詩のような 世界
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笑うふり 話すふり 聞くふり 驚くふり 笑うふり 話すふり ……
こうして彼は 唾を飲み込めなくなってやっと 自分のバスルームに駆けるのだった
熱いお湯 熱いお湯 熱いお湯 温いお湯 熱いお湯 熱いお湯 ……
その繰り返し 彼はもう諦めている サイクルは乱せないと知ったから 浴びながら諦めている
計算+妥協×安全÷運命=
ノートを真っ黒に埋め尽くす 彼は今朝も変わらず無表情で起きた 答えのない数式が また1つ増えた
黒い鳥が空から雨のように降り注ぎ 銃を構えた子供はそれを見ながらほくそ笑み その様子を眺めていた僕もにやついていた
何が起ころうとかまわない 死骸と化した黒い鳥の群れが 道行く人々の頭を直撃する
骨のきしむ音が辺り一面に溢れ 死は死を招いてゆく 子供はまだ銃を下ろそうとしない
飛ぶ鳥は一羽たりとも彼に許されない 自分の身体より大きそうな銃を ブルブル震える両手で支えている
黒い雨はまるで空をつたう涙のようだった
子供の足元に這いつくばって 僕はカメラのシャッターを夢中で切っていた 荒々しく生動的な死のさまに 同じくブルブル震えながら共鳴していたのだ
いかにも毒であるかのような赤。
人の胸を痛めることになる 数々の言葉たちよ なぜ彼女の口から絶え間なく 声となり(遠回しに)蛾を呼び 飛び出す? 銀粉をオブラートにしても 全く意味がない それどころか 毒の赤は暗い銀の下で より明々と主張してしまうのだ
彼女は自分の唇を引っ張ってみる 痛くなったら手を離し さする その繰り返しの生活
なのよ あたし口紅変えてみたの 誰の目にも優しいピンク でも5分後、突然死にたくなって 唇の皮全部剥がした 血がダラダラ流れたけれど 口の周り、あたしの血、たしかに
いかにも毒であるかのような、赤。
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