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終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2005年08月31日(水)

姉来襲につきホモ停止。

チェックリスト
・ホモ同人は隠したか
・ホモメモはディスクに入れてHDからは消したか
・ホモ履歴はクリアしたか
・ホモ友MSNは停止したか


オールOK。これよりステルス活動に入る。


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『宿命の交わる城』 1:地下牢にて―2 - 2005年08月30日(火)

 失われた右の眼球は痛みそのものと化したようだ。両手は背後に鉄の柱を抱くようにして鎖でつなぎあわされて倒れることすらままならない。マルチェロは痺れた体で身じろぎ、乾いた唇を舐めた。乾いた血の味ばかりだ、感じられるのは。見えるのは血の臭気に塗られた暗闇ばかりで。
「ジェズイー…?」
 かすれた声に応えはない。
「シュテルン…、イーノ?」
 そうして十二人の騎士の名を呼んだ。だが答えはない。そうだ、あるはずはない。一人ひとりが責めさいなまれて殺される姿を見たではないか。ジェズイーが生きながら首をもがれ、神の名を呼ぶシュテルンが臓腑を切り分けられ、命乞いをしてダニエルの靴さえ舐めたイーノが踏み殺され―。
「――」
 足元はぬるんでおぞましい音をたてる。流れた血が凝っているのだ。これは夢かと疑おうにも、苦痛がそれを許さなかった。だが現実かと問われれば、夢であると答えるほうがよほどつじつまがあってはいなかったか。
 三日より前ではなかった、彼らがアスカンタの王城を出立したのは。円柱城とそのほか王国内の主だった貴族の城を廻る表敬の旅は半月の予定だった。ジェズイーは騎士団の旗を掲げ、シュテルンは銀の団長旗を掲げて新たな聖堂騎士団長に付き従った。そして更にさかのぼることわずかに十日前には、マルチェロはサヴェッラのあの誇り高い大聖堂で団長の位を受けたのではなかったか。光と花と曇りなき栄光に取り囲まれて。
 いったいいかなる暗転が起きたのか。苦痛と絶望のなかで半ば麻痺して立ち尽くすマルチェロの左目に、かすかな光が映った。松明の光だ。そして耳には床を打つ堅い足音。のろのろと顔を向けた。
「約束通り、来たぞ。来てやったのだ」
 声は狂気に二重に響いている。揺らめく光の中で瞬きもしない顔はこの城の主のそれ。アスカンタ王国の古い城、かつては王の住まった見張りの塔、いまはただ円柱城と呼ばれる北辺の防塁の主人の。
「――ダニエル、貴様」
 光は壁際の死体を影もあらわに映し出す。床を覆う赤色の泥濘も。
「さあ、おまえの左目を食いにきたぞ、マルチェロ。げすめ。おまえは盲目のミミズだ。無様にのたうつがいい。死ぬまでにはまだ時間があるからな」
 刃が光った。マルチェロは手の鎖の鳴る音で、自分が震えていることを知った。


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果たして始まりました、衆院選挙。今日が公示です。告示じゃないぞ。
それにしても、先日、公開討論会に行ってきたのだが…

…政治家ってけっこう頭いいんだなー…。

いや、あたりまえつったら当たり前なんですが、
演説では同じことしか言わないんだよな、連中さ。
あらためて反対意見とぶっつかって、論点を深めていくと、
ちゃんと考えているということがこっちにもわかる。
あと、本人の考えなのか党の教本通りに話しているのかということも。
こういう活動はもっとガンガン広めるべきだと思った。

朝日の記者の捏造事件についても思うところはあるがまた後で。
めっちゃ眠いわ。


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『宿命の交わる城』 1:地下牢にて - 2005年08月29日(月)

「我らは屠殺される羊のように引かれて行く。
 くびきを外すことのできるものはない。
 ただこの意志よりほかは」
     『イェニ・チェリの進軍歌』より



 マルチェロは唇を噛んだ。もう、四方の壁につながれていた彼の部下、忠実な騎士たちの一人さえ生き残っているものはない。中央の柱に後ろ手に縛りつけられ、なすすべなく見ていた有様に嘘の入り込む余地などなかった。
「―さあ」
 ダニエルが言った。その上等な鹿皮のブーツは流れた血で赤く汚れている。その右手の優雅な刃は血と脂で汚れている。切っ先が欠けているのは頑強な剛の騎士ジェズイーの首の骨を苦労して断ち切ったせい。その際、騎士の上げた断末魔はまだ地下の拷問室に反響しているようだ。
「さあ、団長。薄汚い下衆め。今度はおまえだ。こいつらのように楽に死ねるとは思うなよ、おまえはその汚い足で上つ方の宮居を汚した。豚小屋にいればよかったものを、豚のくそにまみれていればよかったものを」
 それがその男の言葉だった。ダニエル、かつては聖堂騎士団長にも擬せられた優秀な、高邁な、そしてアスカンタ王家の血を引く円柱城の主人。
「おまえは狂人だ。殺人鬼だ」
 マルチェロは低い声でうなった。
「貴族といえども、聖堂騎士たちを殺してただですむと思うのか? 教会に破門され領民に見放され、野垂れ死ぬのがおちだ。愚か者め」
 言い募りながら、涙が頬を伝っていることにも気づかなかった。さんざんに殴打と足蹴りを受けてきしむ体の苦痛のためでも恐れのためでもなく、ただこの目の前に立つ背の高い貴族への怒りと、そして既に死んで沈黙した部下たちへの。
「黙れ」
 風を切る音とともに鋼が迫った。虹色に浮く脂が、凝りかけた血の濃淡が鮮明に見えるほど近く。狂気に暗い目はその向こうに。だがそのあとは。
「団長だと? おまえが団長だと? 尻を売って豚どもに取り入ったおまえが団長だと? 私生児が、娼婦の息子が? ばかな」
 繰言めいた言葉は悲鳴の反響の中に聞いた。視界は半ば赤く。痛みは。
「ばかな、ばかな、ばかな。俺だ、俺に決まっている」
 苦痛に痙攣する顔をつかまれる。振り払えない。生暖かい息が激痛そのものと化した眼球に触れる。切り裂かれた右眼に舌がめりこんできた。
「こんな悪党でも、血は赤いのか。そうか」
 ぐちゃぐちゃと音がする。流れるのは眼漿か血か。苦痛は脳を焼き、神経を麻痺させ、悲鳴に喉は嗄れて。
「明日は左目を食ってやる」
 意識はそこで途絶えた。


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- 2005年08月28日(日)

暗い夢の中で。暗い、暗い夢のなかで。
武部幹事長が言った。
「年金法の改悪」
ハァ?

