きみを抱きたい - 2003年02月24日(月) 土曜日の夜に出掛けたことを話した。初めて見た不思議なスモークのことも話した。やっぱりそれはアラビックのスモークだって言ってた。 「誰と行ったの?」 「友だち」 「男? 女?」 「なんでそんなこと聞くの?」 「ただ聞いてるだけ。男? 女の子?」 「両方」。 「男」って言えばいいのに、そんな嘘言えなかった。 「どういう友だち?」 「仕事で一緒の友だち」 「誰?」 「あなたは知らないよ。フランチェスカって名前で病院のソーシャルワーカーの子。一緒のフロアで仕事してるの。イタリア系のかわいい子だよ。すごくいい子なの」。 「両方」って言ったのに「男」のほうのことは何も言わなかったから、嘘ってバレたかもしれない。 「紹介してよ」 「なんでよ。ガールフレンドがいるくせに、なんで別の女の子紹介して欲しいのよ」 「ガールフレンドなんかいないよ」 「いるでしょ?」 「いないって」 「いるじゃん」 「誰が言ったの?」 「あなたが言った」 「もうずっと前だよ。今はいないよ」 「ずっと前っていつ?」 「ずっと前。ねえ、紹介してよ」 「いつかね」 「意地が悪いな」。 意地悪はどっちだよ。 「もっと話してよ。きみの話が聞きたい。ほかにどんなことあった?」。 「ほかには?」。 きみが話すのを聞くのが好きって言って、いつもわたしにおしゃべりさせたあの頃みたいだった。わたしはたくさんたくさん話した。それからカダーが言った。「きみを抱きたい」。「きみと寝たい」かな。どっちがお行儀いいんだろ。とにかくお行儀いい言い方だった。いつかみたいに「ファックしたい」じゃなくて。 「抱きたいだけ?」 「いけない?」 「そんなこと、恋人でもない女の子に言うのは残酷だよ」 「そうかな」 「抱きたいって思われるのはわたしは嬉しいけど、ほかのことは何も一緒にしたくないならわたしは嬉しくない」。 カダーがなんて言ったのか、覚えてない。 「でも平気だよ、もう。心配しないで。泣いたりしないから」。 そう言って笑った。 「きみが僕を大嫌いなのは知ってるよ」 このあいだは、きみは僕のことを大嫌いになんかなれないって自信たっぷりだったくせに。 「大嫌いじゃないよ」 「そう?」 「大嫌いなんかじゃないよ。たとえ好きじゃなかったとしても、あなたを大嫌いなんかじゃ絶対ない」。 「大嫌いだよ」って言えばいいのに、そんな嘘もう言いたくなかった。 「今したい」ってカダーが言った。 「ほかに誰も相手がいないから?」って笑った。 ちょっとのあいだはぐらかしてたけど、電話でくらい別にいいやって思った。 電話でヤルのとほんとにスルのと、どう違うのかよくわかんない気もしたけど。 一緒にイッた。 「一緒にイッたね。素敵」って、めちゃくちゃ明るく笑った。 ほんとに悲しくも虚しくもなかった。ただ、ちょっと素敵って思った以外、なんともなかった。 この間あの街の人たちのパーティで会って、地下鉄の駅まで一緒に帰った人からメールが来た。 「お会いできてよかったです。楽しかったね、トイザラスとか。どうしてますか?」 って。 わたしも帰り道のトイザラス、楽しかった。だからそのまま返事を送った。 「元気ですか? わたしもお会いできてよかったです」。 それから、「Hope we can get together again soon」って。 パーティのことって取ってくれても、ふたりでって取ってくれても、どっちでもいいと思った。 -
|
|