天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

フツウ - 2004年04月29日(木)

気温がまた上がった。79°F。
セラピーの帰り、銀行に寄ったら携帯が鳴る。
「すっごいいい天気だよ。きみは外にいる?」。
デイビッドはナターシャ連れ出して外にいた。

ゆうべ、夜中に電話をくれた。あんなメールのこと忘れたみたいに、フツウにおしゃべりした。二日間まるで外に出なかったから、昨日デイビッドはうちの前に椅子を出してお陽さまに当たりながら本を読みなさいってわたしに言ってた。

外にいるよ、って得意げに答える。タンクトップで歩けるほどのいいお天気。銀行の前でディーナにばったり会った。「電話しておいで」ってディーナは言った。なんか見えた? 何が見えた? わたしの顔に。わかんない。まだ電話するかどうかもわかんない。


イタリアン・ベーカリーでパンを買ってうちに帰ったら、お向かいの素敵なおうちのおじさんとおばさんが話しかけてくれた。足をケガしてから、近所の人がずいぶん話しかけてくれるようになった。「いつでも遊びに来てちょうだい。あなたのことシャーミンにいつも言ってるのよ、お宅の一階には可愛らしいお人形がいるって。あなたはほんとにお人形みたい。私はオリエンタルの女の子が大好きなの。うちの息子もオリエンタルの女の子と結婚してくれればよかったのに。なんで笑うの? 私真面目なのよ。I love you, Sweetheart 」。「お人形」だって。おばさんわたしの歳知ったら腰抜かすだろうなと思った。それよりおばさん、「オリエンタル」って差別用語じゃん。いけないじゃん。前の街ではみんな普通にその言葉使ってて、わたしは「エイジャン」って言われるより好きだったけど。


ケガしてから初めて、自分でランドリーに行ってみた。今まで大家さんの奥さんのシャーミンがしてくれてた。でもシャーミンは最近お客さんが多くてとても忙しそうだから、申し訳なくてお願い出来ない。ほんの2ブロック先のランドロマットまで車で遠回りして行く。ランドロマットのおじさんが手伝ってくれた。

それから今日は公園のトラックで歩く練習をした。
今日は6周しか歩けなかった。痛い。まだ痛い。


デイビッドは夕方からベイスボールのゲームがあって、夜電話したら「負けた」って言ってた。シーズン初のゲーム、負けちゃったよ、って。

やっぱりフツウにフツウに今まで通り極フツウにおしゃべりしてくれるから、ほっとしてる。聞いてないふりされてるならちょっとシャクだけど、わたしは忘れたふりしよう。だけど。フツウだけど、ちょっとだけいい方にフツウジャナイような気もしてる。


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I want to marry you - 2004年04月28日(水)

月曜日のフィジカル・セラピー頑張りすぎたせいかもしれない。
そのあと車のインスペクションに行って3時間もじっと座って待ってたせいかもしれない。
月曜日の午後から降り続いてた雨のせいかもしれない。
それの全部のせいかもしれない。

インスペクションから帰って来てから、ずっとずっと足が痛かった。昨日も一日動けないほど痛かった。

今日は少し楽になった。それでも痛くて、外に一歩も出られなかった。

明け方に母に電話したのは、ゆうべオスカーさんと電話で話してるとき「お母さんはどう?」って聞いてくれたから。母はずいぶん元気になってた。「最近少しずつ外に出るようにしてるのよ」って前に電話したとき言ってたけど、それ以来もっと外に出てるみたいで安心した。でも、うちにいるときには写経をして、近くの神社に行ってわたしの足が早くよくなるようにって「拝んで」くれて、ほんの少し通ってみただけで遠ざかってた教会にも気が向いたらまた出掛けてみようかなって、それ滅茶苦茶。全部ごちゃまぜ。メチャクチャだけど、なんか嬉しい。すべてにフェイスを持てる母はすごいなとか思ってしまう。辿り着くとこはみんなおんなじだからね、そう思うから、わたしは嬉しい。

夕方には別れた夫が電話をくれた。日本は明け方で、「もう歳だから、睡眠がそんなに要らないんだよ」って笑う。「うそ。あたしまだいっぱい寝てるよ」ってわたしは真剣に答える。元気そうだった。先週話したときには体調悪くて鬱いでたのに。実際にはここ数カ月悪くなる一方らしくて、それなのに声も話し方も元気だった。わたしに「どうすればいい?」って聞くからお薬と食事と運動のアドバイスをしたけど、「わかった。やってみる」って言う声が明るかったからそれだけで大丈夫だと思った。


デイビッドは新しい仕事のパートナーのことをメールに書いて来た。ちょっと前に話してくれてたプロのダンサーのカレン・D 。クライアントのスポンサーで、デイビッドがウェブサイトを送ってくれた、あのダンサーだった。

「わあ、すごいラッキーじゃん。カレン・D と一緒に仕事するなんて。美人だしスタイル抜群だし、あたし彼女のダンスの写真見たとき完璧な体って思った。モデルなんかよりずっと奇麗な体って。頭切れるみたいだし、ジューイッシュにも違いないよ。結婚したくない?」。

ふざけてそう返事したら、「彼女はジューイッシュじゃないと思うよ。あの写真も何年か前のだよ。それにね、仕事のデキるパートナーを見つけたときはビジネスの枠を外さないのが賢明なんだよ」ってマジメに書いてきた。

「じゃあ彼女と結婚しないであたしと結婚して」。ふざけてるふり。ちょっとドキドキする。

「知らなかった。きみ、ダンナ探してるの?」

「ダンナ探してるんじゃないの。あたし、あなたと結婚したいの」。

書いた。10秒くらい待って、もっとドキドキしながら「send」をクリックした。行った。言った。言ってしまった。神さま!

来た。返事。

「はあ?」だって。


ベッドにからだを投げ出して、outkast を聴く。「Everybody needs somebody to love before it's too late, it's too late...」。思いっきりダーティな歌のそこが切ない。ダーティな歌はダーティだから切ない。ジャズ・セションだったりアコースティック・ギターだったりジャズ・ピアノだったり、なのに歌詞はダーティで、この CD いい。長い長い CD を最後まで聴いてからチェックしたら、「はあ?」の直後に「そうだな。まずカレン・D に許可を得なきゃ」ってメールが届いてた。はぐらかされて、ほっとしたようながっかりしたような、でもドキドキは消えた。

「もう許可得た? 待ってるんだけど」。

返事は来ない。

まあいいかな。あんまり後悔してない。
まあ、いいか。な。




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光 - 2004年04月24日(土)

「僕は仕事でいっぱいだから話も出来ないけど、きみ平気だろ? テレビ観たり本読んだり CD 聴いたり、好きなことしてればいいからさ」。
デイビッドはそう言ってた。うん、平気平気。一緒のとこにいられるだけでいいんだ。わかってくれてるじゃん、デイビッド。そう思って嬉しかった。

着いたらわたしはアパートのドアの前に荷物を置いて、ひとりで公園に行って歩く練習して、それからブロードウェイのマーケットにいたら携帯が鳴った。荷物をドアの前に見つけて、わたしを探しに外に出たらしい。「一体どこにいるの?」「買い物してる。なんか作ろうと思って。何食べたい?」「作らなくていいよ。オーダーするか食べに行こうよ。帰っておいでよ」。よかった。何作ろうか決められずに長いことマーケットにいたから。

