無責任賛歌
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|藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2004年07月19日(月) 脳髄のとろけた女

 昔からしげはしょっちゅう寝惚けて、ウワゴトを言ったり、夢と現実の区別がつかなくって、夢のことで私にヤツアタリしたり(夢の中で私が浮気したと言って怒るのだが、これで本気で怒れる感覚がヘンである)、メイワクこの上なかったのだが、睡眠薬を飲んで寝るようになってから、そのあたりが一段と激しくなっているようである。
 昨日は「寝る直前にモノ食うな」と厳命したにも関わらず、薬の効いてる手でカップラーメンを作ろうとして(またコテコテしたモノを食おうとするし)、熱湯をざばーと手にかけてしまった。しかも寝惚けているから、どうしたらいいかわからない。すぐに冷やして軟膏を付けさせたから、大事にはいたらなかったが、睡眠薬を飲んだあとも絶対におとなしくしようとしないから、私の方がいつも気が気じゃないのだ。
 「だって、睡眠薬飲んだあと少し動いた方が効きやすいんだもん」と主張するのだが、だからって火は扱うな、あほう。……と言っても寝惚けているからわかんないんだな。ずっと監視しとくわけにもいかないし、どうすりゃいいのか。
 で、寝てからも寝相が悪いから、夕べは横に積んでいた本の山にパンチを食らわしてバラバラっと倒し、顔面にぶつけてしまったのだが、「きゃあ」と悲鳴を上げて起きるやいなや、「アンタ、本落としたね!」と私をなじった。
 私はその悲鳴にビックリして起こされたのだが、落ちてきた本を見ると、しげの横にあったもので、どう考えても自分でやったんである。被害に合うと全て私に責任転嫁する根性悪なのである。
 「お前が自分でやったんだろ!? さっさと寝ろ!」と怒鳴ると、しげ、ほや〜んと白目を剥いてぱたっと倒れ、即座にイビキをかきはじめた。まるでマンガキャラである。
 しかも、数時間後、今度はしっかり目が覚めたしげ、顔をさすりながら「あれ? なぜか頬が腫れてるよ? ……アンタ、寝てる間にオレを殴った?」とか言ってるのである。
 ……さっきの文句もウワゴトかよ!
 と呆れてしまったのだったが、さらに数時間経って、また「なんで顔が腫れてる? アンタ寝てる間にオレのこと殴った?」と聞いてきたので、「それ、さっきも聞いたろう!」と怒鳴ったら、キョトンとして「ええ? 今、初めて聞いたよ?」と、こうなのである。
 ……やっぱコイツ、「乖離症」なんてカッコイイ名前(本人はハクが付いたと思って気に入っているのである)付けてやるより、単に「健忘症」って言ってやったほうがいいんじゃなかろうか(-_-;)。


 しげが天神で買い物したい、というので朝から出張る。
 こないだから「法被がほしい、法被がほしい」と五月蝿かったのだが、本格的なものだと当然お高いので、安売りの店がないかと探しに行ったのである。けれどお目当ての店は既に潰れていて、いきなり当てた褌が向こうから外れた。
 そのうち、どこかで買えるだろう、と、今日のところは法被は諦めて、別の買い物。
 「アニメイト」で、前々からしげのほしがっていた『鋼の錬金術師』のエドワードのコートを買う予定だったのだが、現物を見るとサイズがちと合わなかった。いや、Sサイズでもチビなしげには丈は充分なのだが(「誰がウルトラスーパードチビだ!?(`△´+)」「そこまで言ってねえ!」)、如何せん、胸周りが足りなすぎた。……88センチまで充分入るんだけど、しげ、メートルあるから(^_^;)。貧乳なお方には羨ましかろうが、巨乳のナヤミというのはこういうところにあるのである。


 しげはラクーンドッグさんとこの練習に参加するために早良へ向かう。
 私は映画『ラブドガン』を見に、シネリーブル博多駅へ。ところが映画館の中に入った途端に、携帯から『ルパン音頭』が鳴り出したので大あわて(しげがそう設定したのである)。しげ、練習の日にちを間違えていて、今日は集合はないのだとか。だったら一緒に映画を見ればよかった。……と思ったけど、しげが気に入るタイプの映画じゃなかったかもな。
 昨日の『スチームボーイ』を見たあとでは、全ての映画は傑作に見える。鈴木清順門下の渡辺謙作監督による『ラブドガン』もかなりヘンな映画だけれども、そのヘンさが切なく心地よくすらある。『スチームボーイ』は映画じゃないけど、『ラブドガン』は映画だから。主演の永瀬正敏はこれまででも最高に属する演技を披露してくれているが、1番いい味を出していたのはやっぱり岸部一徳。
 気に入っちゃったので、紀伊國屋に寄って原作小説まで買ってしまった。


