恋の始りは何だろうと考えた。
最初に出会ったときには何も思わないような人でも、 何度か会ううちに興味が湧いたとき?
違うな。
その人に触られたら、どんな感じなんだろうって考えた時だと、私は思う。
まだ触れたこともないその手の感触を想像するとき 私は眼を閉じて胸を濡らす。心が暖かく湿ったもので満たされたとき
その人の目線が一瞬でも、私の何処かに意図的に触れたとき
愛されてると、思ってもらいたいと思う。
私が隣りに居る事で、そう思ってくれたらいいと思う。
側にいて、顔が知らずに綻ぶように。
結んだ絆に気付けるように。愛されるなら。
何故だか物悲しくなったとき、夜中に目が覚めて
少しだけ体をすり寄せたときに、私に気付いてくれると、嬉しい。
私に気付いた掌が、そっと頭に触れてくれたら
ここにいてもいい自分に気付いて、私はまた目を閉じる。
私の何かと、相手の何かが 同じ流れで
今日ニュースで、マンギョンボン号の入港の様子を見た。 同じくTVを見た人には分かるだろうが、とにかく異様な雰囲気が 印象的だった。
新潟港のふ頭には朝鮮反対の日本人が日本語で「帰れ」コールを叫び、 デッキの上からはそれらを全く無視したように、歓迎団が国旗を掲げて 一様に同じフリで、自国の歌をかき鳴らした。
まったく違う本質のものが平行線上にあり、何もかもが 噛みあわない。非常に気持ちの悪い、不快感が胸に湧いた。
ブラウン管の向うに、朝鮮の歓迎団の送迎バスをけりつけた日本人の 姿が映った。…私はそれを見て、胸に違和感を感じた。 そこには「朝鮮人」なら「誰でもいい」という怒りのぶつけ方が見えた。
多くの人が、ある国を批難したとしても、その感情にまかせて 個人がとる行動はあれで良かったのだろうか。
何かが噛みあわない。不協和音だけが耳に残った。
|