いちごを2パックとミルク買って戻ったら、キッチンにおんなじパックのいちごが置いてあった。仕事場を覗いてじゃまにならないように「ハイ」って手を振ってから、キッチンでシンクの食器洗ってたらデイビッドがやって来た。3パックになったいちご見てデイビッドは笑った。一ヶ月以上遅れであげたバースデー・プレゼントをデイビッドは気に入ってくれた。


デイビッドが仕事してるあいだ、わたしはデイビッドのカバラの本を読んでた。生きることについて。幸せについて。カバラはわたしが教会で教わることととても似ていた。人が求めるあらゆるものを突き詰めて行けば、それはただひとつ、光であるということ。「この本に書いてあることを『信じる』のではなく、ここに書いてあることから自分を見つけなさい」。それも、バイブルは信じるものではなく、生きるためのガイド書であることとおんなじだ。ジーザスは幸せを与えてくれるのではなく、光に導いてくれる。そういうこと。ジーザスの言葉のなかにはたくさん「光」が出て来る。

「Whoever follows me will never walk in darkness, but will have the light of life.」
「You are going to have the light just a little while longer. Walk while you have the light, before darkness overtakes you.」
「The man who walks in the dark does not know where he is going. Put your trust in the light while you have it.」。

わたしはバイブルのジーザスの言葉を噛み締めながらカバラを夢中で読んだ。ほら、真実はひとつ。ジューダイズムにもクリスティアニティにも、多分ほかのどんなところにも、真実はひとつなんだ。


松葉づえ一本で、ナターシャと3人15、6ブロック先のカフェまで歩いてごはんを食べに行った。デイビッドが一緒だとなんでも出来そうな気がしてなんでもやりたくなる。そのせいか、金曜日はくたびれてくたびれて、カウチに転がってカバラを読みながらうとうとお昼寝ばっかしてた。

弟からかかって来た電話で、デイビッドはわたしのこと「カバラ読んで昼寝してお茶飲んで昼寝して CD 聴いて昼寝してる」って笑って、それ聞きながらわたしも大笑いした。


今日は弟のダニエルとダウンタウンの楽器屋さんで待ち合わせした。わたしが欲しいキーボードを見てもらいに。ダニエルはとても落ち着いた物腰の柔らかい優しい人で、どっちが弟だか疑うくらいだった。ダニエルのガールフレンドはいいなあって思った。

なかなか楽器屋さんを離れたがらないデイビッドをダニエルとふたりでせかして、デイビッドの運転で3時からのベイスボールの練習に向かう。土曜日の午後のダウンタウンは、ヴィレッジに行く方もミッドタウンに行く方も渋滞で、わざとスウェアするデイビッドにわたしは笑い転げた。練習にはとっくに遅れてて、なのに、イライラしてるダニエルに「いい朝食食べた? 僕たちはパンケーキ食べたよ」ってわたしが焼いたパンケーキを自慢げな顔で話したりして、やっぱりデイビッドはいいなあ、デイビッドがいい、って思った。

野球のグラウンドに着いて、ダニエルは「練習見て行きなよ」ってわたしに言って先に降りた。デイビッドとわたしは車を停めるスポットを探したけど見つかんなくて、わたしは練習を見るのを諦めた。運転席に移ったわたしに窓の外からデイビッドはバイのキスをくれて、わたしはジャックんちの BBQ パーティに向かう。

お天気がよくて、光が眩しかった。とてもとてもとても。


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信じられない - 2004年04月21日(水)

マジェッドから電話があった。
先週の日曜日に住所を聞こうと思って電話して、メッセージ残してたから。今度の土曜日にジャックんちでする BBQ パーティに誘おうとも思ってたからちょうどよかった。

BBQ は行けたら行くよ、って、また曖昧な返事だった。デイビッドは来られないって言ってたし、マジェッドは来てくれたらいいのになって思った。それから、住所を聞いた。

「なんでうちの住所知りたいの? なんか送ってくれるの?」
「あなたにじゃないよ」
「ここには僕以外もう誰もいないだろ?」
「え? カダーに送りたいものがあるの」
「カダー? カダーはもう夕べ出てったよ。知らないの?」
「・・・。何? 出てったって」
「昨日出発したんだよ」
「・・・。どこに?」
「・・・。きみ、ほんとに知らないの? なんで知らないの? カダーは言わなかったの? きみに」。

信じられない。カダー、帰っちゃった。自分の国に。
3週間前にカダーの国から両親がやって来て、帰って来いって言う両親をカダーは説き伏せようとしたけどダメで、カダーが両親と一緒に帰ることに決めたのはほんの一週間ほど前だってマジェッドは言った。月曜日に電話で話したとき、カダーは何も言ってくれなかった。それどころか「また電話するよ」ってカダーは言って、わたしは何の疑いもなく信じてた。

帰っちゃった。わたしに何も言わずに。帰っちゃった。あの国に。帰っちゃった。突然。帰っちゃった。政治的なことはよくわからないけど、帰れないはずだったあの国に、帰っちゃった。

わたしに言えなかったのは当然だと思う。貸してたお金、「2日前にチェックを送ったよ」って月曜日に言ってたけどまだ届かない。届かないのも当然だ。カダーは送ってない。カダーはうそついた。返してくれなかった。500ドルってわたしには大金なのに。チェックを送ってくれたことも、わたしは何も疑うことなく信じてた。

みんながみんな、カダーのことをヒドイ悪党呼ばわりした。デイビッドは驚かないって言った。ジャックはカダーのことをもう友だちだなんて少しでも思うなって言った。誰もみんな初めからカダーがお金を返してくれるとは思ってなくて、わたしだけが最後まで信じてた。「心配するなよ、ちゃんと返すから」ってカダーは言い続けてたから。ロジャーだけが「いつかきみに電話して来て、お金を送ってくれるよ」って言ってくれて、それだけがちょっと救いになった。

お金のことだけを言えば、わたしはもうかまわない。バカかもしれないけど、わたしは少なくともカダーを助けてあげられたと今でも思ってる。それに、自分の国に帰ってしまったカダーがこの先返してくれるとは思わない。でもかまわない。わたしはバカかもしれないけど、何も間違ったことも悪いこともしなかった。

だけど、返せないなら返せないでちゃんと説明してくれればよかったのに。帰っちゃうなら帰っちゃうで、せめてグッバイを言ってくれればよかったのに。

カダーはマジェッドに、置いてった小さな冷蔵庫とテレビを、「もしもあいつが欲しいならばあいつにあげてくれ」って言ったらしい。笑っちゃうよ。冷蔵庫とテレビだなんて。

カダーはわたしを騙した? 裏切った? ただ利用した?
誰もがそう当然のように言うけど、わたしはカダーが今頃自分の国でわたしにヒドイことしたと心を少しでも痛めてくれてると、そう思ってる。

カダーがこの国にもういないなんて、もう会うこともないなんて、悲しいとか淋しいとかより、まるで死んじゃった人を死んじゃったことが信じられないように想うみたいな、そんな気持ちがしてる。