 夜、キャナルシティでしげと待ち合わせ、『シュレック2』を見る。
 1作目よりちょっと「落ちた」感じはあるが、相変わらず面白いし、これじゃディズニーが勝てないのも無理はないが、同時に「これってフルCGでやらなきゃならないネタじゃないよな」とも思う。1作目の時にも思ったのだが、同じ脚本でシンエイ動画で普通のセルアニメとして作ったほうが絶対にもっと面白くなる。
 それでもアカデミー賞で『スチームボーイ』と戦って『シュレック2』のほうが負けるようなことは、天地が逆さになってもありえないことだと断言しよう(そこまで腹が立ったか)。


 読んだマンガ、島本和彦『吠えろペン』11巻、12巻。

2003年07月19日(土) 水害という名の人災/DVD『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX/笑い男編』
2002年07月19日(金) 踊る大脂肪/映画『MIB�供戞拭悒錺ぅ蛭如”�雲児たち』3・4・5巻(みなもと太郎)ほか
2001年07月19日(木) 天ブラサンライズ/『吼えろペン』1巻(島本和彦)/DVD『サウスパーク無修正映画版』ほか


2004年07月18日(日) 史上サイテイの映画( ̄△ ̄#)

 今日は練習に参加する予定だったのだが、カトウ君がお休みということなので、結局は出かけず。溜まった日記の更新にいそしむ。
 昨日しげにサルベージさせたデータであったが、名前を変えて保存しやがったおかげで、やっぱりホームページビルダーでは更新ができない。これからは更新するときは1ページ1ページ、新たに作りなおすしか方法がなさそうである。とりあえず、ホームページの表紙に、志免炭坑竪坑櫓の写真をアップ。


 夕方から練習に合流。
 今日の出席者は、鴉丸嬢、其ノ他君、桜雅嬢(ラブ吉っつぁん)、しげ。ちょうどしげが「とうちゃんはセリフだいたい覚えたぞ、ほたる」(まだクニエをやってるのである)と鴉丸嬢を苛めていたところであった。
 前々から其ノ他君に頼まれていた『モンティ・パイソン』のDVDボックス二つを持って来てお貸しする。テレビシリーズを何本か見て、全部見たがっていたのだが、これだけでもDVD15枚分あるのだが、全部見切れるのだろうか。さらに貸してないDVDがまだ7枚残ってるのだが、さて、そこまで辿りつけるかどうか。がんばっていただきたいものである。
 鴉丸嬢には、イラストを描いてもらうために『ドグラ・マグラ』『火星の女』『ユメノ銀河』の夢野久作映画3本立て。「『鬼畜』とかより、こっちのほうが描きやすい」とのたまわれる。普通は逆なんだけど、歴戦のツワモノは違うのである(^_^;)。絵柄は別に役者に似せなくても自分のキャラでいい、とお願いしてあるので、どんなイラストがあがってくるか楽しみである。トップページの表紙絵も頼んまっせ。『O嬢の物語』(コリンヌ・クレリー版)のビデオも頼まれていたのだが、こちらは持って来るのを忘れた。
 ……っと、こんなことまで書いてたら、「O嬢」とかで検索かけてくる客が覗きに来ちゃうじゃないか。いや、えっちな話題はほぼありませんので、あまり期待なされないように。鴉丸嬢のイラストが掲載されたときにはえっち度が30%増になると思います(^o^)。
 桜雅嬢が『ドグラ・マグラ』のパッケージを見ながら「グロいのは苦手」とか言ってたが、あれだけエロなのが好きなのに、そんなこと言うとは、彼女にとってのエロはやっぱりファンタジーなのであろう。


