- 2008年01月29日(火) 本日、日本脱出 ほんとうのことを言えば 帰ってきたくない - - 2008年01月22日(火) Calling... あなたはどこにいるのか。 わたしはときに、あなたがまだ生きているということが耐えがたい。 わたしとかかわりなく呼吸し、見て聞いていることが耐えがたい。 あなたは日々多くを見て多くを聴き、食べも飲みもするのに、 そのどこにもわたしがいないということが耐えがたい。 ああ、あなたは手を持つのに、その手はわたしに触れない。 あなたは誰かを呼ぶのが、わたしの名前は呼ばない。 あなたは誰かと食べ、誰かと飲み、誰かと歩くが、それはわたしでない。 あなたの日々のどこにもわたしはいない。 どのようにしてこうしたことに耐えればいいのだろう。 あなたが死んでしまっていれば、こうしたことは悩まれることがないのに。 ああ、あなた。どうか、あなた。 あなたの日々のどこにもわたしがいなくてもいいのです。 そんなことはどうでもいいのです。 あなたの心のどこかに、どこか片隅にわたしを置いてくれていれば。 例えば顔を洗ってタオルをつかむまでに、わたしを思い出してくれれば。 それだけでいいのです、ああ、わたしの名前を呼ばなくても。 あなたはどこにいるのか。 あなたはどこにいて、誰を愛しているのか。 あなたはどのように生きているのか。 こうした思いはもう、祈りにずいぶんと似てきた。 - - 2008年01月20日(日) 何用あって、アフリカ大陸へ ときどき死にたい気分になる。 これは本当のところだ、私は気分の起伏が激しい。 他人と出かけるのは元気なとき限定なので、 簡単にいうと、死にたい私を知っている人は誰もいない。 少なくとも、そのときの私の顔を見たことのある人はいない。 これはけっこう徹底していて、実家にいる間は部屋にこもっていた。 最長でどれくらいだろう。10日くらいやってたかな。 修行したわけでもないが断食できるので、そういうワザも可能なのだ。 …自慢になるやらならんやら。 それで、いま現在そういう気分だ。 こういうときに願うことはひとつだけだ。 「もう、なにひとつ起きなければいい」 妙な話だろうか? 妙な話だろう。 もうこれから永遠ずっと、誰も口を開かなければいい。 もうこれから永遠ずっと、太陽は上らなければいい。 音も光もすっかり跡を絶ってしまえばいい。 まあいい、朝になれば世界は変わる。私も変わる。 - - 2008年01月14日(月) ジンニーアが語ったことがある。それは彼女がまだ将軍の誉れの杖を受け取るより以前、まだアル・シムーンの半ばほどしか背丈のなかった頃だ。十に足りぬ少女ながら、凍てついた双眸と黄金の川のごとき髪はすでに後年の恐るべき美と恐怖を種子のごとくにはらんでいた。 「わたしは見たとおりのものではないのに違いない」 少女はアル・シムーンの膝に身をのせ、間近にその顔を見上げた。 「わたしはおそらく、なにか別の生き物なのだ。この身れを容れるにはあまりに小さすぎる。この声はその歌を歌うにはあまりに小さすぎる。この心は」 少女はアル・シムーンの首に幼い腕をめぐらせ、ぴったりと寄り添った。常にないことだった。不安な鼓動は触れたところから伝わってきた。 「この心はいつか狂う。それとも、もう狂い初めているのかもしれぬ。それはあまりに激しく愛し、憎む。古い琉璃の器が層なして欠けゆくように、わたしはいまこのときにも欠けていく。わたしはいつか、狂う」 その不安な魂をアル・シムーンは抱きとり、捺されたように、己の心がこの姫に向けて深い愛情を感じているのを知った。 - - 2008年01月12日(土) 夜半、アル・シムーンは与えられた部屋を抜けだし、回廊を通って、城壁の上まで歩いて行った。