ほんとに、なんでみんないなくなっちゃうんだろ。わたしの大好きだった人たちは。

いつも話してくれたその美しい国ではとんでもないことが起こり続けてて、とても幸せな国とは言えない。わたしはただ、カダーに安全でいて欲しい、幸せでいて欲しい、って、やっぱりバカみたいにそう願ってる。

信じられないよ、カダー。


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ネガティブ・エナジー - 2004年04月20日(火)

昨日の振り替えで今日フィジカル・セラピーに行く。
終わってからあんまりおなかがすいて、近くに見つけたキューバン・レストランに入ってみた。かわいいお店だった。テーブルのグラスの下に挟んだキューバの地図を見てびっくりした。マイアミってこんなにキューバに近かったんだ、って。

デイビッドは仕事が忙しくなくなったらまたマイアミに行くかもしれない。わたしも行きたいな。


今日もお天気がよかった。
昨日ほど気温は高くなかったけど、とてもあったかかった。帰ってから公園に行こうと思った。

公園に出掛ける前になんとなくディーナに電話してみた。いなかったからキーボード弾いてたら、かかって来た。「どうしたの?」「ん。なんとなく、かけたくなっただけ」「またネガティブ・エナジー吸い寄せてる」。バレてる。ネガティブなエナジーを取り除いてあげるから、会いに来なさいって言われた。考えてまた電話するって答えた。ディーナは、変わらずにわたしの人生はいい方向に向かって何もかも上手く行こうとしてるのに、わたしのネガティブ・エナジーがいいことが訪れるのを遅らせてるって言った。何もかも上手く行こうとしてる。それが聞きたかった。だからそれでいいと思った。多分会いに行かないと思う。


公園には競技用のトラックがあって、その一番外側のレーンをフェンス沿いに歩いてみた。松葉杖なしに。走ってる人にはもちろん、歩いてる人にも追い越されながら、ゆっくりゆっくり歩いた。ときどき立ち止まってフェンスに掴まる。フィジカル・セラピーのトレッドミルで、今は手を離して20分歩く。うちの中では松葉杖なしで歩くようにしてる。だから出来るはずだ、って自分に言い聞かせて頑張った。ものすごく頑張った。1時間歩いた。トラックを7周歩いた。それから足が痛くならないように、フェンスに掴まって膝の後ろと太腿とふくらはぎのストレッチをたくさんやった。

松葉つきながらうちまで帰って来たら、お隣の男の子たちが「ハイ」って声かけてくれた。いつも声かけてくれるけど、今日は初めて「足、どうしたの?」って聞いてくれた。それで少しおしゃべりした。お兄ちゃんはおっきくてまるまる太ってて、弟はチビで痩せっぽちで眼鏡をかけてて、とても兄弟に見えない。うちのチビたちみたいで可笑しい。

痛み止めをすぐに飲んだ。痛くならないうちに。それからメールでデイビッドに報告する。「トラック7周歩いたよ」って。


ずいぶん後になって返事が来た。すっごく喜んでくれた。すっごく褒めてくれた。それから今日は電話しないで、メールで話す。


「もう少し仕事してから寝て、明日は7時に起きようと思ってる。『早寝早起きは健康と富と賢明をもたらす』に従った新しい生活にトライするべく。もう既に『早寝』の時間じゃないけどね。そういう生活をすれば、今みたいにネガティブになったり落ち込んだりすることがなくなるような気がするんだ。じゃあおやすみ」。


いつもポジティブなはずなのに、このところデイビッドはこの街が嫌いでしかたない。それがわたしを悲しくさせる。どこか遠くに行ってしまいそうで。実際、デイビッドはそれを実現させようとしてる。ここにアパートを残しながら。でも、そうじゃなくてほんとにもうわたしから離れて行っちゃう気がして淋しい。それが淋しい。

ずっとお祈りしてた。神さま、デイビッドをどこにもやらないで。神さま、デイビッドの気持ちを変えて。神さま、わたしずっとデイビッドと一緒にいたい。


だからこの最後のメールが嬉しかった。
この街を嫌いにならないで欲しいよ。ずっとここにいて欲しいよ。
行かないで欲しいよ。離れてっちゃわないで欲しいよ。
叶えばいい。叶って欲しい。
何もかも上手く行ってることを、もうずっと信じていたいよ。


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確かな愛たち - 2004年04月19日(月)

真夏みたいな気温だった。最高気温87°F。30℃だ。
わたしは足が痛くて、一歩も外に出られなかった。
先週から週に2日になったフィジカル・セラピーもお休みして、明日に変えてもらった。

足がこんなに痛いのは、昨日のピクニックのせいだ。
そんなに歩いたはずないのに、それでも一日あんなふうに外にいたのは初めてだったから。

せっかくの真夏日、逃しちゃった。

膝はほんとにちゃんと順調に回復してるんだか、一週間くらい前からクリックする。
それに少し歩いただけで眠れないほど痛くなったりする。
デイビッドは心配してわたしにいろいろ質問して、わたしが答えたことを全部紙に書いてドクターに聞くべきことも全部書き出して水曜日の診察に持ってくように言った。

でもわたしほとんど忘れちゃったよ、答えたことも聞くべきことも。

木曜日に会いに行くことになった。嬉しい。


17日にお金を返してくれるって言ってたカダーからは何の連絡もないままで、今日こっちから電話した。わざと仕事中にかけた。カダーは2日前にチェックをわたし宛に送ったって言った。ほんとかどうかわかんない。でも信じて待つしかない。


夜中の3時半に電話が鳴る。
天使だった。このあいだからすれ違いばっかで長いこと声聞いてなかった。
「ピアノ弾いたんだよ」って、教会の発表会のこと話した。
「何弾いたの?」
「ショパンのノクターン」
「どういうやつ? 歌ってよ」
「タリーラリララ〜、タリータリラリラリーラターララ〜♪」
「あ、知ってる。わかるわかる。いいなあ」
「いいって何が?」
「そういうの弾けて」
「何言ってんの。あなたプロじゃん」
「僕はそういうの弾けないもん」。

それからあの人は、今度電話で弾いて聴かせてよって言った。

なつかしいな。いつもあの人の新曲、わたしがそうやって聴かせてもらってた。
いつからか全然時間が合わなくなって、聴かせてもらえなくなっちゃった。

でも平気になった。
デイビッドがいるからじゃなくて、そうじゃなくて、天使はジーザスみたいにわたしのこころからもうどこにも行かないのがわかったから。

あの娘と天使とジーザス。
決してどこにも行かずにいつもちゃんとそこにいてくれる、確かな確かなわたしの愛たち。

そしてデイビッドはやっぱり少しだけ天使に似てると思う。


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いつものジョークだから - 2004年04月18日(日)

教会が終わるころに、携帯が鳴った。取れなかった。終わってから見たら、デイビッドからメッセージが入ってた。今日はもしかしたら会えるかもしれなかった。昨日電話でそう言ってた。

かけ直したけど、うちにもいなかったし携帯にも出なかった。
教会が終わってからみんなで公園にピクニック行くことになってて、みんなに誘われるまま行く。公園からもいちど電話したけど、デイビッドはやっぱり出なかった。