…日曜討論の途中で寝ちゃったんだよ。で、途中でまた起きたんだ。
でも言ったよな、確かに言ったよなあ。改悪って。
しかも岡田代表あたりに突っ込まれてた。マヌケで大好きかも幹事長。




一部不穏当との忠告を頂いたので、前日組みエロ話は下ろします。よいしょ。


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- 2005年08月27日(土)

Calling...
弾幕のように雨が降る。
稲妻は火文字を暗い雲に書きつけて、
雷鳴は遠ざかる獣の気配。

ジンニーア、夕暮れにあなたは私をおとない、
一時とそこにいてはくれない。


(寂しい雨音を発見したのは人類の誰であったか)


アスファルトは雨にぬれ、
頭上に灰青色の雲が行く。
立ち戻る夕暮れの黄金に町は輝き、
この夏も行く。





そんで、煙草を再開した。


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- 2005年08月26日(金)

よいしょ。


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- 2005年08月25日(木)

 四声合唱が周囲を圧する。歌句はただひたすらに「主よ哀れみたまえ」、荘重に荘重に響きは重なる。バス、ソプラノ、テノールが次々と緊張感を漲らせながら現れ出て、全体がいよいよ激しく高まっていった。嵐のような力強さは数秒間にわたって轟き渡り、やがて自らの力に耐え切れなくなったよう不意に静まって、絹糸のごとき繊細な優美さに代わった。
 贅を凝らした劇場の桟敷席に座り、アンデルセンは黙って舞台を見下ろしていた。受難曲を聴いているのは正装の貴婦人に紳士たち。いつものくたびれたカソック姿の自分はどう見えるかなどとあらためて問いかけはしないが、それでも場違いだということは嫌というほど感じていた。上司の護衛という役回りがなければ顔を出す場所ではないことは確かだった。
 『護衛』。その上司は傍らで陶然と音楽に身を委ねて半ば目を閉じている。それだけならいいが、いつものように少し体を傾け、頭をアンデルセンの肩に預けている。指先は膝の上でかすかに動き、音の一つひとつに身内の深い部分をさらして身じろぐ。その様子は、常の様子とはほど遠いやわらかみを帯びている。親子ほども年齢の差があると思い知るのはこういう時だ。
 再生者がどのようにして往時の姿に留まろうとも、歳月は凝ってゆく。体力の衰えでも霞む目でもなく、ただ泥のような苦い重い倦怠となってまとわりつく。活力は尽きずとも、そうした重さはもうアンデルセンの背骨の上に重なっている。戦いのなかでは忘れられても、平時にはときに息が詰まるほどの重荷として迫ってくる。だがこの上司、若き司教、マクスウェル。
 この青年には歳月はまだ暗い影を落としていない。切れ者と呼ばれ、ときに恐れられながら、この司教はまだ若い。その信仰も、その心も、傷つきうる柔らかさを失っていない。それはあるいは弱みかもしれず、やがては滅びの基ともなるかもしれないものではあったが。だが、だからこそ強く、だからこそ鋭く、だからこそ―愛情さえ抱く。そうだ、愛情さえ。
「――」
 アンデルセンは手を伸ばした。音を数えるマクスウェルの手を取る。驚いたように青い目が開くのを見下ろしながら、捕えた手を引き寄せた。手袋をしたその指に口付けする。そして祈った。声にも出さずに。
 キリエ、エレイソン。主よ哀れみたまえ、と。


「ヘルシング」アンデルセンとマクスウェル。狂信者二人。ビミョー…


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- 2005年08月24日(水)

 痛みは内臓からくる。毒はまだしばらく抜けそうもなかった。マルチェロは寝台に横たわり、短い息をしながら暗い天井を見上げていた。まだ夜だ。まだ夜だが、あと一時間もすれば早朝の祈りのために誰かが呼びに来るはずだった。できればそれまでに、それまでに旧に復さなければならない。
 体は毒を排出しようとして滝のように汗を流している。痺れた腕を伸ばして枕元の水差しを引き寄せ、最後に残った水を喉に流し込んだ。冷たい液体が喉を潤して、体の奥に流れ込んでゆく。ふっと意識が途切れた。
 毒は夕餉に入っていた。修道士と同じ野菜とソーセージの切れ端の浮かぶスープと黒パン、わずかばかりのバター、薄めたワイン。スープを匙に半ばばかりもすすったところで嫌な苦味に気づいた。ひっそりと周囲を見渡したが、異常を訴えているものはほかにいない。それ以上は口にせず、不自然でない程度に早く食卓を立って部屋へ向かった。
 “効果”が始まったのは階段を上っている最中だ。体中に激痛が走って、目の前が白んだ。思わず手すりを握り締めながらも歩調を崩さず個室に入り戸を立てたが、それが限界だった。喉に指を突き入れ部屋の隅の手桶に腹の中のものをすべて吐き出したが、痛みは切れぬ。悲鳴を奥歯ですりつぶし、痙攣する腕と足を引きずって寝台に這いこんだ。そして。
 そして、夜は短い気絶と呪詛と苦痛のうちに過ぎ去ろうとしている。
「――呪われろ」
 マルチェロは呻いた。もう何度その言葉を口にしたことか。もしこの夜を生き延びたなら、下手人も黒幕もまとめて殺してやると、その殺し方を考えて苦痛に耐えたようなものだ。呪詛、呪詛に次ぐ呪詛。だが救いを求めることはしなかった。そうだ、毒を盛られたということ、こんな弱みを、誰にも知られてはならなかった。誰にも、誰にもだ。修道士たちにも、部下たる騎士たちにも、側近にも、――院長にも。
「……」
 立ち戻った痛みに、マルチェロは奥歯を噛んで、敷布に額を押し付ける。弱さを見せれば騎士たちには侮りが生まれるだろう。修道士たちにも。ただでさえ庶出の団長などというものに内心軽蔑を抱いている連中だ。断じて、断じて知られてはならなかった。だが側近たちは? 限りない敬慕を抱いてマルチェロ一人に従うものたち。
(側近とな)
 痛みの最中にマルチェロは笑った。奴らが敬慕を抱き、憧れを抱き、付き従うのは“神のごとき”“技に優れ意志強く理知限りなき”団長だ。毒を盛られて無様にのたうつ姿など見せてみろ、いつか寝首をかかれる。
 それでは、と問うものがある。院長はどうだ。あの限りなく慈しみ深い、温和な“父”は。マルチェロはこの問いに答えない。ただ強く思うだけだ。あの方を、老いて細いあのやさしい手を、もろい心臓を、私などのために、こんな汚れた魂のために、震わせてはならぬ。私にはその値打ちがない。
 それでは。
 問いは稲妻のようだ。マルチェロは目を見開いた。恐ろしいものを見たように、それとも見失いかけたなにかを探すように視線が泳ぎ、鼓動が乱れる。このときばかりは毒のせいではなしに。
 それでは、神、は。
 低い呻きを漏らした。喉が震える。聞こえぬように、けっして誰にも聞こえぬように。わけてもその名の主には。それでもかすかに痛みが薄らぐ心地がした。だがそれは錯覚だ。錯覚に過ぎない。神は沈黙を守り、救いなどもたらさないことは知っている。知っているはずではないか。
「―…」
 漏れかかる声を押しつぶして身じろげば、頬にひやりとした感覚が流れ、視界がゆがむ。胸元に手を伸ばして、金の輪をつかんだ。
「――」
 殺しつくした祈りの代わりに、涙はいくらも流れた。


