと言っても良い。それを覆すようなコンテンツがないからだけど。もし仮に、HYPEにカナダの起爆剤となる要素が含まれてるとしたら、巡回展をやる価値はある。

まず明後日、Mギャラリーの関係者との顔合わせ。月末の21日には企画書を提出することになっているので、詳しい話はまた後日。

スタジオに戻り、日本から来た友達と談笑。その後「Underwear」展の為のモデルさんとのセッション。夕食はKくん宅でご馳走になり、これからアーティスト・モードに切り替え、「Smoke Screen」展のための制作に入ります。

キャンバスは48インチ四方の大きいやつ。早く仕上がったら月末の「My Favorite〜」展の方にも出したいと思ってる。大きいシリーズでは一番良いものが描けそうな予感。



2003年01月08日(水)



 諄々

結局、一睡もせずにスノーボードへ行った。初めて会う子も、そうでない子もみんな良い人で、とても救われました。でも今日は、本当の笑顔を一度も見せることが出来ませんでした。

朝8時、出掛ける直前に、本当は行くの止めようと思いました。主催者であるにも関わらず。自分の一番大切なものが壊れそうな時、人は本当に弱いものです。

ただ、1月1日の日記に書いたように、僕はここから歩いていくしかないのかもしれません。そう何度も繰り返し、やっぱり僕は歩くことにしました。

遠く離れた場所に、会わなければいけない人がいます。泣いています。

今にも押しつぶされそうな程小さい心がそこにあって、僕が今までずっと大切に守ってきたものです。

暫く見ないうちに、随分と汚れてしまって僕を見ても思い出さないかもしれないけれど、僕に出来ることはそれしかないのです。

僕は、未来を書く鉛筆は持っているけれど、過去を消す消しゴムは持っていません。だから、その鉛筆だけを持っていくと思います。



2003年01月07日(火)



 弾き語り

隣人のSとTくんと、久々に弾き語り大会。絵を描きに来ていたMちゃんも混ざって夜中2時過ぎてからのドンチャン騒ぎ(古いね、表現が)。周りは迷惑しただろうなぁ(笑)。

Tは若いくせに割りとBeatlesを知ってるので嬉しい。なので必然的にBeatlesを次々と演る。それからMちゃんがその場で書いた詩に3人で曲を付けた。AメロはS、BメロはT,サビは俺が作った。なんかミスチルっぽい曲。

やっぱり、たまに歌って演奏するのはいいね。ストレスとか悩みとか忘れられるし。

これから寝ずにSnowboardに出掛けます。総勢12人の大所帯!去年から予定してて、どんどん人数が増え、急遽12人乗りのVanを借りて行くことになった。ちなみに俺はカナダに来て初めてのスノボーです。しかも5−6年ぶり。今年最初で最後かもしれないんで、楽しんで来ようと思います。


2003年01月06日(月)



 Underwear

治りかけた不眠症がまた再発している。寝るときに頭をオフにできるスイッチがあればいいんだけど・・・。

さて、今年も明けたところで、いよいよ制作活動再開です。今夏予定している「Underwear」展のために、モデルさんとのセッション2回目。プライベートでも知っている人だったので、気が楽だったかも。

「Underwear」直訳すると「下着」だけど、別に下着を描きたい訳じゃなくて、普段人には見せない内面的な部分を描き出せたらいいなと思う。自分の中では写真家の表現に近いものを感じてて、撮る人間によって驚くほど内面が露出するような写真的アプローチをするつもり。

プラス、キーワードとして「ジェネレーションX」世代以降のライフ・スタイルを観察したものになると思う。「ジェネレーションX」っていう言葉は死語かもしれないけど、いわゆる中流階級の甘やかされて育った、社会や政治意識に乏しい世代のひとりとして、自分達のことを自分達の表現でしてみたい。

昨年末に、この展覧会のためのステイトメントを書き上げていて、その翻訳が先日仕上がってきた。絵の方はともかく、こういった文章として自分の考えを表現するのはやっぱり難しい。今更ながら自分の文才の無さに笑顔がひきつる(笑)



2003年01月05日(日)



 第二の人生

今日のトロントは今冬初めての吹雪。市内でも最高30cmの積雪だから、郊外はもっとすごいんだろうなぁ。よって飛行機も欠航が相次ぐ。

新年明けてから、結構人と会っている。昼間にカフェでコーヒーを飲みながらというのもあれば、明け方まで話し込む場合もあるが、何故か最後はいつも同じテーマに話を持っていってしまう自分に気付いた。

