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終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2004年06月30日(水)

オマイガッ!

高速道路を時速120キロでぶっ飛ばしていた。
と、左前方約50メートルの道路にスズメが着陸するのが見えた。

まー普通はよけるだろー…と、思いながらそのまま直進。
スズメは果たして飛び立った。…が。

一瞬遅かった。

ゴッという小さい衝突音とともに車体の左前方、
バンパーとおぼしいあたりにスズメが激突。
おそらく即死…。

そして私はサービスエリアで車を降りて、
バンパーに鳥の羽がこびりついているのを見て貧血起こしかけたのです。
なむー…。


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- 2004年06月29日(火)

多分、永遠の謎。


数日前、ピタリと湯が出なくなった。
何かをいじったわけではない。
コンロはちゃんと火がつくからガスが切れたわけでもない。

クソ忙しいのでしばらく水を浴びて済ましていたが、どうも直らない。
仕方ないので業者を呼んで見てもらう。

……外壁に設置された給湯器のコンセントが抜けていた。

高さ三メートル近い場所である。
風で抜けるような簡単な作りでもない。


いったい、いったい誰が…っ!


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- 2004年06月25日(金)



私は山を登っていた。ガレ場だった。硫黄の匂いがした。
登るうちに瓦斯が出て私の視界はせばまり、音はといえば私自身の足音ばかり。
世界は私の周囲で閉じて、その先は椀を伏せたように消えている。
私は顔を上げた。瓦斯の合間に神々のうちの二柱が見えた。


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- 2004年06月24日(木)

3.免疫

 たらいに張った水の底から、廷吏に引き出される被告のように、悪い種子が足早に浮いてくる。芽生えと生育に必要な滋養を持たない種子はくるくると水流に浮かび、水とともにあふれこぼれて消えていく。真夏の光は水に輝いた。由紀子は縁側の日陰にしいたふとんの上で親指をしゃぶったままで眠っている。私は私の影を水流に映した。麦藁帽子をかぶった影は歪んで揺れた。

 存在しなかったものを惜しむことは誰にもできない。私は私の胎から流れていったあの子のことを考える。一人は生まれ、一人は流れた。悪い種子か。私の胎内で芽生え生まれることなく流れて消えた。存在したこともない。私の体が私の子供を殺してしまった。それというのもあの子の――が父親の形を継いだため。

 私の体があの子を殺した。あの子を水にし流してしまった。それは私の憎しみだったのだろうか。私はあの子を憎んでいたのだろうか。憎しみは存在したのだろうか。夜半密かに実体となり私の体液の流れにのって、静かに殺し溶かしてしまうほどに根深く。私は立ちあがった。長い夏の日はなかなか暮れてはくれない。私の足をぬらして、陽光に温んだ水が静かに流れていった。あの日あの子もそうして流れた。


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- 2004年06月22日(火)

歯磨き粉と洗顔クリームを間違えた!(口から泡)※写真なし


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- 2004年06月20日(日)

2.ミトコンドリア

 私は彼女を所有したいのか、抱きたいのか。それとも食べたいのか、痛めつけたいのか。愛とは奇妙なものだ。どうしたいのかという目的を欠いたまま、ベクトルだけがどこまでも肥大してゆく。そして私も彼女もどこへも行けずに車を走らせる。車は夜半、がらがらの湾岸線を走る。ライトアップされたベイブリッジがふいにかすんだ。雨だ。

 私はワイパーのスイッチを入れた。エンジンの重く静かな軋みに、ワイパーがフロントガラスをこする規則正しい音が加わる。それはまるで行為のクライマックスのような規則正しさだ。強めに設定した冷房がひんやりと肌や空気を冷やす中、私は葉巻に火をつけた。渋みの強い香とともに、白く浮かぶ煙が狭い車内にすじを引く。横目で彼女の横顔を見た。街灯の光が淡く照らす彼女の頬を、私のつけたあざが翳らせていた。

