黄色い薔薇 - 2003年01月11日(土) マジェッドは今日ジェニーとデートした。 昨日、ジェニーが「No」って言えなかったって、「アンタも一緒においでよ」ってわたしに言った。そんなことしたらマジェッドに殺されるよって笑った。ジェニーは「あたし、正直に話すよ」って言ってたけど、ジェニーがマジェッドのデートの誘いにオーケーしてくれたのは嬉しかった。 「よかったじゃん、頑張れ」って言おうと思ってマジェッドに電話したら、留守電になってた。 おもしろがって、代わりに「明日あたしも一緒に行くからね、じゃね〜」ってメッセージ入れた。 今日仕事が終わってから駐車場で携帯チェックしたら、マジェッドからの missed log があった。電話して、「マジェッド? あたし行かないよ。メッセージ聞いて怒ったでしょ」って言ったら、「怒らないけどさ、ほんとに来るのかと思った。冗談か」って嬉しそうに笑った。マジェッドはジェニーんちに行く道をわたしに聞いて、わたしは「頑張るんだよ」って言って切った。 先週、エミリアから「ニューヨークに遊びに行くから会おうよ」ってメールが来てた。 地下鉄に乗って、エミリアとお姉さんのブレンダが泊まってるホテルまで行く。 シティの夜は気が遠くなりそうなくらい冷たいのに、エミリアとブレンダが外を歩きたいって言う。この寒さが気に入ったって。ふたりともしっかり帽子を持って来てて、「なんで帽子被って来なかったのよ」って言われた。 あの街の夏は陽差しがきつくて帽子が必須だったけど、ここの冬は、とりわけシティの冬は、止まった空気も風も凍えて帽子が必須だ。コートに大きなフードが付いてることを思い出して、使ったことないそれを被ってイカみたいになる。 ふたりが歩きたいってとこをわたしがついてく。「ここに住んでていいなあ」ってエミリアもブレンダもしきりに言ってたけど、わたしはここであの街に関係のあるものを見つける度にじんとするほど、今でもあの街が好きなのに。 セントラルパーク沿いの道をくるっと回って5番街の方に歩くから、やばいやばいまずいって思った。あの人が来てくれるまで行かずにとってあるわたしの行きたいあのお店に行ってしまう。「一緒に行くまで待ってて」ってあの人が言ったあの人の行きたいあの場所もすぐ近くにある。見ないように見ないように、必死で下向いて歩いた。見ないで素通りしたからいいよね。 ホテルまで戻って、通りのスタンドでジャイロのピタブレッド・サンドイッチを買ってほおばった。あったかくておいしかった。なんでこんな寒い時間に外歩くのよって思ってたけど、おもしろかった。それからホテルのロビーであったまりながらおしゃべりした。エミリアはぎゅうっとぎゅうっと抱き締めてくれて、「また来るからね。今度はみんなで一緒に会いに来るから」って言ってくれた。 帰ってから心配してマジェッドに電話したら、「どちらさまですか?」なんてマジェッドはふざけて、うしろでジェニーの笑い声が聞こえる。「なんだー。まだ一緒だったの? あたし、あなたはてっきりジェニーにふられちゃって、もううちに帰ってベッドに潜り込んでボロボロになって泣いてると思って電話してあげたのに。熱あるって言ってたしさ、本気で心配してたんだよー」って笑った。 途中でジェニーに代わるから「マジェッド幸せそう?」って聞いたら、「なによ。なにが『マジェッド幸せそう?』だよ。なんでアンタはマジェッドの幸せだけ考えるわけ? あたしの幸せ聞いてくれたっていいじゃん。なんであたしには聞いてくれないのよ。どういう友だちだよ、それってー」ってまくしたてる。今度は後ろでマジェッドが大笑いしてる。 ジェニーが幸せそうだから、幸せかなんて聞けなかったよ。 「アンタは幸せ?」ってジェニーがわけわかんないこと聞く。「あたし悲しい」ってわざと沈んだ声出した。「なんで? なんで悲しいの?」「冗談だよ」「・・・知ってる。わかってるよ、あたし」。ジェニーは真面目な声で言った。「何をわかってんの?」って聞いたら、少し間を置いてから、「今日踊りに行けなかったことー」って茶化した。後ろでマジェッドが「今から踊りに行くー?」ってわたしに聞いた。 ジェニーとつき合うことになったのかな。そしたらもうわたしと遊んでもらえなくなるね。なるのかな。なるよね。ジェニーのことあんなに応援してたのにさ。してるはずだったのにさ。わたしったら淋しくなってるよ。 今日はあの娘の命日。 お昼休みに病院の裏のお花やさんで、黄色い薔薇をあの娘に買った。 今年も黄色い薔薇。あの娘は赤が似合ったけど、天国に行ってから黄色い薔薇が似合うようになった気がする。 立ったまま、写真のあの娘を抱き締める。 幸せ? 天国は幸せ? 幸せだよね。 早く会いたいね。 -
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