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ネタにしました。悔しいから。グフフ


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- 2005年08月23日(火)

生理痛が…(涙)

仕事したいのに、
仕事しなきゃいけないのに、
…身動きすんのも辛い。

なんだこれは!
取っちまうぞ!


そういうわけで、今日はまったくなにもできなかった。
したい仕事も、読みたい本も、書きたい話も、たくさんあるのに…。
ネタにもなりませんヨ、ええ。はい。


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- 2005年08月22日(月)

よーやくスクランブルが一段落ついたと思ったら、
ルーティンが山のようにたまってる。…ギャー!!
本を読んでないよ!読みたい本いっぱいあるのに!


・「脳の中の幽霊、ふたたび」(V・S・ラマチャンドラン著)
前作の「脳の中の幽霊」とはちょっと違って、講義録形式。
前作の方が中身は濃いのだが、やっぱインド人すごいよ!
…というか、「よく考えることとよく表現すること」が
すばらしく一致している。

中でも興味深いのは共感覚とメタファの関係だ。
形と音というまったく異なったものに対して、
「尖った」という形容詞はなぜに使用しうるか。
しかも多くの言語において共通性を持っているか。
人間の感覚というもの、感情というものを、
極めて簡素で美しい形に還元してゆける可能性があることを示す。


・「生命最初の三十億年」(アンドルー・H・ノール著)
ウイルス!ウイルス進化論!遺伝子の平衡移動ゥ!?
いや、メーンはそれじゃないんだけど…衝撃的ですね。
われらみなキメラ説。どこまでは「私」かと問うことの無意味さ。
DNAという極限的な自己同定のものさしをえたことで、
我らはみんな、個体や個性というものが無意味になった。

というのは実際、極端な話で…
人間はオランウータンとかに比べて、遺伝子が極めて均質らしい。
これは、ウイルスによる遺伝子の「持ち込み」を排除する能力と、
なんらかの関係があるのかしら。どうだろう。

わたし、あの樹木、生命の系統樹が灰色に霧散する夢を見た。
ブラウン運動を繰り広げる分子のように、そこでは生命の概念は豊かに
幸福に、また混沌となって揺れ動いていた。


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- 2005年08月21日(日)

もふ…もふもふゥッ!!!

別に気が狂ったわけではない。いやそれはもともとだ。
「皇帝ペンギン」(リュック・ジャケ監督)のパンフを見たのだ。
もふもふだ…もふもふだよう雛ペンギン…ッ!!!
こんなかわいい子供のためなら三ヶ月くらい絶食してみせる。
ああ、ペンギンを生みたい。(生んでみろ)


それで、国会議員の意味というものについて真剣に考えようと思った。
・立法機関に資する有為な人材
・地元の代表
もちろん、両方フツーにできりゃいいんだろうが、実際そうはいかない。
たとえば私が投票する権利のある栃木一区についていうと、
民主(現職)の候補者は医者でインテリでそれなりに実績もあげてる。
自民(現職)はあんまり頭がよくなさそうだが地元への貢献は図抜けてる。
で、どっちをとるかという話になっているわけだ。

…どっちとればいいんだろうねえ。
国が今の補助金政策をあらためない限りは、後者だと思うよ。
前者はある程度、官僚や有識者でカバーできちゃうもの。
地元の代表として、地元に利益をほんとに親身になって引っ張れる、
そういう人が、よしあしはともかく選ばれるのは普通じゃないかな。
でもその場合でも民主(現職)には比例で引っかかってほしいな…。


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- 2005年08月20日(土)

NHKで放映されていた「アウシュビッツ」(BBC製作)を見た。
怖かった。怖かったが、これ、見なきゃいかんだろうということで。
でも怖かったよ。人間の悪。ああ人間の悪。なんてこった。

たとえば死が、たとえば悪が、たとえば憎悪が、
ああそれは種子だ。あそこは悪魔の持ち場だったに違いない。
そこで創っていたのは神の死だ。神はそれとも隠れていますのか。
そんな神はどんな神だ。あの死体、死体、死体。

「夜と霧」

あそこは種子だ。生み出された悪がはびこっている。

「百万人もの死をたった一人の死でつぐなうことなどできない」
所長ルドルフ・ヘスの絞首刑を見届けたポーランド人はいった。
だがそれはひるがえればこういうことではなかったか。

これだけの、この凄まじい、この見渡す限りの悪を、
あの人、あの十字架の上で死んだひと、イエス・キリストの、
そのたった一つの命であがなうことなどできはしない、と。


そしてまた元親衛隊員はいう。
「いつまでも過去に囚われ許しを乞い、一生施しで生きねばならないのか。
 やり直す機会はないのか」
信仰の不可能性がそこに生まれたのだ。



神の血による救済もなく、
その前に一切を投げ出す悔恨によって贖う救いもなく、
だからあそこは、あの場所は、現代のゴルゴダではないのか。
神がこんどこそ死んだ場所ではないのか。魂の存在への確信が。


