My Cup Of Tea...POO

 

 

駄目の行き着く場所 - 2001年06月30日(土)


……国立科学博物館。


-

せつせつと。 - 2001年06月29日(金)

もうだめかもしれない。
気がつくと、
国立科学博物館のことを考えている。

昨晩、コックローチが出た。
台所をさかさかと散歩していた。
幸せそうに、ゴミ箱の陰を。
いつぞやの深夜のコックローチと思われた。
わたしの前にばかり、3回ほど現れ、
4回目にして、
居合わせた母によって、
ばしばしと容赦なく新聞紙で歓迎された。
5回ほどの衝撃音ののち、
ぺたんこになったのが目撃された。

やつの復讐だろうか。
生きている化石でなくて、
死んでいる化石が見たい。
動かなくていいから。
黒くて長い足ばかりが、
台所に散乱していなくったっていいから。

サンヨウチュウ。


-

かたおもい - 2001年06月28日(木)

授業中、ものおもい。
気づけば、
涙ぐんでまで想っている相手が、
よりにもよって、
国立科学博物館であった。

切ない。

国立科学博物館に行きたい。
涙が出たくらいに行きたい。

骨が見たい。
どうぶつの骨。
骨骨。
いとおしいくらいにからからとした骨。

カルシウム。

アンモナイトの殻。

うっとりする。



-

うだる。 - 2001年06月27日(水)

たまごがふたつなのである。
なんの話かって?
もちろんぐるぽっぽの話である。

先週のバイト先のぐるぽっぽ夫婦は、
まさにすばやい行動で
もうお産みになっておったのである。
ベランダのファンの下、
ころんころんと、たてながの白いたまご。
蔭になっているせいで、
すこしだけ白が浮かび上がってつるりとしている。

ところが、ベランダを覗き込めばすぐにたまごが見える、というこの状態。
かなり問題があるようにしか思えない。
だって、つまり、たまごは剥き出しなのだ。
巣の中に入っていないのだ。
もっと詳しく言うと、
巣をつくる前に、
たまごだけ登場しちゃっているのだ。
コンクリートの上にぽとりぽとりと。
おっちょこちょいにもほどがあるだろう。
そりゃ今の時期、昼間はコンクリート、とっても熱いけどさ。
今日は気温33度あったらしいけどさ。
自動育成機でないんだから。
巣ぐらい作ろうよ。
これだから都会っ子は困るんだ。

そして、今日一日、
たまごはそこで、姿を見せつづけていた。
ぐるぽっぽの兄さんも、嫁さんも、
たまごの元に現れなかった。
不安になる。

でもぐるぽっぽにばかりかまけていられないから、
ちゃんと仕事もした。

今日は、日本相撲協会までおつかいに行った。
外はとても蒸し暑く、
湿気に意識が呑まれて朦朧としてくる。
道中、
目的地にいかにもぴったりの音楽じゃぁなかろうか、
と、
筋肉少女帯を聴いた。
…暑っ苦しかった。


-

麦秋 - 2001年06月25日(月)

日本考古学の授業の後半。
いきなり先生がかばんの中からとりいだしたるは
土器製コップだった。

ふつうのコップの形をしたのや、
むしろ壷じみたのや、
教卓の上にずらずらと並べる。
ついでに、白い磁器の器や、
木製の枡や、
硝子のコップや、
しまいに紙コップやプラスティックコップまで。
ウェッジウッドの花瓶なるものもある。
教卓の端から端まで容れ物の行列。

次に先生がかばんから取り出したものを見て、
教室中がざわめいた。
私の角度からは、
アルミ缶に入った麦ジュースにしか見えなかった。
先生は、にやっと笑って、一言、
「ビールですね」
…やっぱり麦ジュースかよ?!
それも、かばんから
出るわ出るわで500mlが3缶分。
それから、カルピスソーダやら、なにやら正体の知れないジュースやらが、
加えて数本。
よくもそんなに大きく見えないかばんに
それだけのものを入れていたものである。
それにしても、
まるでこれから酒盛りをするようにしか見えないんだけど?
「あとで一杯やりましょう」
…先生?