 車をいったん、東比恵の駐車場に置いて、映画を見に天神まで地下鉄で。
 福家書店で本を買いこみ、ロッテリアでハンバーガーを食べて、時間を潰す。
 9時から天神東宝で『スチームボーイ』。大ホールは『スパイダーマン2』の上映に使われていて、こちらは小ホールの方の上映。期待されてないことが一目瞭然である。
 しかも一昨日公開されたばかりだというのに、客は半分も埋まっていない。客層はだいたいオタクっぽいのが単独かグループか、カップルがチラホラ、オジサンがあとちょっと。あまり「広がり」はない。今日の客入りだけで即断はできないが、そこそこヒットはすると思うけれど、大ヒットとまではいかない印象だ。
 予告編で、いよいよ『ゴジラ FINAL WARS』が紹介されたが、まだ怪獣たちの姿は見せず、役者たちのアクションシーンばかりのクリップ。これだけ見てると、いつもの北村龍平映画で、「ゴジラ映画」って感じが全くしない。半可通なオタクは見る前から既に貶しまくっているが、これを見てまたピーチクパーチクかしがましく囀ることであろう。まあ、これまで「期待しないで見に行ったほうがまだしも傷は浅い」ってことを散々学習してきた結果なんだけれども。映画『ドラえもん』が来年お休みの告知もあり。
 何と言っても『ハウルの動く城』の映像が素晴らしい。飛行シーンが評価されることの多い宮崎監督であるが、それもアニメーションで「奥行き」を表現する技術が群を抜いているからこそである。城から俯瞰で見た谷底のあの深さ! 私はその画面だけで大感動してしまったが、しげは「宮崎さんならそれくらい描けて当然」とヒトコトで切って捨てた。要求されるレベルが既に最高、というのはなかなかツライことである。
 それに比べりゃいいよなあ、ゴジラ映画の監督は。ちょっとマシなの作れば大絶賛されることは疑いなしである。

 さて、全く期待しないで見に行けばそれなりに見られるかと思った『スチームボーイ』であったが、大友克洋作品(脚本等も含む)中、一、二を争うほどの不出来であった(ーー;)。いや、もともと大友アニメで出来がよかったのなんて殆どない。『工事中止命令』『老人Z』『最臭兵器』あたりがちょっといいくらいで、『AKIRA』だの『スプリガン』だの『メトロポリス』だのを見ていると、この人はドラマにおけるキャラクター造形がいかなるものなのか、根本的に分かってないのだ、と断定せざるを得ない。
 ……てゆーかー、所詮Dr.オートモだしぃ、ロクなのになりゃしないってことくらいー、分かってたんだけどー、いちおー、見てみないとー、文句は言えないなーって思ってー、行ったんだけどー、サイテー? ってゆーかー、才能ないヤツ、田舎に帰れってゆーかー、こんなにつまんない映画見たの、初めてかなーってー。
 ……いかん、どんどんアタマが馬鹿になるのである。貶し出したらキリがないので、簡単に言っちゃうけど、「陳腐」で「馬鹿」。時間とカネと枚数かけただけであとはスカスカである。劇団ホームページのほうの日記にも書いたが、「ともかく、友達にからかわれただけで鉄のプラグでアタマ殴りつけるような既知外ヒーロー(長崎11歳少女か)や、タカビーで自分のペットを虐待して平然としてる人格崩壊ヒロインに感情移入しろって方がムリ」なのである。そういうのは四畳半マンガ描いてたころの大友マンガの名残りだけど、その時の気分で冒険活劇書くなよ。キャラとドラマが合ってねえんだって。
 テーマも「科学の進歩は人類に幸福をもたらすのか?」という古色蒼然としたものだが、それを「新しく」見せる技術がないから、とことん画面が「沈んで」いくのだ。歯切れは悪いし、エロアニメよりよっぽど子供の情操教育に悪いわ。
 ……おっといかん、書き過ぎた。もうあとはコンテンツの方で思いきり貶そう(^_^;)。
 1円でも金を払って見るだけ損だと思うが、ともかく、どうしても見るっていうなら止めはしない。ただ、レンタルDVDかテレビで流れるのを待って、ヒマツブシに煎餅食いながら屁こいて見るので充分だから、おーともさんと心中したい、あるいは1800円をドブに捨ててコンクリートで埋め立てて、アスファルト敷くことになっても構わないってマゾヒスト以外は、そうしたほうがいいということだけ忠告しておきます。
 ……ここまで貶しておけば、かえって見てみたくなる人も少しは出るだろうな。さあ、私と一緒に不幸になりなさい。

