- 2001年12月30日(日) よいお年を! よい一年でした。 来る新たな年が更によい一年でありますことを。 そして今日に絶えず明日の続くよう。 - - 2001年12月29日(土) 最も疑い深い者 1: 最も疑い深い者は、最も多く自らの内側に悪を見出すものである。 自らに対する不信のみが、人間を疑い深くする。 しかし何人が、自らの内に悪を見ないであろうか。 自らの奥底に、闇い方へと傾く傾斜を知らずにおれようか。 そしてまた、省みて全ての他人の内に。 最も疑い深く、しかも真に信頼を知るものは、 信頼の裏切られうることを知りながら信じる。 誰かに背を向ける瞬間ごとに死を肯定する。 絶えず命を投げ出し、絶えず死を数え、 しかも――少しの躊躇いもなくそうするものだけを、私は愛する。 薄氷の上を行きながら、しかも草原を渡るもののように軽く歩むものだけを。 全ての落下を是認するものだけを。 2: 最も疑い深い者は、最もよく人の善について知るものである。 悪への絶望の深みから見上げるとき、一抹の輝きもまた太陽だからである。 そのように、星のひとつひとつを太陽を愛するよう愛する。 全ての穢れが拭い去りがたく、また歪な四肢を本質と知るものにとり、 わずかな美がどれほども賛美を受けるに値するものとなる。 最も小さな美を、善を、最も多く愛しうる。 3: 最も疑い深い者は、たいがい胃潰瘍になる。 どのみち早死にする。 - - 2001年12月27日(木) 確かに。 1: 勧めたのは私です。 面白いよーと……逸話交えて……言ったとも。 うん、ナリチャ。 親友が、某所にキャラを登録した(笑) 私の行っているとことはまるで違う場所で、 会ったこともなく、しかももう閉鎖している。 ちょろっと、見に行き。 2: キャラ詳細だけ、まだ見れたんだね。 どんなキャラか概要だけは聞いてたので、見当はつき。 で。 ……。 かわいいじゃねーかッ! かわいいじゃねーか畜生! どうして襲いにいかなかったんだろう……(やめなさい) 3: 某掲示板サイトで、うっかりエロチャの相手が実の姉だった、という スレッドを見かけたことはある。 そのスレを立てた方は、泣き入ってた(笑) リアルでよく知っている相手と…… 絡むってのは、どーなんだろう。 相手PLの顔が先に浮かんできてヘナるのかな……? 確かに、相手PLで想像してしまったら怖いよなあ……(むしろやめろ) 4: その場にならないとわからんだろうが。 そして私のキャラは出した瞬間からPLほっぽりだして歩き出すのだが。 しかし、こんなキャラがいたら、うちのキャラの誰でも、押し倒すよな…… と、プロフ見ながら唸った(うむ) というわけで、見かけたら…… 襲おう(うむ) - - 2001年12月26日(水) 遠い昔の食べ物。 1: プルーストの『失われた時を求めて』の冒頭、 マドレーヌを紅茶に浸して食うシーンがある。 それは、主人公の昔のおやつで。 それを口に含んだ瞬間――よみがえる。立ち戻る。 ――記憶が。 ひどく、鮮やかに。 2: その昔、わたしはシンガポールに住んでいた。 私の家の近くに小さな映画館があり。 時々、その横をとおった。 映画はむろん、英語で。 だから、見に行ったことはなかったのだけれど。 ――小さな売店があり、おやつをいくらか売っていた。 ポップコーン、ホットドッグ、コーラ、ペプシ。 ガム、スナック、飴……。 私が一番好きなのは。 梅を干して、甘酸っぱいような粉をからめたもので。 それはちょっと言いようがない、キョーレツな味で。 眠気がふっとぶので、好きだった。 3: 神戸に。 ルミナリエを見に行ってきた。 ルミナリエの近く、南京町なる中華街があって。 そこで。 見つけた。 ――ああ。 あの町の風景が。 映画館のあのうす暗がりが。 売店の老人が。 ――ああ、なんて、鮮やかで。 懐かしく。 そして。 4: 遠い。 - - 2001年12月24日(月) 我が家。 1:白いこんにゃくの恐怖。 とある、寒い夜のことだった。 「○○(←本名・八割の確率で男名前)ちゃーん、お風呂空いたわよー」 と、お袋様からお呼びがかかり…… 私はフロ場に向かったのだった。 カラリ…… フロ場の扉を開ける。 もうもうと湯気の立ちこめた浴室に入り、フロの蓋を私は開けた。 ――と。 「……?」 奇妙なものが、見えた。 それは、ちょうど、こんにゃくのようにブヨブヨとした、 しかしのっぺりはしていない物体で……網でもかけたような模様があった。 私はしばし、気味悪さに眉をしかめ、 おもむろに手桶を取って、プカプカと浮いていたそれを掬い取った。 何なのか、見当がつかない。 新手のスポンジか? いや、それにしてはあまり丈夫そうではない…… 台所ならともかく、こんにゃくでもあるまい。 しかしこの臭いは…… 「……っ!」 私は知った。 それは湯を吸ってブヨブヨ膨れた、湿布薬だった…… うっかり湿布薬を貼っていることを忘れて風呂に入り、 はがれたことにさえ気づかずに上がったお袋さんに、 私が散々文句を言ったことは言うまでもない。 2:52歳の子供心。 22日の夜、実家に帰った。 父親がまだ起きていて、リビングのホットカーペットの上に 寝転がって、テレビを見ていた。 