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終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2008年07月31日(木)

撃ち殺してやろうかベイビイ


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- 2008年07月22日(火)

さあブリュンヒルデ

歌おう、笑おう、愛しあおう、諍おう、殺しあおう、稼ごう、放蕩しよう。
そういって誘惑したのは世界という魔物。
さてそれに私はどう答えたか。

歌や愛、殺害の楽しみは他に譲ろう。
わたしはただ見よう、見て理解しよう、貪欲なこの目を見よ。
この黒と白の球体はわたしの口、満ちることのない胃袋。
世界を咀嚼し噛み砕き飲みほしてなお飽き足らぬ、
さながら餓えを宿痾とする哀れな百億もの餓鬼の群れ。
ギガンテスの胃袋、ヒュドラの口、アトランティスを飲んだ海さえ、
わたしのこの目ほど渇き餓えてはいなかった。
この目は汚穢のさいたるところまで求め飲み込み食らい齧り啜り、
天の高みに至るまで飲みつくすさんと求めている。

私の哀れな食事によって、世界は薄くなるだろう。
羽毛ひとすじ盗みもせず痛めもせぬこの目の餓えだが、
私が飲み、私が食らうことによって世界は薄くなるだろう。
ちっぽけになり、あさはかになり、愚かにさえなるかもしれぬ。
だが世界よ、汝が私を誘い、私はすでに是非なく生まれ落ちた。
されば行こう。世界を滅ぼす旅に。世界を飲みほす旅に。
いよよ勝る餓えにたけり狂う旅に。
なんとなれば世界よ、汝が私を誘ったがゆえに。
そして私がすでによんどころなく生まれ落ちたがゆえに。


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- 2008年07月21日(月)

風呂上りに

「パンツはきたくない」と思うほど暑い―LV1
もはや何も考えずに裸で歩きまわる―LV2
腰に手をあてて牛乳でしょ―LV3
外に出たところで全裸だったと気づく―LV∞


あちーよ。


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- 2008年07月13日(日)

竜宮城へ

竜宮城は、どこにあるのだろう?
もっともありそうなこととして、海の底だろうか?
では山頂とは、たぶん、最もありそうもない場所だろう。



黎明に山へ分け入り、青白い道を踏み、
山腹の森を抜けて、私はどんどん登って行った。
途中で夜が明け、真横から差し込む光が木々に灯りを灯した。

私はなおも登って行った。
森を抜け、急な坂道を上りに上り。
するとふいに視界は開け、そこに青い、青い池塘。



幻のように青く、どこまでも青く。
彷徨い歩けば、この道はどこに続くのか。空にか、空の内にか。



脚元には珊瑚さながらきらめく花々。
それとも落ちた星か、生きて息づく宝石か。ではここはどこだ。



ここはどこだ。あらゆる幻想に増して美しいのはこの幻。
生きてうつろう四季の果実、四季の花。永遠に繰り返す朝と夜。
永遠に、そうだわたしが生まれるよりずっと前から、花々は咲いていた。
咲いて、散っていった。なんという悲しさだろう。
歌えよムーサイ、私は何も変えられない。




魚たちは群れなしてあの山並みのむこうにいってしまったに違いない。
ここは竜宮城、天の高みに乙姫の、長い裳裾が広がっている。


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- 2008年07月02日(水)

手元に一枚の絵葉書がある

法隆寺金堂壁画のうち、阿弥陀浄土図の観音菩薩がおわす絵葉書だ。
もっとも、この壁画群は火災で焼失しているので、
この絵も昭和の43年ごろに再現されたものではある。
焼失以前の原画の面影をよく伝えているかどうかは知らない。

実は先月の末に帰省したのは、この壁画を見るのが目的だった。
奈良の博物館で特別展示をやっているのだ。
普段はなにしろ金堂の壁だもんだから、薄暗くてよく見えないのだ。
それで、なぜこの観音菩薩なのか。
よく知られているように、この菩薩は美しい。
美しく、なまめかしい。

すべての仏画がそうであるように、この菩薩も写実的ではない。
これはどういうことか。この菩薩は人がその心の中で夢見た像だ。
存在したこともなく、存在することもなく、存在するはずもない像だ。
こうした顔を、この顔を、夢見ることのできた絵師こそ幻視者ではないか。

愛するものの顔ではない、憎むことも不可能であろう。
悲しみやそのほかあらゆる感情はこの顔の奥に宿ることはできまい。
その口は開かれることはない。そのまなざしはあげられることはない。


菩薩よ、あなたは


焼失してなおあなたは、そこにおわすのか。
あなたの美は失われることのできることの種類のものではない。
あらゆる真珠はあなたの光輝の照り返しではないのか、あらゆる波頭は。
あなたはあらゆるみずうみ、あらゆる死者のおもざしに宿る美ではないのか。
人はみな、あなたの美だけを愛しているのではないのか。

そして一人の絵師が、その秘密をあばいたのだ。
まことに恐るべき幻視をもって。


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- 2008年07月01日(火)

カリブーは疲れ切っている

わたしも疲れ切っている。
人間は家を作りビルを作り町を作り都市を作る。
なんということだ、この切り取られた空間には人間しかいない。
もっとも小さいものたちは別だが、ここにはほとんど生き物は入れない。
なんということだろう、一歩そこを出れば命ないもののほうが稀有なのに
家やビルや町や都市では、死んだもののほうが多いのだ。
死んだものでできた空間の中でしかわれらは安住ならないのだ。

ではこういうことは言えまいか。
われわれは多く死でできており、
われわれはより多く死となろうとしていると。


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