 見たくもない映画を見せられて、しげの機嫌が頗る悪い。悪すぎて、すっかり「クニエ」を忘れてしまっている。「なんでこんなに早く来るの? そんなに大友が好き?」と絡むこと絡むこと。全く、針のムシロである。
 帰宅してネットを覗いてみたら、既に続編製作が決定したそうな。……何が受けるか分かんない世の中だしねー。クソでも食いたい人もいるだろうから、何を作ろうが構わないけどねー。せめて芳香剤くらいは置いといてよ(T∇T)。


 マンガ家、鈴木義司氏が昨17日、悪性リンパ腫のため死去。享年75。
 読売新聞夕刊の『サンワリ君』は30年以上に渡って連載されていたそうだが、そのあまりのツマラナサは、一時期マンガマニアたちに異常に“持ち上げられて”いた。つまり「ここまでつまらないマンガが描けるのはスゴイ!」という“評価”である。そういう評価の仕方はかえって一種のスノビズムに陥っているようで、私はあまり好きではないのだが、実際、鈴木さんのマンガのどこをどう面白がればいいのか分からない、という事実は確かにその通りであった。
 いや、どれほどつまらないか、紹介したいところだが、あまりにつまらなすぎて、殆ど記憶に残っていない。軽く千本、二千本は読んでいるはずだが、どんなネタだったか、ただの一本もとっさに出てこないのである。それどころか、その日読んだマンガでさえ、数時間後には忘れてしまうくらいに何一つ引っかかるものがない。
 新聞をあさって探し出してみた、おそらくはこれが遺作と思われる2004年7月2日(金)の11240回(翌日から休載)の『サンワリ君』はこういう4コマである。

 1、波止場で釣りをしているオジサンにサンワリくんが声をかける。
 「小学生のころ 海で釣りしたことあるなァ」
 2、サンワリくんの独り言。
 「海は心のふるさと」
 3、続けてサンワリ君の独り言。
 「そうだ こどものころ歌った歌を思い出した」
 4、歌うサンワリくん。
 「♪うさぎ 追いし かの山♪」
 驚くオジサン。
 「海の歌じゃないのか」
 
 「これはどこがどう面白いかと言うと」と林家三平師匠を呼んできて解説して頂きたいところだが、残念なことに師匠も既に故人である。
 ともかく何もない。サンワリくんがただの勘違いで「山の歌」を歌っているのか、ワザと間違えているのか、そのいずれとも判別しがたいが、だからそれが何? という内容である。海なのに山の歌を思いだした、でもそれはギャグかユーモアか、そのどちらでもないのではないか。では何か。ポン、と膝を打つようなウィットでもなければ、ほのぼのとした味わいでもない。ペーソスやサタイアでは絶対にない。ほかの回ではサタイア的なものはあったかもしれないが、それも殆どヒネリというものがなかったような気がする。ともかく覚えてないから、コメントのしようがない。
 これがつまらないダジャレや、下品なオヤジギャグなら、脱力したり腹を立てたり、何らかの形で記憶に残るだろうが、そういうトンガッたところが全くない。まるで、ただひたすら波もなく水平線だけが続いているようだ。古いと言えば古いのだが、かと言って。古臭くて読むにたえないわけではない。
 考えてみたら、『お笑いマンガ道場』で拝見していた氏のお姿も、マンガ家のイメージとは程遠い“フツー”の人であった。“怒れるブルドッグ”富永一朗氏を「貧乏」とからかい、しょっちゅう土管に寝泊りさせたり、乞食をさせたり、逆に自分は豪邸に住んでいるとするマンガを描いていた氏であったが、それが氏の唯一の「毒」であり、またその程度のものでしかなかった。
 細い目を開きも細めもせず、ニコニコ笑っている氏は、だからと言って人格者に見えていたわけでもなく、また逆に悪意ある人にも見えなかった。“飄々”と評するのは妥当だろうか、確かにそんな感じもなくはないが、風にさすらっているような雰囲気はない。でも仙人や地蔵のように悟っている感じもない。聖でもなければ俗でもなかったのだ。
 結論付ければ正体不明。本当に、いったいどんな人だったのだろう? 「鈴木義司がそこにいる」、そうとしか表現のしようがないようである。そういう意味ではやはり「惜しい人をなくした」と言えようか。


 読んだ本。
 マンガ、遠藤淑子『退引町お騒がせ界隈』1巻、『王室スキャンダル騒動』(いずれも白泉社文庫版)。いや、『スチームボーイ』ショックが強すぎて、早々と寝たもんで。