そもそもこの遠征の初めから、心地よい眠りはかれを見放していたが、この夜はいっそう心ふさぎ、四方を壁に囲まれた寝室の中にとどまっていることができなかったのだった。 アル・シムーンは城壁の一角、半ば崩れた塔の、らせん階段を上っていった。かれの足取りはその心の抱える秘密のためにいっそう重かった。かれの愛しかれの仕える女将軍、皇帝の娘の峻烈な心とわずかな慈悲も蔵さない鋼のような意志は、成功を約束せられたこの遠征の途上にあってかれを苛んでいたのだ。そうとも、この遠征が終われば、ヴォードワンの王国が滅びたならば、王女は返す刀で帝国そのものを滅ぼすだろう。それは火を見るよりも明らかで、しかもとどめるすべはかれにはなかった。 「俺にはわからぬ」 アル・シムーンは食いしばった歯の間がら呟いた。 「たしかに、御母君は非業の死を遂げられた。姫はたしかに、たしかに心苦しまれたであろうとも。だが、ためにこの国を滅ぼされるなどとは」 風がぼうとして吹きすさび、アル・シムーンの頭から被布をさらって、城壁の下になげうった。乱れた髪を抑え、アル・シムーンは闇をのぞきこんだ。闇、まさに深い闇だった。深淵にはひとつの光もなかった。かれの心がそのときそうであったように。 「わからぬ、それこそ狂気の沙汰だ」 「…さてこそ」 ふいに、声が耳に届いた。それは近くもあり、また遠くもある声だった。アル・シムーンは素早く周囲を見回したが、誰ひとりいる様子はなかった。 「さてこそ、愚かはおまえよ」 再び声は聞こえた。アル・シムーンは壁に身を押しつけて後ずさった。だが声の主は見えぬまま、声ばかり続いた。 「狂気とな? 狂気といわば、あれには人の世のすべてがそれ。王位とな、国とな、城とな、戦とな? あれにはそもすべてが狂気。しあれば父の国を滅ぼすこともまた、狂気のひとつに過ぎぬ」 「誰ぞ」 「おまえには見えぬ。おまえに近すぎるゆえ見えぬ」 「物の怪か」 「違いない、死霊の類よ」 「おのれ、たぶらかすか」 アル・シムーンは刀を抜き払った。だが斬るべきなにも見えぬ。 「運命ぞ、運命ぞ。いまさらじゃ、なべては俺の望んだこと、おまえの望んだこと。アル・シムーン、今さらじゃ。あれは人ではない。人にと望んだは我らの狂気であった。天の風をこの腕に捉えることを望んだは我らの狂気であった。大海をこの手の間に抱きとることを望んだは我らの狂気であった。すべては遅い」 声はそれぎり失せた。アル・シムーンはやがて声の主の探索を諦めたが、その声の告げたことは忘れられはしなかった。心のうちに針で書かれたように。 - - 2008年01月11日(金) 病める王はその困難な死の床にあって、はっきりとそのことを知っていた。彼はほんの幼いころからそのような状況になるであろうことをはっきりと予感していたのだし、事態はまさにそのように動いてきたから、少しも慌てはしなかった。臣民が次々と死んでゆき、城や砦がことごとく落とされようとしているにも関らず、ほとんど悲しみも苦しみもしなかったと言ってもよかった。かれはそうしたものを、それが実際に来るより遥か以前に味わいつくしており、それが来てみたところで、もう何も残っていなかったのだ。 だからといって、王ヴォードワンが何一つしなかったわけではない。その逆であった。病はすでに王から視力を奪い、かれは自ら立ち上がることはおろか排便の始末さえもうできなかったが、パンを飲み下す力さえなくなってからでさえ、王はただひとつ残された明晰な頭脳でもって病床から救い得る限りのものを救い続けた。その努力はむしろ涙ぐましいほどだった。 折しも盛夏、生きながら腐りつつある王の体には蛆が湧き、その臭気から人々をさえぎるためにおろした重い天幕の中では無数の蠅が唸っていた。 「わたしは蠅の王だ」 と、ヴォードワンは自嘲してみせた。 「帝国とその娘はわたしから王国を奪い、王冠を奪うかもしれぬ。