「おお、○○か、珍しいな」 「うん。ただいま」 少し話した後、私もカーペットの上に腰掛けて、 テレビの画面に目を向けて、ニュースを聞いていた。 ジャジャーン、と、ニュースが終わる。 ふいと、親父が立ちあがり、テレビの横のサイドボードのあたりに立った。 ウイスキーでもおかわりするのだろうと思って、私はCMを見ていた。 そう、普段テレビのない家に住む私は、 CMが珍しいのである……。 と、ふと。 ヒラリ、目の前に、何やら落ちた。ハガキらしい。 顔を上げると、親父が立っている。落としたらしい。 拾おうとする様子もないのを訝りつつ、拾って、ハイ、と、差し出す。 ニタァリ、親父、笑うではないか。 「……?」 もう一度、ハイ、と、差し出した。 しかし、親父はニタニタ笑うばかりである。 すわアルツハイマー発病か?などと思いつつ、ハガキに視線を移した。 『お客様のハンディのお知らせ。 2002年1月1日から、7(本年は8)となります』 見て欲しかったのね…… ゴルフのハンディが下がったのを、見て欲しかったのね…… だからハガキをわざわざ落っことしたのね…… だからニタニタ笑ってたのね…… しかし、私はオトナである。にっこり笑って言った。 「オメデト、すごいじゃない」 「やだなあ、見ちゃったの? ひとのハガキ、見るなよぉ」 「……」 こんな親父である。 3:壁の向こうの物音。 夜半、家にあった「ハリー・ポッター」をこの機会に読んでしまえと、 布団の中に引きずり込み、スタンドの明りだけつけて読んでいた。 部屋の電気をつけておくと、日付が変わる頃には、 いまだにお袋さんが「はやく寝なさいよ」と来るのである。 と、ふと。 ドシン、と、音がした。 「……?」 耳を澄ましても、何も聞こえない。 隣の部屋の弟はもう寝ついたはずである。――気のせいか? また、視線を本に落として、読み始める。 「――……――」 今度は、人の声である。 弟の声だ。まだ起きてたのか? 耳を澄ました。 なにやらごにょごにょ言っている。 独り言、にしては……声の調子が違う、ような…… 「……○○(←本名・うちは上二人女なので、弟は名前で呼ぶ)ちゃん!」 クソ寒いのに、と、思ってベッドから起きあがり、ドアを出る。 弟の部屋はすぐ横だ。 ドアを開ける――…… 「△△△(←弟の名前)?」 真っ暗だ。 寝てる、らしい…… こまってしばらく立っていると、 むにゅむにゅ言う声が聞こえた。 寝言……? アホらし、帰ろう、としたとき。 「○○ちゃん、俺のパンツ……」 ………かなり、悩んだ。 私は弟のパンツに関してはノータッチだ……。 引き摺り下ろしたこともなければ、盗んだこともない!(あたりまえだ) 翌朝、尋ねたところ…… もちろん、本人はちっとも覚えてなかった。 そして真相は永遠に謎となったのである。 誰か、こんな家族、いらんか?(赤札貼りつけ) - - 2001年12月23日(日) 寂しい空気。 1: 寂しんぼである。 誰って、つまり、私が。 一人でいるとき、寂しい。 二人なら、もっと寂しい。 人が増えれば増えるほど、寂しさも増えて行く。 なぜなのだろうね。 2: おいしいものを、食べる。 おいしいな、と、思う。 ――ああ、X。 思い出す。 誰かの名前を。 少し、笑う。 ……今度、連れて来よう。 そしてまた食い始める。 さっきより、よほど、寂しくない。 2: 誰かと一緒にいるときよりも、 誰かを思っているときのほうが寂しくないのは。 いったい、どうしてなのだろうね? ひとは本当に、誰かとともにいることができるのだろうか。 3: クリスマス、町はカップルだらけ。 女の子の手にはルイ・ヴィトンの袋。 カルティエの袋。 手をつないで歩いてる。 誰が本当に、愛することを知っているのだろう? 誰が本当に、互いを見つめているのだろう? この寂しさのない場所にいるのだろう? - - 2001年12月21日(金) Q:この日記を書くのに、どれくらいの労力を要するか。 A:まともに書こうと思えば二時間。さらっとなら一時間。いい加減で30分。 →クソ忙しいので、しばらく閉店します。 いい加減にやってりゃできないこともない。 ……が。 言葉を、いい加減に使いたくない。 かといって、私だって遊びたいのさぁ……(ふふふふ) 再開日時は未定が予定。 ここであなたのしらない私に出会ったあなたへ。 次はも少し注意深く、私を見てください。 幾つかの嘘と本当と、嘘を通してしか口にはできない本当が、 私の中にあるのを見つけてください。 私はあなたの、瞳を見るから。 ここではじめて私に出会ったあなたへ。 あなたがもしも私に面と向かって会ったら。 それはあなたにとって不愉快なショウになるかもしれません。 なぜなら私はあなたを知らず、あなたに興味がない。 あなたは私の拒絶と仮面と虚偽を見るでしょう。 あなたが誰でも、どのみちひとつのルールを遵守してもらわなければ。 私がここに書きつけたことを、私の面前で口にしてはならない。 それはあなたに向けて言われたことではない。 あなたがここで目にしたものは、あなたの盗んだもの。 贓品は胸の奥にそっと隠して、私の仮面と付き合ってください。 