公園の近くのデリでサンドイッチとお水を買ってピクニックしながらおしゃべりしたあと、わたしはキャッチボールもソフトボールも出来ないから、ただ観てた。でもおもしろかった。みんなが遊ぶの観ながらブランケットに寝転んで足のエクササイズしてた。あったかかった気温はだんだん下がってって、ブランケットを体にかけた。最後にはみんなでひとつのブランケットにくるまってサンディが弾くギターで歌いまくって、楽しかった。だけど寒くて膝が固まる。

クラリスとベッキーとクラリスの友だちのジェニファーを乗っけて、それぞれうちに送ってってから帰る。

帰ってからデイビッドに電話したら、今度は携帯に繋がった。
どこにナターシャを連れてっても、ポリスや緑の服来た市の公園課の人が犬を連れた人を警戒してて、街を歩く人たちはマナーが悪くて、なんかすごく落ち込んだってデイビッドは言った。「うちのアパートに裏庭があってよかったよ。人混みを避けてナターシャをそこで遊ばせてた。僕はもうこの街が嫌いだ」。

これからビレッジのスタジオに仕事に行くって言った。「きみと話して気分がよくなったよ」って。

会えなかった。教会で電話を取れてたら、会えたかもしれない。
だけど会えないまま、公園のピクニックに行けたのはよかったのかもしれないとも思った。


ずっとそうだった。
木曜日だけが会う日で、ほかの日はわたしもいつも忙しかった。
いつからか木曜日を会う日って決めるのをやめて少しだけ会う日が増えたけど、それからほんの少ししてわたしは骨折して仕事にもダンスにも行けなくなって・・・。毎日がただ淋しいからいけないだけなのかもしれない。こんなに会いたいなんて。

わたしの生活だけが変わって、ほかの誰も何も変わらずにみんな忙しい毎日を送ってる。
そしてデイビッドは前よりうんと忙しくなって、それでもわたしがあのまま毎日仕事とダンスに忙しければ、もう少し平気だったに違いない。

それでも思う。
夜にはおんなじ場所に帰って一緒にごはんを食べて一緒に眠りたい。


デイビッドの弟が、デイビッドんちから20ブロックほど離れたところに借りてるアパートを引き払って、ビレッジのガールフレンドと一緒に住みたいらしい。デイビッドはアパートはキープしてなよって言ったって。2ベッドルームなのに家賃が法外に安いから。

「だったらわたしがそのアパートに引っ越してダニエルに家賃払うよ」って言ったら「じゃあ僕はベッドルームひとつ借りるよ。ここをオフィスだけに使って、そこに寝に行く」ってデイビッドは言った。

ほんとにそうなったらいいのに。でもいつものジョークなんだ、デイビッドは。
ほんとにそうなったら、毎日おんなじおうちに帰れるのに。
だけどいつものジョークだから・・・。


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発表会 - 2004年04月17日(土)

出て来た。
教会の、なんての? パフォーマンス大会みたいの。
ひとり3分以内で、なんでもいいんだ、アーティスティックな才能を披露してください、ってやつ。「ねえ、あたしピアノ弾こうかなあ」って先週ジェニーに相談したら、「弾きなよ、アンタそのために足ケガして毎日うちでピアノ弾いてんじゃん。アンタのための会だよ」って乗せられて、デイビッドにもやりなよって言われて、申し込んだ。なのに「あたし出るよ」ってジェニーに言ったら「うそ。緊張する〜」って言われた。

教会に着いてから、デイビッドに電話した。「嬉しいよ、きみが発表会に出てくれて」ってデイビッドは言った。「 Wish me good luck」ってお願いしたら、大きな声で「Good luck!」って言ってくれた。

すっごい緊張した。ダンはリストの「愛の夢第3番」をとっても奇麗に弾いて、わたしはますます緊張した。「もう帰りたいよぉ」って、隣に座ってたアンナに泣きつく。わたしの順番が来て名まえを呼ばれて、松葉杖ついてステージに出てく。昨日電話で主催者のダンとたくさん話して、ダンはわたしのこと「びっこのピアニスト」って言いながらとっても素敵に紹介してくれた。それでもっと緊張した。

教会のキーボードはオスカーさんが貸してくれてるキーボードと違ってちゃんとピアノみたいな深いキーで、アンプに繋げたキーボードはすっごい大きな音が出た。最初の一音弾いてびっくりして止まっちゃった。それから何章節か弾いたとこで詰まっちゃって、「ごめんなさい、もっかい初めから弾きます」って言って笑われた。

いっぱい間違えた。止まらずに誤魔化したけど間違うたびに緊張して、そのうち段々落ち着いてきた。でもうんと最後の方のクライマックスのとこで、思いっきり和音外した。「あー」って言いながら止まっちゃった。誰かがわたしの名まえを大声で呼んでくれた。それで気を取り直して少しだけ戻って弾く。最後はちゃんと奇麗に弾けた。最後の和音を終えて手を膝の上に置いたら、すっごい拍手と歓声もらっちゃった。

びっくりした。間違えてばっかで恥ずかしかったのに。

カードもたくさんもらった。ちっちゃなカードがテーブルの上に置いてあって、出演した人にコメントを書いて出演者の封筒に入れるってやつ。素敵な言葉、たくさんもらっちゃった。帰るときにもありがとうをたくさんもらった。「とても美しかったよ、神さまの恵みだ」「きみのピアノは僕をスピリチュアルにしてくれたよ」「あなたが弾いてるあいだ、私は別の世界に飛んで行ってたみたい」って。「きみは本当に神さまに愛されてる」って言われたのが一番嬉しかった。

あんなに緊張してあんなにたくさん間違えたのに。ほんとに驚いた。
帰ってデイビッドに電話する。「終わったらどうだったか電話しておいで」って言ってたから。「だから言っただろ? きみのピアノは人のこころを動かすんだって。きみはほんとに素敵に弾くんだよ。もしヘタクソだったら僕は隠さずにヘタクソだって言うよ」。

もしもそれがほんとうなら、神さまのおかげだと思う。
神さまはわたしを愛してくれてる。わたしはジーザスに愛されてる。

嬉しくて嬉しくて、もらったカードを一枚ずつ何度も何度も読んでる。


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なんでこんなに - 2004年04月14日(水)

毎日忙しいデイビッド。
忙しくなくなったら、またカリフォルニアかフロリダに休暇に行くって言う。

今日は電話がなかなかかかって来なくて、「元気?」ってメール送ったらかかって来た。「信じられる? まだ仕事やってる」って、夜中の12時だった。それから「今すぐ終わらせたいことがあるから、それ終わったらまたかけるよ」ってデイビッドは言った。

2時になっても電話がない。

「忙しい忙しい忙しいデイビッド、
 忙しいから今は会いたくなくて、忙しくなくなったら休暇に行くから会えないじゃ ん。
 あたしにあなたのこと忘れて欲しいみたい。それかあなたがあたしのこと忘れたいみたい。違う?
 ほら今だって、『電話する』って言ったの忘れてる。あたしまだ待ってるのにな」。