教授は学生ひとりに手伝わせて、
麦ジュースをほとんどのコップに注いだ。
それから、申し訳程度にカルピスソーダを注いだグラスが幾つか。
「うれしくなってきました」
先生、相好崩しすぎだ。すっごく嬉しそう。
「ほら、土器のほうが、泡が細かく出るんです」
土器には無数の小さな穴があいていて、
ミクロの泡がでるから、
土器のほうが美味しく
「ビールをのめるんです」
それか。
要はそれなのか。
麦ジュースなんだな。
そういうことなんだな。
これだけ色々な用意をしておいて、
結論はなんと分かりやすいんだ。

そのまま授業は早めに終わり、
男子学生が、
すばやく土器を抱え込んで
弥生人よろしく麦ジュースを戴き飲むという
新手のCMのような光景を横目で見ながら、
私は自分がどうもすさまじい大学に来たのかもしれないということを、
入学3年目にして今さら目の当たりにしたのだった。

…弥生の土器で、麦ジュース。
……ウェッジウッドの優美な花瓶で、麦ジュース。



-

あなたが寝てる間に - 2001年06月24日(日)

今日、母がわざわざ私の部屋にやってきて言うことには、
「今朝、おとうさんがね、寝言で
 『●子(←母の名前)、●子』って言うんだよね。
 免疫ないからもうびっくりしちゃって」
父は独り言&寝言野郎で、
私が幼いころは、よく私の名前をつぶやいていたらしい。
でも彼が母の名前を言うのは初めてのことらしく、
きもちわるいきもちわるい、といいながら、
母はかなりまんざらでもなさそうな顔をしている。

つられてニコニコとしかけた時、
母はさらっとこんなことをのたもうた。

「そういえば、あんたも、よく歌ってるよね」

…は?
……あっし?
………あっしが何をしたんですって?

「おーぉきな声で、気持よさそうに歌ってるから
 もうそろそろ起きるかなぁと思うんだけど、
 起きないんだよねぇ」

…歌ってる?
……記憶にないんすけど??
………もしや、寝言…???
しかも大声。

寝言で歌うという人の話ははじめて聴いた。
それも、自分のことだった。
なんてこったい。
近頃の自分が音楽キチガイな自覚はあったのだが、
寝てるときまでこうも馬鹿だと思わなかった。
衝撃雨あられ散弾銃の事実発覚である。
音楽聴きながら眠りにつくのが習慣なのだが、
それってもしや催眠学習?
…催眠学習したお歌を歌ってる?
……うたっちゃってる??


…大槻ケンヂだったらどうしよう。


-

簡易方式世界旅行 - 2001年06月22日(金)

サークルの活動が終わった後、
夕ご飯を食べに、いつものイタリアンファミリーレストランに行った。

後輩の仙台銘菓ちゃんが、ドリンクバーを頼んだ。
要は、ドリンクカウンターのソフトドリンク飲み放題という奴だ。
「カモミールティーとアップルティーをブレンドしてみてよ」
とわくわくおよび断固として言うと、
彼女はしばらく表情をフリーズさせた後、
メロンソーダを一杯飲み、
それからやけっぱちになったように、
コーヒーカップに注いだお湯と、
それから、
カモミールとアップルと、
おまけにダージリンのティーパックまで持ってきた。
いい子である。

というわけで、お湯の中に一斉に
三種類の茶ッ葉をずぶずぶ沈没させた。
じふじふと沁み出すエキスは、1分くらいでお湯を染めた。
何故か、光沢のある、美しい、おそろしく優雅な、
「赤色」
だった。

まずは、ドリンクバーを頼んだ本人から、口をつけた。
そしてその場にいた残り4人も、次々に口に含んだ。
そして、いっしゅん視線を彷徨わせてから、笑った。
笑うしか選択が残されていなかったので。
「…うん。香りはいいね。香りは」
アップルである。アップル。
しかし、まるで、渋柿ならぬ、渋林檎。
すっごくいがいがとした口当たりが、
まるで反抗期の中学生のようだ。
まぁ、良薬口に苦しというが、
気付け薬はとりあえず今は必要ないのであった。
では、こうすればどうだ、とスッティックシュガーを入れてみた。
今度は、まろやかーな甘さの後に、しがみつくような苦さがあって、
少し没個性な感じになった。
まるで、小児科のシロップみたいだ。
誤魔化そうとして失敗した、せこいお味がする。

