心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2003年12月17日(水) カミングアウト

今日、僕はカミングアウトしました。といっても会社の同僚一人に打ち明けただけですが。
もっともその人は、僕がアルコール依存症であることは先刻承知です。なぜそのことを知っているのかは判らないけれど、狭い人間関係の中で秘密が保てないことは仕方ないことです。
だから、カミングアウトした事実は「僕がAAメンバーであること」というわけです。

「僕が仕事と家庭以外に、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしていて、よく家族もそれを許しているなということに、疑問を持っているのじゃないですか? えへへ。その疑問にお答えしましょう」

と新しく出版された『AA早分かり』を手渡したのでした。彼はいくつか質問をし、僕はそれに答えました。結局のところ、僕はその集団の中で、人間関係を一から築くということを、何度も何度も練習して、相変わらずド下手ではあるものの関係を構築することが、とりあえずできるようになった、という恩恵を与えられたわけです。

それで、しばらく話をしたあと、話題は別に移っていきました。こうして僕の「初カミングアウト体験」はまあ成功に終わったわけです。

しかし、そう簡単に一日が「良い状態」で終わってくれるはずもありませんでした。不幸の訪れは、「問題の解決のために、年末の休み中に台北に来てくれ」という英文のメールでした。今週の初めから、その件で交渉を進めているところでした。僕は英語の話す・聞く・読む・書くの能力のうち、書くのがもっとも苦手なので、日本語で書いたものを商社の人に英語にして送ってもらっているのですが、返事はなぜか直接僕のところに届くのです。そして、その内容の強さに、滅入ってしまったというわけです。
相手は日本人じゃないから、ビジネスなら、こうして欲しいという希望は全部遠慮会釈なく言ってきます。だからこちらも、自分の都合の良いように、言いたいことを全部言っているわけです。

そして、家に帰って気づいたことは、僕は「トラブルの原因は僕の間違った判断にあった」という事実を認めざるを得ない状況に追い込まれて、交渉の相手ではなく「自分の不完全さ」に対して、怒りと軽蔑の気分を持ってしまったからこそ、落ち込んでしまったのだということです。
何のことはない「超人幻想」というやつに溺れていただけでした。誰だって間違えることはある。未来を見通せる人間などいやしない。シンプルな真実です。

ま、どうせ年末に行ってみても、準備ができていない以上、解決にはなりません。来月でしょうね。僕は2月にAAで大事な用を抱えているので、それに影響が出ないよう祈るばかりです。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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