私はあなたが思うよりも、残酷だ。 それに、ほら。 ――どうして、わかる? ここに書いたことが、本当だってことが? 訳知り顔で私の前に出てくれば、恥を掻かされるのがオチ。 さあこれが私の爪と牙――おやすみなさい。 おやすみなさい。そしてありがとう。 - - 2001年12月20日(木) 私は。 食ってる。 孤独ばかり、食っている。 この食餌は。 私を自由にする。 苦しくする。 絶望させる。 殺す。 ――殺してくれ、と、叫んでも。 だめ。 だめなんだ。 この餌は。 私の餌箱にたまってく。 なくならない。 私が食うまでは。 食い終わるまで。 どうしても。 ある。 ――やせ細っていくのは、誰。 誰か、私を抱きしめたとして。 そのひとは、私のこんな孤独も、いっしょに抱きしめてくれるのだろうか? なにもかも? ねえ。 それはきっと、人間の腕ではないね? だって、人間は。 ――人間は、誰も孤独なのだもの。 誰も寂しいのだもの。 ねえ。 私は、なにも。 望まないよ? わかって、いるもの。 ねえ。 ――わかって、いるもの。 誰もみんな、苦しい。 誰もみんな、ひとり。 だから。 それを、思い知らされたく、ないの。 ひとりで、いさせて。 黙って孤独を食べている。 - - 2001年12月19日(水) ミュジカル・オペラ・オペレッタ 1: 『地獄のオルフェ』 ……オペラじゃない、オペレッタ。 とても、賑やかな。 それはむちゃくちゃな(笑) なにしろオルフェウスとエウリディケの離婚式でフィナーレなんだから。 しかし、楽しい。 オッフェンバックというひとは、天才だな。 ああ、そうだ。 カンカン踊り(スカートまくり上げて踊るやつ)の音楽が…… ジャンジャンジャカジャカジャンジャンジャカジャカ♪ という、運動会おなじみのナンバーだった。 日本人は、カンカン踊りの音楽で、スポーツにいそしんでいるのか…… 2: 『ドン・ジョヴァンニ』 言わずと知れた、モーツァルトの最高傑作。 序曲が好き……(うっとり) もともとは、ドン・ジョヴァンニ(ドン・ファン)がすきで 聞こうと(見ようと)思ったんだけどね。 ドン・ジョヴァンニは改悛を拒みとおして地獄に引きずられていく、 あのシーンの音楽も大好きだぁ……。 3: 『さまよえるオランダ人』 ワーグナー。 うーん……ワーグナーは、聞かせようとしすぎで、 ちょっと音楽性に流れすぎてる、と、思う。 ワーグナー先生大活躍!(笑)って感じ? でも、好きだ。 さまよえるオランダ人の独唱歌が悲壮でイイ…… 4: 『ムーランルージュ!』 『サウンド・オブ・ミュージック』 『ジーザスクライスト・スーパースター』 『オペラ座の怪人』 『エビータ』 『美女と野獣』 『雨に歌えば』 『ウエストサイド・ストーリー』 ミュージカル系も、好き。 - - 2001年12月18日(火) 私という人間を、「開く」には。 ――親という鏡に映して、私は私を見よう。 ――友人という鏡に映して、私は私を見よう。 そこにはなにかしら私が開かれてはいる。 だが、それはけっして、全体ではない。 それは切子ガラスの面のひとつ――影がある、陰が。 ほんとうに大切なものが、映っていない。 どこに。 どうすれば。 ――開ける? 私はその手立てを知っている。 鍵は――『神』だ。 そこにならすべてを映せる。 そこではすべてが開かれる。 私の破片はそこでつなぎ合わされ、そこで完成し、そこで全体となる。 でも。 そのために信じろというなら、イヤなのだ。 恋愛至上主義に従えば。 恋愛の中でこそすべての自分を「開く」ことができる。 しかし、嘘だろ、そりゃ(笑) 人間が一人の人間を全面的に受け入れうるなんて―― 母性の神話と同じほど、ありそうにない。 人間はすべて、咲ききらぬ花。 もっとよく生きられるのにと叫びながら死ぬ。 自らを開ききれぬのは――宿命。 神様。 あなたを信じる、理由をください。 必要では、なくて。 - - 2001年12月17日(月) このところ日記の更新が遅れ気味なのは…… 要するに、一日12時間以上学校でカンヅメになってるからです。 家に帰ってもヘナヘナだあ……(涙) 閑話休題。 1: うちのPCが初めてマトモ(……)な恋愛をしたときに。 PLとして、ずいぶん、驚かされたのを覚えている。 私はいつも、PCの視界で見るのだが。 その、視界が。 ――大いに、変わった。 モノトーンからフルカラーに進化したようだった。 その思考と視界は、ぐん、と広がり――豊かさを増し。 その代わり、感情が大いに不安定になった。 2: 「会いたい」と、PCの思考が言う。 感情を伴った思考、言葉の鋭さ。 ――ずいぶん、戸惑った。 私はこれまで、およそ、 「会う」ということに意義を置いたことがなかった。 会ってどーすんのさ、とか……PLは思うのだが。 ……が、それはややこしい思考の迂路をとおることなく、 ただ「会いたい」という感情であり、思考だった。 さて、それでは、と、会いに行かせる。 会っているのだ。 話して、いるのに。 ――PCから、むやみやたらと寂しい空気が吹き上げる。 もともと、そうした空気は透明な渦となって廻っていたヤツだったが。 だが、これは、どういうことだろう? 