だがあの鋭利な刃にも関らず、この蠅たちばかりはわたしに忠実であろうよ」 すでに、救えるものはあまりにわずかだった。最も成功したものでさえ、それは整然とした撤退以上のものではなく、しかも再起の望みはない。そして遠からぬ王の死とともに残ったすべてが瓦解することは目に見えていた。 「お兄さま、ああどうか、ひどくはとらずに聞いて下され。どんなにか神のみもとが恋しくていらっしゃるか、わたくしにはわかりまする」 王妹バルキスは天幕の端にすがりついて言った。 「どうか、いましばらく行かずにいてくだされ。残されるものの運命をいとしう思うてくだされ。あなたさまが身罷られれば、おお、わたくしどもはどうなることでしょう」 「妹よ」 ヴォードワンは辛抱強く答えた。 「留まろう。今日はとどまれるであろう、わたしは夕暮れのときまで生きているであろう。おそらく明日も死なずにすむやもしれぬ。この力の限り、わたしはここにとどまり、愛するそなたらのために力を尽くそう」 そして苦痛のあまり短い間をおいて続けた。 「だがいつまでだ? 永遠には生きられぬ。百年はおろか、十年、一年、あるいはひと月すらこの腐った体を引きずって生きられるかどうかわからぬ。事態が変わるまで…変わることがあるとすればだが…何年かかるかしらぬがそれまでは到底もたぬ。おお、この身を苛む業苦よりも、そのことがわたしを苦しめる。わたしはいつまで生きればよい」 バルキスは泣き伏し、ヴォードワンの生涯のうち残された一日がまたしても終わった。その一日のうちにも帝国の軍勢は恐るべき王女ジンニーアの指揮のもとに一歩また一歩と着実に前進しているのだった。 - - 2008年01月08日(火) 脱ぎ捨てられた鎧兜は水盤の脇に無造作に積まれ、王女は薄い衣装に身を包んだばかりで巨きな水盤のへりに長々と寝そべっていた。近づいてもこちらを振り返りもしないその様子に、アル・シムーンはいぶかしんで尋ねた。 「姫よ、どうなされた?」 ジンニーアはその問いには答えぬまま、右手をのばして澄んだ水を汲み、すぐまたその滴を獅子の水盤にこぼした。指の間から流れ落ちる水に夕日の最後の名残が斜めに輝き、その光は暮れ方の中庭を明るませた。長い沈黙の後にジンニーアは体を起こし、肩越し、アル・シムーンを見た。 「わたしの声は母上には聞こえぬ。よしんば聞こえたとして、この世の外の霧に包まれておわす母上は来てはくださらぬ。そうじゃ、母上はジンニーアのところへは来てはくださらぬ。これほど呼んでおるのに」 アル・シムーンはことここに至ってようやく気付いた。傾きかけた帝国をほとんど独力で立て直し、仇敵たり宿痾たるヴォードワンの王国をまさに海に掃き落とそうとしているこの傑出した王女、ほとんど神のごとく軍勢に君臨する将軍の、その業績とはまさにこの言葉であった。母を恋い慕う幼い娘の、その母を求める声であったのだ。理解は雷鳴のように閃きアル・シムーンを打ちのめした。愕然としてアル・シムーンは己が主上を見た。 「母上は来てはくださらぬ。仇をお討ちして差し上げても、父上さまにお願いして皇后の位を追悼して頂いても、母上はジンニーアのもとに来ては下さらぬ。母上は死んでしまわれたのだもの、来れぬが道理」 美貌の王女はすでに忠実な配下のいることを忘れたように、長い黄金の髪を垂らし、水面をのぞきこんで言葉をぽつぽつと落してゆく。アル・シムーンはなにかしらぞっとするものを背筋に覚えて、押し黙った。 「良い、わたしは試してみただけじゃ。仇をお討ちして差し上げたら? 高い位を頂いたら? わたしは試してみた。そして、駄目だとわかった。そうじゃ、母上は戻られぬ。いかようにしても戻られぬ。わたしが望み、母上が望まれても戻られぬ。ではわたしは言うだけじゃ。母上の死に責めのあるものはすべて死ねばよい。帝国は滅べばよい、その民は死ねばよい、軍勢は毀たれればよい、良きも悪しきも灰となるがよい。