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終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2004年09月25日(土)




走れ逃げろ地獄の蓋は開いた走れ
天は小便を垂れ
流したように黄色く物凄く雲は垂れ込め
神々は怒り
怒声の雷鳴を轟かせ世界を滅ぼす意志は大気に満ち
さあ走れ逃げろ
地獄の蓋は広く
開き悪魔は怒りに狂い吼え猛るわめけ死ね

喜びに
満ちて叫べ喝采を響かせろ
雷鳴と黒い雨が突風にあおられ横殴りに叩きつけ大地は
もろくも崩れ山々は塵のごと
吹き飛ばされ神々が立ち悪魔が両手を掲げる世界の終わり
喜びに満ちて
叫べ天が裂ける海が渇き大地が崩れ世界の終わりだ。地獄が溢れた。


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- 2004年09月21日(火)

誕生日を迎えると。

いつも思うことだが、来年の今ごろはもう生きていないだろうと思う。
そう思って私は身軽になる。誕生日ごとに身軽になる。
明るい秋の日差しの中で、私は身軽になる。


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- 2004年09月20日(月)

9月12日、午前1時過ぎ。
栃木県小山市粟町の思川にかかる間中橋の上に、1台の黒いワゴン車が止まった。

間中橋は細い橋だ。少し水が出れば流れてしまう、と近所の住人は言う。
幅はどれくらいか。せいぜいが3−4メートル。
真ん中に2メートルほどの車道がとられ、両脇にそれぞれ1メートル程度、
細い針金のような鉄線の手すりの手前に歩行者のため幅が取られている。

ワゴン車は橋の真ん中よりやや東より、急な流れの真上に止まった。
ライトはついていたか。あるいはそのとき消えたか。それは知らない。
止まった車の運転席、扉が開き、背の低い男が降りてきた。
周囲は真っ暗だ、思川のそのあたりに街頭はなく、人家も遠い。
男は背が低かった。せいぜい150から155そこそこ。
年齢は40に届かないが、ひどく痩せてぎょろついた目という
その容貌は50にも見えただろう。

男は黙って助手席側に回りこんだ。見ている者はいなかった。
男は助手席の扉を開いた。見ている者はいなかった。
男は助手席から何かを取り上げ、川に投げ込んだ。
1度、また2度。川は音もなく何かを飲みこんだ。
男は再び運転席側に戻り、車に乗りこんだ。

車内は冷涼な秋の外気から戻ってきた男にとって蒸し暑く感じられた。
男は運転席のシートに座り、扉を閉めた。
後部のシートで何かが動き、男はぎょっとしたように振り返った。
暗がりの中で顔は見えなかった。男はつばを飲んだ。

「――」

男は黙って暗がりをにらみつけ、車を発進させた。
やがて車が国道4号に出て明るい道を走り始めたとき、
助手席の足元には、一冊の絵本が転がっていた。
絵本――違う、塗り絵の本だ。もう持ち主のいない…



14日、思川にかかる網代大橋より1キロ上流で、小林隼人ちゃんが遺体で発見。
16日、隼人ちゃん発見現場より約8キロ下流で、同一斗ちゃんが遺体で発見。

殺人容疑で逮捕された下山明宏容疑者は、同居人である殺害した2人の父親に対する不満を動機として述べ、また直接の契機として、犯行数時間前に2人に対して行った暴行が父親に知れるのを恐れたためと話した。


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- 2004年09月19日(日)



【ラン・アウト】
彼は疾走する、サーキットを。
閉じられたそこに出口はない。
にも関わらず決められた周回によって彼は出口を見出す。
あるいは見出さない。

彼はもしかしたら、レースを中断されたように感じているかもしれない。
長い選手権の次の試合まで待たされることにいらだっているかもしれない。

あらゆる休息が強制されたインターバルにすぎないなら、

彼は出口を探しているのだ。
だからこそそんなにも速く走るのだ。誰よりも。
そしていつか、途方に暮れる日が来るかもしれない。

しかしそれは私には関わりない。
出口を探すもの、彼の中に彼方を求める情熱を見たと思わなくなったら、
そのとき私は彼に別れを告げよう。


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- 2004年09月18日(土)



【ホワイト・アウト】

希望が黙し明日が来ないなら、とは彼女は問わない。

彼女は一つ灯ともして希望を待つその小さな灯りそのもの。
彼女は明日へとまなざしをなげる、その短い一瞬の動作そのもの。

彼女は何かをすることがない。
彼女はいくつかの種類の過程に偏在する。
しかも捉えられることがない。


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- 2004年09月17日(金)




