詩のような 世界

目次


2002年09月29日(日) 白い石像


雨に濡れて幾本の線になった髪を
白い頬に張りつかせたまま
わたしは徐々に石像になった

あなたはわたしの固くなった皮膚を
確かめるようにコツコツと叩いては
納得したように
うなずく

どうして機械的なの
あなたは
どうして取り乱さないでいられるの
わたしが息をしなくなっても
あなたは雨水を飲み込むことをやめない

石像だって涙を流すのに
それを「どうせ雨の雫だろう」と決めつけるなんて

責めたくてもわたしは口が利けない
わずかに開いた口の中が
どれだけ酸味の洪水となっても
静かに喉に流すだけ
あなたは助けてもくれない

気づこうとしてもくれない


2002年09月26日(木) pass


たいせつなことを
いいわすれたから
きたみちもどって
あなたをさがした

おはなばたけでは
うずまきのはなが
しおれるすんぜん
わらいかけけたの

みぎへまがったら
あなたをみつけた
でもどこかちがう
じかんのせいだわ

おとなになってた
しらないあなたが
よこがおをみせた
めはあわなかった

あなたがだれかと
きすしてしまった
そっとやわらかに
このはがまいちる

おおきなきのかげ
あたしのすかあと
めくれあがっては
さみしくないてた


2002年09月24日(火) はい、リニュ一丁!

エンピツを使い始めてから初めてのリニュ。
心機一転という感じです。感じですか?(知るか

どうせなら生まれた日にやっちまえーということで。
なんのこっちゃわからんね。
何かきっかけをつかむことが大事じゃない。

まぁ白バックも新鮮でよいかな。
黒か白かしか選択肢がないってのもどうかと思うが。


ではでは、これからもよろしくお願いします(誰に言ってるの?







2002年09月22日(日) 裏表



喉の奥で言葉が暴れる

スキ  キライ 
ホシイ イラナイ

どっちになるかはすべて気分次第


そうね今に限って言うなら

あなたはスキだけどイラナイ

ホシイものはたいしてスキじゃないの


スキなものほどこわくて

簡単なものほど簡単にホシイと口に出せる


イラナイはホシイの裏返し?


さあどうでしょうね




2002年09月20日(金) ぞざざ



「空虚だ」

口に出した途端、本当に空虚になってしまった



曇り空からカラフルな紙吹雪が舞い散ってきて

僕は唖然として立ちすくんだ

何を祝おうってんだ

悪趣味にも程がある

文句の1つでも言ってやりたいけれど

見えない存在が相手じゃ仕方がない

溜息が、落ちた



「空虚だ」

わざとさっきより大声を出した

するとぞざざ、と上から音がして

さっきよりも大量の紙吹雪が頭の上に降ってきた



2002年09月17日(火) やれやれ



生きてるのか死んでるのかはっきりしろ!

と大声で罵られたので
3時間20分強考えて

生きてます

と蚊の鳴くような声で反発した


この能なし!

ときた
半笑いにもならない顔で

じゃあ死んでます

と言い返すと

ふざけんな!

と座椅子が飛んできて
僕も一緒に飛んでった


座椅子と僕は海を渡る
青く透き通った水に気を静められ
僕は座椅子の背中に手のひらを
ぴた
と、つけた

珊瑚の森を優雅にさまよう
赤青黄色、つまり虹色の深海魚たち

座椅子は
艶のある声で僕に何か囁いた
けれどよく聞き取れなかった

ためしに海草に巻かれていた小魚に
生きてるのか死んでるのか教えて、
と叫んでみると
小魚は粋な笑顔でやれやれ、と呟いた
やれやれ

その瞬間
座椅子がケラケラと腹を抱えて笑い出し
僕も何がなんだかわからなくなって
まるでさじでも投げたかのように
涙が流れるまで笑った


いつの間にか、岸に着いていた



2002年09月15日(日) 重い生足



道をゆけば
すれ違う人たちは皆半透明で
そのさまは不気味というよりも適正すぎる

あたしは、はみ出し者だ

錆びたコインロッカーを開けると
1枚の色あせた写真が

無表情の君
もしくは
足枷のついたあたしの
生足

顔を血のようなもので汚したら
ママは気づいてくれたのかな?


ねぇ誰も教えてくれなかった
嘘を問う悲しさ
そして
裏を見極めることは
自分を苛める行為に過ぎない、と

こんなに人はたくさん歩いているのに
どうしてヒントさえもらえないんだろう
足枷を外すための
本当の方法って



2002年09月08日(日) 瞼の裏側



しっとりと

沈黙


悲しみは

隠された 涙


忘れかけたひとを

思い出しかけた



一陣の風が

砂埃を生んで



君の温かさを

リアルに感じたいのに


願いは

どうしても願いのまま


瞼の裏に

少年の切ない


その涙は

睫毛を濡らすだけ

濡らし

誰に拭われるの?





2002年09月06日(金) そんな丑三つ時



午前2時

かえるのうた
を歌っていたら
誰も輪唱してくれていない
ことに
気づいて

涙がぼろぼろこぼれた。






2002年09月02日(月) めかくし

ぼわんとした眠気が僕の首にまとわりついてくる


冷えた空気を欲して外に出ると
真夜中にもかかわらず太陽は生き生きと笑っていた

呆気にとられる僕と居場所をなくした月

それでも
当たり前のものが当たり前の顔をして在るさまが気に食わない質の僕は
すぐに微笑んで靴を鳴らしたのだった


僕が手を叩いて賛美する物事が
多くの人に白い目を向けられるのはなぜだろう

そして黒の全身タイツで身を固めた大人たちは踏ん反り返る

ダカラオマエハダメナンダ!

理解できない、と素直に嘆く勇気はないらしい
白黒はっきりつける前に
「わからない」と「異常」をごちゃ混ぜにしないでよ

僕が目にしている夜の太陽も月の嘘泣きも
彼らには見えないだろう
実は闇が白い光で満ちているということにも
永遠に気づかないかもしれない


重い首を一回し
太陽が大輪の花に変わるまで、後わずか




My追加
しえり |MAIL