JERRY BEANS!!

2004年09月30日(木) 細長いキス

優しさ。

自分と他人の間にある物が、単に優しさであるなら、
その唇に触れる事に、どうしても躊躇してしまう。

自分から動かないのは、私のずるさだ。
夜に触れれば、眠り続ける星の、星の。
月の死んで澄んだ光が脳裡に届く。

暖かい手は、真実でしょうか。

一度も確定の言葉を引き出せない私は、弱さでしょうか。

細長いキス。続きと本心は、夜の裏。



2004年09月29日(水) 貴方の髪

貴方の髪を思い出すと、哀しい。

貴方が両手で私の頬を押さえ込んだ時、どうして私は貴方の目を
見なかったんだろう。…貴方が私の言葉を聞いてくれていた頃に、
どうして私は好きだとはっきり言えなかったんだろう。

その、髪の柔らかさを思い出すと、ただただ、哀しい。

こだわっているのは私。
こだわっていたい、私。


他の誰の眼も言葉も仕草も。全てにおいて。
彼の持つ「それ」に敵う程度に、私を傷つける事は出来ない。
たかがその、髪の感触ですら。私を従えさせ続ける。その柔らかさ。



2004年09月28日(火) カルい女

全く予想だにしなかった人から突然仕掛けられたとして。

…恋愛と言うものに期待さえしなければ。

すぐにその『要求』を理解して、酔えてしまう私は本当に
とてもカルい女なんだろうか。例えば送ってもらう車の中。
家に着いて鞄から鍵を取ろうとする私の、右手をほんの少し、
手の甲で控えめにそれを制止しようとする行動だけで。
例えば車の助手席で、運転席側から抱き留められたとして。

すぐにそれに甘んじてしまうのは、カルいからか、単に淋しいからか。
もう、断わるのも面倒くさいのよ。…だって、普通程度に好きな相手なら。

愛の量と質の見合わないキスなどに何の価値もないが、
39になる男が、私の手の動きひとつで左胸の鼓動を早めると言う事実が、
私には単純に不思議でならない。これが彼らお得意の「大人のずるさ」か、
それとも、男の我侭なのか。その、鼓動の速さが、とても哀しい。

恋愛と言うものなどに、期待などしないのならば。
どんな行動も単なる駆け引きやゲームと大差がない。…そして、

そうやって、私に勇気を出して触って来れるくせに、誰も、私に「好きだ」
とは言ってくれない。期待されているのは、カルい女であるだけか。
そんなことにだけ期待される私が、本当に哀しい。



2004年09月24日(金) クスリ

あなたはわたしのクスリになれますか?

 …傷も付いてない私の。
 なんの病気もない私の。

 何も可笑しくない私の。

 何もない私の。

カプセルの中身は空っぽ。
その空虚を、何錠も水で流し込んで、私は空っぽで一杯。
胸が痛い。

何処も悪くない私の、クスリは効かない。
胸が、痛い。



2004年09月22日(水) 獣の目

お行儀良くしている人が時折見せる、獣の目。

あのギラついたような。黒目がひときわ大きく拡がる瞬間の、
…その伸縮の様子が見たい。

瞼を上げて、小刻みに震える睫毛。

指先まで集中する、あの感覚。

あの人の目が欲しいと思う。けれど、私にはそれを保存する瓶も無い。

あの目はきっと、抉り出した瞬間に、その光を失うだろう。
白く濁った魚の目。…暗く澱んだ、人間の目。

褐色の保存瓶に入れ、あの液体に漬けたままにしても、やはり駄目だ。
愛が無い。



2004年09月19日(日) prayer

さあ、お祈りをしましょう。

祈りを始めると、眉間の少し上、額の一角が、熱を孕む。
血の気が引く時も、「ここ」から魂が抜ける感覚。

お祈りをはじめる時、祈りは自分の斜め上に、届くように。
額から、殻を破くように。胸に響くように。何度も何度も繰り返す。

魂が擦り減っても、構わないから。膝をついて。指を組んで。
目に見える全てを、瞼を閉じて消して行く。祈るのは、孤独。

さあ、額に力を込めて。お祈りをしましょう。



2004年09月18日(土) 今思い出せること

部屋にあった二枚の版画(シリアルナンバーは一桁?)。
煙草の銘柄。
冬のジャケットのファー(取り外し出来るって言ってたよね)。
滅多に外さない眼鏡。
一本だけ伸ばしてる小指の爪。
本棚に並ぶ本(けっこう鋭い趣味だと思った。あと、とても計画的だとも。)。
潔癖なまでに清潔なバスルーム(アクタスの吸盤付きホルダーが可愛かった)。

