詩のような 世界

目次


2002年08月30日(金) 悪足掻き



行かないで!
行かないで!


君はまだ立ち上がる素振りさえ見せないのに
僕はなぜこんなにも必死なのだろう
声がこころのストッパーを突き破り
狂ったように口から流れ出す

何のために?
形を維持するため?
枠組みを強化するため?

いや、きっともうわかってるんだ
君が去るチャンスを横目で窺っていること


ああ
安全に追い出されるためだけに
 
僕は





2002年08月29日(木) 曖昧な足元



水飲み場で手を洗った後の子供のように
両手をパタパタ振ると
大切に守ってきた感情など簡単に滑り落ちた

そうだ
すべては灰色の欠片から成り立っている
嘘も本当も
言葉という表面でだけ存在している

何もかも中間
結果は曖昧



目の前に道はなく
後ろを振り返ってもまた同じ

僕はうまくバランスを取ろうとして失敗し
崖から足を踏み外した
命綱が腰に巻きついていることなどすっかり忘れ
意識だけがまっさかさまに転落していく
僕は胸の前で手を交差させる
まさに今、笑えたらいいのに
とふんわり思った


待ち受ける静寂に耳を澄ます






2002年08月23日(金) オーマイガッ


見ないふりをするのが特技です




ってなんですか










Oh!



見ないふりをするのが特技です



愛は









飢え


Oh!





2002年08月21日(水) 鳥を狩る瞳


「疲れた」
呪文を唱えるように
妙なイントネーションで


君は
黒目がちな瞳で鳥を捕らえた


何をそんなに嫌うんだい?
弓矢が必要?
あれがほしいの
そう、あれがほしいの


窓ガラスを突き破って

しゅっしゅしゅっしゅしゅしゅっ
しゅっしゅしゅっしゅしゅしゅっ

変わった警報だね
君はにっこり
もう受け入れ態勢ができているようで


泣きたいなら泣いていいのに
その機能さえ失ってしまったね


今日のディナーは
君が食わず嫌いしてた
チキン

もうまるごと




2002年08月18日(日) 目に見えぬ××



目に見えるものだけ追いかけて執着する
だから大切なものはいつも遠い

水のように
水のように生きたいと言ってみても
それは美しく清らかなだけではない
不安定で
留まってなどいられないという一面


目に見えるものだけ追いかけて執着する
だから大切なものはどこまでも遠く

暗闇の中の僕
太陽の下で一生懸命な彼
彼を応援する僕
挫折して涙する彼
つられて泣き出す僕


大切なものを追いかけるために
彼ほどの勇気はなくても
それでも・・・・・・




2002年08月08日(木)



静かに
涙を流す
誰にも気づかれないように
気づいてほしくないこともないのだけど

1人で
傷口が開かないように
守る
痛くて痛くて
爆発しそうな予感を胸に
今日も守る

だんだん手に力が入らなくなってきた
勢いが凄すぎて
いつ崩壊してしまうか分からない
聞こえる
傷は助けを求めてる

もう留まっていられない、と

それでも僕は押さえつける
涙で闇に閉ざされ始める
許してはいけない
気を抜いてはいけない
思い出してはならない
すぐそこの線を越えてはならない

助けて





2002年08月05日(月) 僕のミャー


虫の知らせ、で
僕は目覚めた

ベッドの下から
埃を被った帽子が

呼ばれたら返事する
これは鉄則
さぁ外へ
キスをしにバスルームへ


猫の顔したあの方は
いつのまに
新しい住処を見つけたのか

僕はタイルを磨き
静寂を極めた
泣けては
こない
両目は空中を浮遊し
けれど唇はアレを探しつづけた


鼻メガネとちくわ
相変わらずろくな物がないホワイトボックス
僕は
いつも角だ

待てと言われて待つ奴がいるか!!

隅っこでぼんやり
それが僕の特技です
いない
いないよ
僕のミャー


頼まれても断る性格だったのに
背中を掻いてあげた
足の小指を舐めてあげた
何もかも
僕が望んだことだ
素敵でユーモラスなベッド
質屋を探さなきゃ

街は死んだ
道もなくあるのは
タバコ屋のおばさんの憂鬱だけ
夕日は沈もうとしないから
僕はサングラスを土の中から掘り当てた





2002年08月04日(日) No Music,No life



洋楽に耳が慣れてくると
自分に染み付いている感覚や
音の味わい方なんかが
微妙に変化し始めたことに気づいた

音楽が部屋中に溢れているとき
そしてそれが自分にピッタリ合い
身体の心まで溶け込むとき
わたしはこの世に存在していることを忘れる
空気と音とわたしの体温だけが
まるで天に昇るような
奇妙で心地よい興奮状態に入る

「聴く」という能力は
きっとこの上なく贅沢な能力だ
今自分が置かれた世界から
別の世界を創り出すことを可能にする
そう
簡単に言えば
マイナスからプラスに
例え一瞬でも動かすことができる
一瞬がいつまでも一瞬であり続けるかどうかは
わたしだけが知っている
あなただけが知っている





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