My Cup Of Tea...POO

 

 

秋澄 - 2001年11月29日(木)

大学キャンパスで、落ち葉がすごい。

葉が落ちてくる途中で、
うまく捕まえられたら、
願いがかなうってきいた小学生の頃。

思い出して、さりげなく手を前に出して歩いたけれど、
欲目が出ているときには見向きもされない。

家に帰って鞄をあけたら、
赤ちゃんの手に似た楓みたいな葉っぱが一枚、
そっと紛れ込んでいた。

いつまでも眺めてしまった。

どうしても
捨てられなくって、
手帳にはさんである。


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絵本展が無事終わりました。 - 2001年11月17日(土)

「お母さんはいないな?」
言いながら父が私のところにこっそりやってきて、
真剣な顔で言った。
「お前、天気予報の森田さんの話によると、
 18日の夜から、しし座流星群がやってくるんだってよ。
 明日の飛行機、ちょうど夜発だろ。
 お母さんが聞くとむやみやたらと心配するから、お前だけに言っとくよ。
 気をつけろよ。」

…父よ。あなたは間違っているだろう。
21歳にもなって反抗するつもりはないが、
やっぱり間違っているような気がする。
飛行機に乗っている最中の人間が、
何をどうやって流星群に気をつけるんだ…。
…念力?

しし座流星群に私が撃たれたら、
どうか憐れんでください。

というわけで、明日から、父を放り出して
母と二人でハワイへゴー!


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ゴシックチック - 2001年11月16日(金)

帰り道、駅脇の自動販売機前。
ダンボール箱、ひとつ。
側面にプリントされた文字は赤々と、
「ぼけしらずねぎ」。
とにかく堂々としてるのはいいが、
置き忘れられてる時点で、
なにがこいつのアイデンティティなんだろう。

お風呂から出て鏡を見たら、
なんだか自分の顔がすごいことになってるのを発見した。
目の下の隈ってんなら、聞いたことはあるが、
目の上の隈、ってのは、聞いたことがないじゃないか。
目の上にあるのは、たんこぶだけではなかったのだ。
そういったわけで、今、
目の下にも目の上にも隈があって、
要は、お前はパンダか鳥おどしかキョンシーか、
はたまたメイクなしのスッピンゴスロリか、
ってな状態である。
ここ数日、何を置いても寝てるようにしてるから、
睡眠不足ではないと思うんだけど。
なんでまた突然、目の周りだけ土星の輪。
でも、自分じゃ決して進んでゴスロリになるこたあないから、
顔だけゴスロリっててちょっと興味津々である。
明日もこのままだったら、どうしよう。誰かに見せびらかさなきゃ!


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さらに猿はただ愁うるのみ - 2001年11月15日(木)

ほとんどの時間、絵本展の会場に詰めてた。
fromウズベキスタンEnglishオンリーのご夫人なんかが来て、
なかなかスリリングだった。
ちびっちゃい男の子3人と一緒に遊んだ。
むしろ私が一番楽しかったはずだ。

夕方、みかんねーさんが観に来てくれたので
終了後に、お茶した。
「祭」がテーマの今回の文芸パートアンソロジーで
編集後記に私が書いたコメントから出発して、
近頃のラムネからは
ビー玉が取り出せないことについての話になった。
そうなんだよねーとりだせないんだよねープラスチックで飲み口ぴったり塞いじゃってさぁ、と
最近のラムネ動向を非難する方向性で盛り上がっていたら、
ねーさんはさらりと言った。
「うん、でも、私はライターで飲み口溶かして取ったけどね」

…立ち直れん。
割ろうとまで思いつめてた私は、何?!
文明の利器を使いこなす人間ほどおっかないものはないね。
猿はただグルーミングをするよ。
温泉に入るよ。海水で芋を洗うよ。極楽ってやつさ。



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余計なものが混じっている。 - 2001年11月14日(水)

山手線の中で、大槻ケンヂのエッセイを熟読していた。
一つの章を読み終えて、ふっと意識が少し現実に戻ってきたら、
車内にアナウンスが流れている。
どこかで事故があったらしい。
それで電車が遅れていたらしく、
若い車掌さんの声が、なにやら説明している。
中高時代、中央線で通学していた時には
こんな親切なアナウンスはなかったなぁ、
JRもやっとサービス業っぽくなってきたなぁ、
とありふれた感想を抱きながら、本に戻ろうとしたら、