だめだ、泣きそうだ。
なんて怖い。

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 ウォルターは糸を巻く。鋼鉄の糸を巻く。かつて人間だったものの滅びを巻き取ってゆく。血と肉が絡まって化け物たちの悲鳴は指の動きに連動して高く響きまた低く響く。
 ウォルターは考える。こいつらは人間でいることに耐えられなかったのだろうかと考える。それとも人間であろうとし人間であり続けようとしてその敷居を踏み越えたのだろうかと。
 そして思う。どちらであっても関わりのないことだ。
「さあ血を流し殺そう、おまえら死者の
「埋葬のため、鎮魂のため、忘却に資するため
「夜の杯は傾き倒れ時至り――ぬ」
 声は切れ切れに聞こえる。目の前で突撃してくる屍食鬼どもの頭が割れ胴が裂け内臓がぶちまけられて悲鳴が流れ出す。妙だとウォルターは思った。これは本当ではないようだ。なにもかも遠ざかり揺らいで。
 そして目を覚ました。辺りは暗かったが、周囲の様子はよくわかった。それで自分がどこにいるのかまたどうしてそこにいるのかがわかった。右手を顔の前に寄せる。承知しているよりも若い手、強い手だ。それならこのことにも多少は余禄があるようだ。この、ことにも。
 ウォルターは、自分が死んだということを自覚した。なにになったのかも。呼吸もその必要はなく心臓は鼓動せず温度はない。わたしは、とウォルターは考えた。人間でいるには弱すぎたわけではない、人間でいることに固執しもしなかった。老いも衰えもやがては来るべき死も楽しむジョン・ブルの自負に賭けて。にもかかわらずわたしはもはや人ではない。
(――滅ぼすか)
 静かに呟く声もなく。どのように殺せばよいかは熟知している。そのわざも。鋼の糸を捜してもよいが、もっと簡単な方法もいくらでもある。たとえば頑強さを逆手にとって自ら杭を心臓に突き立てても良い。高みから飛び降りて粉々になることも朝日の中に歩み出ることもできる。
 ウォルターは右手を動かし自分が寝かされている寝台を掴んだ。体を起こせば、かけられていただけの屍衣が落ちて、裸の体がむき出される。そのときようやくなにかが身近にあること、すぐ身近にあることに気づいた。
ぎこちなく顔を向ければ、傍らに立っているものが見えた。
 長身の軍服姿。軍帽の下からこちらを見る目。赤い目だ。ウォルターを殺した男、「最後の大隊」にあって大尉と呼ばれる寡黙な男だ。その手袋をした手が伸びてきた。頬に触れる。
 最初に考えたのは温度のことだ。吸血鬼にも吸血鬼の温度がある。死体であれ一定の温度であるのは生身の「物体」であればこそ当然だがそういうことではない。気配ともなにともつかないものが触れられているところから伝わってきた。死ぬということ人外の存在となるということは、そのようなことだった。ウォルターは顔を上げた。沈黙の悪鬼はそこにいる。
「奇妙なことだ。奇妙なことだ――」
 ウォルターは囁いた。声はかすれている。まだ死んだ体を動かすのに慣れていないせいだ。舌やもう用をなさなくなった呼吸の器官が重い。
「――おまえがわたしを殺し、
「しかも私はこうしておまえを見ている」
 いま静かに頬に触れる指が、そのとき肋骨を貫き肺を破り心臓を掴んでウォルターを殺した。悲鳴も出せぬ痛みと目前の死の黒さはまざまざと脳裏に立ち返り、だが憎しみやそれに類する感情はない。
「わたしの心臓とともにわたしは死に、
「わたしの死を悼むべき心も死んだ」
 大尉は無言でその指を喉元につたわせ、そこにあるいくらかの傷跡を示した。つまりそれがウォルターのくびきだ。その死のあとも地上に縛り付ける。
「死者に義務があろうか、誇りがあろうか、なすべき務めがあろうか。
「死はわたしの上で勝ち誇り、生は過ぎ去った炎のごとく見当たらぬ。
「まさにわたしは生きた屍、歩む幻に過ぎない」
 大尉は、笑いもしなければ答えもしなかった。冷え冷えとした死者の温度はウォルターの上に静かに静かに染み入っていった。





ヘルシング、大尉に殺され改造され復活した直後の執事(すでにネタバレ)


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- 2005年08月19日(金)

駒大苫小牧(南北海道)が…。
マジで連覇するかもしれん。57年ぶり…夏連覇…?(くらり)

しかしアレだ、諦めることを知らないこの魂の群ときたら!
大阪桐蔭(大阪)の左腕・辻内、スラッガー・平田らにも拍手を贈ろう。
序盤の五点差をひっくりかえし、延長戦に持ち込むなんて、
ああそんなのは、こんな日差しの中でなければ、本当とは思えないことだ。

決勝戦、見に行きたいなあ…。行けないなあ…。


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- 2005年08月17日(水)

私の頭の中はモツ鍋のようだ。
ぐだぐだとくだらぬものが煮え立っている。
しかもそのひとつとして重要でも真実でもないときている!

系統発生が時系列に対して垂直方向に遺伝子を運び、
ウイルスが水平方向に遺伝子を運び、
平衡進化が蔓延り広がりドーキンスが憤慨しようとも、
人間などというのは動物だということに変わりない!

なんでこんなことに怒っているのだ!




「こうしてこうすりゃこうなると、知りつつこうしてこうなった」


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- 2005年08月16日(火)

「郵政解散」か、「小泉解散」か。

1:今度の選挙結果予想。

自民→+公明で過半数維持、ただし議席数は大幅減。
民主→大幅に議席伸ばすも、政権奪取に至らず。
公明→自民のおんぶして与党維持。
共産→現状維持、底固い。
社民→消滅(マジ)。
新党?→小泉引退後に自民に復帰、もしくは五月雨式に復帰。



2:この解散、総選挙の意味。

 小泉自民としては、郵政民営化を改革の本丸と位置づけ、これまで行ってきた構造改革そのものの意義を問う、としたいところだろう。これに対して岡田民主は郵政民営化の重要性に疑問を呈し、「もっと大事なものがあるのに、そんなアホなことで解散しやがる小泉はアホ」という主張のもとに政権を取りに行っているわけだ。大雑把に要約すると。

 小泉の勝算は、たった一つだ。世論を味方につけること。つまり身内の争いであり自分たちが改革の本流であると有権者にアピールして、野党を「その他」のカテゴリーに押し込めることができるかどうかにかかっている。これに対して民主は「もっと大事なものがある」という主張を、自民の刺客騒動という派手な話題に負けずに押し出し、かつ自分たちが改革の本流であると有権者に信じさせねばならないわけだ。大雑把に要約すると。


3:私の見るところの情勢。

 本当に小泉は運が強いと思った。「地震」のことである。
 地震について思い致すたびに、苦々しいのは社民党政権のマユゲである。あのマユゲが阪神大震災のときに自衛隊の出動をためらいさえしなければ、あんなにたくさんの人が死ぬことはなかった!
 これについては西日本ならずとも多くの人が無意識に回想するところだろう。そしてまた昨年の中越地震のさいの小泉の迅速な対応もともに回想されるのではないか。そして無意識のレベルで問い返す。「社民の流れを引く民主に政権を任せていいものか?」そういうことだ。

