天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

急がないで - 2003年03月12日(水)

「そんなのきみに教えたことなんて覚えてないよ。いつ教えた?」
「もうずうーっと前だよ。いつだったか覚えてないけど」。

バースデーパーティに茄子とタヒニのディップを作って持ってった話をした。カダーが教えてくれたレシピだった。
おいしいね、あれ。とっても好評だったんだよ。
そう言ったら、どうやって作ったか始めから言ってごらんよって言う。
茄子をまるごとオーブンで焼くとこから言って、カダーは「そうそう」って返事する。

全部言い終えたとき、カダーがそう言った。

それから、茄子のディップはもうひとつあるんだよって、タヒニを使わない方のヤツを教えてくれた。「今度作ってみるよ。あなたにも作ってあげる。食べたい? 食べに来る?」。

カダーは食べたいって言ったけど、ほんとに来てくれると思わないし、もう「うどん」のときみたいに待ったりしない。でももし来てくれたら、ピタブレッドをたくさん用意して、言わなかったけどマジェッドが教えてくれて作ったきゅうりとヨーグルトのディップも作ってあげようって思った。少しガーリックが多すぎるけどよく出来てるよ、ってマジェッドは合格点をくれた。ヨーグルトは2時間かけて水切りした。マジェッドのレシピにそれはなかったけど。ジェニーは初めて食べるそれを気に入ってくれた。茄子とタヒニのより好きみたいだった。ほかのみんなも、きゅうりとヨーグルトのがおいしいって言ってた。だからほんとは「とっても好評だった」はウソ。でもわたしは、カダーの好きな茄子のディップがとても上手く出来たと思った。


シティからうちに帰る高速のあいだ、ずっとおしゃべりしてくれた。昨日、かけたときには電話は繋がらなくて、少ししてから車からかけ直してくれた。
「胃はもういいの? もう大丈夫なの?」って心配もしてくれた。
「うん、平気。でもこれから検査いっぱいするんだ。金曜日には GYN の検査するの」
「GYN って?」
「要するに、ヴァジャイナ見せるの」
「ヴァジャイナ? プシーの検査? なんでさ?」。
プシーの検査って。
ちょっと違うと思うけど、おもしろいからそういうことにしとく。

カダーはまた、なんでそのかわいい友だち紹介してくれないんだよ、って言う。フランチェスカのこと。フランチェスカみたいないい子、カダーなんかに会わせられない。
「あたしの友だちはみんないい子だからね、あなたに泣かされて欲しくないの。性悪女を見つけたら紹介してあげるよ。ソイツにあなたを泣かせて欲しい」
「I never cry」。
そうなんだ。カダーは強い。悲しいことを寄せ付けない人。悲しいことがあっても、立ち向かえる人。追い払える人。跳ね返せる人。

「僕はそんなに悪い男?」
「そうだよ。悪い男だよ。あなたはほんとは人が持ってない究極に素敵なところがあるのに、絶対それを見せないで悪いとこばっか表に出すの」
「女の子はそういう男が好きなんだよ」
「悪ぶる男? バカな女の子はね」
「女はみんなバカじゃん」
「あたしはバカじゃないよ」
「きみのこと言ってないよ」
「あたしが言ってるの。もうあたしはバカな女じゃないよ」。

あんまりバカすぎて、バカを通り越して、もうそろそろわたしは普通になれる頃かもしれないって、ほんとに思った。もう少し。もう少し。勢いがつくと、くるっと一回転してもとのバカに戻っちゃうから、ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり。


メインディッシュはカダーの好きなお魚にしよう、なんて思ってる。
またただの空想で、そんなことが叶わなくったってもうかまわない。


だけど、ずっと信じてきたことに、もうすぐ、もう少しで、届きそうな気がする。
もしもそうなら、神さま、どうか急がないで。
ゆっくりがいい。

このままゆっくり時が過ぎて。



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