3: 会いたい会いたいと願いながら、 会っているときほど――孤独なのだ。寂しいのだ。 手を伸ばして、触れても。 抱き合っていても。 これは、どういうことだろう? ナニが不満だ、と、PCに問いかける。 しかし、返ってくるのは。 ――寂しい気流ばかり。 恋愛というのは、ビョーキなんだ、と、PLはこのとき知った…… 4: アルバイト先の図書館。 配架作業中……くっちゃべっとる女の子らの横で、 返却本を書架に戻してた。 話題は恋愛談義らしい。 聞いていると、ひっこみじあんぽいコが、 告白して、その返事待ちのやうである。 一年生だろうか、まだ、幼い顔をしてる。 わきゃわきゃしているそのコたちは、 あんなふうな、寂しい気流を、知っているんだろうか? 指先から透明な血の滴り落ちるような? チロっと見ると、真中で頬杖ついていた当の女のコは。 にぎやかな友達の中で、たった一人だけ。 ――私の知っている、寂しい目をしていた。 ……私はああした孤独を、寂しさを、 そもそもの始めから知っていたけれど。 彼女らは。彼女は。 ――もしかしたら、恋愛によって初めて知るのかもしれない。 だとしたら。 恋愛って……ねえ。 もともと、寂しくて、苦しいものなのだね。 - - 2001年12月16日(日) 極度に。 1: 便秘である。 もう一週間近くウ○コのツラ(?)見てません。 ピンクの小粒を飲むと、出るのは出るのだが…… 死ぬほど腹が痛いので、イヤだ…… この食生活ムチャクチな私が 納豆まで食っているというのに……ナニユエ出ない…… ゴボウも食っている。 切干ダイコンも食っている。 レバーまで食っている…… なぜだ――!(CキスミントCM) 2: と、思っていた。 が。これは、もしかして…… 絶対量が少ないのではなかろうか。(←最近一日一食) しかし。 最近、あまり食えない。 学食が幸いサラダバーなので、 そこで種類だけは多くとれているが…… 量は、ねえ。 気分悪くなるから……(うーん) かといって、チョクチョク食うのも、気が散る。 3: 昔の食生活……どんなだったっけかなー……(はて) お袋さんの料理は割に量が多くて。 それでもみな食わないといけなかったので。 ――食ってたはずなんだが。 なあ……。 - - 2001年12月15日(土) わたしを。 1: わたしのままで、いさせて、ください。 世界を夢見る賢しらな子供のままで。 わたしはその役割が、好きだ。 わたしのすべての知識は、夢で得たもの。 ほんとうに愛することも、憎むことも、それらはすべて、わずらわしい。 だって、それは夢の中でのようには、純粋でも真実でもないから。 2: わたしのままで、いさせて、ください。 このまま人生を通り過ぎさせてください、外側の住人として。 わたしはわたしが、好きだ。 変わることは恐ろしい。 あなたは経験豊かでさえない、子供の恐れ気なさを持っているだけだ。 あなたは頼りにならない。なにひとつ、頼りにならない。 3: わたしのままで、いさせて、ください。 わたしはこの日々を愛している。 あなたのつけいるスキはない。 あなたの言った通りだ、あなたは頼りにならない。 わたしが歩き出すなら、この足は深淵を知らねばならない。 そのくせ、あなたは、それを要求するのだ。 4: わたしの弱味は、つまりはわたしの自覚。 わたしの弱味は、つまりはわたしの貪欲さ。 わたしの弱みは、つまりはわたしの潔さ。 このデカンタの中にあるのはワイン。 わたしの血と命。 ――さあ、どの器に注げばいい? - - 2001年12月14日(金) 問題は。 1: わたしがひどく抽象的な存在だということでしょうか。 あなたは私に人間になれという。 だがわたしにとって、自分が人間であるということを思い出すのは、 苦痛以外の何物でもないのです。 わけてもセクシュアリティ、この奇妙な属性を通して わたしというものを定義しなおすことは。 2: あなたに答える言葉が見つからない。 わたしという存在を、あなたを通して定義しなおせと、あなたは言う。 わたしは、通り抜けてしまうつもりでいました。 わたしは中傷的な存在であることで、この世界の苦痛を逃れようと、 そう思っていました。 愛や憎しみや、そんなものを、騙して、その傍らを擦り抜けようと。 3: あなたはわたしに、人間になれという。 ……ムチャを言う。 - - 2001年12月13日(木) だからさー。 わたしが言いたいのはさー。 TACとTEKの二つのサイドから見ないとダメなんじゃないのってことでー。 TEKの定義からずれる? あたりまえでしょ、現代日本にあんた、 エスキモーやらベドウィンやらの生活様式から定義したTEKそのまんまで 理解できるたー思ってないわよ。 だから、近代的なカタチって書いたじゃないの。 読んでんのー?(以上、ひとりごと) ↑のように、かなり煮詰まっています。(笑) - - 2001年12月12日(水) 「わたしはすべての虚栄的な人間が、よき俳優であるのを発見した。 かれらは見物が喜んでくれるようにと演技する、 ――かれらの精神は、すべてこの意思のもとにある。 (中略) かれは、あなたがたによって、おのれの自信を獲得したいと思っているのだ。 