 しかし冷静に見るなら、刺客騒動が茶番にすぎないことはすぐわかる。自民党というのは、まず党ありきの集団ではない。彼らは自ら地盤を持ち、地元に縁故を持ち、しかる後に自民党なのである。
 刺客候補たちは、自民の公認はなるほど得るだろうが、しかしけっして地元の指示を得ることはできないだろう。そして当選することも。あ、都市部は除く。東京とかは無党派層が多いから、当選する可能性は高い。

 マスコミは完全に、自民VS自民内反対派という構造で報道している。これについては投開票日まで変わらないだろう。新党結成とかいってるしね。だから民主党は過半数は取れないだろうし、岡田さんはクビだ。しかし確実にある種の人々はイヤケがさすだろうし、そういう人の票で民主は議席を伸ばすことは伸ばすだろう。まあ、多分ね。


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- 2005年08月15日(月)

 私は炎のさなかに立っていた。町の目抜き通りの両側に立ち並ぶ二階建てのビルは燃えて、窓から火を噴いている。窓という窓は、まるでそのためだけに最初から作られたようだった。通りの端に二十メートルおきに掘られた塹壕が何の役にも立たないことは明らかだった。
 十メートルばかり先に立っていた少尉が振り返った。振り返ってなにか言った。だが私にはもう聞こえなかった。炎は高く、曇天は赤く、照明弾は次から次へと明るく白く弾けてゆらゆらと空の高みから落ちつつ私たちを照らした。爆撃機の姿は見えず、だが天はエンジン音に近く遠く満ちていた。
 私たちは急がなかった。四囲はすでに炎に包まれて、逃げ道などなかったからだ。ただ、ここにいてはいつ焼夷弾が降ってくるか知れないというので、仕方なしに歩いていた。
 不思議なことに雨は止んでいた。後に知ったことだが、こういうことはたまたまあるらしい。つまり熱気は渦を巻いて天に上ってゆくから、炎の中心部の上空だけ雲が切れて雨が止むというのだ。だがそのときは、そんなことを知るはずもなかった。そんなことは考えもしなかった。
 私たちは騒がなかった。私と少尉は歩いていった。あとどれだけ歩くことができるのだろうと考えながら。もう十歩か、百歩か、それともさっきの一歩で終わりかと。上から一束の焼夷弾が落ちてくればそれで終わりだった。
 だが結局、私の周囲に爆弾は落ちなかったし、私は町の北部の山の横腹に深く掘られた防空壕にたどりついた。狭苦しい防空壕のひといきれのなかにまぎれこんで、膝を抱えたまま私は眠り、翌朝早くに目を覚ました。暗がりに出口からわずかばかりの光が射して、人々は黙々と外へ這い出していた。
 私もまた、痛みこわばる手足をひきずって、壕の外に出た。そこではじめて私は自分がたった一人であること、少尉とはぐれたことを知った。どこではぐれたものだか見当もつかなかった。前夜のことは悪い夢のようで、ただそれが本当のことだったというのは、駅のほうまですっかり見渡せるほど何もなくなった町が、焼け野原が、瓦礫の野が、ただそうと知らせた。
 それきり私は少尉に会わなかった。だがときたま、ほんとうにときたま、夢に見ることがあった。目抜き通りに立っている少尉の夢だった。しかし私が戻ったときには、その場所には焼夷弾が落ちたとおぼしい焼けた土の窪みがあるだけだった。それ以来、少尉の消息を聞いたことがない。
 それで、あれからもう、六十年になる。


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- 2005年08月14日(日)

愛工大名電(愛知)に次いで、済美(愛媛)まで…。
清峰(長崎)ってナニモノ…?

甲子園が面白い。
春のつまーんなさがウソのようだ。
ほんとにまったくマジ?

清峰(長崎)って公立ですねェ。うっそ…。
スポーツ推薦もない? 春夏通して初出場?
炭鉱の町で過疎が進んでる?
…ぼーぜんだわ…。
っつか、古川、いい投手だな!

大阪桐蔭(大阪)はまあ、本命中の本命だわね。
大会ナンバーワン左腕の呼び声高い辻内は元気に毎回150キロオーバー。
あのスライダー打てない。高校生相手はサギだわ…。
控え投手の中田も140キロ後半出るしな…。
打線は…。打線も高校生相手はサギだな…。

駒大苫小牧(南北海道)。
サイクルヒットの林くんが主将か。感慨深いなあ。
投手は、ああ、松橋くんか!あのノーコン超速球…。
制球力はついたのか…?


優勝するのはどこだろう。
彼ら、まだ負けたことのない子供たち。
ここまでくると情熱だけじゃなくて技術もけっこういけるから、
楽しみも倍増だ。甲子園行けないけどな…。行きたいな…。


済美(愛媛)の福井投手はものごっつい生意気で、
去年、決勝で負けたときは、すんごい悔しそうだったものなあ。
しかしあのワルガキが、成長したもんだ(ほろり)
どこまでも行け、君はどこまでも行ける。


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- 2005年08月13日(土)

人間世界に戻るのやだなあ。やだなあ。やだなあ。
竜のまましばらく穴倉で寝転んでいたい。ペンギン食いながら。

8月13日 たっちゃんの日記
 竜になってラニニナのボボンにはいこんだら、ブキキナのフカカラがトニニしていた。困ったが、エキララしてブーニしたら、ガナナした。
 それで居心地がよくなったので、ファヒヒしてサーザして寝た。ところがザガニごろに南極からペンギンのグリトニーが遊びに来たので、起きだして尻尾を丸めて一緒に話をした。でもそのうち還らなきゃいけないと言い出したので、仕方がないから途中まで送っていってやった。そんでまた寝た。
 人間なんてだいっきらいだ。明日はバララするつもりだ。




Calling......
あなたに会いたい、ジンニーア。
一枚のはがきがまいこんで、私は久しくなかったほど落ち込んでいる。
夏をつっきり、日本列島をつっきり、あなたに会いたい。
この腕が地平線に届かないことを、私はひどくもどかしく感じている。


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- 2005年08月12日(金)

焼夷弾は踊るように寄りまた離れ、風のさなかを落ちてゆく。
風の途中に紡錘形が割れて悪魔の赤子たちが長くまた細く姿を現し、

消えてゆく、都市へ空の底へ隠れ炎を運んでゆく。

ダンシング、都市は燃える炎は落ちる広がる黒煙は巨きな樹のよう。
ねじくれた黒い枝か葉か、死はたわわに実り、
だが地獄絵図は遠すぎる。悲鳴は風に消えて届かない。

パイロットは翼を返す、なにごともなく遅いランチのために。

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8月8日
郵政解散にあたって、各紙一面には政治部長の名入りの記事が入った。
簡単に独断偏向比較してみたい。