2003年07月18日(金) 「よろしかったでしょうか」の謎/映画『ソラリス』/『ウエスト・ウイング』(エドワード・ゴーリー)
2002年07月18日(木) 芸能界の宿便/『名探偵コナン』38巻(青山剛昌)ほか
2001年07月18日(水) 夏到来! ……って暑いだけだって/『夢の温度』(南Q太)ほか


2004年07月17日(土) 私の私の妻っはぁ……クニエだよ(ーー;)。

 しげが病院の診断で、「乖離症」という名前を貰ったことは既に述べた(ということは、京極夏彦のあの小説に出てくるあの人も「乖離症」なわけだな)。
 診断は受けても、あまり状況は改善されてなくて、しげは相変わらず家事は全くやらない。「毎週ン千円も払うのってもったいないかなあ」としょっちゅうボヤいていたのだが、だったら家事すりゃいいのである。なんだか病名が付いてから、かえって病気に甘え始めた気がするぞ。
 昨日、しげは病院で正式に身障者申請をすることにしたそうである。身障者にも等級があるので、何級になるかはまだ分からないのだが、映画料金とか少しは安くなるかもしれない。私も視力のことがあるから、二人で申請すれば身障者夫婦ということになるのだが、私の場合は「映画なんて見ちゃいかーん!」と墓穴掘りになっちゃう可能性もなきにしもあらず、それが怖くて、申請しにくいのである。大画面の映画館でも、前から4番目くらいでないと、最近は細かいところがわかんなくなってきてるのだけれども。


 しげは今週の初め頃から何を思ったのか突然『北の国から』の「田中邦衛」の口真似を始めて、日常会話もずっと田中邦衛、私のことを「ジュン」と呼んだりして、それがもう一週間も続いている。
 きっかけは、今度の芝居のキャラクターを演じるのに、私が「もっと鼻にかかった感じで」と指示したところ、何を勘違いしたのかそれが「田中邦衛」になってしまったものようだ。……別に田中邦衛は鼻にかかった喋り方はしてなかったと思うがな。というか、しげ独特のイントネーションで変質してしまったそれは、既に田中邦衛でもなんでもない。謎の変質者である。
 「じゅん、今゜日はどこ゜に行く゜か゜? 父さん、コバラか゜すいたぞ。スシでも食いにいくか゜?」
 こんな父さん要らない(~_~;)。それになにかヘマなことを言うたびに、「だか゜らおれたち、富良野なんだ」と、意味不明な地方差別発言を繰り返す。鬱陶しくて仕方がないのだが、一度ハマってしまうと、すぐにはもとに戻せないらしい。全く、難儀なことである。
 私が田中邦衛の口マネをすると、これはどうしても「青大将」か「若者たち」か「次元大介」か「等々力警部」をこき混ぜた感じになってしまうのだが、かつてはコメディ・リリーフとしての役柄こそが「田中邦衛」のスタンダードであったものが(だからこそ喜劇ファンの間で小林信彦の『唐獅子株式会社』を映画化するなら田中邦衛を配役し、という仮想キャストもよく組まれていたのである)、『北の国から』という、田中邦衛のキャリアの中では重要ではあっても決して上等とは言いがたい黒板五郎役が、彼を語る唯一のタームになってしまっている現状は、残念としか言いようがない。


 こないだ「シーメイト」で撮った志免炭坑竪坑櫓跡の写真を表紙にアップしようと思ったら、ページが全く開かない。「データがありません」というので、そんな馬鹿な、とフォルダを調べてみたら、確かにデータを入れていたはずのものがきれいサッパリ消えてしまっている。残っているのは「ねこ画像」と題した私の知らないフォルダだけ。もしやウィルスにやられたか、と一瞬考えたが、ウチのパソコンでトラブルが起きたときには(というよりは家内のトラブルの大半は)しげの仕業であるのが常である。
 昔は私が「お前、何かやったか?」と問い質すと、「なんですぐ疑うん!」とヒステリーを起こしていたしげであったが、あとになって、実際にしげが無意識のうちにやっちゃってたことがバレるのがしょっちゅうだったので、最近はあまりヒスを起こさなくなった。少しは自分のことが分かってきたようだが、だからと言って改善されるものでもないのである。
 しげに、「お前、俺のパソコンいじったか?」と聞いたら、「動作が遅かったから、要らないデータ、捨てたよ」と言う。
 「要るデータ捨ててんだよ!」
 「ええ? 捨てた覚えないよ!?」
 「覚えがなくてもやってるの! だから無意識のうちにやるな!」
 ……ちなみにこのへんの会話も、しげは「田中邦衛」でやっているのである。脱力しているので怒る気にもならない。
 ともかく、責任を取らせて、丸一日かけてデータを復旧させる。おかげで、更新しようと思ってた記事も日記も今日はろくろく進められなかった。