「みなさまに、ご迷惑をおかけしたことを、
 深くお詫び申し上げます」
と、車掌さんは丁寧に言った。
そして、一呼吸おいて、消え入りそうに
「…もうしわけございませんでした…」

今にも泣きそうな塩梅の小声で聞こえて、
そうして、アナウンスは辛そうに途切れた。

……。

なんという余韻の世界!
わび!そしてさび!!
そしてあからさまなサービス過剰!!!

容赦なく嬉しくなってきちゃった。
本日のおもしろコーナー第二位である。

ちなみに一位は、
朝に見たお店のくたびれた看板。

「うろたえるスナック ベル」

ぶっとんだ。
まじまじと看板見たら、自分が勘違いしてたのがわかった。
ひらがな一文字勝手に付け加えて読んでたのだ。
でも、いいの。
お前はもはや、うろたえるスナックだ。
店長や店員はおろか、客までうろたえるスナックだ。
誇らしげに看板に書いちゃうくらい、うろたえには自信のある店なのだ。
ここに入ったら最後、何があってもうろたえきらねばならないのだ。
がんばれ。一生うろたえろ。

おかげで一日中楽しくって仕方なかった。



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実話 - 2001年11月13日(火)


曲がり角から現われた男が、
尺八を吹きながらやってきた。



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雨のち晴れ - 2001年11月12日(月)

今日はもうなんだか物凄く久しぶりに、
笑っちゃうくらい自分が嫌な子だった。
何で薬を飲んでまで、自分を見ないようにしてるんだろう。
些細なことにいらいらしてみるのは、結局それが一番簡単な逃げ道だからね。

明日からのサークルの絵本展、
せっかくの準備なのに、今日の自分がこんなに嫌な子で、
ほんとに残念だった。
会場が出来上がってく様子が、ほんとに楽しい。
でも嫌な子じゃなかったら、もっともっと楽しかったのに。
ぜったい損した。失敗だ。もったいない。

明日は私はほとんど会場に行けないけれど、
お客さんがいっぱい素敵な気持ちを持って帰ってくれますように。

夜7時過ぎ、たかはらが会場にやってきた。
クロポの縮小版を6冊持ってきてくれたのだ。
絶妙なタイミングだった。
下手な薬なんかより、よっぽど効いた。


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ご立腹 - 2001年11月08日(木)

一ヶ月以上ぶりに、3限に行った。
先生が突如ロン毛になってて、仰天した。

そ…そだってるよ…。

せっかく今シーズンはじめてマフラーを巻いたというのに、
なぜにここまで物悲しい気分にならにゃぁいかんのだ。







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冬眠を希望する - 2001年11月07日(水)

ぶっちぎりで体調が悪い。

テンパる余裕もなく、
日頃よりよほど冷静に終日バイトをこなす。
過去のベストスリーに入るんじゃないか、
くらいの勢いで、仕事がはかどる。

こりゃあ、なんだね、
いつもは無駄にあれこれ動き回ってるってことだね。
あんまり考えられない方が、いいのかも。

おやつに中国のお土産の、「緑豆餅」というものを貰う。
緑豆を粉にして、落雁みたいに固めたもの、らしい。
食べた。粉吹くかと思った。タンスの中の防虫剤の味がした。



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one step closer - 2001年11月05日(月)

