JERRY BEANS!!

2004年11月30日(火)

…貴方の街に、雪が降った。

空が。降らせている。雪。

貴方の…肌に乗って溶ける雪と、
私の…睫毛に積もる雪。髪に積もる雪。
どちらも、同じ空から降っているのに。

貴方が教えてくれるのは。
あまりにも綺麗な景色。

私は、貴方を通してしかその景色を想像しないけれど。

私は。立ち昇る煙の行方ばかり見ていました。
さんざんと、雪が落ちてくる中で、ただただ、昇る煙を。
消えて行く形を、顔を雪で濡らしながら見ていました。
頬がとても冷たかった。

多分、同じなようで、同じでないような。
…同じ空の下で、私達はそれぞれの雪の日を迎えるでしょう。
貴方の。私の。大切な一日。

願いは、雪になって街に積もる。…街に溶ける。

貴方が生まれた街。貴方が育った街。貴方の知らない街。
何処にでも。想いは形を溶かして。胸に積もる。私の街。

…貴方の街に。…貴方しか知らない、温かい雪が降って。
その願いが、街に溶ける。貴方だけの、私だけの。

小さな、小さな街。



2004年11月29日(月) dialling

少し前に。夜遅く、貴方に電話をしたことがあった。
その時はまだお付き合いも何もしていなくて、
多分貴方も私をただの人間としてしか思わなかったと思うけれど。

人生は上手く行かない。
好きな人は手に入らないし、その心に触れることも出来ず。
優しくされても冷たくされても、胸を揺さぶられて、
どうしても、届かない。

家にはどうしようもない人がひとり。
自分のせいで壊れた人がひとり。
見てるだけで憂鬱になる。励ましても言葉は届かない。

どこかで何かを間違えたのかと思う。
でも、過去を追っても、届かない。
亡くした人を想うことも、止める事はできず。
痛みが止む事も、やはり無くて。胸が疼く。その声を。

そんな行き詰まりを考えていたら、突然、現実感が消えた。

「怖い」「悲しい」「悲しい」「悲しい」

時々こうして、ストンと穴に落ちる。この手が、脳が、悲しくて、
此処に居る事が悲しくて、この躰が悲しくて、消えてしまいたくなる。

この気持ちを抱えているのが辛くて、誰かに電話をかけようと思って。
携帯電話のアドレスを見回したけれど「…多分誰も解ってくれない。」
そんな事に気付いて、更に穴を落ちる途中で、貴方の事を思い出した。

貴方ならきっと、同情もせず、頑張れとも言わずに話してくれるかと。
聞いてくれるかと思ったのか。

長い間、知っては居たけど、使う機会すらなかった番号。
ほんの少しの躊躇いのあと、私は発信のボタンを押す。
…呼び出し音のひとつひとつが、やけに長く感じた。



2004年11月28日(日) 反転

貴方の前に出ると私は罪人になる。

確かなものが何ひとつ無いなら、私は生きているだけでも
嘘の塊のようなもので。

愛されたいという嘘も、私が心の中に鍵をかけて閉じ込める嘘も、
本当は後ろ側からだだもれで。嘘にもならない。

貴方を想うと、その綺麗過ぎる目が哀しくなる。
例えば、命を弄んで暇を潰そうとする貴方の魚のようにね。

貴方は。純粋過ぎる。真実を近付け過ぎる。

貴方のそういう所に気付く度に、そうでは無いから気付けてしまう
自分の不純さを卑しく思う。なのに。…好き過ぎて。好き過ぎて。
退く事すら出来ない。私という「嘘」が。…哀しくて。哀しいのに。

胸は詰まるのに背中はがら空きな。…この貪欲な罪人は。
1度繋いだ貴方の手を、離すことも出来なくて。
ただ好きと繰り返すだけ。ありがとうと繰り返すだけ。

ごめんなさいとは、いくら言ってもきっと足りない。
いくら胸が嘘を繰り返しても、がら空きの背中が喋り続ける。
背中を押さえて。どうか。私が余計なお喋りをしないように。

本当は、背中だけでなく、胸にも真実を話させたい。喋りたいのに。
ちゃんと目を見て、電話で言うように。貴方に。照れずに。
こんなふうに思うのと、同じように。



2004年11月27日(土) 徒歩のスピード

あの人が、だんだん遠くなって行く気がする。
…最近思い出すあの人は、いつも背中を向けていて、
ほんの少しだけ顔をこちらに向けながらも、目は他を見つめていて、

眼鏡越しに、こちらを見ない。あの人の目が細くて。


いつだったか、眼鏡を取った顔が見たいと言って断わられた。
…あの日は、眼鏡をつけた顔を、見る事が出来なかった。

今は、そのどちらも、見ることも出来なくて。
柔らかい髪が、根本から湿るのを、この指で触れることも出来ない。
やっぱり。こんなにも会えないなら、死んでいるのと同じ。