やだやだ、こんなこと書くなんてヤなやつだ、って思いながらメールを送ったら、きっちり無視されちゃった。うとうとしかけた3時頃にかかって来た。たくさん話してくれた。たくさん話してくれて、相変わらず足のこと聞いてくれて、誰にも出来ないやり方で励ましてくれて、たくさん光をくれて、たくさん強さをくれて、わたしはキラキラ笑みがこぼれる天使になった気分になる。ほんとに不思議な力を持った人だと思う。ほんとに。ほんとに、一緒にいるときも電話で話してるときも、わたしはこんなに自分がいっぱいになれるのに。

なんでだろ。
なんでそれだけじゃダメなんだろ。
なんでもっと平気でいられないんだろ。
なんでいつもいっぱいでいられないんだろ。
なんで自分ひとりでいっぱいに出来ないんだろ。

なんでわたしのこころはこんなにデイビッドを頼るんだろ。



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雨の音 - 2004年04月13日(火)

ゆうべは朝までバイブルを読んでた。
お昼まえになって眠って、夕方ジェニーの電話で起きた。
仕事からの帰りの車を運転してたジェニーが
「雨だからすごい渋滞で全然動かないよ」って言った。
雨の音が聞こえた。

そう言えばゆうべ電話をくれたとき、デイビッドが「すごい雨だよ」って言ってた。
「雨降ってるの?」「降ってるよ。雨の音聞いてごらんよ」。
耳を澄ませてみたけど、聞こえなかった。
いつのまにここに降り出したんだろ。

足が痛い。雨が降ると足が痛い。
また起きられずに、ずっとベッドで過ごす。

いつになったら痛くなくなるんだろ。
このさきずっと、雨が降るたびこんなに痛むんだろか。

心細くなる。
怖くなる。
雨の音が憎らしくなる。
ここの雨はやっぱり嫌いだと思ってしまう。





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ハッピー・イースター - 2004年04月12日(月)

イースターはわたしにとってとても特別な日になった。
去年はまだその意味をからだごとは理解出来なかった。それ以前は、イースターは、ただ春の訪れをお祝いするパステルカラーのうきうきするホリデーだった。

昨日のイースターのサービスはジーザスの存在の意味をわたしにもう一度噛み締めさせてくれた。クリスティアニティは、教会に通うことでもバイブル・スタディを受けることでもなく、たったひとつ、神さまが愛してくれてることだってパスターが言った。わたしはリザレクションに感謝する。釘を打ち抜かれて穴のあいた手の平にキスをして、抱き締めたい。

教会で今年もお花を売ってた。いつまでもクワイアと一緒に歌を唱ってから下に降りたから、もう二鉢のお花しか残ってなかった。欲しかったイースター・リリーだった。ふたつとも買おうとしたら、ひと家族につき一鉢だって言われた。だから大きい方のを買った。もうひとつはデイビッドにあげたかったけど、いつ会えるかわかんないからまあいいやと思った。大きいイースター・リリーの鉢植えは、大家さんちに。去年は紫陽花を買ったっけ。

クラリスが鉢植えのリリーを車まで運んでくれた。「今日予定あるの?」ってクラリスが聞く。なかった。去年は大家さんちがイースター・ディナーに招待してくれたけど、今年は娘のニコールが赤ちゃんと友だち連れて帰って来てるから招んでくれないだろうなって思ってた。「イースターひとりで過ごしたくないよ、みんな家族とディナーなのに」って言ったら、「一緒にごはん食べるくらいなら出来るかもしれないけど」ってデイビッドは言った。「それでいいよ。泊らないよ。ごはん食べたらすぐ帰る」「じゃあ電話してみて」。でもきっとダメって言うんだろうなって思ってた。金曜日に無理矢理みたいに会いに行って、デイビッドの仕事の時間潰しちゃったから。

クラリスがボスのおうちのイースター・ディナーに誘ってくれた。クラリスのボスもおんなじ教会に行ってて、「とってもいい人なんだ」っていつも話してくれてた。名前を聞いて、知ってるパムかもしれないと思ったら、やっぱりあのパムだった。ずっとずっと前、まだ教会に行き始めたころ、アンナんちのパーティでお話したことがある。日本から持って来たキング・ジェイムス・バージョンの難しいバイブルしか持ってなくて、パムは素敵なカードと一緒にコンテンポラリーのバイブルをくれた。「聞きたいことがあったらいつでも電話してね」て電話番号もくれたのに、失くしてしまってそのままになってた。おまけにもらったバイブルまで、教会に置き忘れて失くしてしまった。

デイビッドに電話せずに、行くことに決めた。パムは覚えていてくれた。わたしがクラリスに便乗して勝手に訪ねてったことを、喜んでくれた。クラリスの同僚の女の子たちはいい子たちで、パムのだんなさんは優しい人で、ぼうやたちは素直な可愛い子たちだった。ディナーはとてもおいしかった。

DVD で観た「the pianist」がよかった。観たいと思ってて観なくて、そのまま忘れてた映画だった。その頃観てたらこんなふうには痛まなかったと思う。今観てよかった。


夜中の1時半頃うちに帰ったら、うちの電話にデイビッドからメッセージが入ってた。
「素敵なイースターになったよ」って、教会のサービスのこととクラリスのボスのおうちで過ごしたことを書いてメールを送る。


今日電話をくれた。
わたしの過ごした素敵なイースターを喜んでくれた。そういうとき、デイビッドは不思議なくらい喜んでくれる。不思議なくらいわたしの気持ちは伝わる。「the pianist」をデイビッドは観てなくて、内容を話してあげたら、クリスチャンのパーティでジューイッシュの映画を観るなんてってデイビッドは笑った。そういうとこは悲しくなる。デイビッドはわかってない。誰もクリスチャンだからといってジューズを疎外したりしない。少なくともわたしの周りでは誰も。

ジーザスはジューとして生まれてジューとして十字架にかけられた。それがなければリザレクションはあり得なかった。すべて神さまの決めたこと。たったひとつの神さまが決めたことなのに。ジューズがジーザスを殺したんじゃない。そう思うことが争いの始まりだったのに、なぜそこに戻ろうとするんだろう。それが決してジーザスの教えじゃないことを、ちゃんと知って欲しい。


「ハッピー・イースター」って、切るまえにデイビッドは言った。
嬉しかった。デイビッドから聞けると思ってなかったし、言えないと思ってた。ものすごく嬉しかった。「もう終わったか」って笑ってたけど、あの街じゃね、イースター・マンデーっていってもう一日お祝いするんだよ。すごくすごく嬉しくて、わたしも返す。「ハッピー・イースター」。


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the lady on crutches - 2004年04月10日(土)

更新が遅れて一週間あいだがあいたフィジカル・セラピーに、やっと昨日からまた行けるようになった。膝は三角座りが出来るくらいに曲がるようになった。まだまっすぐ伸びないけど、スカーティシューがほぐれてきたみたいで、膝っ小僧がうずくまるほどに腫れてたのが少しひいて膝の頭がにょっきりと突き出てきた。

