ちょっとだけ Bye - 2002年12月27日(金) 「ニューイヤーズ・イヴ・パーティをうちでしようと思うんだけど」って、昨日ジャックが遠慮がちに言い出した。「ぎりぎりのノーティスだからもうみんな予定入っててダメかな」って。ジェニーとわたしは大乗りで、やろうやろうってけしかける。ジェニーの友だちが今年はタイムズスクエアのカウントダウンに行こうって言ってるけど、人ばっかで寒いだけだからヤダってジェニーもわたしも思ってた。 ジャックはヘンなとこで神経質で、誰を招待したらフェアかとか、アルコールは来る人ひとりひとりの好みを考えなきゃとか、ウルサイ。「いいよーどうだって。なんでもいいじゃん。誰来たっていいじゃんか」って、ジェニーはさっそく友だちのレネに電話してメッセージ入れてる。「タイムズスクエアは没。パーティするからそれに来ること。命令」とかって。 ジャックはそのうえ潔癖性でおうちの掃除ばっかしてて、「クリスマスは何するの?」って聞いたときも「掃除」って言ってた。「うちは家の中では靴を脱いでもらうからね」って言う。「ニューイヤーズ・イヴまでに掃除をしなくちゃいけないよ」って言う。「しなくていいよ、どうせ滅茶苦茶になるんだからさ」「靴は脱いであげてもいいけど」ってふたりでからかう。いたずらのスプレーペンキ持ってって行ったらいきなり壁にスプレーしてやろうか、ってわたしはこっそりジェニーに言う。あの、スプレーしたあと剥がせるヤツ。 今日またごちゃごちゃ言い出す。ジャックはお料理しないから1階と3階のキッチンはガスを止めてて、2階のキッチンのオーブンだけは使えるけどもう6年くらい使ってないって。「頭ん中がスピンして来たよ」ってジェニーが言う。まあいいじゃん。食べるものちゃんと持ってくから。ジャックをからかうのはおもしろいから、とんでもないパーティにしてやろうって、ジェニーもわたしもエキサイトしてる。「CD あるんでしょ?」って聞いたら「何百枚もあるけど全部クラシック」ってにっこり言われたときには、わたしも頭痛がしたけど。しょうがない。クレイジーなの、わたしがいっぱい持ってく。 「まだカダーが好きなの? なんでよ?」って、ジェニーに言われた。 クリスマス・イヴの日のこと話したら、マジェッドのほうがずっといい人じゃん、マジェッドにしなよ、って。だから、マジェッドにはそういう感情ないんだって。 「カダーなんてさ、最初からあんまりいい人って思えなかったよ」ってジェニーは言う。 「いい人なんだよ、あたしの気持ちに対してしてること以外は。でもさ、マジェッドに言われたの。『誰かに対していい人じゃない人をどうしてそんなにいい人だと言えるの?』って」 「そうだよ。アンタの気持ちなんかどうでもいいんじゃん。アンタに対していい人じゃないってことはそれだけでいい人じゃないってことじゃん」。 そうなのかな。だけどいい人なんだよ。誰かに対して優しいとかいい人とか、そういうんじゃなくて。誰かに対してじゃなくても、あったかい心を持ってるんだよ。わたしには分かる。もしも誰ひとりカダーのことをいい人だと思わなかったとしても、わたしだけはカダーを、心の底で愛情が深くてあったかくて優しい人だと思ってる。「どこが」って言われそうなくらい悲しい目に遭わされたって、そうさせてるのがわたしなだけ。 だけど、帰りの車の中で思ってみた。 ジェニーに言われたからじゃなくて。 新しい年が始まるから。だから。 少しだけ、離してみようかな。努力してみようかな。 そう思っても痛くなかった。 やっぱり出来ないよ。 そう思ったらちょっと痛くなった。 だからこの選択、間違ってないのかもしれない。 ニューイヤーズ・イヴに、今年と一緒にちょっとだけ Bye。 いつかいつかいつか痛みなしに友だちになれる日信じてても、 ずっとカダーの幸せ信じ続けても、 ちょっとだけ Bye なら出来るかもしれない。 -
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