深海図鑑

2002年01月16日(水) 21か、22か

ガラス越しに、私を見つけた善光は、見たこともない優しい顔で、「お、いたいた」というふうに私を見て、私は、ちょうど彼に電話をかけようと、公衆電話の前で、アドレス帳を繰っていたので、彼の姿が目に入って「お、いたいた」と思って、自分の持ち物を持つ準備をした。
彼がいた事が嬉しかったけれど、気持ちは焦る事なく、「居たから大丈夫」というふうに、私の動作は落ちついていて、彼は、ガラス越しに、その様子を、さっきと変わらず、優しい、落ちついた顔で見ていた。


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サイ [MAIL]