かれはあなたがたの目つきによって身を養っている。 それはかれらの心の奥底にこういう嘆息があるからだ。 『このわたしは、ほんとうは取るに足らぬ者ではないのか!』……」 ニーチェ『ツァラトゥストラかく語りき』より 1: 人間が人間を超えたいと願うことを、私は知っている。 人間が人間を超えられるはずだということを、信じたがることも知っている。 だが、内実。 その裏側は、この程度のものなのだ。 すべて偉大とみなされるものたちは、薄氷を踏むように歩く。 なぜなら。 彼らは足元の地面が、薄氷のように砕けるのではないかと、恐れているから。 2: ツァラトゥストラ、あなたの道化だ、そうした偉大さは。 あなたは満足げに眺める。楽しげに。 人間を超えたいというせつなる願いを。 しかも。 それはあなたの道化以外のものではないのだ。 あなたは一渡り場面を見終わり、楽しげに退場する。 そうだ。 その瞬間、彼らは消失することを知りながら。 3: 人間を超えろ、と、あなたは言う。 超人の到来を予感する。 だが。 あなたは、この道の先にはそれが続かないだろうと予言する。 そしてそれは正しい。 なぜなら。 正しい道は、あなたのまなざしの中にあるからだ。 すべてを、よし、と、いうものよ、ツァラトゥストラよ。 4: すべて泥と水を隔てなく飲み、 泥にむせることを恐れないもの。 虚栄から出たものさえ、 その神経質な不安とともに静かに侮蔑なく受け取るもの。 深く傷つきうる柔らかい手を持ちながら、 どのような深い傷を受けることも、 どのような深い傷を与えることも、 恐れない者。 そのような意思を、ツァラトゥストラ。 惜しまない強さを、笑いを、残忍さを、ツァラトゥストラ。 ――わたしは羨む。 - - 2001年12月11日(火) 人間的な・あまりに人間的な。 1: 人間は、なに考えたってなに言ったって、 どのみち人間にしかすぎんさ、と、小林秀雄が言った。 ……ふぅん。 2: エラそうなあのひとだって、トイレに行くし、メシも食うんだ。 マジメぶってもこのひとだって、やらしいことも考えただろうし、したんだ。 ……なぁんだ。 好き嫌いをしたって、しいたけが食えなくったって、片輪になるわけじゃない。 寒い格好をしたって、たかだか風邪を引くだけだ。 遅刻をしたって、先生が出刃包丁持って追っかけてくることもない。 なぁんだ。なぁんだ。なぁんだ。 歌の音程くらい、ちょっと外れててもいいんだ。 知らないことがあったって、いいんだ。 赤点くらいじゃ、人生終わらない。 行儀でヘマしたって、存じませんでしたで通しちゃおう。 なぁーんだ。 もう、怖くないぞ。 3: 世の中が、怖くなくなったら。 そのとき、ふいに。 ……うーん。 4: ねえ、世の中ってもんが、「しょせん人間」の集まりだとしたら。 わたしは、何をしようか。 だって、わたしも、人間なんだもの。 なにか、できるはずじゃない? 世界に特別なお姫様なんていないなら、 わたしにだって、なんでもできるはずじゃない? なにを――しよう? ねえ、なにを、しよう? ああ、怖くないよ。 みんな、しょせん人間。 なら、どうしてわたしが怖がらなきゃいけない? そこのエラそうなおっさん、あんただって昔はガキだった。 あんただって昔はなにも知らなかった。 わたしはまだ何も知らないけど。 だけど、あんたにダメ扱いされたからって引っ込みやしない。 さあ、教えなさいよ! 今すぐ! ああ、なにをしよう! 世界は広い、ああ、なんて広い! 「しょせん人間」が生きてる。 だけど、それがどんなに美しいか。 ほしいものが多すぎるくらいだ。 ねえ、なにもかも教えて。ねえ、何もかも知りたい。 - - 2001年12月10日(月) にっぽんのぎょぎょう。 1: MSYって知ってますか、みなさーん。 TAC制度って聞いたことありますか、みなさーん。 国連海洋法条約とか、水産基本法とか、知ってますか、みなさーん。 寿司屋にネタとして入るまでに、魚がどんな道をたどるのか。 魚をめぐるどんなバトルが繰り広げられているのか。 探せばおもしろいドラマはあるんだ。 人生がつまんないとか言ってるヤツは、皿の上を見ろ。 2: 世界はひとつのダイナミクス。 日本とはなにか。 国連とは、先進国とは、途上国とは。 問いかけよう。答えを探そう。 アフガンを巡るアラブと欧米のダイナミクス。 魚をめぐる日本と韓国・中国・ロシアのダイナミクス。 誰もがそれぞれの思惑を持っている。 鯨を、サンマを、マグロを、ニシンをめぐってフォークとお箸が争う。 ビンラディンをめぐってミサイルと機関銃が争う。 わたしたちとは誰なのか? わたしとは何なのか? かかっているのは食い代だ。 ねえ、知りたいとは思わない? 3: もっとも。 文献をひっくり返すのは、面倒くさい(ダメじゃん) 出典を書き忘れては怒られる(あかんやん) 書きたいことだけ書いては論理の飛躍と怒られる(まったく) 英語の文献は時々ヒステリーを起こしたくなる。(どーにも!) ああ、だがこの世界のダイナミクス! 展望が開ける。 この視界をわたしは愛する。 世界を抱きしめたい。 この争う世界、揺れる世界、あふれる世界を愛している。 生きているのは人間だ。 - - 2001年12月09日(日) 矛盾もしくは。 1: わかってください。 私は、自分の弱さを、嫌いなのです。 今すぐ殺してしまいたいほど。 だけど。 もしもあなたが愛するのが。 私の強さだけであるなら。 私は。 あなたなど、いらない。 2: 逆説? そうとも、これは、おそらく、ただの逆説。 自己憐憫。自己愛。その反響。 でも、わかってください。 私の強さなんて、誰でも愛せる。 私はそんな、簡単なことで、苦しみはしない。 ――私でさえ愛せないものを、あなたが愛してくれたら。 そんなこと、言いやしない。 ただ、願うだけだ。声にも出せずに。 3: だから、言ってる。 そんなことは不可能だと。 それができるのは神だけだと。 それでは、イヤなんだ。 それは、ほんとうに神に続く道じゃない。 それとも、欠けている部分、一番狭い道からしか、 神へは辿りつけないのか。 私に、平らな、丸い、背中を、ください。 苦しみとおしてみせます。 寂しさを背負いとおします。 だから、あなたを否定させてください。 人間のなかに、ほんとうがあるのだと、私は信じたいのです。 それとも。 楽園の不在を前提としなければ。 私がすぐに断崖から飛び降りることを願ってしまうからなのか。 - - 2001年12月08日(土) 1: 人間を。 完全な形に掘り出したら。 その後ろ半分をも。 完全なままに掘り出したら。 それは。 どんな形をしているだろう? …………小林幸子?(イヤダ) 2: 人間を、創造しよう。 目を閉じて。 大雑把でいい。 足が二本、手が二本、指はそれぞれ五つづつ。 頭がひとつ。目は二つ、鼻ひとつ、口一つ。 はらわたは、製作キットから、まとめて出して、いれて。 当座はこんなもの。 さあ。 人間が、これだけのものだとしたら? なにひとつ――なにひとつ、 このほかにはないとしたら? 3: それはひとつの、視点の変容。 見てごらん。 太陽が輝く。 空と星。 大地と木々草。ビル。駐車場。畑。――人間ども。 それだけ。 おまえの目の中で、これらが、ぐん、と、大きくなっただろう? 後ろに、なにもないと、したら。 平らな、背中だけだったと、したら。 不完全を、そのひとつの、本質としたら。 4: さて。 世界に背後はない、と言ったのはニーチェ。 人間は完全にはなりえない、悪も善も、醜さも卑劣さも、本性。 ひとは、それらすべてを、背負わねばならないと。 そう――信じることと。 人間は完全になりうると信じること。 人間のひとつの理想形――キリスト?――を規定し、 これに近づきうる、と――信じること。 悪や卑劣、醜さは退けられうると。 ――信じること。 5: 定食AとBを比べるようなわけには決められない。 さあ、考えよう。 これは、すべての根本だ。 人間は、キリストになりうるか? ツァラトゥストラだけが、ありうる「最大」の像なのか? 人間の背後には、ひとつの巨大なものが存在するか? それとも、それは幼いものたちの幻に過ぎないのか? …………眠い。(ぐう) - - 2001年12月07日(金) 気分 1: さみしい気分になったり、する。 かなしい気分になったり、する。 理由なんて、ない。 (とらいすと・とらいある・とらんぽりん) 私はそんな気分。 だから、そんな気分。 2: だから、だけど。 どこまで、我慢をしようか。 「さみしいの」 と、電話をかけてみようか。 誰に? さあね。 友達に? そうだね。 でたらめに? おもしろいかも。 どんな、答えを、探して? (ちゅーにんぐ・ちゅーりんぐ・ちゅーいん・がむ) ねえ、わからないよ。 3: どんな答えを、探して? わからない・わからないよ・わからない。 弱みを見せるのがイヤなんでしょうとか、言わないで。 私が誰にも言えない・言わないのは。 さみしいなんて。 どんな答えがほしいのか、わからないからだよ。 だから、黙っているしかないんだ。 ダイヤルを、回してしまえばいい? だめだよ、それでは、私、コールが通じたとたんに、仮面をかぶってしまう。 (はりあ・はりある・はーりん) 4: なんて、言えばいい? なにかがむしょうにほしくて。 でもなにがほしいのかわからないよ。 だれかにむしょうにあいたくて。 でもだれなのかわからないよ。 だぁれにも、どうにも、できない。 だから、ひとりで、うずくまってる。 ねえ、誰もがこんなふうな瞬間を持つのだとしたら。 ねえ。 なんてさみしいのだろうね、この世界は。 なんてさみしいんだろうね、人間は。 (ふぃえな・ふぃーな・ふぃーふぃー・ふぃーりん) 5: わかってるよ。 寂しさを寂しもう。 悲しさを悲しもう。 それしかきっと、道はないね。 ユートピアを、探しはしないよ。 (とる・とーる・とーりあん・とむ) おいで、ジンニーア。おまえと、行こう。 - - 2001年12月06日(木) 1: 精神状態が、すこぶる悪い。 察するに、お月サマが近いらしい。 感情の、制御がきかない。 もっとも、私は、ヒトといるときは基本的にモードが切り替わるから、 周りは気づかない。 第一、そうそう気づかれても、困る。 というわけで、もっぱら、一人でいるときに、 多少アヤしいひととなっている。 