not a big deal - 2003年02月22日(土) 今日もまたお昼まで寝てた。 目が覚めたのは、携帯が鳴ったから。ID 確かめる目も虚ろで、誰からかわかんないまま電話を取ったら。 カダーだった。 「何してた?」 「うわ。寝てたー。今何時? え? もう1時? オーマイガーッシュ」 カダーは笑う。「オーマイガーッシュ」って一緒になって言いながら。 外で雨の音が聞こえた。 「雨降ってるの?」 「うん、どしゃ降りだよ」。 そしてカダーはまた聞く。 「Howユs your adventure going?」。 アドベンチャーっての、自分でも気に入ってるのかな。 なんにもないよって言ったら、「先週は何してたの?」って聞く。 殆ど毎日電話で話してた頃はいつも聞いてくれてた。「今日は何してたの?」って。 いつからかわたしのことなんかまるで興味が無くなったみたいにそういうこと聞いてくれなくなってたのに。 ああ、そうだ、って思い出して、木曜日にあの街の人たちのパーティに行って来たことを話す。 いろんな人に会って来たの、楽しかった、って言ったら「Thatユs good! Good for you!」って嬉しそうに言ってくれた。知らない人たちの集まりに出掛けて行くわたしなんてカダーには多分初めてだし、わたしのソーシャルライフなんかカダーはまるで知らない。だから、話せたのが自分でも嬉しかった。わたしにだってそういうことはあるんだよ。いつもソーシャルライフが忙しいあなたに置いてきぼりにされてたけど。って。 先週も今週も週末に電話をくれるなんてどうしたのかなってやっぱりよくわかんないけど、今日もカダーは優しくて嬉しかった。でも会おうかとか遊びにおいでとかそういうのはなくて、夜になっても何も予定がなかったらまたかけてくるのかもしれないって思った。何もプランが見つかんなかったときのためのバックアップ。それでも会いたいって言ってくれるなら、会いに行こうってまた思ってた。このまま優しいカダーなら。 少ししてからフランチェスカから電話がかかる。 今日も友だちと飲みに出掛けるって言ってたのに、ひどい雨のせいで友だちはキャンセルしてきたって。「どうしよう? どうしたらいいかわかんない」ってフランチェスカは言う。ジョンにふられてから週末は毎週出掛けてた。空白になった週末を必死で塗りつぶすみたいに。どしゃ降りの中出掛けるのはわたしもやだなってちょっと思ったけど、そういうときのひとりの週末がどんなに淋しいかわたしには分かる。それに、もうそんなことはしたくないのにまたカダーの電話を待ちそうな自分もヤだった。 ふたりの家の中間にある病院で待ち合わせして、フランチェスカの車でシティに行くことにした。ジョンとよく行ってたお店に行きたいってフランチェスカが言った。ずっと「ジョンがね」「ジョンはね」って、フランチェスカはジョンのことばかり話してた。一緒に過ごした楽しかったときのことを話すと楽になれるのも、分かる。 アパーイーストでごはんを食べて、うんと下ってイーストビレッジの南の端っこにあるバーに行く。 フランチェスカはその辺りに住んでる友だちのジョシーを呼んだ。仲のいい男友だちだって言ってた。フランチェスカは弟みたいにからかってお兄ちゃんみたいに甘えてた。わたしのマジェッドとおんなじって思った。ジョンにふられたときも、毎日電話して泣きついたって言ってた。 スパニッシュの優しそうな人だった。LA の出身らしくて、だからかどうかわかんないけど、チャラチャラしたニューヨーカー風ではなかった。すごくお似合いだと思ったけど、フランチェスカがひとりのときにはジョシーにガールフレンドがいて、ジョシーがひとりになったときにはフランチェスカにボーイフレンドがいて、今はジェシーに新しいガールフレンドがいる。それにジョシーは大好きな友だちで、そういうのがいいの、ってフランチェスカは言った。 フランチェスカとわたしって、ほんとに似てる。そんなこと人に言ったら「どこが」って非難されそうだけど。 バーには、壺のようなランプのような容器から繋がってる綺麗なチューブを吸って煙りを吐く、アラビックのスモークがあった。カダーが話してくれたヤツだってすぐわかった。 携帯は鳴らなかった。 来週の週末また電話をくれたら、話そうと思った。 カダーの電話のこと話したら、「あなたのとこに戻って来るんじゃない?」ってフランチェスカは言った。 わたしはもう、よけいなことは望まないし自分の心配もしない。 すべては神さまの手の中にある。 わたしは神さまを信じて、それを受け入れるだけ。 泣いたって、大したことじゃない。 ルームメイトが言ってた「大したことじゃない」のほんとの意味が、今頃やっと分かってきた。 -
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