多分、私がこうして話すのを止めたとき、私の中のあの人は死ぬんでしょ?
今も、生きてはいないけれど。

本当は、遊び仲間の彼女としてなんかじゃなくて、ただ普通に出逢いたかった。
だけど、そうでなければ出逢う術などなくて。
きっと、世の中のどうでも良い人として、すれ違って居たのでしょう。

 ほんの一瞬、目が合ったのを、本当に上手にそらす人。
 とても賢い人。…とても冷たく優しい人。

 だけど本当に、芯から冷たい。…だから、好きになった。
 私のことを、決して好きになどならない人を。

頭の中で。…口をぱくぱくしながら私に何か言ってくれるけれど、
耳がもう聞こえないの。…眼鏡越しに、何かを見ているけれど、
その目が細すぎて、あの人が何を見ているのかも想像出来ない。
ただ、こちらを見ないのが解るだけで。ただ、遠くなる。

歩いていってしまう。



2004年11月25日(木) 貴方の中で

私が、この夜から消えてしまっても。
貴方が私を忘れないでいてくれたなら、貴方の中で生きるでしょう。

私が、この昼で死んでしまっても、
貴方が私を思い出してくれるのなら、私はその度、そこに生きるでしょう。


いつか、そういう場所にしか、私が居れなくなったとしても、
そうなってしまうまでは、貴方と居たいと思います。

今、この世界で生きている私。今、此処に居る私。
…他人の、中に居る私。…全部あわせてひとつなのだとしたら、

きっと「私」の半分くらいは、貴方の中にあるのでしょう。

貴方の中に、私が居る。…それを見つける度に、私は私に安心する。
貴方に触れる度に、私は私に会えるから。

「私」の一番おおきな欠片が、貴方の中に居て。
貴方が私を、抱き締めてくれたなら…。

「ああ、見つけた…!」

「貴方」という存在の中で。…私は、私に、手を伸ばす。



2004年11月24日(水) ドミノ

多分、知らない間にドミノキューブが組まれていて、

知らない間に、私がひとつ。あなたがひとつ。だれかがひとつ。

偶然だったり必然だったり、何気なく、作為的に、無意識に、罠として、
…この世界に置き去りにしていって。

あの日、偶然、どちらかがそのひとつを、この世界の始りのボタンを押した。


きっと、あの時、あのタイミングでなかったら、私は出逢わない。
貴方も、出逢わない。両方に。

私が少しでも弱っていたら、あの場には行かない。
私が少しでも元気だったら、貴方には触れられない。

貴方が、昔のように元気だったら…?
貴方が、可能性に気付かなかったら…?

やっぱり、ドミノは続かない。ほんの少し、キューブの位置がずれただけでも、
次のキューブに届かずに、止まっただろうと思う。



2004年11月23日(火) 記憶の花

貴方が過去を話す時。
脳の中には、記憶の中には、綺麗な花が咲いていて、
私は間接的に、その花を垣間見る。

…例えばそれは、

色とりどりの花の部分だったり、
緑や黄色で、小さな産毛のある細い茎だったり、
脈の走る、筋張った潤いある一枚の葉であったり、
細く手を伸ばす根の部分だったりする。

貴方がそれを口にする時。
花は全てに綻んで、…真夜中に咲く。光にも全く無頓着に。


私はその花を手折ることも出来ないし、水をあげることも出来ないから、
ただ、それが風に揺れるのを見つめる。

きっと永遠に枯れない花。実を結ばない花。私の、知らない花。

記憶の河にひらりと落ちた、一片の花びらでさえ、
そのまま変わらない形と色のまま、流れ続けるんだろう。

枯れずに、知らない、貴方だけの花が。満開で綻んでいる。
こぼれる花びらに差し出す掌に、触れることも出来ない。



2004年11月21日(日) 完璧

…完璧な人間など、多分見つけられない。
「完璧」であることは、多分、神と同義である気がする。

完璧な「ひとつ」になど、永遠になれないのでしょう?
人間はあまりにも沢山に分かれすぎて、あまりにも沢山居るのだから。

…だからこそ、生きているんだと思う。
進化するんだと思う。そして、死んで行くんだと、思う。それぞれに。

もしも完璧な唯一の存在になったなら、もう人は他者は必要としないのでしょう?

