出来ない - 2002年10月17日(木) 明け方の電話越しにあの人の声が優しい。 「眠たい? 眠たそー」。 突然の声が耳の奥に心地よく響いて、わたしはまどろみの中でふわふわ揺れる。 「明日電話するって言ったけどね、今かけたくなった」。 わたしね、明日電話くれるときに魔法をくれると思ってた。 でもまだ怒ってるかなってちょっと怖かった。 思ってもいなかった方法で ちゃんと元通りにしてくれたね。 大きいなあって思う。 あんなにたくさん意地悪言ったのわたしなのに、 「ごめんなさい」って言うまえに 全部なかったことにしてくれる。 ありがとう。 ごめんね。 ありがとう。 ほんとに、大きいね、あなたって。 「終わった終わったー」って10分遅れでフロアを降りようとしたら、ナースステーションにいたレズが「帰るの?」って聞いた。 「うん」 「僕ももう終わるから、ごはん食べに行く?」 「いいよ。これからオフィスに行くから、あと7分くらいかかるけど」 「じゃあ10分後にロビーで待ってるよ」。 ロビーに行ったらレズがもういて、「友だちも来るって言うから、紹介するよ」って言った。 友だちは Dr. ニコルスだった。今日も B5 で一緒に仕事して、とっつきにくいドクターだなあって思ってた。いきなりジョークで笑わされる。イメージ180度転換。 レズがわたしの車に乗って、Dr. ニコルスの車のあとをついて行く。 おしゃべりに夢中になって、わたしったら Dr. ニコルスの車を見失った。レズがうろ覚えの道をナビゲートしてくれて、グリーンのバーナーをわたしが見つけた。 ブラジリアン・レストランだった。 珍しくて、おもしろかったしおいしかった。 おなかの皮がよじれるほど、ジョークばっかり言い合って笑って、楽しかった。 まじめに医学の話してても、全部ジョークに転んじゃう。Dr.ニコルス、コメディアンみたい。真面目で気難しいドクターだと思ってたのに。 レズはわたしの隣りに座って、自分のお皿のお肉をわたしに分けてくれたり、デザートをふたりでシェアしたり、だけど帰るときは、おんなじ方向の Dr. ニコルスの車に乗ってった。そういうのが嬉しかった。友だちだよね、こういうの。 昨日の夜も今日も、カダーに電話してないし、かかっても来ない。 試験の勉強してるのかな。 ほかの子と会ってるのかな。 ちょっと忘れてみようかなって気もするけど、 出来ない。 カダーのバカ。 -
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