これではいかん、と、
タバスコ投入。

飲んだときには甘さがいっしゅん、
それから、南国的な情熱的な衝撃がずがーんと襲ってきた。
おやけっこういいお味かも。
と思っていたら、
私以外の人は、口を押さえて、それからすかさずお水を飲んだ。
…うん?
でも激しく南のテイストであることは、満場一致。
というわけで、この飲み物を
「アミーゴ」と名づけることにする。

しかし、なぜか、テーブルにはガムシロップも持ってきてあったのであった。
というわけで、投入。
アミーゴは、ゆらゆらと蜃気楼みたいなシロップを溶かされて、
シャンパンみたいな薄い琥珀色に変わった。
すごくお洒落に変身したそれを飲んだら、
あまあまだった。てろりとした感触の甘さ。
そして、
その後に、
…にじみ出るような執拗さでアミーゴの復讐がやってきた。
やめて、アミーゴ! お口の中、中途半端に辛ッ。
まるで、南米あたりから移民してきた女の子をもてあそんで捨てて、
復讐されるフランス男みたいだ。
というわけで、命名「ピエール」。

「つぎはスイスにしましょうよ」と言う仙台銘菓ちゃんの指先には、
コーヒークリームがあった。
投入。
試飲。

暴発。

…。
なんかもう、凄まじくすさまじいお味がした。
ねっとりとして、甘いんだか辛いんだかしぶいんだか、人間の飲んでいいものなんだか。
はじめて、嫌な汗が額のあたりに浮かぶのを感じた。
命名「高山病」。




-

爪楊枝をつかえ。 - 2001年06月21日(木)

上の前歯の間に、
縫い針が挟まった。
抜けなくなった。
という夢を見た。

なぜに、縫い針。
待ち針でもミシン針でもなく。

めりめりという感触があった。

いたかった。
こわかった。




-

GO!GO!マイホーム!! - 2001年06月20日(水)

これは秘密の話なのであるが。

バイト先に、
小さなベランダがあって、
先週からそこで時折、
なにやら僅かにぱたぱたという音がして、
そしてさらに不穏な気配がしている。

今日、私一人でお留守番を言いつけられた。
みんな出払って、省エネで電気を半分消した会社で、
くらーくお昼ご飯のパンをもじょもじょかじっていたら、
ベランダの桟の上、
子連れ狼みたいに、細い枝を小粋にくわえた兄さんと目が合った。
おお。
ぐるぽっぽ。(俗名:はと。)

その茶色いぐるぽっぽは、
ばさばさとベランダに舞い降りて、
ついでにバランスを崩して植木鉢を一つ倒しておいて、
しかし言い訳をすると口から枝が落ちるのを知っているらしく、
黙ってハードボイルドに、
悠々とエアコンのファンの下の隙間にもぐっていった。
おお。
マイホーム?

兄さん、そういえば、
なんだかもぐっていく背中が、実はいそいそしてたな。
そうか。マイホームなんだね。
でも、あんた一人で作ってるんだね。
もしかして、それで嫁さんを捕まえようって魂胆だね。
マイホーム・義理の両親無しって、売り文句にするつもりなんだね。
なんていじらしいんだ。
子連れ狼風のくせして。

次にばさばさと音がしたので、
またぐるぽっぽ兄さんかと思うと、
今度はなんだか青っぽいぐるぽっぽの姿が見えた。
おお。
…嫁さん?