【朝日】評価:C
見出し:「小泉自民の統治力問う」

自民の「統治力」というよくわからないものに主題をおいている。
しかしここであらわされるのは国家に対する統治力ではなく、
単に「党内政治」における統治力である。

郵政解散という前代未聞の出来事を問うのに、
こんなみょーちきりんな切り口もないものである。
小泉の党内政治力、党内統治力のお粗末さは確かに解散の原因だったが、
しかしこの解散の「意味」については少しも切り込んでいない。
なんでこんなバカみたいな文章のっけたもんだか。


【読売】評価:B+
見出し:「あえて『小泉解散』を歓迎する」

郵政民営化=小泉改革と位置づけ、
この解散が問うのは郵政民営化法案のみならず小泉の行ってきた
改革路線そのものであるとする主張である。

分裂選挙、政権交代もありうるとしながら、
それでも靖国も含めて小泉のやってきたことに対して
国民が直接意見を表明するえがたい機会であるとする見方は迫力があり、
説得力もある。


【日経】評価:B
見出し:「問われる構造改革路線」

ほぼ同上。
ただしより小泉に対して好意的で、改革の旗手とみる向きである。
経済界(郵政民営化に賛成)の小泉に対する期待の大きさと、
改革路線にかけているという姿勢が明らかだ。

うさんくささもまたそこにある。
彼らは経済の上で小泉に多くを期待している。
彼らが小泉を推しているということがちょっとわかりすぎる。


【共同】評価:A
見出し:「統治能力喪失し暴走」「政界再編『最終章』開幕か」

読売・日経に比べれば客観的でバランスが取れている。
小泉にとっては「改革路線を国民に問う」選挙だが、
国民は郵政民営化を喫緊の課題とは思わず、むしろ批判が集まるのではと、
それに乗じて民主は議席を伸ばすのではと、そういう見方を示している。

説得力がある。
小泉の考える選挙と国民のみる選挙のあいだにある亀裂、
小泉にとっては争点あっての選挙だが、
国民にとっては首をかしげる選挙だという、そのへんがわかりやすい。


【産経】評価:C−
見出し:「本当の『改革の旗手』は誰か」

…はっきりしないんだよね。
言いたいことがわからない。
いつもの小泉ダイスキ路線になりきれず、
かといって反対派にもなりきれないような、ものすごいどっちつかず。


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- 2005年08月11日(木)

彼らはただ「いきます」とだけ言って、
「いってまいります」とは言いませんでした。


栃木県那須塩原市にあった埼玉飛行場(別称、西那須野飛行場)は、
最後の特攻隊が編成された基地として知られる。
上記の文章は、当時を知る人々の回想だ。

帰らぬことを知り、それでもただ行く。
それも十八やそこらの少年たちが。
わたしは特攻隊を美談とするつもりはない。
中島飛行機の技術者たちが自らを戒めた言葉の苦渋を私は知る。


(われわれは確かに刻苦精励して技術の粋を尽くした飛行機を生み出した。
 それは祖国のためと信じ、心を傾けて行ったことである。
 しかしその飛行機があたら若い命を奪ったのも事実である。
 だから我らは我らの技術も努力も誇るまい、云々)


だがこの悲しさ。
白球を追っていればいい年頃に、国体のためにと信じて死んだ子供たち。
そしてまた、人を殺すために死んだ子供たち。
めまいすらおぼえる。めまいすら。
この夏の空のもとに、その日はやはりめぐった。

夕立に先んじて、一群の飛行機は飛び立った。
迫りつつある暗い雨雲の彼方にある黄金の日没を、彼らは見たであろうか。

そしていま!


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- 2005年08月10日(水)

「HELLSING」(平野耕太、少年画報社)にやられた。
前にも読んだことはあったのだが、最新の7巻にやられた。
死神ウォルター…反則だ!反則だ!オマイガッ!
いや、少年時代が1コマだけ出てきた4巻でもかーなり反則だったんだが、
7巻はそれよりはるかにキテレツに反則だ!

有名な少佐の演説をはじめとして、
きわめて音律の良いセリフ回しが特徴のマンガなんだ。
このセリフ回しは、どっちかというと私が目標としているものに近い。
方向はかなりの程度、逆であるが。
ちなみにDQ8では、この意味で「祈り」が最も上出来だと思う。

音律。

わたしはリズムや音感を持たないが、音律は理解する。
言葉そのものが命を持ち牙を持ち、読むべき間合いを決定するような。
散文のさなかにあって黄金のごとく立ち現れて。

しかしウォルターに関してはそのへんまるきり別だな。
彼のやがて発するべき言葉に興味がある。
あるいは彼がそれであるところの言葉に。


「部屋の隅でガタガタ震えて命ごいをする心の準備はOK?」

OKっす、マイ・ディア・バトラー!(殺されそうですな)


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- 2005年08月08日(月)

 顔をあげて、彼を見上げた。よほど大きな体格で、しかも筋肉の発達した肢体は見ほれるほど美しい男のもので、だから私は言わずにおれなかった。
「ねえ」
 彼は私を見た。けげんそうにではない。大きな動物、狩人を恐れるもののないほどに大きな動物のような、限りなく穏やかな忍耐強い目で。
「あなたくらい大きいひとになら、わたしも女の子のように見えるかしら」
 かろうじて茶化してはいたが、それはかなりのところ、本心であった。あるいは私が自分自身から遠ざけていた本心なのであった。わたしは子供のころからひとより大柄であったし、いまでもそうだ。だから。
「見えるよ」
 彼は言った。それが結局、わたしの恋の始まりの合図となった。


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実話ではない(笑)
アルデバランが大好きだった。
セントバーナードを飼いたがった。
そういう子供だったから、まあ、自分が恋をする場合その1ってことで。


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- 2005年08月07日(日)

「今の日本には、自民党と対決できるしっかりした野党が必要だ」
(7日、NHK日曜討論にて、日本共産党志井委員長)

共産党の現在の政治的重要性というのは、
確かに野党として、政権の監視だ。
国民の一票を求めるのに「政権を監視します」というのもアリだろう。
そうした機能を自民党はけっして果たせないし、
同じ穴のムジナの民主もまた果たせないのだから。

実際問題、国会のみならず、勉強熱心なのは共産党の議員だ。
彼らは「お目付け役」以外の機能が自分たちにとって現実的でないと、
それをきっちりわかっているから、理想論で動ける。
理想論で動いている。

しかし、考えてみてほしい。
共産党はもともと「日本支部」である。
政権を奪取して日本の国体を作り変えることが目標だったはずである。
「お目付け役」に甘んじるということを、
トップの志井さん自ら言うのはいかがなもんだ。
昔からの党員はきっとショックを受けただろう。