きっと。

完璧なものは、それ自身で世界が完成する。
もう、きっと何も要らなくて、
…それでも何かを求めるなら、それは娯楽になるのだと思う。

私は、貴方を楽しませない。
私は、貴方に必要とされたい。

私も、貴方も、不完全だから、想い合うことができるのでしょう。



2004年11月20日(土)

暗闇に雪が積もる。

音も無く時間が滞る。遠い、空と土の隙間が埋る。

真っ暗な夜に雪が重なり、小さな光が、白さに映って、
ほんのりと、周囲が明るく微かに白む。

キラキラと。雪が光る。空に。闇に。空気に。
ああ、…夜が濃い。…。
…夜の、冷たい匂いがする。


雪が止む前に、貴方を探しに行こう。

雪が止む前に。雪の、光のあるうちに。



2004年11月19日(金) 音の無い深海

繋がっても繋がっても、不安が胸を襲うのは何故?

貴方がこちらを見つめても、私がその目に溺れていても、
この手が貴方に触れたとしても、この手がそれを握り返しても、

そうだ、満たされない。満たされたい。

胸が繋がっても、頭が触れても。貴方にまだ、この手を伸ばして居たいと思う。

貴方が私に言うように、これは、相手を信用しないと言う事でもなくて、
その気持ちを疑う気持ちでもなくて、ただ、ただ、

どれ程繋がっても、まだ、貴方を願うということ。

不安なんだ。
「好き」と言っても。
途方も無い空の向こうを見るようで。

どれ程繋がっても、まだ、貴方を願うということ。

好きなんだ。
耳を閉じて。
底が無い海の闇を見つめるように、ただ、暗闇に目を凝らしている。



2004年11月18日(木) 目と目と目

小さな頃から、人の目の中で育った方だ。

実家が自営業で、祖父母、両親、兄妹、家族は勿論、
従兄弟や叔父叔母、従業員さんや客人、同業者、関連業者さんなど、
本当に、人が多く出入りして集まる家に生まれて、
色んな人から少しずつ構われながらのんびり大きくなった事を、
今になってとても恵まれていたんだと思う。

その目の数だけ、たくさんの道標を知るから。

誰からも、見られずに育つ事、
一人の目しか得られず、選択権が無く育つ事は
考えただけでも息が詰まる。

人の目は、見られる対象を既定する。
例えば、期待の目で見られた子供が「そうであろう」と知らずに努力するように。

知らずに、子供は見る人の目を見返す。
相手の目に手を引かれながら、自分を確認しながら生きてるんだ。



2004年11月17日(水) あなたは生きている

誰かを美しいと思ったのは、多分今までで2人。

一人は、まるで相手にしてもらえなかった、あの人。
その、技巧的なまでに作られた精神が、あまりにも美しくて。死に近い。

もう一人は、貴方。
自然であろうとする真っ直ぐで正直な魂が、あまりにも美しくて。
生きているから、美しいのね。そう、言葉が生まれていく。

それまで、好きだった人は、いつも、誰も、欲望が先立った。
例えば、もっと善くしてあげたいとか、その人の良い部分が勿体無いとか、
もっと楽しく付き合いたいとか、一緒に遊びたいとか、そういう気持ち。

好きだなぁ、と思いはしたけど。その気持ちに嘘も無いけど。

自分に自信がないと気弱になる貴方の、それすら、真っ直ぐで。
…人を傷つける事を恐れる、貴方のその牙と爪が、戸惑う様子が、
やっぱりとても美しくて、愛しくて、たまらなくなる。



2004年11月15日(月) 黒い太陽

貴方は、とても温かい。

貴方には、暗闇が良く似合うのに、
どうしてそんなに温かいんだろう。

真っ黒。でも、温かくて、じんわりと肌に沁みる。
「心臓がぽかぽかする」と、貴方は言う。

私も、貴方と居ると、脳が火照る。

なんでだろう。

声は耳に、文字は瞳に、言葉は胸に。
じんわり、沁みる。

温かく、黒い光。



2004年11月14日(日) 未来永劫

未来永劫、変わらないものなど無い。

そう、以前書いた気持ちは今でも全く変わらない。
人の心は千差万別。オマケに儚く、仄かな陽炎。
今でも変わらず、そう思う。

だけど、…時間と同じ速度で気持ちが変わって行ったとしても、
この胸が、今の形を保てなくなったとしても、
そうして変わって行く私が、いつも、同じように変わって行く貴方と
何度も出逢って、その度、その手を探しながら、
ふたりで生きて行けたならどんなに幸せだって思うだろう。