早いな、兄さん。
もう嫁さん見つけたんか。
まだマイホーム出来てないやん。

でも何だかほのぼのして、
私の気分はなんだか既になこうどさん。

そのまま、一人にこにこしながら、
自分の仕事をはじめてしばし。
すさまじい騒音がして、
空きっぱなしのベランダの戸から
なんと嫁さんが会社に飛び込んできた。
兄さんと喧嘩でもしたのかここは駆け込み寺かと
おろおろしながらベランダを見たら、
大きなカラスが足を踏み鳴らしていた。
嫁さんをいじめに来たらしい。
兄さんはどこに行ったのか。この嫁さんが大変な時に。
失格やん。子連れ狼のくせして小市民。

カラスはさすがに私のいる方までは入ってこれず、
そのうちしぶしぶと、何処かへ誰かをいじめに行った。
嫁さんの度胸勝ち。
嫁さんはそれからしばらく、
会社の窓辺にあるものをがしがしと踏みつけて値踏みするように歩き回り、
不満足だったのか、くるくると喉を膨らませ、
ついでにいらないプレゼントをぽとんと残して、
さっさと空いた窓から飛び立っていった。

嫁さん、すげーかっこいい…

会社の人が戻ってきてから、
私はそのことを話さなかった。
一人で嫁さんのプレゼントを処理したんだ。
簡単に誰かに話してたまるか。

というわけで、たぶん、
茶色と青のぐるぽっぽ夫婦のことに気付いているのは
私だけなのだ。
私だけ。
うふふふふ。
これからどんなマイホームが完成するのか、
わくわくするのは私だけなのさ。
ホームドラマの独り占め。
もんた・みのも真っ青さ。
ふふふふふふふふふふ。

次のバイトの日が待ち遠しくてたまらない。


-

一期一会 - 2001年06月18日(月)

ちょうど午前零時を少し過ぎたころだった。
喉の渇きを覚え、
洗面所の電気をつけた。

私の目線の高さで、
何かが
さかさかと壁を横に走った。

そのまま、その「何か」君は
洗面所の蛍光灯と壁の間から、
ちょこっと体をのぞかせて、
じっと動かない。

黒めだった。
なんか妙にてかてかしてた。
足がもしょもしょ生えてた。

すなわちコックローチ。
すなわちごきぶり。

ふつうここでは
「わあ!」とか
「きゃぁ!」とか
言うべきなのか。
悩んでみたが、
白馬の王子が新聞紙丸めて飛んでくるはずもないので黙ってた。
飛ぶ可能性があるのはゴキブリ君だけだもの。
そして、白馬は迷惑だもの。

しばらく私はごきぶりを見つめて
立っていた。
あんまりこんな機会もないだろうから。
そして少し眠かったので。

機会がないということからの連想ゲームで、
この前のことを思い出した。
夜、すこし遅い時間に、
理工学キャンパスからT公園へと向かう道を
1人とてとてと歩いていた時のことだ。
道はかなり暗かった。
突然、何かをけっとばしそうになった。
慌てて、
振り返ると、
夜道の真中、
何か黒いかたまり、
少しだけ動いている。
割と大きな突起物が上のほうに。

…くちばし?

からすだった。

噂に聞く、闇夜のからす。
わたしのことをほどんど無視して、
からすは、まるでそこにいないような顔をして、
でもやっぱりからす以外の何者でもなかった。
ほんとにからすは闇夜で見えなくなるのだった。
非常に感動した。
どうせなら、
思い出に、
少し、けっとばさせてもらえばよかった。

で、闇夜のからすがあるならば、
からすが夜に溶けるというならば、
ごきぶりだって、おんなじようなもんじゃないか。
黒いし。

私って、けっこう頭いい?