夜、グッド・フライデーのサービスに行く。ヒーリングのプレイヤーもしてもらった。

寒かった。「すごくいい天気だから外に出てごらん」ってデイビッドがお昼前に電話をくれたときには、ポカポカあったかかったのに。車に乗ってヒーターを入れて、デイビッドに電話する。

会えるって言ったくせに、「日曜日にしよう」て言う。先週もそう言って日曜日会ってくれなかったじゃん。もうあたしに会いたくないんだ。仕事が忙しいのもウソなんだ。ほかの人とは出掛けるくせにあたしとは会ってくれないんだ。「ほかの人」ってのは弟とか久しぶりにNYを訪ねて来た昔の友だちとかのことだったのに、そう言ったらデイビッドは「きみだけだよ。僕はほかの誰とも出掛けたりしないよ。きみが来てくれても僕が仕事してるのも見てるだろ?」って必死で言ってた。違うのに。ほかの女の子と出掛けてるなんて思ってないのに。ただ会えないのが淋しいだけなのに。

「日曜日は夕方からあけるから、ごはん一緒に食べようよ」
「日曜日はあたしわかんない」
「そういうこと言う。怒ってるんだろ? じゃあ今からおいでよ」。

まだ拗ねて黙ってたら、「決めてからもいちど電話しといで」って切られちゃった。

1時間くらい車の中で座ってた。なに子どもみたいに拗ねてんだろ。だけど会いたいんだもん。なんにも特別なことしなくったっていい。映画も観に行かなくったっていい。仕事してくれてたっていい。一緒にいたいんだ。一緒の場所にいて、別々のことしてたっていいんだ。おんなじ場所にいたいんだ。朝まで一緒に眠りたいんだ。用意してきた着替え、今からうちに持って帰りたくないよ。

「行ってもいい?」って電話した。「ヤー。Come on over! 」「ねえ、何もしなくていいんだよ、あたしのために」。Come on over, come on over, baby~♪ 頭ん中、ぐるぐる歌が回ってた。


ナターシャと3人で夜の街お散歩した。カフェでコーヒー飲んでベリータルトも食べた。桜が咲いてた。木蓮が奇麗だった。松葉杖つきながらたくさん歩いた。かなり速く歩けるようになったけどまだまだ普通になんか歩けなくて、早足のデイビッドはグローサリーのお店に寄ったり、店先の新聞を読んだり、もうとっくに閉まってる GAP のショーケース見ながらふたりでコレがかわいいとかコレはかわいくないとか言い合ったり、そんなふうにわたしに合わせてくれた。

朝、デイビッドは先に起きて仕事を始めてた。
わたしは痛み止めを持ってくの忘れたせいで足が痛くてよく眠れなくて、お昼前まで寝てた。ベッドメイクしてシャワーを浴びて、デイビッドが煎れてくれたチャイを飲んでデイビッドの真似してマッツォとクリームチーズのサンドイッチを作って一緒に食べて、デイビッドの仕事の邪魔にならないようにバイブルを読んでた。

3時からベースボールの練習に行くデイビッドを車で送ってって、わたしは帰った。


それだけ。それだけだけど、そうやって一緒に過ごすのが好きなんだ。「きみと一緒に過ごす時間が大好きだよ」って言ってくれたデイビッドは今でもちゃんとそう思ってくれてるだろか。なんにも特別なことしなくてもただおなじ場所で一緒にいたいってわたしの気持ち、デイビッドは知ってくれてるだろか。歩けないわたしをいいかげん足手まといに思ってないだろか。


うちの近くまで帰って、いつものターキッシュのお店で髪を切った。それからショッピングに行った。ずっと買い物なんかしてなかった。出来なかった。春のパンツを2枚買った。前に住んでた街の友だちがバースデーに贈ってくれたギフトカード使って。それからまだあげてなかったデイビッドへのバースデー・プレゼントも買った。

松葉杖で人混みの中を歩くのは大変だった。あんまりくたびれて冷や汗が出て来るほどだった。お店の人はとても優しかった。サイズを探してもらってるあいだにほかのパンツを試着してたら、「あの松葉杖のお客さんはどこ?」ってフィティング・ルームの係のおねえさんに聞いてる声が聞こえた。それからドアの上にわたしのサイズのパンツを引っ掛けて、「ゆっくり試着してね」って言ってくれた。

どこに行っても優しくしてもらえるのはとても嬉しいけど、

早く歩けるようになりたいよ。






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夢物語を聞かせて欲しい - 2004年04月09日(金)

水曜日に帰ってくるはずが電話もなく、メールもなく、
昨日も夜中の12時頃まで待ってたけど電話もなく、メールもなく、
だからわたしはこういう時心配して心配して空想の中でデイビッドを事故に遭わせて、無意味にコンピューターのゲームしながら頭の中はついにデイビッドを死なせてもう2度と会えなくしてしまって、マウス動かす手がぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶる震えてたっていうのに。

そんなことない、ちゃんと生きてる、だけどパスオーバーのディナーにお母さんかお義姉さんが遠い親戚かなんかのジューイッシュの女の子を招待してデイビッドに会わせて、いきなりふたりは恋に落ちてしまってデイビッドはもう帰って来ないのかもしれない、とか、空想はどこまでも悪い方に悪い方に発展してって止まらなかったのに。

「どこにいるの? まだマサチューセッツにいるの? 心配だよ。電話ください」
ってとうとうメール送ったら2時間後に返事が来た。

「帰ってるよ。数時間前からコンピューターをステレオに繋げる作業してた。上手い具合に稼働してるよ。心配しないでください」。

帰って来たら電話してくれるって言ってたくせに。


なんでいつもわたしはこうなんだろ。
誰かさんの「彼がいなくなったらどうしよう心配病」とおんなじ。
ほんとに悪いクセだよ、お互いに。
だけど全然違うとこはね、彼女の心配なんかなーんにも根拠がないってとこ。
まるで根拠ないじゃん。まるでなし。ゼロ。
だから言ってるじゃん。わたしはちっとも心配してない。彼女から彼がいなくなっちゃうなんて。


デイビッドが愛してくれてる証をちゃんとくれたなら、わたしは心配しない。突然わたしだけからいなくなっちゃうバカな空想もしない。事故とか病気の空想で勝手に死なせて泣くことはあっても。

言葉? 「愛してる」とかそういうんじゃなくて、約束もいらないから、ずっと一緒にいられる夢物語を聞かせて欲しい。いつかそれが嘘になってもかまわないのに。夢物語。それだけでわたしは安心できるのに。


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当たり前に - 2004年04月06日(火)

チビたちが帰って来た。
お兄ちゃんチビは全身麻酔のせいで、まだヨロヨロしてる。ヨロヨロしながら、ときどきポテッと転んだりする。「麻酔のせいで食べたら戻しちゃうかもしれないから、今日は何も食べさないでね」ってアシスタントのスーザンに言われてた。だけど、いつもごはんを食べる場所にポテッと転びながらヨロヨロ歩いてくおなかペコペコの姿がなんか可哀想すぎて、カリカリごはんだけ少し器に入れて置いてやった。