未来永劫、変わり続ける度に、貴方をきっと探すでしょう。

「永遠」という言葉の中には、始りも終りも、流れも無い。
私は、貴方とずっと、出逢ったその始りから、いつか来る終りまで、
いつもいつも、ふたりで居たいと思うのです。永遠は、要らない。

瞬間的にこの世界から切り取られた永遠は素敵だけど、
私は貴方と、流れて居たい。いつも、時間と流れて居たい。
そうしていつも、流れる度に、貴方を探して行くのでしょう。

会えない時は、どこかに居る貴方を、
会える時には、その内側に居る貴方を、
繋がる時には、その外側に居る貴方を、

ずっと、探して居たいのです。



2004年11月13日(土) nocturnal

貴方を長いこと、表面的に知っていました。

間接的に、話を聞いたり、何かの情報を耳にする事はあった。
貴方を見たことも何度もあったけど、いつも、
貴方が絡ませる細い糸の膜や、薄氷のオブジェのような殻を、
危うくてとても怖いと、思っていました。

関わったら、多分、同じ質の闇を突つきだしてしまう気がして。

それに触れて胸が冷えるのには、全く覚悟も無かった。


貴方を始めて知ったのは、初めてふたりだけで話した日。
あんなに柔らかい表情の貴方を見たことがなかった。

貴方の闇が、あんなに温かい闇だと、初めて知りました。
ぬるく人肌の、血のような。固体と液体の交じり合った黒。
薄く白い表面も、中の黒が透けて綺麗。

もしもこれからもずっと一緒に居られるのなら、
私はあの日の前日の夜に、お休みなさいと挨拶した後の、
貴方の背中を忘れないようにしよう。

不思議な程に後ろ髪を引いた。何も話さずに歩く貴方の背中を。



2004年11月12日(金) 愛を知ろう

好きになった人に

「君は僕を愛してないよね」と言われて断わられた事がある。

その時は、否定も肯定も出来ずに硬直したけれど、今になって
どうして私が彼を愛してなかったのか、少しだけ解る気がする。

…私はその人を、本当に、この身を投げ出しても良いと思う位
好きだったんだけど、「愛」という言葉は、一欠けらも、
確かに胸に浮かばなかった。

愛していると思うには、自分だけでは駄目なんだと。
貴方と話して気付いた気がする。

一方通行で、誰かにどれだけ気持ちを想いかけても、
受け入れて貰えなかったら胸に生まれない。胸に、来ない。

愛って

恋愛でも、親子でも、師弟でも、友人同士でも多分。

貴方の前では、私は自分を投げ出そうとは思わない。何でだろう。
…貴方を思うのと同じように、自分の事も大事にしてたいなぁ、と
そういう事を自然に思う。この手で、今、出来ることがしたい。
そういう気持ち。

繋がらない人間関係に、愛は無いのね。



2004年11月11日(木) 貴方と

貴方が居てくれて良かった。

生まれて初めて、こんなに言葉が繋がる人に出逢った。

私が映したいものを、映し続けてくれてありがとう。

人間の、柔らかく温かい部分。真実という美しさ。
物悲しいこの世のはし。冷たい水辺。

貴方を好きになる前に、壊されそうなくらい、好きな人が居ました。
彼の精神は、あまりに精巧すぎる人工物で、私はその徹底っぷりに
感服したものでした。その、固定された、凄惨な美と、完璧な構図。

…だけど、貴方に出逢って、行き詰まりの美に染まる私は救われました。
大好きなのは、貴方のその、強い姿勢。自分を見つめる素直な目。

それは、名前の通り、童子のような。

貴方のその流動的な魂の美しさがとても好きです。
小さきものの儚さも、危なげなその均整も、
土のような香りも、風のような香りも。発する言葉の素直さも。

貴方と逢えて、本当に、気持ちがまっすぐに変えられた気がします。
これから、雨の日も風の日も、ふたりで歩いて行きましょう。

どんなに、面倒な問題が起きても、一番大事なのは、私と貴方の、
ふたりの気持ちだと、ずっと思っていられるように。



2004年11月10日(水) 脳が近い

貴方と、私。

こんなに、今は脳が近い。

…互いに、違うものだから、こうして触れて、境界線を確かめられる。
お互いの、全ての表面を、この手で触れて確かめられるんだ。

貴方と、…繋がる事。

魂が、近い。



2004年11月09日(火) ひとつの不安

…どれだけこの手を貴方に触れても、心は決して探れない。

好きだと言って、この手に触れて。

…貴方を好きになればなる程、好かれる自信などまるで無い自分に気付く。
貴方を好きになり過ぎて。…好かれたいという欲が強すぎて、
そんなエゴイスティックな自分が更に嫌になる。