 今日見たDVD『マルクス兄弟 オペラは踊る』をレナード・マーティンのコメンタリー付きで。余計な分析をせずにウラ話を説明してくれるのが有り難い。マルクスも全映画にコメント付けたいくらいだけれど、これくらい説明すればするほどその魅力をかえって減じさせかねないものもないのである。“喋る悪意”グルーチョ・マルクスの魅力を本気で味わいたい方は、ある程度は英語のヒアリングができること。
 あと、通販で手に入れた三谷幸喜の『バッド・ニュース・グッド・タイミング』を、これも三谷幸喜・生瀬勝久・八嶋智人のコメンタリーで。最初に八嶋さんを知ったのはこの芝居からだった。八嶋さんは面白いことは面白いんだけれど、オーバーアクトで、見苦しいのが難。コメンタリーでも伊東四朗さんから「ぼくが若いころ八嶋君みたいにからだが動いたかなあ」と言われて誉められた、とご本人は喜んでいたが、これ、「抑えが効かない」という皮肉だよ(~_~;)。三谷さんもそうしょっちゅう注意してるんだけれど、この人の口調ではホントのことを言っても「マジメでツマラナイ冗談」にしか聞こえないのであまり効果はなさそうである。


 「ロイヤルホスト」の割引券がハガキで届いていたので、夕方から買い物を兼ねてパピヨンプラザまで出かける。
 「ロイヤルホームセンター」で新しいカメの浮き島を購入。
 前のやつはやや大き過ぎて、亀が息を吸うときのジャマになってる感じだったので、小さめのを買うことにしたのだ。前のはまた亀が大きくなったときに使えばいいだろう。そのときにはケースももっと大きなのに換えなければなるまいが。あと活性炭入りの「タートルボール」とやらも一緒に買う。脱臭とカメの遊びの両方に使えれば、ということで買ったのだが、しげがやっぱり「なんでそこまでカメに」という目で睨むので、「カメの飛び込み台」は買うのを諦める。
 しかし、ホントにいろんなグッズ売ってるんだなあ。

 「ブック・オフ」で中古のDVDをいくつか買ったあと、ロイヤルホストで夏のカレーフェアのホタテカレーを食べる。しげはエビフライ定食だったが、「カキフライは要らないから」と私にくれる。ところが、これが一口齧ってみるとカニクリームコロッケ。
 「カキフライじゃないよ?」
 と言うと、「あ、間違えた」と言って取り返された。せこい。
 こんなに食い意地が張ってるから、しげはいつまで経ってもダイエットできないのである。
 
 
 読んだ本。
 山田風太郎『忍法帖短編全集3 忍法破倭兵状』。映画『コント55号 俺は忍者の孫の孫』の原作となった『忍法相伝73』の原型短編『忍法相伝64』を初収録。本作を毛嫌いしていた山田風太郎が亡くならなければ、この収録もなかったわけで、複雑な心境である。でも確かに山田風太郎にしてはピントのずれた不出来な作品。
 マンガ、野中英次『魁!クロマティ高校』10巻。しげが、見返しの作者コメントで「10巻記念で引越しができた。でも前のアパートより狭い」とあったのにえらく受けていた。長編シリーズに“逃げて”いるあたり、明らかにネタ切れなのだが、もともと微妙につまらない面白さ(としか表現のしようがない)が本作のウリであるせいで、レベルダウンしているようには見えないのである。これって強みか弱みか。
 倉田真由美『だめんずうぉ〜か〜』7巻。よしよし、まだ続いているぞ。子育てがんばって。
 森下裕美『COMAGOMA』6巻(完結)。また10年経ったら復活してほしい。

2003年07月17日(木) 本能に逆らえないやつっているのな/『なんてっ探偵▽アイドル』13巻(北崎拓)
2002年07月17日(水) それさえも平穏な日々/『脱ゴーマニズム宣言』(上杉聰)/『潜水艦スーパー99』(松本零士)ほか
2001年07月17日(火) 何年ぶりかの酒の味/『水木しげる貸本漫画傑作選 悪魔くん』上下巻



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藤原敬之(ふじわら・けいし)