ホーム > 日々雑記 「たったひとつの冴えないやりかた」
たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2004年11月14日(日) 根拠のない自信と表裏一体 NEET に関する AERAの記事 のなかで、特に「とはいえ自信のなさは、実際には『自分はもっとできるはず』とか根拠のない自信と表裏一体です。できないことを認めて、開き直ることができない」という一文に、自分の姿を重ねて深く納得してしまいました。
自分の飲んでいたころは、ちょうど20代と重なり、仕事もロクにしていませんでしたし、教育も訓練も受けていませんでした。酒を片手にただ引きこもるだけの日々でした。酒の問題がなければ「自分はもっとできるはず」だと思っていました。それに「本当の自分」は仕事もきちんとこなし、社交的で、他の人よりちょっと多く尊敬と愛を受け取れる人間だと思っていました。
「本当の自分はこうじゃないんです」という感覚ばかりが強く、酒に足を引っ張られたことが悔しくてなりませんでした(でも酒はやめませんでしたが)。
AAにやってきて「自分に正直になる能力があれば回復できる」という言葉と出会いました。正直という能力にはたくさんの意味があるのでしょうが、僕が最初に感じ取ったことは「本当の自分は、今の自分しかいないのだ」ということです。
本当の自分はもっと「できる」はずだと思いたかったし、酒をやめることが「第一のこと」であろうはずがないとも思っていました。もっと金があれば、もっと世間の信用があれば、もっと都会に住んでいれば・・・。
でも、金もない、信用もない、酒をやめることすらおぼつかないのが現実の自分の姿でした。世の中にそういう自分が一人しかいない以上、その情けない自分で生きていくしかないのであります。本当の自分なんてものは、探さなくても、ずっとそこに居たのでした。
僕の高慢さが、本当の自分の姿を、自分として認めることを拒んでいただけの話なのです。
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