前日からの絵本展合宿の流れで、
酒も呑まず作業が終わった6時過ぎ就寝。
8時過ぎ起床。

1限目の授業後に、部室で朝ご飯を食べる。
合宿が明けてそのままなだれこんできた人々が結構いた。
話しながら、(ああ、今日、このまま行けちゃうかも…)と思うくらいに調子がよい。
たのしー秋風すがすがしーと、にこにこしながらそのまま座っていたら、
一人一人と部室から人が去って行く。
私は本日1・3・4・5・6限と授業であるからして、自宅はまだ遠い。
長いすを一人で占領できるまで空いたので、昨日買ったばかりの金魚柄のござを敷いて、ごろん、と横になってみた。
これがいけなかった。部室の長いすは、私がまるまる寝そべってもなおかつ余裕しゃくしゃくなのだ。
その上、今日は必要以上に愛想良く、ゆっくりしてけしてけ、と、いすが呼びかけるものだから、無下に断るわけにもいかぬ。
よしちょっとつきあってやろうかと横を向いて目を閉じた。
寝られない。
お向かいの椅子で人が話す声。扉の向こうでなにやらぴろぴろ音楽がしている。そんなものを聴きながら、いつまでたっても寝られない。
左足にかぶさった右足が重くなってきた。
体勢を変えようと思った。
…変わらん。
指の手に力をこめようとした。…動かん。
どろん、と体は横向きになったまま、もうにっちもさっちも泥の塊だ。
もしやこれが金縛り、というやつだろうか。
おお。
納得して、そのまま世界を聴いていた。
ただいま全身でのしつけているござの金魚の復讐か。だが金魚すくいのあみがないから、結局誰も救われない。不毛だ。

それはせいぜい10分くらいの現象で、その後も結局ねむらず、4限も切り抜け、5限。
とうとう待ちに待ったお迎えがやってきた。
プリントに目を落としたとたんに、意識消滅。いつの間にか現世に戻ってくると、手は先生の言うことをメモろうとするのだが、またしても指はシャーペンを持ったまま金縛って固まっている。
今度は困った。
授業を理解しているのに、なかなか指は力を受け付けない。命令を聞かないいたずらっこみたいだ。無理矢理動かしたら、二目と見れない文字列が出現。こんな文字がプリントに刻まれていたら、後で絶対何の呪いかと深刻になる。後日の精神的安定のことを思いやって、メモを取るのを諦める。
そのままじっとしていたら、寝てるんだか寝てないんだか、自分がそこにいるんだかいないんだか、よくわからない心持になってきた。
自分の意識が、自分の体を観察している。背中からナイフでぐさりとやられても、今なら痛くはないかもしれない。
幽体離脱に近いようなものかもしれない。
そういえば、これに近い感覚を知っていた。
最近突発的に、人とコミュニケーションを取れない状態に陥ることがある。
ただ言葉が出てこなくて、一方向にむかって黙り込む。それは気をゆるした人たちの前で起ることの方が多い。他の人とはべらべら話しながら、肝心の人に話かける言葉は、私の中で時々陥没しきっている。
あとになって「ああ、あの人にはあれを言わなきゃいけなかったんだ」とか、「ああ、あの子にはあの話したかったんだっけ」とか思い出すのだけれど、
そのときは、その人への話し方を思い出せない。ただ相手に向かって、じっと目や耳だけが生きている。

どこかがおかしいんじゃないかと、ちょっと疑っていたのだが、
この幽体離脱じみた感覚は、ちょうどそれだ。
ただ、観察しているのだ。
私は完璧な客観性というものの存在を信じていないのだけれど、
完璧な客観性というものへと近づくというのは、こういうことなのかもしれない。
コミュニケーションを放棄してまで、ただ観察していたい。
こうしてもこの人は怒らないだろう、という私の甘えもあるだろう。
そして、ただ見ている。聴いている。
気づいてみたら、それっておかしいというより、途方もなくわがままなだけじゃないだろうか?
幽体離脱はわがままなんだ。社会性、ってやつからの逸脱はなはだしい。
どこまでも観察して逸脱していったら、やがて神様の視点にたどり着いて、そして通り過ぎてしまう。
第一、いちいち幽体離脱していたら、自分は限りなく愉快でも、周りの人には迷惑じゃあないか。放棄した私の体を、誰が片付けてくれる? 少なくとも私じゃない。
ようやっと気づいてしまった。ちょっとほっとした。
ああ、もうちょっとせめてつとめてこっそりと幽体離脱するように修行しよう。
上手に幽体離脱したら、いづれ堂々とそれで商売できるようになるかもしれん。
職業:幽体離脱。
画数が多いから、アンケートの職業欄には書かないことだろう。

6限の前、トイレの鏡で自分をみたら、頭の上に激しくアホ毛が突っ立ってた。
あわてて頭を撫でつけた。
そしたら目が冴えて、もう何にも起らなくなった。


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