あと、話す時、貴方は相手の眼を凝視しない。

もしかしたら、大切に思う人には違うのかも知れないけれど、
私が知る人と話す時はいつもそんな感じ。どうして、眼をいつもそらして
核心に触れられないようにしているんだろう?って、よく思ったわ。

今は、全部どうだっていいことに感じる。

私の中の「私」が、貴方の中の「貴方」に、何も出来なかったなら。
何の意味もないから。ただのゲームじゃない。

賭けをするなら、レートを上げた方が刺激的。しかも、のめり込むうちに
加速度的に上げて行くのが。一緒に倒錯し合えれば幸せだったのかな。

誰かに、影響される事。誰かに、心を操作される事。誰かに、動かされる事。

貴方が、「消えたい」と、私の眼を見ずに言ったこの一言は、多分本心でしょう。
他の言葉は「様式」だと。…もし同じ言葉を、私の眼を見て言ってくれたら
いつか必ず私が消し去ってあげたのに。真っ白に。…思い出せることの全ても、
何もなくなってしまえるように。

きっと貴方は人を捨てられない。どんなに消去を願っても、人を信用しなくても、
他人に「接触」せずにいられない、でしょう。

私の角度から見えた。これだけ。それが私の持つ想像の全て。
今は、貴方の顔も思い出せない。…貴方の顔を、思い出さない。
生きていても。死んでいても。思い出さない。思い出さない。…生きて、いても。



2004年09月16日(木) 性別

私は、あの人の性別が男でも女でも多分気にしない。

多分、彼が男だったから「好き」になったんだろうけれど、
それは結果論だ。

彼はどうだろう?私が男でも、気にしないのか?
それとも、私が男だったら、友達にくらいなってくれたんだろうか?

哀しいのは「無関心」であること。

男同士でも、やっぱり私は彼を好きになっただろうな。
…恋に発展したかどうかは解らないけれど。


でもね。


私は、女なんかで無ければ良かったと、思うことのほうが多い。
出来れば、名前を呼んでみたかった。そして君が笑って応えてくれたら、
それで良かったのに。



2004年09月15日(水) 予感

今日の朝

母親の雑多な動きのあまりの五月蝿さで目を覚ます。
このババアは、夜は散々布団に寝っころがりながら、だらだらと
テレビを見る。そんで、なんとも朝は5時半から活動を開始する。

はっきり言うぞ。「夜眠れないの」と言う前に、昼寝をやめてみたら
どうか!?…と言うか、どうせ眠るのにテレビを見るのはどうなんだ!?
みねーテレビは消しとけよ。やかましくて眩しいもので、身体と脳を刺激
するから、安眠できんのやろ。

…今日は、珍しく、母がお弁当を作って持たせてくれた。
はっきり言う。俺のほうが料理は上手い。あと、銀紙とか、緑色の
プラスチック製のしきりとか、入れすぎ。

でも。

あんまりにも雑多な様子を見てたら、そうさ、恋なんてしてるのが
バカらしくなった。いつもより5分だけ早いバスに乗る。バス停までの道、
少しだけ空を見て歩く。雲もなくて空は遠く青いし、風は涼しいし、
太陽は眩しくてじりつく。

1日仕事をして、嫌な客、素敵な客、ムカつく店長、のん気な同僚、
それと、世界中のどうでもいい人が。存在して。生きてるなぁ。なんて思った。

私は、自分は、ボクは。…予感がしたんだ。今日の朝はまだ形も無かった
あのモヤモヤが。『あ!…きっと、平気になる…』。どうしよう!!

淋しいような、嬉しいような、やけにすがすがしい気持ち。

今日の、夜。涼しい風。少し肌を刺すような闇。それと、薄い光。



2004年09月14日(火) 貴方の手

声だけでは、全然足りない。

ああ。

Please put your right hand on my head….!!

貴方の右手は、私の世界で最も正しい。

注ぐのは、神の光。…冷たい光。蒼い蒼い、綺麗な色。


繋がるのは、裏切りの黄色。さようならのキス。



2004年09月13日(月) 肉と心

…どんな要素を躰に詰めても、全ては「肉」と「心」に分かれて行くんだ。

肉は肉。心は心に。

「肉」は、もっと奥へと、「心」は、もっと先へと懇祈する。
どちらの愉しみも救われない。肉と心は繋がらない。

本心から肉の慾を取れば、この心は邪魔にしかならない。
心はこの躰が融けるのを遮るばかりだ。

本心から心の慾を取るなら、この躰を捨てていくしか無いのでしょう。
躰は心を、解放しない。願いの先まで到達しない。

心は心。肉は肉。

それぞれが別々に慾を要求するから、私はどちらを優先するのか解らなくなる。



2004年09月11日(土) 眼球

もしあの人が「いいよ」って許してくれるのなら、

先ずはあの真っ白な眼球から頂くでしょう。
白子のような味かしら?牡蠣のようにミルキーかしら。
…ナイフとフォークを上手に使って、粘膜から切開いてあげよう。
きっととろりとしていて、香りも良いんでしょうね。