お願い、もっと、好きだと言って…

そんな事を考えると、不安は生まれて、膨らんでいく。
心に関わる事に「お願い」をする。その虚しさを知っているから。



2004年11月08日(月) ordinary

 君の日常になりたい。

例えば、眩しくてよける日の光。
夜を照らす月。町の街灯。

少し冷たい風。通い慣れた通勤路。

温かい土。見飽きた車。

 僕にとっても君は特別な非日常だ。
 だから君が隣りに居ると、僕は11月の美しく薄い空の色も、
 風の香りも、山の紅葉も、街の雑踏も感じない。不感症。
 
 どうでもいい会話にしか耳が使えずに、
 君の茶色の目を見続けてしまう。

僕は君の日常になりたい。

例えば、風に浮遊するポプラの綿とか、
駅に置き去りになった忘れ物の手袋みたいに、
普通に、ただそこに居たい。

 永遠でもなく、刹那的でもなく、ただの日常として。

擦り切れて、少しずつ変化し続ける日常。
君が意図的に止めるまでの、毎日の繰り返し。

君にとって。
誰もがその存在を疑わずに眠る、「明日」と同じ物でありたい。



2004年11月07日(日) 独白

行動さえ現実に追いつくなら、
貴方を誰より、あいしたいのに。

こんなに胸を圧迫する想いを
表現できる言葉はこの世の何処にも無い。

「好き」では足りない、けど、「愛」なんて言葉じゃ
表現できない。

この気持ちを、なんて書けば、貴方に届くんだ。

とかげのしっぽだけを何本集めても、本体には決して届かない。

貴方が望むのなら、胸をえぐり出してでも届けるのに、
いつも、渡せるのはしっぽだけだ。

あなたをあいしたいのに。
あいしたいのに。

いいえ、そうではなくて。

…辿り着きたい。

いいえ、そうではなくて、

…愛してたいの。見付からない。



2004年11月06日(土) アナログコード

体を繋ぎ、

なんとか脳と胸の情報を伝えようと懸命なんだ。
互いに接触の悪い、不完全な回路で。

違う内容の。違う情報量。合う訳も無い言語。

変換機も無いから、とりあえずは、
互いのコードを繋ぎましょう。

お互いの、不鮮明なモニターと、たどたどしいスピーカーから、
受信し得る可能な限りの「思い込み」というデータを抱え、

さあ、模索を始めよう。

 貴方は暗闇から生まれた。

貴方のセンサーは、常に現実をデジタルで受信するから、
もう一度、その目は閉じて。もっと、もっと手を、

アナログコードを、繋ぎましょう。



2004年11月05日(金)

大きな石を積み上げた囲いという囲い
あらゆる塀の中に立つのは

トランプタワー

QUEEN JACK KING JOKER
4種のスート
1から10の数字

 風を止めて 息を止めて 揺れないように

…お姫様は何処だ

貴方の、本質は。

過去を積み上げた塔
面 ごちゃまぜの53枚のカード
本質は何処に

カードの隙間



2004年11月04日(木) 困った顔

貴方に、もっと困った顔をさせたい。
いつも、どうしても顔が笑ってしまうから。

貴方も私も。

もっと、もどかしいような。
お互いに困るような恋をしましょう。

例えば明日。ふたりで向き合おう。

しーっ!

すこし、黙って…!

 どうか、泣かないで。



2004年11月02日(火) 君は誰

…恋愛の感情が無くなってから、相手を見ると、
その人が全くの別人に見える。
ほんのこの間まで、僕の隣りで笑ってたのは、
一体誰だったんだろう。

恋をし始めた頃は、その髪に触れるだけでも、
掌に優しさがこぼれた。

君と恋をする前までは、ひとりで、陰を踏むだけでも、
その近い距離に、幸せを噛み締めたものだったのに。

君は、誰。

そんな事を僕は言い出していて、でもそれ以上に、
そんな君を好きだった僕が、果たして本当に僕だったのか。

今はもう、分ろうともしない。



2004年11月01日(月) 乾いたキス

あの人の皮膚に触れようとした時、
あまりに神経を張り詰めすぎて、喉がカラカラになった。

たかが人間の表面。

唇が、未だ無いほどにかさついた。
目から涙も出てこない。

私は、潤いたいのに。

そう、例えば小さな雨のように、
好きになり過ぎて、涙が出るような、そんな恋を。
瞳が潤むような、恋を。

抱き締めても、体温が下がらないような恋を

次はきっと、しようと、思った。


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