【ホワイト・アウト】

彼女が生身としてのどのような経歴を持っているか、私は知らない。
そうしてそれはどうでもいいことだ。

彼女は少女である。

それはつまり、少なくとも私にとってはこういうことだ。
彼女は消失する、彼方へ。

物理的にか、
光学的にか。
それとも、心情的な距離の面においてか。

彼女は消失する、その彼方へのムーブメント。
私はそれを、撮りたかった。


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- 2004年09月16日(木)

祈りを終えて

いったい悪というものは、どうしてこうなのだ。
考えなしか、いきあたりばっかりが行き詰まった挙句か。
そんなことをするくらいなら、他にいくらも手立てはあると、
どうしてそう気づかないのか。

悪か。
美でもなければ魅力あるものでもない。
ただの、思考の欠如だ。


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- 2004年09月15日(水)

かつて黄金なりしが。

泣いてもいいだろうか。
誰のためにだ。誰のためにだ。
たった三つで世の辛酸をなめ、救いもなく橋から突き落とされた子のためか。
どうして死なねばならなかったのだ。どうして。

親が虐待の事実を知り、公的機関が知り、近辺の人々が知り。
それでも世の中はその子を救えなかった。
よってたかって殺したようなものだ。

声もなく幼子はゆき、川は音もなく流れ。
許しを請いたい、私だって世の中の一部だ。



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- 2004年09月10日(金)

眠れない夜は、どこか少しおかしい。
成就の可能性のない目標が、どこかすこしいびつであるように。

この長い夜に、私は何を願えばいいのか。
朝が来ないことか、それとも明日の速やかにくることか。
この長い夜のさなか、どちらであってもそこに意味はない。
この長い夜に。

私は苦しまない。私は苦しんではいない。
もう長いあいだ涙を忘れている。そしてまだ長いあいだ思い出さないだろう。
生きることを最後に望んだのはいつのことだったか。
私が次にまた高速道路で車を駆るときまで、思い出さない。
そのときだって、思い出さないほうが良い。

私の手にボールはない。
それでもこのキャッチボールは、おそらく私から始めなければならない。
この理不尽に、少しだけ笑ってもいいだろうか。朝を待つあいだに。




――捉えよこの現実。


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- 2004年09月03日(金)

孤独を。

壁の上で感じてみる。
手がかりと足がかりと、落ちることを躊躇する高さ。
誰もいない部屋の壁の上で。ああ、雨の音が屋根の上で。

両腕の筋肉の熱を持ったはれぼったさ。
鼓動の早さ、呼吸の弾み。私は体でできている。
たとえばほかの何がなくても生きている。生きていける。

だがそれではなぜ私は孤独なのか。
こんな場所でろくでもなく孤独になっているのはなぜか。
なぜか。考えたくもないが忘れさせないのは私の感情だ。

だがもうやめよう。やめてしまおう。
でないと本当に事故死する。


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- 2004年09月02日(木)

人間の幸いを。


いったいどのような定規がはかれるというのだ。
さあ遠ざかれ。走れ、その場には長くいられぬものの激しさで。
さあ逃げろ。贓品の呪いに焼かれる盗人のように、走れ。
疾走という形式以外、何一つ私は持たないのか。


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- 2004年09月01日(水)

どこへ。

どこへ行こうというのだ、夜はこれほど深い。
どこへ行こうというのだ、ただ終わることだけを救いとすがり。
ああ、どこへ行こうというのだ。答えろこの悪魔。

(呪詛を拒み祝福をはねのけ、おまえこそどこへ行きたいのだ。
 どこへ行こうとしているのだ、いかなるゆえに制止を命じる。
 悪魔とな、よかろう悪魔とな。だが足を引きずりわだちを踏み、
 ただ生の辺縁を逡巡するものをこそ呼ぶ名もない)


どこへ行こうというのだ、終わらぬ夜に朝を沈めて。
どこへ行こうとするのだ、明けないことをよく知る夜に。
ああ、どこへ行こうとするのだ。答えろこの悪魔。


(夜を朝にしよう。夜を朝と呼ぼう。来ぬなら掴み取る。
 それだけだ、それだけが生だ、誰が生を責められる。
 それこそが正義だというのに、ああそんなものがあるなら)


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