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2006年04月30日(日) 父帰る

行ってきました。
まだ頭の中でいろんなシーンが渦を巻いている。

戯曲の予備知識もほとんどなく、まだ原作も読んでいない。
だからもしかしたらトンチンカンなことを書いてしまうかもしれないけれど
それはそれで、私のアンテナが受け取ったなにか。
その記録として、書こうと思う。


まずは、「父帰る」。

暗転した舞台の上でスタスタとやってきて静かに新聞紙を開ける音がする。
ふっと明るくなった舞台のうえで、髪を七三に分けた剛が座っている。
芝居に集中しようと思いつつ、それだけでドキドキした。
新聞を読む視線の先がドンピシャで私達の座っているあたりで、
思わず頬が緩んでしまった自分を、ちょっと反省。

家長としての醸し出すものなのか、妙に落ち着いた声とたっぷりとした間。
最初は慣れない方言に戸惑ったけれど(その点では梅沢さんは素晴らしい!!)
賢一郎の話す一言一言に苦難を乗り越えたうえでの安らぎを感じた。

父の話を遠い遠い昔話のように、“済んだこと”として話す母親。
でも賢一郎にとっては今日はずっと昨日の続きで・・・。

案外あっさりと家の敷居をまたいで居間に入ってくる父親。
“女”として“男”を受け入れる母親。
“父”の姿を賢一郎を通して憧れていただろう新二郎とおたね。
みんなそれぞれ 時間が作り上げてきた『許す準備』ができている。

そんな中でひとり、憎むことで、許さないことで、
いろんな壁を乗り越えてこれた 賢一郎・・・
自分が簡単に許してしまったら
それまでの母や弟妹の苦しみ、そして自分があきらめてきたこと全てが
なかったことになってしまうのではないかという、恐怖。

父が朗々と過去を話すシーン。
私の席からは賢一郎の背中しか見えない。
でもそのこわばった背中からは、いろんな葛藤が見えた気がした。

「兄さん!」

新一郎が兄の横に回りこんで頼み込むシーンで不意にグッときた。
家族を支えてきた兄の気持ちもわかっているし、
父を待っていた母の気持ちもわかっている、弟。

許すこと。許されること。

上っ面だけでなく、心の奥から許すことは難しい。
それが近い関係であればあるほど、難しい。

「なに 見えん!」

父に言いたいことを全てぶちまけたあと、
弟に続いて駆け出す賢一郎。

そこにはもう、“息子”としての賢一郎しかいなかったと思う。
父を待ちわびて、憧れていた、息子としての賢一郎が。



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