一番素敵な黒目の部分は、ゆっくりと、最後まで舌で舐ってあげる。
カリカリのブルスケッタに絡めて、最後の一滴まで、残さずたっぷり
食べてあげる。


耳なら、右の耳から食べるでしょう。そのまま歯を立てて、
肉から噛み千切って食べましょう。きっと、血や肉汁が傷から滲んで
甘味があるんでしょう。少しずつ、やわらかい所もコリコリした部分も
白ワインのつまみにしながら食べるでしょう。


勿論、実際にはそんな事はしないけれど、頭の中はそんな想像で
一杯になってしまう。…それが私。

あの人の指に唇で触れた時から、なんて美味しそうなんだろうと、
考えてしまった。指なら、関節を中心に、口の中で転がしていたいのに。
そんな事を、最近また考えてしまう。



2004年09月05日(日) 空葬

あんなに好きだったのに。

もう二度と彼に、恋愛感情が湧かないと、気付いた。
助けてあげたいと思って、自分に罪の意識もあったから、いろんな事を
甘受していたけれど。

昨日、のん気な彼の顔をみたら、突然。…怒りが。

傷ついたり、傷つけられたりするならまだいい。

だけど。この私に「情けない」と言わせる男には、もう愛や、まして恋など。

気付いたら、ひとつ気持ちは死んで行った。悲しいけど。私は見送った。
言葉をかける気力も無い。質問に答えない男に、問いかけは無意味だ。

彼は、私を傷つける事も出来ない。私は、彼を傷つけるほどの気力ももう無い。



2004年09月04日(土) 貴方が好きです

ああ、こんな所にこんな事を書いたって、貴方には何も伝わらない。

例え、私が貴方に会う事が出来て、何か言葉を発する機会に
恵まれたとしたって、それでも何も伝わらない。

私は貴方の前では、全ての意味ある言葉を失ってしまう。
スットンキョウで場違いな言葉ばかり口を突いて出て、また、私は
自ら、貴方に私を知ってもらうきっかけも、こうして捨ててしまう。

  私はあの人の前では、自分の形を保てない。
  一番外側で貴方に触れる筈の、私の輪郭が、揺れて揺れて
  不安定になる。自分を保つはずの境界線がぶれる。
 
貴方が私に触れてくれたら。
いや、違う。もしも貴方が私に触れてくれても、きっと何も伝わらない。
私が貴方に触れても。貴方は別の誰かを好きだから。
今は触れるどころか、会う事も話す事もないし。貴方はきっと振り向かない。

  あの人は、ただの男。それだけの筈。

ああ、それでも、どうしたってこの気持ち。死なないで。死なないで。
私の欲求は、貴方をバラバラにする。知りたい気持ちが多すぎて、
思考が貴方を分解する。これでは、私の中で貴方は居ないのと同じだ。
私は貴方を知りたいのに、貴方にこの気持ちを伝えたいのに、
全ては、一度身体の外に出した途端に、それぞれが部品に成り下がる。

何もかもがどうしようもなくても、それでもやっぱり、貴方が好きです。
ああ、気付いて。死んでしまえ。…それでもやっぱり、貴方が好き。

  確かめたい。



2004年09月02日(木) トランプ

毎日朝起きて、意識が動く瞬間に、私はカードを1枚めくる。
今日も始まってしまった、この1日。

同じ繰り返し。呼応する嘘。…返事は今日も無い。

  「ただ好きなだけ。」

それは大事な言葉。どんなに悩んで、底まで極限的に墜ちて行っても、
私が目を覚ますこの世界で、現実に手に掴む感情は、今はこれだけ。

全てを排除していって、残った言葉がこれならば、私はそれに従おう。
ただ、美しい物の前で、私が何も出来ないように、私は、何も出来ない自分を
持て余しながら此処にいるしか無いのですから。

何時になるか解らないけれど、その存在さえ不明な最後の切り札を、私が
引いて来るまでは、毎日カードをめくり続けて、夜になれば眠るだけ。
つぶらな瞳がまばたきを繰り返すように、開いては閉じる。1日。


 < 過去  INDEX  未来 >


nana [HOMEPAGE]

My追加