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終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2008年12月16日(火)

ヘミングウェイの短編集を読んでいる。
学生のころに一度読もうとして、このひとの作品はよくわからず、
なにも覚えていないところを見ると、結局投げ出したのだろう。

今度読んで、それなりに感銘を受けたのは、
つまりこれがどういう物語であるのかわかったからだ。
さんざん礼賛されている「客観的な文章の美学」などくそくらえだ。
書かれているのは単に、そうだ単に、生きることの不条理だ。

そうではないだろうか、不条理小説と呼ばれていないのは、
ただかれが不条理小説作家ではないからだ。
生と死のまさに抗いがたく襲い来る、なんという不条理さ。
なぜかれが自殺したのかを、本当に理解できるはずがない。
なぜわたしが生まれてきたのかを本当に理解できるはずがないように。

あらゆることが不条理だ。理由にはもはや意味がない。
そうだ、目の前に起きたことについて理由というものが説明される、
そんなことが実際にどれだけあるだろうか。
われわれはわけも知らずに、今日この日、世界の中を歩かされる。
あらゆる悪と善はもはや意味を持たない。
神という、全宇宙をつないでいた糸が切れてしまったからだ。
いやそうではない。そもそものはじめからそうだったのだ。
世界はかくて数珠玉のごとくに散らばり転がり、
無数のかけらとなって文面に散らばっている。

つまり、ヘミングウェイの短編集における目は、
悪霊におけるスタヴローギンのものと同じであろう。
ただヘミングウェイは、彼より余計に日差しを見てきただけだ。


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