ぱちん、と電気を消した。
ごきぶり君は闇夜に溶けた。

私は非常に安らかな気分で、
眠りについたのだった。

起きたら、コックローチは、
壁のはざまから見えなくなってた。
ほら、やっぱり。
旅に出たんだよ。
うん。
きっといろんなとこを見て回ってるんだね。
…台所とか。

そして、私は大学に行くにあたって、
自分の部屋のドアを
これ以上ないほどきちんと閉めて出たのだった。


-

断髪式日記 - 2001年06月16日(土)

人間たるもの、
いつどういうはずみで約束してしまったのか、
とにかく「約束した」という既成事実だけがなぜか残っていて、
たそがれの国で遠い目をして立ち尽くす、
という事態に陥ることがある。

というわけで、
たぶん6ヶ月くらい前にたかはらと約束したのであろう、
「2001年6月になったら、たかはらさん(素人)がPOOさん(実験体)の髪の毛を切ります」
という契約が、
たかはら邸にて粛々と本日行われることになったのであった。
…ばか。半年前の私のばか。あまりにばか。
そして、面倒だからと美容院に行くのを先延ばしにしていた最近の私。
ちょうど、後ろでなんとか結べるくらいにまでうざったく伸びている頭髪。
切ってくれといわんばかりと言えないこともなかったりするのかもしれないと推測するのにやぶさかでないのでごさいます。
ばかのオンパレードだ。安売り超特価だ。

でも、約束は約束なのであった。

日本茶を飲んで、精神統一を図ったのち、
私は、
たかはらが中2の時、家庭科で制作した半ズボンをはき
たかはらがさっきまで枕の下につっこんでいたデニムシャツをよろよろ羽織り、
野良作業のおじさんもかくや、という風に首にタオルをきつく巻かれ、
タオルからぴょろーんと洗濯バサミを生やし、
そのうえに東京23区指定半透明ゴミ袋を、すっぽりと被せられ、
まずは直立不動指名手配犯的記念撮影。
笑うしかないので、満面の笑み。

その後、風呂場にて、儀式は否応なく開始されたのであった。

たかはらは大きなはさみを取り出して、
まず、自分の手がシザーハンズになったかのように
シャキーンシャキシャキンと意味もなくしかしことさら誇示するようにはさみを鳴らし、
私の下の方の髪の毛をむんずとつかんで、
ざかりざかざかと刈り取りはじめる。
それも何だか笑いながら。
それもむふふふ式笑いで。
この時点で私は半分硬直。
頭が軽くなっていくのかどうかもわかりゃあしねぇ。
はさみの切り味があまりよろしくないのが、すごく微妙な感じの振動で伝わってきて、
ときどき刃に髪が引っ張られて物理的にも精神的にも痛いから、
「そのはさみはもしや裁ちばさみか」と上ずった声で問うと、
「失礼な、これは私が昔から使ってきたれっきとした髪切りばさみだ」
との答え。
「今は、植物用だけどね」
…まて。
植物?
ガーデニング?
それとも盆栽?
いいんだけどね。また…伸びるからね。植物も髪の毛もねたぶんね。
夏用の帽子を買おう。

明日駆け込める美容院を探す、と騒ぎ立てる私の耳元で、
ざくっ、という割と大胆な音。
その直後に「あっ、」という、割と冷静なたかはらの小さな叫び。
…。
うーん?
何が起こったのかなぁ?
「まぁ、いいや」というタカハラの声。
うーん?
もしや他人事だねー??
わたしの未来は、もしやパッツンツンかーい?ヘーイベイベー。
そして、両脇を切り終えた(らしい)たかはらは、
正面からしばし私の髪をにらんで、
「うーん、どうもこっち側の方が長いんだよなー」
と、唸って、えーい切っちゃえ、と私の左側の髪をさらにざじゅざしゅと切り刻む。
「うーん、でもまだ長いんだよなー変だなー」
と、今度は右の方に少しはさみを入れ
「あれー」と首を傾げて、しばし考え込み、
私の右を見、左を見、それからぱっと顔を輝かせて、
「あ、わかったぞ、左の後ろの方が長いから変なんだ」
あなた、今まで、左の前方をしきりにお切りになっておらなんだか?
左前方は切らなくってもよかったということであろうか?
そうなのか?
…そう?
……私の髪、髪ッ、かみーッッ!!