2: 実家に帰ったのである。 その、電車の中。 本を読んでいた。 ところへ。 感情の波が、どっとくる。 うわ、と、思う間もなく、巻きこまれる。 このときは、ひどいことになってるので最近動かしてない、 というか動かしたくない某キャラの、感情が。 ザザザとこみ上げて。 思わず、半ベソかいていた。 読んでいた本を引き上げて顔を半分覆い、 目の潤みを瞬きで紛らして、顔を上げる。 目が合った、混んだ電車、座ってる私のまんまえに立ってたおじいさん。 ……非常に、けげんそうな顔をして、私を見ていた。 そりゃ、そうであろう。 私がそのとき読んでたのは、 『図説・漁業白書平成12年度版』(←論文の資料)だったんだから。 確かに、日本の漁業は涙ぐみたいくらいの状況では、あるが。 ……ね。 3: そんなわけで。 私は、どうにも、アヤしい。 ……困っている。 - - 2001年12月05日(水) 岩波ポケット・ブックス(多分)の。 1: 恋愛について、というアンソロジーを、 論文の休憩時に、ちらちらと読んでいた。 倉橋由美子の文章を、私は非常に好きなのだが、 彼女のエッセイ(?)が載っていた。 そのエッセイ、は。 ……彼女がこれまで書いた6通の手紙から構成されている。 2: 一通めは、非常に歯切れの良い。 結婚というものに対する少女の嫌悪感と、 彼女を理解しない鈍感極まりない男への、突き刺すような侮蔑。 二通めは。 弱さなのか、強さなのか。 自分が相手を愛しているのか、どうか――信じきれない。 その魂の、のたうつ、ような。 叫び。 三通め。 喜び。 結婚という様式に縛られることのけしてできない、 純粋な――あるひとつの感情が、二つの魂の間に結ばれている。 四通め、で。 終焉。 あれほど高鳴っていた感情はどこへいったのか、と。 戸惑いさえ、感じられる。 ――置き去りにされたよう。別れを告げて。 残りは省く。 3: 恋愛を、結婚という様式によらず、ただ互いを。 ただ互いを常に、日ごとに、選びつづける、関係とするなら。 世の多くの「夫婦」は、存在しえない。 それは、青春の論理だ。 最も純粋なエナジーがそこにある。 4: カラマーゾフのイワンの語った『大審問官』の物語を思い出す。 そこで糾弾されていた自由、恐るべき自由。 そのものではないか? ならば、やはり、老いた大審問官も必要だろう。 その恐るべき災厄に似たものから人間を遠ざけるためには。 多く人間は、そのようなものに耐えない――のだから。 - - 2001年12月04日(火) ←蛇足・補足:昨日の元ネタ『悪霊』ドストエフスキー スメルジャーコフ考。 1: 第四のカラマーゾフ。母は痴愚。 恩知らずの(だが正直な?) 「すべてがゆるされている」という言葉に打たれた(なにゆえに?) ――殺人者。 スメルジャーコフとは誰だ? フョードル親父はなにゆえこの私生児を信頼したか? 2: この男は、誰にとっても重要人物ではない。 ――イワンを除いては。 イワンがこの男を破滅させた。 「すべてがゆるされている」 その言葉は、この男の内部に、雷鳴のように鳴り響いただろう。 神はない。 善もない。 悪もない。 ――それだ。この男を破滅させた言葉は。 3: 誰もこの男を愛さなかった。 この男もまた、誰も愛さなかった。 だが―― ――なぜ 彼もまたカラマーゾフ。深く大地より汲む熱情はどこへ行けばいい。 4: 呪いだ。 「すべてはゆるされている」 銅の棒を振り上げ、振り下ろせ、スメルジャーコフ。 どんな罰も、どんな哀れみも、おまえの流した血にさえ答えないから。 神の否定を教えたのは、イワンだった。 誰よりもおそらく神を必要としていた男に。 - - 2001年12月03日(月) スタヴローギン考 1: 彼は、どれほど生きても、 自分が生きているフリをしているようにしか思えない。 彼は「生」の感覚を理解しえない。 彼は目を輝かせる誰かを訝しむ。 彼は腐った内臓を持っているのではないかとさえ己に対して疑ったろう。 なぜ、なぜ自分一人。 これほどまで阻害されているのかと問うただろう。 他者の漏らしたあこがれの嘆息に、どうして俺だけが味わえないのかと、 そう声なく叫んで――壁を殴っただろう。 胸苦しい!――その感覚を、私は理解する。 2: 何もかもすべてが同じなのだ。 彼には。 だからすべてが無意味なのだ、平等に。 彼には。 彼はいろいろ、試してみた。 悪を試し、善を試した。 どちらも無意味だった! どちらも灰色だった! 生きるという感覚を、彼は理解しない! 焦がれても――苦しんでも――泣き叫んでも! 彼には、ひとつのものが欠けている。 ――そしてそれがすべてだ! この灰色の壁は、彼と生を隔てて、行かせない。 3: 人間は。 生物なら、ごく簡単な生物なら、簡単なのだ。 そのすべての可能性、そのすべてのありよう――は。 生まれ、育ち、番い、子を産み、死ぬ――生活環だけで事足りる。 人間は。 顕現しえない。 そうだ、人間の持つのすべて可能性、すべて善と悪。 けっして、この世界には顕現しえない。十全には。 語られずに終わった言葉が、そう、私に教える。 言葉になりえぬ思いが、そう、私に教える。 まだ予感にしかならない、ある巨大な想念が、私に教える。 