いや、ウォッチングしてるわけではないからなんとも言わない。

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甲子園は、栃木県代表・宇都宮南が3−14のボロ負けで初戦敗退。
辛いなあ、辛いなあ。
いいチームなんだけどなあ。辛いなあ。

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 カランシアは目を開いた。夢を見ていたと思う。頭の中にはひとつの言葉が残っていた。だがそれすら明確でない。意味はわかっていると思うのだが口にすることはできずそれとつかみきることもできない。だが大切な言葉なのだ。そのはずなのだ。もどかしいようないらだたしいような苦い思いに、カランシアはきつく眉を寄せた。
 ふと気づくと部屋が明るい。だが体に感じる大気の温度は今が真夜中だと告げる。ならその明るさは月光だろう。希薄な水のように月の光は大気に満ちていることだろう。その静けさをふいにひどく恋しいと思って、カランシアは重い体を寝台から引きはがすように起き上がった。足も手も他人のもののようだ。のろのろと立ち上がる。ふらつく膝に力を入れて冷たい床を踏んだ。一歩、また一歩。違う生き物になったように体が重く、動作がのろい。窓までの距離は無限に引き伸ばされたようにひどく遠かった。
「っ――」
 よろめいた拍子に肩をてひどく壁にぶつけ、カランシアはうめいた。踏みとどまろうとしてこらえきれず、ずるりと尻から床にすべり落ちる。床が冷たかった。体が熱いのかもしれなかった。青い月光を浴びればどれほど気持ちよかろうと思いながら、カランシアは床の上に転がった。なにかが恋しくどこか物狂おしく、長い眠りのせいか熱い体のせいか考えはまるで秋の木の葉のように散ってまとまらなかった。
「あ……――」
 なにか、欲しい。カランシアは体の奥に奇妙な疼きを感じて身をよじった。そうして、その正体に気づく。欲しい、のだ。――が。マグロールが出立してもう幾日になるのか、体がうずき、かゆみにも似た掻痒感を感じる。熱の波が体の表を走るようだ。その感覚はそれがなんであるかを明らかにするにつれて体の幾つかの部分に集中し始める。あらがうこともせず、カランシアはもどかしく指を伸ばして帯にかけた。
 細い帯だ。白絹の。子供のように乱暴に、幾度かしくじりながら、ほどいた。胸と腹にひやりとした大気の流れを感じ、それがまた熱の波をあおった。前をはだけて自身の肌に手と指を這わせた。滑らかな肌だった。布を大気をこそげ落とすように体を愛撫する。
 腹、胸――。胸先の柔らかさ、滑らかさ。乱暴に爪を立てると体の奥にまで熱の稲妻が走り、自然と腰が浮いた。指の間につまみ、つねりながらきつくすりつぶす。あごをのけぞらせ、踵を床にすりつけながら、もっと、と、喘いだ。
 もっとほしかった。こんなものではなかった。竪琴をかなでる指は、表皮が硬い。その力は強く、その吐息は熱い。竪琴をかきならすように強い調子で皮膚の上を走る指をなにより恋しく思った。強く抱かれてこすれあう皮膚のむこうに鼓動と一人分の熱の塊を感じたかった。むせびなきたいほどほしかった。いらだつままに熱の莢と化した自身を二つの手で包み、両足を広げる。乱暴に拙い愛撫を始めた。
 息はすぐに上がった。だが下手な奏者の奏でる竪琴のように熱は乱れるばかり。飢餓感ばかりが増してゆく。なぜあの男――兄、マグロールがここにいないのか。いらだたしく、腹立たしく、切なく、もどかしく、カランシアは身悶えた。体の奥もまたその熱を求めて猥らにうごめいている。腹ばい、野獣のように手足をついて内部に指を突き入れた。熱い。すでにただれたように濡れ、手荒くこすり上げられるのを乞うように熱を持っているのだ。腰を振りながら中をまさぐっても、物足りなさが際立つばかりだ。惑乱めいた狂おしさ。熱は高ぶり身もだえしながら、なおも開放されることがないのはなぜか。ついに疲れ果てカランシアは胎児のように体を丸めてむせび泣いた。夜明けは無限に遠いと思われた。



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- 2005年08月06日(土)

 “聖地”に激震走る―。

 高知県代表として6日から開幕する高校野球選手権に出場を予定していた明徳義塾高校が、大会直前の4日、出場辞退を表明した。夏の大会としては史上初めての事態を招いたのは、部員の喫煙と暴力行為だった。高野連は高知大会準優勝の高知高校に出場を打診し、すでに内諾を得ている。


 …これって、ネタ的に10年くらいは面白いと思う。
 明徳の部員は大学を卒業してノンプロとかプロに行くときにこの思い出を除いて話はできないだろう。彼らは「幻の甲子園球児」とか呼ばれ続ける。このネタの賞味期限は4、50年はある。日本人は判官びいきだ。
 一方、代替出場する高知高校の部員は、この大会で活躍すれば「奇跡の出場、奇跡の快進撃」とかって煽られるだろう。またぽしゃっと負けたって、彼らは二度の「終わり」を経験するのだ(3年生限定)。「奇跡の夏」は、必ず語り継がれることになる。まあ、10年くらいはね。

 明徳は8年連続の甲子園出場で、ということはそれだけ長いこと、高知県のほかのチームは甲子園から隔絶していたわけだ。だからこれは厚い壁に風穴が開いたように思えただろう。なんにせよ面白いことだ。

 だがこれは、苦渋の面白さだ。明徳に「非のない生徒もいるのに」というような月並みな言い方はしない。あってはならないことが起きるのは、あってはならないことを許す空気が蔓延しているときだけだからだ。彼らはすべて共犯者とはいわないまでも、ある種の非はあると私は考える。
 しかしすべての「非」を総計したとして、それで営々と重ねられてきた努力や練習がまったく無意味であるわけでもない。また輝かしい県大会の優勝の記憶や、その高揚や、一瞬一瞬の透き通った熱気が汚れるわけではない。
 また高野連は公正の神ではない。無名の投書は正義の声ではない。すべて思惑がある。明徳の部員と監督はすべて「非」があるが、同時に犠牲者でもある。わたしはかれらの涙と、あまりにも早い終わりに哀れみを感じる。

 ――おそらくは理に反するほど。


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- 2005年08月05日(金)

老い荒びたトルネード、飽くことを知らぬ挑戦者よ。
あなたは笑う、居所を探して転々とするあなたを哀れむ言葉を笑う。
あなたの言葉はこうだ。

「十年前に馬鹿みたいな高額の年棒を平然と捨てた俺、
 日本とその球界を軽々と見捨てた俺ではないか。
 ただひとつの夢のためだけに見捨てた俺ではないか。
 いまさら過去の栄光など、体面などに拘泥するものか」

