ホーム > 日々雑記 「たったひとつの冴えないやりかた」
たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2006年07月10日(月) ギアナの豚 さて、モルモット(marmotte)という名前は、南米からモルモットをヨーロッパに持ち込んだオランダ人が、これをヨーロッパにいるリス科の動物マーモット(marmot)と同じ種類だと勘違いしたことから来ています。実際には別の種で英名はギニア・ピッグ(Guinea pig=ギニアの豚)といいます。
でもモルモットは南米の動物、ギニアはアフリカの国です。南米ギアナ(Guyana)の名前が、いつの間にかギニアに勘違いされてしまったようです。
日本名はテンジクネズミ。天竺はインドであります。
ヨーロッパ・アフリカ・南米・インド。世界を股にかけた動物であります。
南米ギアナには、西からイギリスの植民地、オランダの植民地、フランスの植民地が並んでいました。イギリスとオランダのぶんは独立しましたが、フランスのぶんは相変わらずフランス領です。
オーストラリアがイギリスの流刑地だったように、フランス領ギアナもフランスの流刑地でした。フランス本土の政治犯や終身刑囚がギアナに送られ、過酷な強制労働をさせられたのです。
この流刑地を舞台にした映画が、スティーブ・マックイーン主演の『パピヨン』です。腕の入れ墨からパピヨンと呼ばれる金庫破りが、仲間の裏切りにあって濡れ衣を沢山着せられ、ギニア送りになります。パピヨンは脱走して本国へ帰ることを決意するのですが、看守を買収する金がありません。
そこで目を付けたのが偽金作りのドガ(ダスティン・ホフマン)。ドガは本国で女房が減刑運動をしてくれてるから、そのうち帰れるだろうと気楽に構えているのですが、その女房は弁護士とデキちゃっていることがわかります。
でも、この映画は格好いい脱獄映画じゃありません。
脱獄に失敗したパピヨンは、沖合にあるデビルズ島(悪魔島)の刑務所へ送られ、独房での日々を過ごします。そこからも脱獄しようとするパピヨン。でもやっぱり失敗してしまうんです。悪魔島からの脱獄にはさらに過酷な刑が待っています。
「被告から1ヶ月、光と、食料の半分を奪う」
パピヨンの入っている独房に蓋がされ、中は真っ暗闇になってしまいます。食事が半分になって飢えたパピヨンは、床を這う虫を食べて生き延びるのであります。
この映画は実在の人物の電気を元にしたものだとか。あくまでも運命にあらがうパピヨン、運命を受け入れようとしながらも心が動いてしまうドガ。この二人の対照が映画の妙です。
ああ、それにしても暗闇のひと月。想像するだけで過酷です。僕だったら気が狂ってしまうでしょう(え? もう狂ってる?)。暗闇にひと月かぁ。
えーと、何のためにこの文章を書き始めたんだっけ。そうだ! アル中探偵マット・スカダーの四作目『暗闇にひと突き』を読み始めたといいたかっただけなんです。
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