なべてのものは、母上の死を見過ごしたゆえに滅べばよい。この手にかかって滅べばよい」 ジンニーアは顔を上げた。蒼穹よりなお青い双眸の一瞥にあっても、アル・シムーンは身動きもならなかった。王女は声を上げて笑った。 「本気にしたか、愚かものよ」 違う、とアル・シムーンは答えたかったが、声のひとつも出はしなかった。舌は乾いて上あごにはりつき、恐るべき知識は世界に知らされるのを拒んだ。王女はこのうえなく本気だと、帝国はこれより滅ぶのだと、かれはこのとき知ったのだ。 - - 2008年01月05日(土) ジンニーアは、わたしから少し離れた岬に立っていた。それはほとんど垂直に海に落ち込んだ断崖の端で、恐ろしいほどの空間を隔てて波頭が灰色の岩々にたたきつけるのが見えた。海はその日青く、暗く、波は高かった。 わたしは彼女の名を呼んだが、海からの強い風が吹き攫って届かなかったのだろう。ジンニーアはただうつむいて、足の下の海を見下ろしていた。あたりは真昼で空気も澄んでいたが、彼女の横顔は乱れもつれた長い金髪に隠されてよくは見えなかった。彼女のものである戦乱の日々には属さぬ海を見据えて何を思っているのだろうかと私は訝った。 そのときだった。ジンニーアはふいに顔を上げ、その両手を上げた。それは祈りの仕草のようにも許しを乞うようにも見えた。どちらであったのかは知られない。次の瞬間に彼女の足元から岩壁が崩れ落ちた。それは大規模な崩壊で、ほとんど岬そのものが瞬時にして崩れ落ちたのだった。ジンニーアの両手が陽の光を浴びて白く輝き、つかのま崩れた地を知らぬ気に、ほっそりとした肢体が宙にあった。彼女がそのまま飛び去ったとしても驚かなかっただろう。だが瞬きひとつの間をおいて、彼女もまた星のように落ちていった。細い叫びのひとつも残しはしなかった。 私の傍らで、アル・シムーンが言った。 「大地もあれを支えられずに崩れ落ちた。あれの流した血はあまりに多すぎた。あれのなした悪はあまりに重すぎた」 そして泣いた。わたしは黙って泡立ち逆巻く海を見下ろしていた。それが私の知るジンニーアの最期だった。 アル・シムーンは頭を動かさず、ただ低い声で尋ねた。 「慈悲はないのか?」 ジンニーアは答えなかった。長いあいだ答えなかった。灰色の石からなる城壁の前に一列に並んだ男たちが片端から首を落とされ、その血しぶきがあがり、落ちた血がそれぞれに土に沁み入るまで、ジンニーアは答えなかった。そしてすべてが終わってしまうと、ゆっくりと振り返り、アル・シムーンを見据えた。 「わたしは戦いを知っておる。陣形と戦術を知っておる。進軍のときと敗走のとき、勝利と敗北、捕虜と処刑、死体を始末する焚きつけの蘆がらについても知っておる。だが、慈悲とな?」 言葉は奇妙にゆっくりと、ひとつひとつ明瞭に発音された。言い終えるとジンニーアはしばらく黙り、それから歩きだした。 「石に問え」 すれちがいざま言った、それが答えだった。黄金なす髪と蒼穹の瞳、世に類稀なる輝かしい美貌を備えた王女の、それが答えだった。 砦の一部屋の中央に置かれた将棋板の上を夕暮れの光がよぎっていた。 「七つの主要な都と、これらに付随する砦をやろう」 盤面の北側で、王ヴォードワンが言った。まだ若い王は瀬病に侵された顔を黒い布で覆っており、その声はくぐもっていた。 「それでは足りぬ」 答えたのは南側に座すジンニーアで、進めた駒は黒の女王。 「沿岸の三つの港も渡そう。真珠のごとき町だ」 「それでも足りぬ」 「富み栄える街道のエリコと、騎士の砦もやろう」 盤上の戦いは互角。あるいは王の優勢。だがその余の闘いはすでに決着がついていた。王ヴォードワンは敗者、敵たる帝国の王女ジンニーアは勝者。残っているのは王にとって分の悪すぎる駆け引きのみ。 「足りぬ」 は、と王は笑いを漏らし、指の欠けた手で王手をかけた。 