老後に何をやりたいか!?つまり「第二の人生」って奴だ。ビジネスの世界では、引退するのが若ければ若いほどステイタスが高いらしい。つまり、成功者ほど若く引退する。という美学。

そして引退後には、今まで出来なかった事にチャレンジする。何かに成功する人は基本的にチャレンジャー精神が旺盛なのかもしれない。

人生は短いので、ひとつのことを極めるのも難しい。だからまずは一つだけに絞って全力で進んでいく。それこそ人の10倍、20倍の努力をするから、人よりも10年、20年早く引退できるとも言える。

俺の場合、アートをやっていく上での引退は無いと思ってるので、その例には当てはまらないが、仮に「第二の人生」と呼ぶべき時期が来たら、きっとアートを通した平和や教育に関心をもつだろう。

平和というのは漠然とした表現で、それを構成するものとして歴史や政治、教育、文化、人種問題など多方面に渡った勉強が必要なのは云うまでも無い。今のうちから少しずつ勉強を始めて、ゆっくりと来たるべき時に備えておきたいんだよね。

もうすでに“Let's Have A Dream”などに兆候が現れてるかもしれないが、若い間は独り立ちするので精一杯。音楽や映像との融合など、今やっておかねばならぬ試みが山ほどあるし。

今はまだ、アートという文字を習ってる段階。それからその文字を使って何を書くかが「第二の人生」かもしんない。俺にとっては。

2003年01月03日(金)



 スタート

2003年の幕が開けた。

新年早々あまり良い気分じゃないが、これも仕方が無い。俺はここから新しい年をスタートする。

今年のテーマなんてない。ただ今を全力で生きるだけだ。

人を信じるという気持ちは、人間の中で最も壊れやすい感情で、ほんの些細なヒビだけでも割れてしまう。でも、人を信じようとする気持ちは、湧き出す地下水のように限りが無く、だから今日も僕らは人を許し、信じることを止めないのだろう。


2003年01月01日(水)



 今年最後に思ったこと

いつもと何の変わりもない一日。起き掛けにコーヒーと煙草を一本吸い、Jazz FM91.1を聞き流す。

日本はもう新年が明けた頃で、声が聞きたくて日本に電話をする。不在。それは一方的な俺の欲求で、相手がそれに答える義務はないけれど。

今夜はカウントダウンなど行かずに、一人で過ごそうと前々から決めていた。どんなに誘っても俺がどこにも出掛けない事は皆知っていて、そっとしておいてくれたトロントが好きだ。

午後になって、近所のオンタリオ美術館へ行った。こんなに大勢の人が、大晦日だという日に美術館へ足を運ぶなんて少々面食らった。俺自身、なぜ来ようと思ったのか分からないけど、まるで用意されてたかの様なロビーの一席のベンチへと体を滑り込ませ、そのまま夕方まで時を過ごした。

夕食はMさんと近くの日本食レストランで済ませた。最近この人には本音で喋れるようになった。トロントにおいて貴重な存在だなと思う。彼女を見てると、俺は本当に自分で望んだ人生を生きてるのかな?と疑いたくなる。多分それは、ペットであれ、勉強であれ、彼氏であれ、いろんなものに惜しげもなく、彼女の愛を注いでいるからだ。それが羨ましかった。




2002年12月31日(火)



 また飲みました

昨夜から引き続き“HYPE TOKYO Part2"用のWEBサイトを制作。とりあえず全体的な箱とテキストを当て込んでアップデートする。

それと同時に、長いこと放ったらかしにしている自分のWEBもリニューアルしている。これが思ったより時間掛かるんだなぁ・・・。予定では新年早々、バァーっとモデルチェンジしたかったんだけどね。無理そう。

昼からRafiと年内最後の打ち合わせで、あれこれ意見を交換。しかし未だに核となる部分を固められず、進むべき方向性が見出せない。二人もそれを自覚しているから、いざ決まったときに動き出せるように、全方向について注意を払っているんだけど。

夕方、一旦帰って再びWEBの作業をして、10時からはケイタロウの誕生会に顔を出した。ほとんど忘年会のノリだったけど(笑)。そこで何人か初めての人と話が出来たんで新鮮でした。しっかし、あのイアン君(Bingo!で連載してるカナダ人ね)本当に関西弁だったなぁ。ちょっと感動。

