JERRY BEANS!!

2004年07月31日(土) ポケット

あの人の全てを、このポケットに詰め込んで
何処へでも持って行けたらいいのになぁ。

ただ何でもない退屈な風景に、あの人をぽんと置くだけで、
ほら、こんなに愛らしいのに。

私は未だに、見かけるだけで、指先が震える。

ほらほら、そのパーツを、バラバラなままで詰め込んで。

バラバラになったパーツは、二度と再構築できないと知っていても、
それでも全て、詰め込んでしまえたらいいのに。ねぇ?

この指で、その部品を弄んで手持ち無沙汰に。
何処へでも連れて行けるのにね。



2004年07月30日(金) 理由なき衝動

理由のない衝動を、昔から愛している。

心を奪われるのにいつも理由などなくて、それが何時から
始まってしまったのかも知らないし、それを知る事を、私は自ら避けている。

今まで私をとことん夢中にさせたのは、幼少からしている
読書と、飽きっぽい私が唯一続けてきた水泳と、そして恋だけ。

…だけど、いつもいつも、その理由を考えはじめた時から
どれもこれも急速にその気持ちは収束する。

理由を考え始めるとき、気持ちというのはすでに沸点を越えた後で。
夢中になっている最中はいつでも幸せだけれど、その頂点を過ぎたら
あとは死んで行くだけ。私はそれがとても怖い。
いつか、衝動よりも先に、理由の為に動くのではないかと。…。

気持ちが死んで行く事が怖い。こんなふうに胸に込み上げてくる
私を動かす原動力が、その衝動が消えて行くことが。

…だけど、そうして消えてゆく儚さを思うからこそ、
理由が見つからない衝動を愛してやまずに、恋焦がれるのだろう。



2004年07月26日(月) 星の空

この世にあの人が居て、ただそれだけで、今はもういい。

あの人の呼吸を誰かが止めてしまうまで、私はあの人を好きだろう。

もう、「願い」や「希望」は心の一番底の方で、息を潜めて、
闇にがらん締めになっている。ただ、眠っている。…それがいい。

決してこちらを向く事が無いその横顔を、ただ想うだけがいい。
既に死んだ星の光を浴びるように、空を仰ぐのがいい。

私が長く構築してきた「保守性」をこんなにもバラバラにぶっ壊してしまう人に
会えて触れる機会があったことをプラスに受け止めよう。
そのせいで失ったものもあるけれど、
この気持ちと天秤にかけて敵うものなど、今は何ひとつ無いから。


何日か、何ヶ月か、もしくは何年か先に、あの人が私に言った言葉のうち、
ひとつでもその言葉にたがう事があったなら、この気持ちは死ぬんだろう。

あの人が、彼自身の信念にそむいたら、私は彼を軽蔑する。
そんな事が、決してないように願いながら、心のどこかでは
私はそれを望んでいる。破滅的なものを好み、その反面で助かりたいと
思う。この星の、死んだ光の空の下で。



2004年07月14日(水) 蝶々の羽

…昨日、本を読んだ。

ある種の昆虫は、芋虫の頃、その体のほとんどは胃袋なんだそうだ。

そして、変身し、飛ぶための羽を手に入れると同時に、生きるための
消化器は消失し、生殖機能のみの生物に変化するのだ。

性と、その先にあるのは死。…それは、なんていう恍惚。

それを知った私は、夢の中で、何度も何度も蝶々の羽を、食い千切る。
唇が、鱗粉でぎらつく。そのうちに、眼に鱗が生えたようになって、
眼球は夜の海に泳いで行ってしまって。

…残るのは、盲目の私と、蝶の死骸。



2004年07月12日(月) 壊されたい

こんなにボロボロになるまで、
胸を掻き乱され、脳をぐちゃぐちゃにかき混ぜられて、

それでも私はこの気持ちを遮る事すら出来ない。

あの人の言葉の全てが、私をぐちゃぐちゃに壊して行く。
ドロドロした人間の醜さ。メルトダウンした胸の期待と欲望が。
後悔。希望。絶望。妄想。事実。

あの人は、その手で私の腹部に腕を突っ込んで、内側からそれを
かき混ぜている。ざらざらとした、人間の汚れた皮膚の内側。

私は、もっと壊されたいと思う。頭を崩壊させられて、そして
この首をあの手で締められ、心が消えてしまえば、きっと気がすむ
ような。もっともっと、翻弄されて、運命の川縁で野垂れ死にする。
…風化して、その指で触れた瞬間から、表皮がボロボロと崩れ落ちる。

そんな自分の心の死を想像して、うっとりと夜に耽る。



2004年07月11日(日) 自己欺瞞

あの人に触れた瞬間から、自制が出来ない。
ただ、ただ、あの人の瞳からこぼれるものが、胸が詰まり、胸に募り。

単なる好奇心と、自分に言うのは簡単だけれど。あの、麻薬のような
味が忘れられずに、未だに私を拘束している。

ナイフが胸に刺さる。愛も恋も欲望も、全てその刃を抜いた瞬間から
溢れ出す。汚れた血と、鮮血と、何もかもを一緒に吐き出しながら。

自らに嘘を付けなくなった時、私は壊れて行くだろう。
関わる人を傷つけ、あの人には迷惑をかけるだろう。

あの人を思うだけで、細いナイフが胸に刺さる。
私は自らの嘘で、ナイフが抜けないように願う。



2004年07月07日(水) エレベーター

少しずつ心が乾燥するから、私は、あなたの記憶に脳を浸す。

この間、とても久しぶりにその顔を見た。

胸がふつふつと沸騰するのを我慢できずに、私はその場にうずくまった。
やっぱり、まだ、何処にも行けない。
…あなたの右手が、私の左の頬に触れてしまったから。
私の唇が、あの人の指に触れてしまったから。

ほんの少しでも、あの人の鋭い虹彩に映されてしまっては、
私は、この心をどこに逃がす事も、捨てることも出来ない。

まるで、高速で落ちるエレベーターに乗った時のように、
足元が覚束なく、気持ちは上に残したままで、躰だけが重力に惹かれて
落ちて行く。その先の死に惹かれて。

土に還って、消える事を望むように。脳が汚染される。

再び闇に落ちて行く。



2004年07月04日(日)

甘く、拡がる。

あの人との現実を噛み締めると、私の知る限り、全ての糖が滲んで、哀しい。

『嘘でも良いから好きだと言って』などと。
…なんてくだらないお遊戯事。

『君がボクをとても好きなのは分るよ。
 それはとてもよく伝わったけれど、君はボクを愛してはないよね?』

私は、肯定する事も、否定する事も出来ず、ただ、その場で硬直した。
私は、あの人には嘘がつけない。…今まで、誰にも言わずに居た秘密も、
あっさりと見破られたし、そしてあの人が出したその答えにも、
首を横に振る事が出来なかった。

嘘は、だらしなく、甘い味。…熱帯の熟しきった果物の香り。

私は、ただ、心に映る自らの『本当のこと』だけを、あの人に知って欲しいと
願ってしまった。ただ、辛いだけの、無味乾燥なその中身を。

願いは叶わない。甘い嘘は、躰に残らずに、どこか別の世界に流れて行って
しまって、そしてもう二度と戻る事もないでしょう。嘘もつけない私は、
このまま、何処へ行けばいいのでしょう。


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