心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2011年05月17日(火) 顔写真

ちょっと前になりますが「BOX-916」の表紙に顔写真が載ってしまい、物議を醸したことがあります。これはAAになじみのない人には説明が必要でしょう。

BOX-916というのは日本AAの月刊の雑誌で、発行部数は多分3,000部ぐらい。一部300円でほとんどが有料購読です(AAオフィスの収入の大きな柱になっています)。一方、国際的な雑誌としては AA Grapevine があり、これはNYのAAグレープバイン社が発行し、部数は10万部ちょっとぐらい(中身は英語)です。中身は meeting in print(活字によるAAミーティング)と呼ばれメンバーの投稿による「経験の分かち合い」が行われています。

AAには12の伝統があり、その11番目には「AAメンバーとして名前や写真を、電波、映像、活字にのせるべきではない」ということになっています。これは外部の新聞やテレビについてのことですが、BOX-916でもGrapevineでも、顔写真やフルネームが掲載されることはありません。(ただし、会議の報告書などAAの内部資料には実名が掲載されていることは良くあり、あくまで実名や写真をAA外部に出してはいけないという話)。

実はBOX-916の表紙に出た顔写真はAAメンバーのものではありませんでした(写真素材集から取ったものらしい)。だから問題ないじゃないか、という意見もあったのです。けれど、BOX-916もAA Grapevineも、人の顔写真を載せることを注意深く避けてきました。その顔写真が、AAメンバーのものであろうとなかろうと。

なぜかというと、AA外部の人が見た場合、写っている人がAAメンバーかどうかは区別がつきませんから、AAは顔写真を出しても構わないところだと誤解されてしまっては困るからです。そんなふうに、注意深く配慮を積み重ねて「無名性」というものは守られています。

「心の家路」のリンク集でも、AA(あるいは他の12ステップグループ)のメンバーがやっているブログなどで、顔写真の掲載があるところはリンクしないように気を使っています。その顔写真がご本人(メンバー)のものであれ、その他の人のものであれ(例えば子供の写真とかでも)。

(12ステップグループではない、外部の施設や断酒会の人などはそれは関係ないわけです)。

もちろんあまり厳格にやるとリンクする先がなくなってしまうので、細かいことに目くじら立てないようにしています。12の伝統とは少しの逸脱も許されないルールではなく、配慮の積み重ねによって守られていくべきものだからです。

大切なことは、「結果として12の伝統というルール?が守られること」ではなく「伝統を尊重しようという個人個人の心のベクトル」なのだと思っています。

(注:メンバーの死後も名前と写真を伏せるかどうかは、本人の遺志と遺族の意向によります。ビル・Wが死んだときに、世界中のメディアに向けて初めてそのフルネームと顔写真が発信されました。なのでビルの顔写真やフルネームは結構気楽に使われています。けれど控えるべきだという意見もあります。)


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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