 私は何も言わなかった。彼女も何も言わなかった。私と彼女の肌は湿気を帯びて冷えていた。大排気量のエンジンだけが心臓のように明るく熱くボンネットの下で燃え、私と彼女といくばくかの鋼鉄からなる奇妙な混合体を海沿いに遠く運んだ。視界の端を流れるコンビナートの無秩序で有機体を思わせる光の群れが、同種の生き物のように親しかった。


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- 2004年06月19日(土)



でかくしていい写真は女子供の顔だけだ、と、私は思う。
風景なんてのはミニサイズでよい。花もそう。
空だの雲だの花だの、そんなものは「フーン」と一瞬見るだけのものだ。
そんなものは印象としてアタマの中で再生産されればいいのである。

しかし、この写真は別にいやがらせではない。

那須町の史跡「殺生石」――
美しい女に化身してインド、中国、また日本で悪事の限りを尽くしたという
金毛九尾の狐が追い詰められて石となり、毒気を吹き上げるという伝説による。
この石の周辺に並ぶ無数の地蔵を撮った。
同じ顔をした地蔵に味気があるかといわれればおそらくないが、
地蔵の足元を見て頂きたい。やや見にくいが、五円玉が二つある。
この五円玉が周辺に充満する硫黄ガスによって青く変色している。
その青さが、この写真の場所にある種の恐怖がわだかまることを語っている。
だからこの写真は、大きくしてもよい。私にとって、理由とはそういうものだ。


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- 2004年06月17日(木)

1.コナミドリムシ

 顕微鏡の視界の中で、鮮やかなエメラルド色をした二匹の小さなコナミドリムシが交合を始めようとしていた。私が見ているうちに二匹の単細胞生物は重なり合った。細胞が溶け合い、互いの輪郭の中に溶け込んで行く。

 ――と見る間に闘いが始まった。ゆるやかに接合し抱擁を交わす染色体の鎖の優雅さとは裏腹に、細胞質の中のもろもろのもの――ミトコンドリア、小胞体、葉緑体――が相互に対して恐るべき殺戮を始めた。同じ生命のうちに二種類は存在できないものたちなのだ。やがて染色体が長い交歓に重なり合うころには、一匹のコナミドリムシとなったその生き物の内部には殺戮を免れたわずかな構造の残滓が残っているだけだった。新しい組み合わせを得た核だけが傷一つなかった。少しばかり疲れ、私はほっとためいきをついて顔を上げた。

 彼はすぐ隣に立って、まだ私を見ていた。時計の針は三分と進んでいない。樟脳と酢の匂いのする研究室は夏の真昼の乾いた熱気がこもってひどく暑かった。私は夏服のスカートのひだが汗を吸って重苦しく膝にまとわりついているのを不快に思った。彼の開襟シャツも少し汗ばみ、下に着たランニングの薄い線が浮き上がっていた。私は自分の体がいやに暑く、ひどく気分がたかぶっていることに気づいた。そのたかぶりを解釈すればこういうことだった。つまり。内側を食い尽くすほど抱きあったら、新しい別の生き物に生まれ変われるだろうか。


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- 2004年06月14日(月)



6月10−14日の写真に関するメモ
撮影場所:栃木県栗山村、鬼怒沼湿原
撮影日時:6月13日正午−2時ごろ

久々に行ってきました撮影行。
栃木県北西の僻地、栗山村のさらに隅っこ端っこ。
奥鬼怒温泉郷の1番目、女夫渕温泉に車を置き、鬼怒川に沿って約7キロ。
八丁の湯、加仁湯、日光沢の三つの温泉地を抜けようやく登山口。
そこから急な傾斜を約二時間登りに登ると鬼怒川の源流、鬼怒沼湿原に至る。

標高2030メートル、鬼怒沼湿原は日本で最も標高の高い湿地帯だ。
無数の沼が点在する山上の平らな湿原は明るくまた空に近い。
6月半ばに雪解け直後の冷気が流れるそこは、遅く短い春の最中だ。
ワタスゲ、ヒメシャクナゲ、モウセンゴケ、コバイケイソウ。
小指の先ほどの花は咲き乱れ、木道を歩くうちに雲が切れて青空がのぞいた。