そしたら、ごはんを食べようとするお兄ちゃんチビのところに妹チビが飛んでって、フーッて怒ってお兄ちゃんチビの顔を叩く。なんでなんで? お兄ちゃんがごはん食べちゃいけないこと、なんで知ってるんだろ。びっくりした。お兄ちゃんチビは諦めて、それでもまたヨロヨロごはんのところに歩いてく。するとまた妹チビが飛んでく。何度もそれを繰り返す。

遊びに来てくれてたディディーが妹チビのこと、「なんでケンカふっかけてんの?」ってわたしに聞く。違うんだよ。食べちゃダメって言ってんだよ。「なんであの子にそれがわかるの?」。だってお兄ちゃんチビは麻酔でぼーっとしてて何にもわかってないけど、あの子は麻酔してないでしょ? お兄ちゃんは食べちゃいけないって言われたことちゃんと聞いてたんだよ、お兄ちゃんの代わりに。そう言ってわたしは得意になる。それがホントだとすごいと思うけど、それしかない。


ゆうべは誰もいなくて、ほんとにほんとにひとりっきりで、チビたちのこと心配して眠れなかった。麻酔失敗されて目覚まさなかったらどうしよ、って、動かなくなったお兄ちゃんチビを迎えに行ってるとこ想像したら止まらなくなって、妹チビまでいなくなっちゃうことになって、ヒーヒーヒーヒーひとりで泣いてた。いつもいつもわたしの胸の上で眠る妹チビのちっちゃい体もあったかい毛も冷たく濡れた鼻の先も全部、ああそれまでなくなったらどうしよう、きっとわたしはもうベッドから起きられない、ごはんも食べないでお水も飲まないでこのまま死んで行くんだ、とか思って泣いた。あの娘のことまで思って泣いた。わたしの手はまだあの娘の体を覚えてる。柔らかい毛の感覚も両方の手のひらにすっぽりおさまるまるいお尻の感覚も、全部。

帰って来てくれてよかった。当たり前だけど。
当たり前だけど、当たり前に起こるはずのことがときどき当たり前に起こらないから怖い。


ディディーはうちで MBA を観て、レイカーズのハーフタイムで眠たくなって帰ってった。誰かが来てくれるのはほんとに嬉しい。勝手にテレビ観てひとりでコーフンしてわあわあ騒いでくれてたって嬉しい。ディディーはもう晩ごはんを済ませてたから、わたしはディディーの横で、フィロミーナがこないだ作って来てくれたサーモンのスープをひとりで食べてた。

わたしがデイビッドんちの近くに住んでたら、って思う。デイビッドんちにバルコニーがあって、そこからわたしのアパートに来られるドアがあったらいいと思う。ドアはわたしのキッチンに繋がってて、そしたらわたしは毎日お料理してバルコニーにいい匂いをまき散らしてデイビッドを匂いで誘う。それがいい。


明日デイビッドが帰って来る。
わたしはバイブルのジェネシスを読み終えて、イグゾーダスのところをもう半分まで読んだ。パスオーバーのこともちゃんと学んだ。テストされたって全然平気なくらいちゃんと学んだ。

早く帰って来て欲しい。当たり前に。




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愛しかた - 2004年04月05日(月)

昨日会えなかった。
教会行ってクラリスとごはん食べて、そのままデイビッドんち直行の予定だったけど嵐みたいに風が強くて寒くてコートを取りにうちに帰ったら、電話が鳴った。タックスがまだ終わらなくて会えそうにないって。まあいいか。車から降りて歩くとき風でよろけて怖かったし。夜遅くにもう一度電話くれて、パニックになってた声がちょっと落ち着いてた。「水曜日には帰って来るから」ってデイビッドは言った。デイビッドは明日からパスオーバーのお祝いに行く。楽しんで来てねって切った。


お兄ちゃんチビの伸びっぱなしになってた左手のつめのひとつが、伸び過ぎてポーに突き刺さってるのに気がついた。チビたちは最近つめ切りを異常にイヤがって、ぎゃあぎゃあ喚いてわたしを引っ掻きまくって最後にはガブっと手を噛んで逃げてくから、いつも最後まで出来ない。そのせいで大変なことになっちゃった。つめはまるでつめじゃないみたいで、なぜか円盤みたいな形になってて、刺さったポーのところが赤く腫れてる。

獣医さんに行くしかないけど、この足じゃチビを入れたケイジを車に運ぶことも出来ない。今朝獣医さんに電話してハウスコールをお願いしようと思ったら、来てもらったらすごいお金がかかる。ジャックに電話して泣きついて、仕事が終わってから迎えに行ってからうちに来てもらって、ケイジを運んで一緒に獣医さんに行ってもらった。ワクチンを2年してなかったから、獣医さんのアシスタントに言われて妹チビも一緒に連れてかなくちゃいけなくなった。

はじめての獣医さん。いいドクターなのかわかんなくてちょっと不安だったけど、アシスタントのスーザンがとても気持ちいい応対で親切だったし、近いからそこにした。

結局ふたりとも歯のクリーニングもしなくちゃいけなくて、麻酔をするからお泊りになった。「いい子にしてるんだよ」ってふたりにたくさんキスして、会計してもらったら1000ドルに近い。そんなお金あるわけない。お給料もらってなくて障害者手当受けてる身なのに。ジャックが、今すぐ必要じゃない血液検査と妹チビの比較的きれいな歯のクリーニングをカットするように頼んでくれて、それでも544ドルだった。

妹チビはワクチンだけになったけど、チビたちは生まれてから一度も離ればなれになったことがない。たとえ獣医さんとこで別々のケイジに入れられても、お兄ちゃんチビだけ預けて妹チビを連れて帰るのは気が引けた。毎晩わたしの胸の上に乗っかって眠る妹チビがいないのは淋しいけど、そのままふたりとも預けた。明日またジャックが、仕事が終わってからピックアップに一緒に来てくれることになった。


アシスタントのスーザンは、わたしが日本人って知ったら「あたし、日本人の男の人と結婚したいんだ」って言った。「日本人の男の人は愛情をたくさん示してくれて、ジェラスで独占欲が強くて、とても一途で、愛についてエモーショナルで情熱的で真剣でしょう?」って。

「アメリカ人の男なんてさ、ややこしいのが嫌いで冷めてて愛を真剣に考えたりしないじゃない。簡単にしかつき合ってくれなくて変に割り切ってて諦めが早くてさ。『きみに別なボーイフレンドが出来ても僕はかまわないよ。僕にもほかにガールフレンドが出来るかもしれないし』とか平気で言う。情熱なんかかけらもないんだから」。

長いこと立ちっぱなしだったから左足の膝が痛くて痛くて、なるほどねって思いながらただ聞いてた。ジャックが「僕はそういうアメリカ人じゃないけどな」ってヨコから口挟んでたけど。

なるほどね。
わたしは日本人の愛しかたに慣れすぎてるのかもしれない。

なんでだろうね。なんでそういうふうに愛しかたが違っちゃうんだろうね。だって、歌とか映画とか小説とかじゃ、時代も国も言葉も関係なく、想いも切なさもみんなあんなにおんなじなのに。


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それは明日じゃないけど - 2004年04月03日(土)

