人に対して、優しくしたいといつも思うけれど、
自分自身が満足していない時に人に優しく出来る人は、
一体どれだけいるだろうか。

人に優しく出来るのは、ほんの少しの幸せと優越感が満たされているからだ。

何かに対して、誰かに対して「可愛い」と言えるのも同じで、
いたいけで不憫で、可哀想な非力なものを前にして、そうでない自分を
本当は知っているからそれを言える。

だから、何に対しても「可愛い」と連発する婦女子を私は好まない。
「優しさ」も、きっとそれと似たようなものであるように思う。

それでも、

私は、人から優しい人だと思われたいと思う。それは、私自身が人に対して
何らかの優越を手に入れたいと、本当は願っているからだろう。
誰かから、あの人は満たされていると、思われたい。いや、本当は、人から
「満たされない人」だと思われたくないからかも知れない。

私は、本当の意味で優しい人には、未だに出会った事が、ない。

変だとか面白いとか言われても、ちっとも嬉しくない。
だけど、普通だとか面白くないとか言われるのも好きじゃない。
でも、私は人からどう思われていたいんだろうと考えると分からない。

とりあえず、変だとか面白いとか言われるととても悲しくなる。
そういう言葉をかけられるとき、
自分自身はとても真面目に、普通にしているつもりだからだ。

私は、小さな頃からほとんどのことを強制されずに育ったし、
ほとんどの場合で、兄妹とも、他の人とも比べられずに育った。
そういう教育をしてもらった事を両親と祖父母には感謝しているけど、
他の人から強制を受けずに育つことや他の人と比べられないことは
人と接しながら生きて行く普通の環境の中では不都合が多いみたいだと、
年齢を重ねるごとに痛感している。

多くの人は、他人との協調や融和、同調が大切だと言われていて、
それが出来ない自分は、そういう大勢からみると本当にただの
みそっかすでしかないからだ。そういう自分に劣等感があるから
他人の意見が気になるし、それでも自分に染み付いた教育を間違ってる
なんて絶対に思わないプライドがあるから、悔しい。

明るい街並み
揺れる街路樹と、レンガの石畳

幸せそうな人の群れ

目の前をカップルが通り過ぎる

幸せそうな彼女
退屈そうな彼

賑わう店先で、万物に目を、移り気な彼女を

その横で、唯一、彼女の目から外れた彼と

空っぽでつながれた右手と左手が

まるで動物を誘導する綱のようにぶらぶらと揺れる

昔つきあってた人と別れてすぐ
携帯のメモリーを消すように何もかも一瞬で
全てが一瞬で台無しになった感じ？

何もかもを消し去りたい気持ち。

だけど、あの人が残したものは
消しゴムで消した跡のあの黒い鉛と同じで
私のからだの凹んだ部分に

黒い鉛の粉の跡。

イレイザーで、どんなにこすっても
記憶の底まで、届く事はない。

どこにいてなにしてんの？って聞くのは別にいいけど、

その後の事を考えると、僕はホントにうんざりする。
今どこ？何してるの？誰といるの？どうして居るの？
何時からいるの？何時に帰るの？私の事どう思ってるの？

女の子は独占欲からか、とにかく人を縛りたがる。

麻雀してたらいけないとか、自分以外の女の居るような飲み会には
行っては行けないとか、バイトの仲間と遊んでちゃいけないとか。

でも、僕は知っている。

そういう女の子は、自分が楽しい時は、きっと僕のことなんか
思い出したりしないんだろう。…彼女は、自分がさびしい時に、
僕が誰かと楽しい事が許せないんだろう。

自分が幸せなのはいいけど、「僕だけ」が幸せなのは許されない。

だから僕は、「どこにいてなにしてんの？」って一言を聞いただけで
ほんの少しブルーになる。

とても、よくみる夢がある。

状況はいつも違うけど、人を殺してしまう夢だ。

いつも始まりは、殺人後から。

殺したりしているときの夢は見ないのだけど、いつもいつも、
お話は殺人を隠すところから始まる。

こんな夢を良くみてしまうなんて、僕はひょっとして前世が殺人者
なんではないだろうかな、と思う。

だから、目を覚ました後も、いやに罪悪感やうしろめたさが残る日があって、
そんなときはなんだか不思議と卑屈な気持ちで一日の幕を開ける。

僕は、罪を犯すのが怖いと思う。心に隠し事があることは、つらい事だと
感じる。世の中に、自分以外の人の集団に対して、なにか後ろめたい事と
いうのは、当然なにひとつとして無い方が幸せなのだ。

そんな大事な事が分かっているのに、なぜ夢はこうなんだろう？
朝起きて、いつも、首をかしげる　。嫌な夢だ。