どこにも行かない - 2002年12月09日(月) 仕事の帰りにカダーのところにお薬を持って行く。 今日は仕事が遅い日だから、うちにいないってわかってた。 着いたらリビングルームも、道路沿いのカダーのお部屋も灯りは消えていて、よかったって思った。いてくれないほうがいい。会わずに追い返されるなら。 スターバックスのちっちゃな紙袋に、病院のキッチンでもらってきたホットチョコレートのパケットを4つと、封筒に入れた胃のお薬を入れて、ドアのノブにぶら下げて来た。 夜中の1時くらいに電話をくれる。 「あれ、どういう薬?」 「胃が痛いときに飲む薬。あなた市販の胃酸過多用のずっと飲んでるじゃん。だめだよ」 「痛いんじゃないよ。胃酸過多なんだって。胃が痛い用の薬は違うんじゃないの?」 「合ってるの! ただの胃酸過多じゃないよ、それ。」 「だけど痛いんじゃないんだって」 「そういう症状が続くとひどい痛みを生じるんだって。それを防ぐ薬でもあるの。あたしのこと信用してないの?」 「そりゃあ信用してないよ。きみはドクターじゃないじゃん」。 頭に来て、黙る。 「わかった。じゃあ飲まなくてもいいよ。捨てちゃってよ。だけど市販のあのお薬、ずっと飲んでるとよくないんだからね」 「捨てたりしたくないよ。あの薬もやめるよ。とにかく、ありがと」 「オーケー。じゃあね」 「・・・おやすみ」 「バイ」。 おやすみも返さないで切ってやった。多分カダーが正しい。わけわかんないお薬飲むのは怖いに決まってる。でも頭に来た。だけどいい子になるのはやめた。わたしなりの、 move on。move on の一歩。 念のため、薬の本で調べてみる。それからカダーに電話する。 「お薬調べたよ」。そしてちゃんと詳しく効用を教えてあげる。 「ありがと。ホントに感謝するよ」って、カダーはバカみたいに優しい声で言う。 だから今度はわたしもちゃんとおやすみを返した。 ただ、カダーの胃が心配なだけ。 でもわかんなくてもいいよ。もういいよ。 あの人に電話する。 明日はお休みだから、あの人の一番都合のいいわたしの明け方の時間まで待って、かける。 でも仕事中だった。 「ごめん。もう仕事なんだ」。 そう言いながら、囁き声で話してくれる。 どきんとした。 あの人の囁き声が好き。 どきんとして、久しぶりにどきどきした。 どきどきした。 あの人が好き。 どこにも行かない。あの人からは。 -
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