週末出勤のフィロミーナがアニーのオフィスのアニーじゃないほうのアニーと一緒に、仕事が終わってから訪ねてくれた。ロジャーも一緒に来てくれた。

久しぶりのお客さん。ごはんを炊いてチキン&ブロッコリーと白身魚のチリソースがけを作って待った。フィロミーナは前とおんなじサーモンのスープを、わたしがひとりでお料理しなくて済むようにって作って来てくれた。

2時間もすると、フィロミーナとアニーは帰ってった。フィロミーナは明日も仕事で、アニーはぼうやのエイブラハムをお姉さんに預けてるから。「アンタはまだいてよ」って、一緒に帰ろうとするロジャーのセーターを引っ張って止めた。

おもしろかった。ロジャーとは女友だちとみたいにガールズ・トークが出来る。サマンサと二ネットは初めてロジャーと会ったときゲイかと思ったって言ったらしくてロジャーはそれを気にしてたけど、見かけとか振る舞いがゲイっぽいとかそういうわけじゃなくて、ロジャーは多分いろんなことに女の子みたいにセンシティブなとこがあるんだと思う。そのせいかどうか、女の子とぺちゃくちゃ意味のないおしゃべりするみたいに延々おしゃべりが出来る。バカみたいに楽しい。

膝のマッサージもしてもらった。スウェットパンツを太腿までまくりあげてロジャーの膝の上に乗っけて、ロジャーは足の裏から太腿までわたしより奇麗でなめらかな手でマッサージしてくれる。そういうのも全然平気な相手だからおもしろい。

夜中の1時半までロジャーはいてくれた。2時にはデイライト・セービング・タイムが始まるから、時計を1時間進ませる。だから2時半までいてくれたことになる。

わかんないけどなんかものすごくスッキリした。マッサージがじゃなくて、ロジャーといろんなおしゃべりして。


明日はイースターだと思ってたら、イースターは来週だった。
昨日デイビッドに「日曜日はジェネシスのクラスのあとイースター・ミサがあるんだ」って言っちゃった。うそばっか。デイビッドはイースターのことを「ジューズがジーザスを殺した日だろ?」って言った。違うよ。リザレクションを祝う日だよ。それに、だからそういう言い方が悲しい歴史の始まりを作ったはずなのになんでそういうこと言うんだろって思う。デイビッドは月曜日のパスオーバーのお祝いのディナーを家族と一緒にロードアイランドでする。わたしはジューダイズムの慣習をもっと知りたいと思うのに。


火曜日だったっけ。教会友だちのクロリスが、長いことおしゃべりしてないから日曜日のサービスが終わってからふたりでランチしようよって電話をくれた。

そのあとデイビッドに会いに行く。
明日は雨。自分で運転して行けるけど、松葉杖ついて傘はさせないから困った。そして月曜日は雪。積もると雪道は滑るから困った。それでも会いに行きたいんだから困った。

「きみは僕と結婚したいの?」って聞かれて答えなかった話をしたら、「バカ。なんで正直に答えなかったのさ」ってロジャーは言った。デイビッドと結婚したいなんて誰にも言ったことないのに。結婚は出来ないんだってのは言ったけど。

わたしはいつも大事なタイミングを逃す。でもそのときにはわかんなかったんだからしかたない。次の機会を待つよ。今度はジーザスが助けてくれるから。「次」がいつだかわかんないけど。待ってていいのかもわかんないけど。ほんとにほんとに「結婚したい」なんて言っていいのかもまだ不安だけど。それが明日じゃないってことだけなんとなくわかる。


ロジャーが長いことマッサージしてくれたおかげで、痛みがおさまった。昨日は足が痛くて一日起きられなかった。ジェネシスの続きを読んで、神さまにお祈りをして眠ろう。Bless me, God.  Bless me, Jesus. Thank you for loving me. And bless David, too.





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素直な気持ち - 2004年04月01日(木)

セラピーが終わってからアカウンタントのところに行く。
去年初めてアカウンタントにやってもらったら、自分でするよりうんとたくさん税金が返って来た。手数料払ったってその分以上にうんと。で、決めた。頭抱えて時間かけて自分でやるのがバカって。

病院の近くのそのオフィスに車を運転する。アカウンタントのおじさんは覚えていてくれて、「またたくさん取り戻してね」って言ったら「わかってるよ、それが僕の仕事だから」って笑った。小さな2階建てのビルはエレベーターがなくて、オフィスまでの細くて長い階段を松葉杖で登るのは辛かったけど、帰るときに降りるのはもっと怖かった。下まで降りたとたん、目が回りそうになる。

2ヶ月ぶりの病院の近辺は馴染みのお店がなんかなつかしかったけど、小雨が降ってたからとびきりの匂いが漂ってくるコロンビアンのおいしいコーヒーのお店もパス。

うちに帰るとジェニーから電話がかかって来た。
休暇からゆうべ夜中に帰って来たって。「おかえり、ジェニー!」って思わず叫んだ。嬉しい。殆ど毎日電話くれたジェニーが休暇に行っちゃったあいだ、どれほどつまんなかったか。電話は仕事場からで、帰って来た翌日とも言えない今日からもう仕事に出てた。


デイビッドにメールする。
ーhelp!: あなたの電話番号両方とも失くしちゃったの。電話してくれる?

すぐに携帯が鳴った。
「僕の電話番号失くしたって? Bad girl! なんで失くしたのさ?」

「ほんとはね、消したの」
「消した? なんで?」
「ん? もう電話かけないことに決めたんだ昨日。でも」
「うそだろ? ほんとに?」
「うん・・・」
「ほんとのこと?」
「今日何の日か知ってる?」
「4月1日。・・・。僕をエイプリルフール・ジョークで担いだのか」。

わたし聞き逃さなかったよ。「Is that the truth?」って、声ひっくり返ってたよ。


ゆうべ、神さまの声が聞こえた。去年の日記を読みなさいって。
読んだ。去年の今頃の日記ずっと。

そうだった。忘れてた。ディーナに2年のうちにわたしは結婚するって言われたこと。神さまがそのためにわたしに恵みを与えてくれてること。わたしがカダーを選ぼうとデイビッドを選ぼうと、わたしは神さまの恵みのもとで幸せな結婚をするってこと。わたしの幸せな結婚のためにわたしが選んだ人にも神さまは恵みを与えてくれるってこと。あの頃はそれが怖かった。結婚なんかもうしたくないって思ってたから。カダーとは一緒に暮らすことすら考えられなくて、デイビッドへの気持ちも確かじゃなかった。

このあいだの土曜日、デイビッドがわたしに聞いた。「きみは僕と結婚したいの? ねえ、きみの望んでることを知りたいよ。素直な気持ち言いなよ」って。素直な気持ち。わたし、結婚したい。デイビッドとならすごく素敵に一緒に暮らせる。いつからかそう思い始めてて、だけどわたしはジューイッシュじゃないからダメなんじゃん。デイビッドがそう言ったんじゃん。だから、「あたしの望んでることなんかあなたは知りたくないよ」ってわたしは笑って答えた。

あの土曜日のデイビッドの言葉はなんだったんだろ。神さまのヒント? それでもわからなかったから「去年の日記を読みなさい」って神さまは言った?

望んでいいならわたしはこのまま望みたいよ、神さま。
素直になりたいよ、神さま。





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