夜中にRafiも来たし、イケコとMihoちゃんもちょっとだけ来た。彼女ら2週間後に迫ったグループ展の準備で忙しそう。充実してるって言ってもいいか。

結局お開きまで飲んで帰ってきました。あぁぁ、もう今年は飲まないと決めてたのに。



2002年12月30日(月)



 総括ショート・バージョン

毎年この時期になると、一年を振り返った総括をするんだけど、色々ありすぎたので詳しいことは過去ログで日記を拾い読みしてもらった方が早い。というわけで、軽く箇条書きでおさらいします。

1月
・妻との別居
・父が他界
・緊急帰国
・離婚

2月
・STUDIO 2/ARTIC始動
・バレンタイン・ショーに参加
・村上隆に会う
・オノ・ヨーコにインタビュー

3月
・ジュエリー・デザインに挑戦
・スタジオを借りる
・Casaで個展

4月
・HYPE TOKYO HP公開
・Remarkable Beanで個展
・Peppino'sで個展

5月
・“Let's Have A Dream"会場問題勃発
・Just Dessertで個展
・イチローとの接触失敗
・HYPE TOKYOプロモーション開始

6月
・HYPE TOKYO用インタビュー
・HYPE TOKYOビラまき
・日系企業、団体との確執
・ワールド・カップに燃える

7月
・College Street Barで個展
・HYPE TOKYOスタート
・日本から参加アーティストが来る
・Puffy来場
・“Let's"の会場が決まる

8月
・日本へ緊急帰国
・アントニオ猪木決定
・Bingoマガジン表紙

9月
・Fiona Smythに会う
・“Let's"スポンサー交渉
・“Let's"寄付先がUnited Wayに決定
・“Let's"HP公開

10月
・“Let's"T-シャツ製作決定
・“Let's"カタログ製作開始
・“Let's Have A Dream!"開催

11月
・NOWマガジン「Best Visual Artist」
・似顔絵師として出陣
・日加タイムス・新年号表紙
・イラク反戦デモに参加
・“Let's"寄付金授与

12月
・HYPE TOKYO Part2準備スタート
・隠居生活スタート

こうやって書くと、何だか味気ないなぁ・・・。多分、今年出会った友達や仲間を書き加えたらもっと長いリストになる。今年も本当に色々な人と出会って、別れてきた。この中で、何人と今後も繋がっていけるか楽しみでもある。

自分の中では、トロント生活もカウントダウンに入りました。あと数年、悔いの無いように駆け抜けたいと思いますっ!!


2002年12月29日(日)



 カレンダー

今日も引き続きBoxing Dayの余韻が残るトロントです。買い物ではなく、所要があってYonge x Bloorまで行ったのだが、ついつい釣られてウインドウ・ショッピング。

半額になってたカレンダーを購入。本当はミッシェル・ドラクロアのカレンダーを探してたんだけど、どこにも置いてないので諦め(Amazon.comでは見つけたけど・・・)て、Edward Hopperのにしました。

今まで見たHopperのカレンダーで、一番まともなセレクトだったから。名作「Nighthawks」が入ってるのは当然として、「Drug Store」が取り上げられてるのは初めて見た!他にも「Western Hotel」や「New York Office」などの“City”ものがほとんどというセレクトは、俺の好みにピッタリではないか!

Hopperのカタログは重いので日本に置いてあるから、当分はこのカレンダーを見て満足できそう。

話は変わって、7月に作品を展示した“Just Dessert”オーナーのリチャードから、来年早々に再びやって欲しいとの連絡をもらった。手持ちの在庫でOKなら、すぐにでも大丈夫なので引き受けることにした。スタートは多分一月後半から4月まで。

その後、5月の個展が続いて、夏のOutdoor Showにも今年はエントリーしようかと思ってる。秋くらいには、現在構想中の新プロジェクト「Underwear(仮)」をギャラリーでやって・・・と考えてたら、本当に来年もあっと言う間だなぁと思えてきた。

HYPE第二弾は、事情により2004年春にズレ込みそうだけど、2003年中は定期的にコレに時間を取られるのは間違いないし。

買ったばかりのHopperのカレンダーには、早くもそういった書き込みが加えられたのである。

2002年12月27日(金)
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