合間、数回、証拠写真撮影。

だんだん意識が遠くなってきた。
すきバサミが登場。さらに髪の毛のボリュームダウン。
そして、終わったらしい。
鏡をのぞき込むと、
「まるっ!」
私は叫んだ。
私の顔が丸いのは重々承知の上だったが、
耳の後ろのあたりの髪の毛がなくなり、ショートカットになったオノレの顔は、
あからさまに丸いおにぎりと酷似していた。
でなきゃ、M&Msのチョコレート。
もう、まるいものでありゃ、何でもいいや。
坂をころがしたら、かなり勢いよく豪勢に転がっていくこと保証されているぞ、やったね!

でも、危惧していたよりは、拍子抜けするくらいに全然まともに見えた。
美容院でショートにしても、やっぱりこんな感じになるのかもしれない。
で、髪を洗って乾かして、
無事に、断髪式は完了したのであった。

たかはらの過去3回(!)の断髪施工経験から言うと、
あと2ヶ月もすれば、ちょうど落ち着いた、いい髪型になるらしい。
すごく未来志向なカリスマ美容師である。
考えてみれば、
ちょうど、お金もなかったし、
涼しくなったし、
短くなりすぎたところどころがつんつん飛び出てるのが、ちょっと可愛いかもしれないし、
面白い経験が出来たかもしれない。
なまじかっかなジェットコースターより面白いかも。
「じゃ、また来年の6月にね」
…う゛?



-

責任の所存を追及する心積もりなのでありますが - 2001年06月11日(月)

帰りの電車の中、
私は立っていた。

私の目の前、窮屈そうに半身を乗り出して座っていた初老の男性が、
しきりに手のひらを雑誌の上にかざしている。

「ん?」
と思って、こっそり眺めると、

男性が手をかざしていたのは、活字からしてなにやらあやしさ大暴走な
サーモグラフィーの図の上だった。

手ぢから?
あなたの健康と幸せをお祈りします??

さあ、っと自分の意識がのけぞるのを感じた。
私の気配が伝わったのか、男性は、そさくさと、
その雑誌(数冊あった)を紙袋の中にしまいかけ、
やっぱりまた、1冊を取り出した。
そして、熱心に眺め出したページは
でかでかと「ムー」云々と記されている。
ページをめくると、やっぱり「ムー」の本がどうとかこうとか。
ムー?
むーむー??

あからさまに超常現象系雑誌を男は読みふけり、
あからさまに私は目を泳がせたのだった。
ちなみにこのとき、私がヲークマンで聴いていたのは
「UFOと恋人」By筋肉少女帯。

おっちゃん、人間やないやろ?
だって、妙にべかりと明るめの青いスーツ着て、
ポケットからなにやら赤いもの(結局正体わからず)を
微妙に気になる角度でのぞかせているサラリーマンなんて、
あからさまにあからさまに、

人間の生活学習不足。
やってきて2ヶ月足らずと見た。

…どうしてくれるんだ、オーケンよぉ、
こんなもん呼んでくれちゃってよぉ…


-

バルサンのばか - 2001年06月10日(日)

バルサンをたくために、
家を追い出されることになった。
読みたい本があったのに。
バルサンに負けた。
ちくしょう。
くやしい。

敗北感を癒すべく、
コアラのマーチ、をおやつに食べた。
最初のほうのコアラは私と目が合うと、
にこにこ顔だったのに、
ラストのほうにかけて、
3連ちゃんで、涙顔のやつと目が合って、
3乗したようにすさまじーくいやな気分になった。

なんだよ、バルサンとコアラのマーチはぐるなのか。
ぐるなんだな。
コアラのマーチは、
最初は食べる側におもねる振りして、可愛らしさを装っておきながら、
きっと袋の下に行くにしたがって、
阿鼻叫喚なコアラの顔を用意しているに違いなかった。
なんだよ、お前らなんかの顔なんか見て誰が食べるもんか。
顔さえ見なけりゃ、お前はただのクッキーとチョコレートだ。
そんな顔したって無駄だよーだ。知らないもんねーだ。
ほーら、
それもすさまじーく哀しい気分。

しかたないので、腹いせに、
ボール紙のコアラの包装箱をぺちゃんと潰した。
おうちを潰すのはゴジラでなくったってできるんだから。
どうせなら、最初から阿鼻叫喚のコアラを下さい。