「もう余の手には何も残っておらぬ」 「あるではないか」 ジンニーアは顔を上げた。薄い色の瞳は水のごとくに透き通り、王の顔の蔽いをも見通す気配であった。 「王都がある」 「それを失えば余の手には何も残らぬ」 「だがわたしは都が欲しい」 「われらに砂漠にさまよい出て、洞窟に住めと?」 「いいや、砂漠も洞窟もこちらにもらう」 ジンニーアは答え、黒の王を転ばせた。盤の勝負は彼女の敗北。王ヴォードワンは覆われた布の下からジンニーアを見据えた。 「そもそもの最初から交渉の余地などなかったのだな?」 「わたしは最初に誓った。おまえの王国をこの地上から海に掃き落とすと」 切り裂くようなまなざしは中空にはっしと打ち合った。火花の散るさまさえ見えるようだった。王女は言葉を続けた。 「おまえの王国を海に掃き落とすと。おまえの民を海に追い落とすと。そう、わたしは誓った。誓った以上はなさずばすまぬ」 王ヴォードワンは床几から立ち上がった。病と運命を背負った王は、その重さに耐えんとするごとくのろのろと立ち、そしてジンニーアを見た。 「してみせるがいい。けしてそうはさせぬから」 ジンニーアもまた立ち上がった。 「してみせるとも、友よ。だが、わたしにはそなたの首は落とせまいな。死をもたらすには病のほうが早かろう」 「それこそ余の嘆きだ、友よ。残してゆかねばならぬとは、我とわが王国を、滅びの運命のもとに残してゆかねばならぬとは!」 「だが運命とはそうしたものだ」 「まことに。だが今は別れを告げよう」 「再びは会うまい、行くがいい」 そして王ヴォードワンは立ち去り、ジンニーアは残った。 - - 2008年01月04日(金) エチオピアについてべんきょうするつもりで 図書館に行ったら、思わず「神々の世界」(Gハンコック著)を 借りてきてしまった。そして読み始めてしまった。 言い訳しておくと、「荒唐無稽」「エセ科学」が好きなわけではない。 わたしは彼が言及し、他の本ではあまり言及されない遺跡が好きなのだ。 それが本当に遺跡であるにしろ、そう見えるだけのものにしろ、 何かがこの地上にある(あった)ということを知るのはいいことだ。 とはいえ氷河期終焉に伴う海進によって最初の文明が破壊されたという この本の主張の骨子については面白かったと白状する。 ひとつには、それは十分にありうることだと思ったからだ。 地球的な気候変動によるものにしろ、また二酸化炭素排出に伴うにしろ 温暖化に伴う海の断続的な上昇と氷河湖の決壊による瞬間的な海面上昇は いずれも現実的な危機となっている程度に本当だ。 そして、海が前進するなら、沿岸好きの人間種族は波にのまれただろう。 居住地を移していったということかもしれず、カタストロフかもしれず またハンコック曰く未発見の古代文明かどうかはもちろん知らないが。 たとえば東京がある日、10�辰粒ぬ名緇困妨�舞われたとしよう。 わたしが住んでいるあたりなどは瞬く間に水没し破壊される。 そして崩れ残ったビルの谷間を無数の死骸が漂い流されるだろう。 その骸はおおむね波に衣服をはぎとられて裸体だろう。 大手町あたりなら、積み重なるように無数のビジネスマンの膨れた死骸が 浮き漂い流れ、あたりはものすごい腐敗臭が立ちこめるだろう。 多分に有毒物質の溶けた海は長らく魚さえ住まないだろうが、 烏やカモメたちはこうした餌を食べて生き延び、繁殖するかもしれない。 一部の死体は潮にのって流れ出し、どこかの入り江を埋め尽くして、 岬から見下ろす人の目をそむけさせるだろう。 在京テレビ局もまずもって沈むだろうが、まあほかにもいろいろある。 生き残った人と国がどこへ行くのかは知らないが、どこかへ行くだろう。 ツバルあたりは跡形もないだろうし、バングラデシュも沈むだろう。 