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- 2004年06月13日(日)



私たちは空よりほかに知らない。(と沼のひとつが言った)


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- 2004年06月12日(土)



この道をどこまでも行ったら、きっと空の中に着く。(と私は思った)


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- 2004年06月11日(金)



水底で、空が揺れてる。(とヒメシャクナゲは言った)


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- 2004年06月10日(木)



花開くのは怖くない。私は空にいる。(とモウセンゴケに囲まれた蕾が言った)


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- 2004年06月09日(水)

あ。


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- 2004年06月08日(火)



誰かお払いしてください、マジで…。


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- 2004年06月06日(日)

ドライブ中に子供たくさんのイベント発見。
さっそくカメラを向けてたら…
報道カメラマン一筋40年!というおっちゃんと会った。

「きみね、逆光で撮ってたでしょう。
 僕なんかはね、なんでわざわざ逆光で撮るのかなと思うわけ。
 ストロボ使ってる(※)ようでもなかったしね。
 それにね、デジカメの画面で映像確認してたでしょう。
 ちょっとみてすぐ消してたけど、あれ、なに見た?
 映ってるな、ってそれだけでしょ?
 そうじゃなくてね、構図まで考えるの。
 アレが映っててコレが映ってて、状況が説明できてる。
 まあそれは当然のこと。それ以上のことができなきゃ、
 もう私らなんかは原稿だけで十分だね、とイヤミを言われるわけよ。
 わかるかな?」

参考になりました。(平伏)
ライティングに構図、要素。
映すだけじゃなく、よりよく映す。
そうだよなあ。そうだよなあ。
奥が深い。勝負はシャッターを押す前に決まってる。
いいものを作るには、たくさん考えることが必要だ、ということ。

しかしそうかあ、ニコンよりフジのがいいのか…
でもなー。でもなー。でもなー。

「フジはほら、フィルムメーカーだからね。
 ニコンよりは連写はきかないけど、
 決定的な一瞬を『狙って』切り取る、というのがカメラマンの心意気だよ」

今からカメラ買い換えたくないっすよ師匠……(1コウン十万円)
そして子供の写真ばっか撮ったのでのせらんないワナ…


※逆光の場合は、ストロボで光を足して暗部との光量の差を少なくする定石。


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- 2004年06月05日(土)

人間は疲れているとき、誰かに愛されてると感じたい。
ほんのちょっとでいいんだ。愛してるって言って。


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- 2004年06月03日(木)



今週末“も”休みなし…か。
最近の休みっていつだったっけ?


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- 2004年06月02日(水)



ラムズ・イヤーという名の草。
広角レンズの面目躍如、な絵だ。
だってこれ、50cmくらいしか高さないん草だよ。


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- 2004年06月01日(火)

子供による殺人。
同級生を、たった11歳の女の子が。
昨年にも中学一年生の少年が4歳の幼児を殺す事件があったばかりではないか。
しかも同じ長崎県で。しかしこれは先の事件とは少し違う。


ここにあるのは別種の衝撃だ。


「殺したいほどの憎悪」はある。子供にさえある。
カッターナイフを隠し持ったことのある子供も少なくないかもしれない。
だがそれを取り出し何度となく振り上げ振り下ろしたものがあったろうか。
多くはない。無数の錯綜した偶然も勢いも大方その手を動かすには足りなかった。


いったい何がその手を動かした。悪魔でもいるのか。いたのかそこに。


顔見知りや家族による殺人は少なくない。むしろそれは殺人の主流だ。
結び合う絆が深ければ深いほど憎しみや恨みは大きくなる。
ではこれはわれわれあるいは私の幻想が破られただけなのか?
違うだろう、これは違うだろう。何が起きた、何が。そのときそこで。


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