-

選挙にいこう勢、という得体の知れないピンクののぼりを見ました。 - 2001年06月09日(土)

わりと寝不足。
自分の中に、うなぎがいるみたいだ。
ぬらぬらと眠い。
合唱祭病ケイゾク。
胃があまりよろしくない。
でもよろしくない、とか言ってられるうちは、
結構平気。
朝、起きざまに、
用意されていたそばを食べる。
…食べるなよ、そんな消化の悪いもの。
と、標語調に呟いてみたり。
ほら、結局平気。

よみきかせ活動後、
すっとんで、渋谷へ。
chocoさまたちと、2時間ばかりカラオケ。
つーか、メンツ、deanさんが新しいだけで、
あとはchocoさま、ござさん、私、と昨日とほぼ同じ。
久々にカラオケご一緒する方々ばかりで、とっても幸せだった。
歌の上手い人たちばかりと一緒だと、
無条件で嬉しい。
最近私がゲテモノしか歌わなくなった、
と悲しんでいる一部の人たちに宣言しておきたいのだが、
ちゃんと普通の歌を歌ったんだからね。
わかった?
わかりますか?

念を押しても疑いの目を感じてしまう自分の妄想力が悲しい。
おそらくそいつはぬらぬらと、胃のあたりを根源とするのであろう。
あー、
うどんが食べたいので、誰か私をうどんの美味い店にいざなってください。


-

トーマソのように。 - 2001年06月08日(金)

渋谷タワレコにて「電車」インストアライブ拝見。
しょっぱなから「圭子の夢は夜ひらく」で登場したオーケン(マイクには金髪の大きめお人形つきぶらぶら)
笑った。
あごが二回ずれた。
ごり、という音が耳に響いて自虐的に楽しかった。
凄い。
「パーマパーマパーマ」とステージと客一体でうたっちまうノリ。
持ち時間が35分しかない、といいつつ喋りまくるオーケン。
タワレコの地下で
「包丁とマンジュウ」とあんなに何度も連呼シャウトした人が、
かつて他にいただろうか。
いや、いないだろ。
終わったあと、みんな自動機械のように一斉にニコニコしていた。

で、その後、行った連中で、
パスタ屋に入って、パスタを喰らう。
大皿で出てきたのは、トマトベースのパスタと、カルボナーラベースのパスタ。
赤と白。
我々、すでにおめでたい。くくく。
さらに、
水にスジャータのクリームと、シュガーシロップとを入れて混ぜると
安っぽい駄菓子の味だったが、
それをアイス珈琲を飲み終わったグラスに入れると、
とたんに安っぽい生協の珈琲牛乳の味になることを発見。
私の向かいの人間が完飲。
私が作ったんだけどね。
そんなこんなで
8時過ぎに入って、出たの11時。
発見に見合うだけの時間は費やしたのであった。
有意義な日だった。


-

遭難グルメ - 2001年06月07日(木)

「水没する恐れがあるので、
 地下街に行くのは避けましょう」
と大真面目に天気予報の兄さんがいう天気の中、
たかはらと新宿にて夕飯。
泳ぎはまぁ得意なんだが、
プール開きにはまだ早いので、
地下は避け、ミロードの上の飲食店街で済ますことにする。
同じことを考えているのか、はたまた兄さんの熱狂的なファンか、
そこはどこも行列、とても混んでいた。

結局、
ミロード内を2軒ハシゴ。



-

雨女のよろこび - 2001年06月06日(水)

携帯電話をね、
i-modeにしたのだよ。
でね、なにがいちばんびっくりしたかって、
新しい携帯の充電用卓上ホルダーが、
以前と同じ黒かと思いきや、
なんと、銀色にラメが入っていたんだね、これが。
充電器なんて、おしゃれにしてどうするよ…。
わからん。ちっともわからん。
とにかく天の川のように、光っております。
あと一ヶ月もすりゃあ、七夕だし、
季節がら、およろしいのではないでしょうか。
でも季節が過ぎてしまったら、
いったいこの子は変身するのでしょうかね。
…花火?
……感電するのはいやだぞ??