文明はえらいこと後退し、宇宙進出もとりやめになるかもしれない。 難民でごったがえしたり、戦争が起きたり、そのほかいろいろあって、 まあ、たぶん、長いあいだ、その日は記憶されているだろう。 だが一万年してみると、そんなのはおとぎ話、神話に過ぎないとされる。 ここに私はいるのに、あの悲劇は確かにあったのに、なかったとされる。 奇特が学者が「あったんだよ」と言っても、「いつものヨタ話さ」という。 そんな昔に人類が月へ行ったことがあるって? 木星まで行ったって? 地球人口が60億人だった時代があったって? ありえないよそれは。 だって、エベレス島はそんなに広かない。 温暖化騒ぎと考え併せて、ふとそんな未来を考えてしまう。 つまりこれはこういう本だ。…ホントか? で。 わたしの結論を一言でいうと、「海は進む、好きなように進めばいい」か。 そうさ、みんな好きにすればいいんだ。 絶滅したっていいじゃないか。そうなったって太陽は上るさ。 - - 2008年01月03日(木) オアゾの丸善に寄ろうと早めに家を出たら …箱根駅伝とかちあった。 三越前で駒沢大を見かけ、そのあとはもうてんやわんや。 もみくちゃになるわ、曲りもならんで会社まで行ってしまうわ… へろへろになりながらたどりついた丸善には、 地球の歩き方(エチオピア・ケニア)がない。 聞けば3年も前の出版で、注文してもないかもしれないという。 しょうがないし、もう疲れていたので「ロンリー・プラネット」を買う。 言ってみれば「歩き方」の欧米版なのだが、だからつまり英語だ。 しょせんガイドブック程度の英語だから、難しいわけではないのだが その非常な詳細さと「歩き方」現状と引き比べて、 アフリカは欧米の観光地だと了解した次第である。 旅程を錬るのって楽しいなあ…。 ところでシルクロードはどうしたのかって? この時期の気温がマイナス20度なんですよ。 6、7月あたりにトライするわ。 - - 2008年01月02日(水) 日本酒の良いものに目がない 坂口安吾のことを最近、しばしば思い出す。 かれを、わたしはどれだけ好きだろう。 中原中也よりは深く、小林秀雄よりは浅く。 あのやぶれかぶれで、それでいて宝石のようなまなざしを思う。 やさしいということをつきつめると、性愛というものをつきつめると、 ああ確かにこんなふうになるよりほかない。そんなふうに思う。 男の愛情がほかのなんもかんもをはぎとられて、 道徳性なんて嘘なのだと気を吐いている。 肉体が触れて、そこにたとえようもない孤独が生じる。 こんなふうなセックスしかしたことがないなと思う。 快感とかいうよりさきに、早く終わらないかなと呟くような 別れるより先にふいに泣きたいような、ああそんな感じ。 日本酒の良いのを一升飲んで、酔っぱらって眠りたい。 詩百篇というわけにはいかぬにしろ。 あ、だめだ。もう酔っ払い。 - - 2008年01月01日(火) めでたくもなし 年が明けたら墓場への一里が半里。まあでもそんなの関係ねぇ。 …帝釈天に行ったら、小島よしおに会ってしまいましたよ。 これはなんのたたりだ? いや、おみくじは吉でしたがね。 それにしても生きるとは生きにくいことだな。 もういいかげん、いろんなことがいやになりつつある。 ああ、そうか。これは二日酔いだ。 坂口安吾の二日酔いよりゃマシだろう。 相変わらず、酒のセーブのできない人間だ、わたしは。 これはあれか、うっぷんか。なんかたまってるのか。 その可能性は大だな。 エチオピア行こう、ああもう帰ってきたくないな。 年明け早々、えらいぐちっぽくてすんません。 ひとつのことが頭の後のほうに引っかかっているんですよ。 つまりわたしはカモだったのか? ということ。 -
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