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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年03月25日(日) コントロール願望 AAミーティングにやってきて、最初の半年、あるいは一年、ほとんど自分の名前しかしゃべらなかったにも関わらず、やがて少しずつ話をするようになり、とうとうミーティングで司会を引き受けるようになった例を、二つ知っています。
だいたいが「涙も言葉も信じない」と言う集まりです。
後悔の涙を流している人が、やがて同じことを繰り返す。「もう絶対に飲まない」と誓っている人が、やがて飲む。だから、涙や言葉を信用すれば裏切られて当たり前です。信用できるのは、その人が酒をやめるために何か具体的な行動をしていること(AA風に言えば「足で稼ぐ」)です。
何もしゃべらない人に、「正直に何か話せ」と強要してみても、何の役に立たないどころか、反発を招いてかえって有害だと思います。鳴くまで待とうホトトギス、ではないけれど、それを受け入れて待つしかありません。「毎回パスするのが気に入らない」などと自分が思い出したら、イライラする対象が増えるだけです。
わざわざミーティングの居心地を、自分で悪くしてどうするのか?
AAの人数が多い北米では、3年しゃべらない人も珍しくないと言います。ミーティングに足を運び続けるだけで、十分回復へ向かっていると思います。
しゃべらないに限らず、声が小さくて良く聞き取れないとか、話の内容が意味不明だとか、AAらしい話をしていないとか、気にし出せばキリがありません。相手のことが気に障るのは、相手を「自分の型」にはめようとしているからかもしれません。要するに相手を思い通りに操りたいだけの話です。
なのに「AAの第一の目的」なんていう言葉で自分の悪意をごまかしてみたりします。口では無力なんて言いながら、無力であることがたいそう気に入らない。
そうは言っても、ミーティングの司会進行役を任されている時には、ミーティングがAAらしい雰囲気を保つように気を使います。あんまり話題が依存症から離れられるのも困ります。内心で「あ〜、毎度毎度この人ったら、もう」と思っちゃうこともあります。でも苦労なく楽にやっていきたいと思うこと自体が、すでに無力じゃないのでしょう。
困った人は、なにもニューカマーに限りません。
遠くからわざわざやってきたソーバーの長いメンバーも、最近つながったばかりで当を得ない話をするメンバーも、同じ時間を共有してるんですから、どちらが優先というわけにもいきません。「自分の運んでいるメッセージのほうが、他の人のものより重要だ」なんて心の底で思っている人の話なんか、長々聞きたいとは思いません。
とはいえ僕も、ミーティング帰りの車の中で、いろいろをコントロールしすぎていると反省することしきりですけどね。
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