人間は。 氷山の一角だ。 見えるよりも、遥かに大きな何物なのだ。 まるで、壁から抜け出ようとする神々のレリーフのようだ。 その後ろ半分こそが偉大なのに、それはけっして、 この三次元世界には存在しえない。 一人の完全な人間さえ、この世界は容れえない。 私はもがく。 スタヴローギンももがく。 自分自身を、この不完全な世界に―― 産み落とそうとして。 だがそれは不可能だ。 できるのは、ただ。 ――もがきつづけることだけ。 「私を生きさせて!」 - - 2001年12月02日(日) フョードル親父考。 1: 道化。 そうだ、道化だ。 彼からマスクを剥けば、この世にありえぬ繊細さ、神経質さが現れるだろう。 彼は、わずかも自分自身を晒すことに耐えられない。 それくらいなら、厚顔な道化師のマスクで世界に対する。 厚顔な、破廉恥な、道化のマスク。 わずかもその下が窺い知れないほどに分厚いマスクの下だけに、 ――彼は住む。 否、そのマスクと、内奥の複雑さは、対だ。 そのどちらも、彼の肉の上に生い育った。 どちらも、彼だ。 2: 彼の奥の繊細さ、傷つきやすさ、複雑さを見抜くものを、彼は憎む。 彼は『最も醜い人間』だ。 神を、向けられる同情の故に殺すだろう。 ひとを、向けられる同情の故に、憎み踏みにじり、 彼への同情が不可能なほどに怒らせるだろう。 そのように、彼は牙を剥く。 3: 美しいものを、彼はおそらく、誰よりも愛することができる。 それは、 「深い大きな憎しみの中から、 限りなく深く大きな愛がほとんど一瞬ごとに生み出される」 そのような愛だが。 醜いものを、とりわけ己を、彼はよく知り、そして憎む。 それは、 「深い大きな愛の中から、 限りなく深く大きな憎しみがほとんど一瞬ごとに生み出される」 そのような憎しみだが。 あるいは、この二つは、それぞれ反対かもしれない。 だが、同じことだ。 それは、少しも微温くはない。 4: 彼の情欲は、まるで狂気の発作のようだ。 カラマーゾフ、その宿命なのか。 この世界への愛の発作のようだ。 彼に可能な唯一のかたちの表現であったのか。求めることの。 彼を哀れむことは、誰にもできない。 彼の相克は彼の病だが、彼はその相克そのものではない。 彼はこの世界を、愛している。 ここから生まれるのは、4人のカラマーゾフ。 彼はその、祖型……。 私はアリョーシャに、たどり着かねばならない。 ――――――――――――――――――――― 元ネタ『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー - - 2001年12月01日(土) わたしは。 1: 記憶力が減退しているような気がする……。 先月23日、友人Kの陣中見舞いがてら某イベントに行ってきたのだが。 そしてこの二年ほどの付き合いのある 某漫画某ジャンルの知り合いたちと、 例によって打ち上げに行ったのだが……。 「ごめん、○○○さんのネタ、借りちゃったんだけど」 と、某嬢、おっしゃる。 彼女のコピー誌を拝見すると、 『元ネタは○○○さん』の注意書きつきで四コマ漫画。 しかし、その内容は……とんと私の記憶にない。 「前に貸したCDだけど、忘れてないよね?」 と、K。別に催促ではなく、ふっと思い出したらしい。 「あ、あれね。歌詞カードなくしちゃって。買って返す〜」 と、私。K、しばし考えて。 「貸すときに、歌詞カードないけどいい?って、あたし聞いたよねえ」 ……あ”。 一昨日、ウイルスによって(惨事を拡大したのは自分の不手際かもしれん) 破壊されたOSを再インストしていた。 ……。 わかんないわ。 ええ、さっぱりわかんないわ。 メーラーの設定順序すら、さっぱり混乱して、 POPサーバーは受信と送信がどっちがPでどっちがMか、 わからなかった……。 幸い、一度で成功したが……確率は二分の一。 2: どうやら恋愛感情というものを理解できないらしい。 悪友Aは、元の彼氏と二三度会っただけで、 付き合い始めたそうな。 バイトの同じH嬢は、まともに話したこともない サークルのOBに、二年越しの思いを打ち明けられたそうな。 かつて私に「結婚を前提に」交際を申し込んできたひとは、 二度しか会ったことなかった。(当然断った) 私はどうにもわからない。 友人であっても、一度や二度会っただけでは、 私は親友にも友人にすらしないのに。 要するに、その気になれってことか?(うーむ) だがしかし、私はその気になれない。 その気になれるだけの相手だとわからなくっちゃ。 3: 正確を期しすぎるらしい。 「神様じゃないんだから」「わかったことだけ書けばいいんだ」 とは、うちの指導教官のセリフ。 そりゃ、そうなんだけどね。 論文なんか、いくら読んでもきりがないんだけどね。 ……。 それもそーだな。(ぽりぽり) 赤ペンは任せた、教授!(じゃっと言って去り) ちなみにこの指導教官……。 人生の半分をものをなくすことに、 もう半分を探すことに費やしている。 なんでもいいが、俺の履歴書なくすなや……。(青筋) -
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