今日も雨でした。
いい加減、なにかいう気もおきません。
しかも梅雨入りだそうです。
おそうめんが食べたいです。


-

カルチャーショック - 2001年06月05日(火)

小学校のころ、2年間だけ、
福島にいたことがあった。
そのときの同級生の女の子が、
先日結婚したという話を知った。
何とコメントしていいのか分からず、
「け…結婚…いやその前にむしろ彼氏、彼氏…」
内心ノイローゼを気どって呟いてみたが、
ガラじゃないので、とっととやめた。
なるようになるんだろうし、
ならないんだったらそれはもう結局どうにもならないんだろうしねー。

で、同級生で仲良しだった別の女の子は
今、立派な公務員として働いているんだそうだ。

あからさまに、私の知らない世界だ。
ちょっと面白そうだと思う。
私がどこかで違う選択をしていたら、
こんなちゃらんぽらんの学生じゃなくって、
彼女たちみたいな道をあるいているのかもしれない。
そんな仮定は無意味だよね。
だってほら、私の周りには大切な人たちがいて、
それだけで、十分楽しいことだと思うもん。
その人たちのことを忘れてまで、
憧れられるものなんてあるもんか。

でも、ともかく、おめでとう。
お幸せに。


-

合唱祭病 - 2001年06月04日(月)

6月。みんな疲れてくる時期。
私はいつもこの時期、
合唱祭病にかかる。

中学・高校と、合唱祭委員を5年間やらされた。
5年も連続でやった間抜けは、学年で私くらいなものだったと思う。
合唱祭は六月にあって、
それまで何かと衝突しがちな先生と生徒の緩衝材になる役目。
先生からは何かにつけ叱られ、クラスメートからは重苦しく思われ、
今ごろになると、
たいてい私は喉をばりばりと壊し、
常に鈍痛のよわよわ文系の胃を抱え、
連鎖反応で物が食べられなくなり、
ねずみの鳴き声じみたヒステリックさを押し殺して
とにかくおろおろと走り回っていた。
合唱祭委員が納豆よりも嫌いだった。
多数決で決まったので、あわれな生贄羊どんは
すっかりどうにもできなかったのだ。
高校の最後の2年間は、決まるたびに、瞬間的に吐き気がした。
私に投票したやつらみんなに納豆投げつけてやる。
もちろん最近はやりの臭わないヤツじゃなくって、
元祖水戸納豆をぬはーっとだ。ぬはーっとぬはー。

卒業してからずいぶん経つのに、
未だに体がそれを覚えている。
この時期になると、体調が不安定になる。
つられて心も不安定になる。
のんびりしよう。
笑い飛ばしちまおう。
もう、合唱祭委員をさせられることは二度とないのだから。

でも今日は、いいことがあったよ。
サークルの部室に児童文学の出版社の人が来て、
本を2冊、寄付してくれた。
お話をしたらとてもよい方で、もう5冊好きなものを
寄贈してくれるという。
現金なもので、急にむくーっと元気が出てきた。
私に足りないのは精神力より、
むしろ物欲を充たせるだけの経済力?

みんなではしゃいで、書名とにらめっこ。
面白そうな題名ばかりで決まらず、
結局、どんな本があるのか最後は本屋まで探検にいったなり。
ほんとにくれたりしちゃうのかなぁ。
色々業界のお話聞かせてくれたりもしちゃう??わーいわーい。

それから、夜はたかはらと電話した。
もっと元気になった。
ありがとよ。うん。

色んな人に、いろんなものに、感謝感謝。


-

遊糸 - 2001年06月03日(日)

私の至らなさが、
人を傷つける。
私は卑怯だから、
人間であることを辞めたくなる。
私の周りの一切合切の責任を捨ててしまえばいい。
人間を辞めるなんてたぶんとても簡単なことだ。

私には何ができるんだろう。
私には何ができるんだろう。
私には何ができるんだろう。
私には何ができるんだろう。




-



 

 

 

 

INDEX
past  will

Mail BBS