風が走る。老い荒びたトルネード、あなたの腕の一振りに。
白球がうなる。ミットが鋭い音をたてる。
ああ、明るいグラウンドと芝の香りと。

そこにしかあなたがいないなら、
それだけが喜びであり苦しみであるなら、
それならあなたに恐れるものなどない。

あなたはおよそなにひとつ語らない。
あなたはひとつの文字であるからだ。
誰にも読み違えることを許さない、明るく確固たる文字であるからだ。


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- 2005年08月04日(木)

 首のない御仏がいくたりか、月下の廃寺に座していた。常夏の国の湿った夜の風は黒い石の仏たちのもと頭のあったあたりを吹き抜けていく。だがそれはすこしも陰惨ではなく、もはや形に縛られない仏たちは、のびやかに、おとのない言葉でひそやかに言い交わしている気配であった。

(となりの密林に……がやってきたとか)
(ほうほうそれで)

(こぼうずがひとり、いっしょうけんめいににげてきましたわい)

(ほっほっほ)



(はっはっは)





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見る夢さえジンニーア、おまえの方を向いている。


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- 2005年08月03日(水)

4:キノコバエ

 エアーコンディショナーに抱き合わせで設置された計測器は、基準よりもいくらか濃い有毒ガスが周囲に立ち込めていると告げていた。ビートルAを駐車場に止めて、私は助手席をのぞきこんだ。臨月を迎えた妻はうとうとと眠っている。東京を出て2時間になる。慣れない長旅に疲れたのだろう。
 妻を起こすのはやめて、私はガスマスクをつけて車を下りた。パーキングエリアの売店で、眠気覚ましのコーヒーを買うつもりだった。
『―この昆虫を見てください。きわめて小型のハエの仲間ですが、いっぷう変わった性質を備えています』
 PAの売店は完全に無人化されて、無愛想に並んだ自動販売機で飲み物と軽食が売られているばかりだ。落ち葉は扉の前にまたって腐り、客もなく、聞こえるのはテレビのアナウンサーの声と空気清浄機のうなりだけだ。私は自動販売機の一つのまえに立って、コインを投げ入れた。
『成虫のハエはある種のキノコに産卵します。生まれた幼虫はこのキノコを食べて成長しますが、食物が十分にあるうちは雌だけが生まれ、サナギや幼虫の段階で成長を止めて単為生殖を行います』
 私は壁の計測器が安全値を示しているのを確認してガスマスクを外した。自動販売機から出てきたコーヒーは風味も香りもないに等しかったが、このご時世にそんなものは求めるだけムダなことだった。地球という密閉された空間はいまやガス室に等しい。環境論者たちが唱えているような汚すだけ汚した人間への地球の復讐かどうかは知らないが、世界各地で数年前からあらゆる種類の有毒ガスの濃度が高まりはじめた。今では、日本を含めて世界のほとんどの地域でマスクなしで外に出るのは自殺行為に等しい。
『しかし、キノコが食べつくされ、食料が少なくなり、飢餓が進むと』
 私は黙って少しずつ黒い液体をすすりながらテレビを見た。どこかの国が全滅したとかガスマスクや食料をよこさなければ全世界に核攻撃をしかけると宣言したとか、そんなニュースをやっていないのは珍しいことだった。だがそれにしても、キノコだとかハエだとかその幼虫(つまりは蛆だ!)を画面に延々とな流すのはあまり視聴率につながることとも思えなかった。
『再び翅のある子を産み始めます。こうして新たな世代へ』
 空にした紙コップをくずいれに捨てて、私はガラス張りのドアの向こうを見た。広い駐車場には黄色いビートル一台きり止まっていない。あらゆるものが値上がりしている。とりわけガソリンは天井知らずの高値で、電車嫌いの妻のお産のために実家に戻るのでなければ、私だって車でこれだけの距離を走ろうとは思わなかった。
『それで、教授。このハエが世界中で起きつつある現象を解く鍵ですか』
 出費は二か月分の月給の高だが、神経質になっている身重の妻を満員電車に乗せるのはかわいそうだったし、妻の両親は待ちかねている。仕方がないと諦めた。それに、こんな機会でもなければ、愛車のビートルはほこりをかぶったまま車庫の奥で寝ているばかりなのだから。
 ビートルのフロントガラスの内側で、きらりと何かが光った。助手席だ。目をこらしたが妻の顔は見えない。代わって、車内の空間になにかがある。薄い飴色で、葉脈のようなすじが走っている。最初はすぼまっていたそれが見るうちに伸び広がった。私はぼんやりとさなぎからかえったばかりの蝶を思い出した。
『まだ仮説の段階です。人類は地球に誕生し、地球で進化したものと考えられています。しかし、これは、おそらく』
 黄色いビートルの内側で、それが振り返った。どことなく人間のおもかげを残した顔の中で複眼が輝いている。そのむこうに産褥をおえてぐったりとした妻の顔が見えた。私は立っていられなくなり、膝をついた。
『瀕死の地球を立ち去る人類の新たな世代が生まれつつあるのです。世界中でいっせいに』
 ガラスが粉々に砕けて、飴色の翅を持つ生き物が飛び立った。それはガスでかすんだ大気をどこまでも高く飛んでいって、やがて見えなくなった。

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1コナミドリムシ
2ミトコンドリア
3免疫
(いずれも2004年6月の日記に掲載)




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- 2005年08月02日(火)

頭がどんどん悪くなる気がする。
このままいくと、稼動部分がなくなるぞ。
なにが起きてんだろう。

それで、どうも、わたし、だめだ。





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 カランシアは横たわり、静かに朝を待っていた。体の下では敷布が千々に乱れている。寝乱れた夜のまま。傍らに休むのはアイグノール、歳若い従兄弟だ。手を伸ばして触れてみる。なめらかな皮膚は日に焼けて、いささか痛んでいる。だがその下に隆起する筋と骨の確かさまた脈打つ血の道。
 生き物とはこういうものだとカランシアは考える。眠る獣。生きて死ぬ。そうしてなでていると、その手を捕われた。口付けされる。
「さあ、従兄弟よ。朝に見出されぬよう気をつけて行け」
「夜は夜の言葉、昼は昼の言葉か」
 かすれた寝起きの声が囁いてくる。だが手を引いた。
「――立ち去れ、従兄弟よ」
 気配を感じている。まだ遠い気配を。星が駆けてくる。未明の闇を貫いて。隣に横たわる男よりも近い血の。
「…マグロール」
 カランシアは呟いた。隣の男が笑った。

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フタマタかけられるような器用なキャラを書ける筆でもないんだが。
フタツアタマってことで。


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