世界で一番行きたい場所 - 2002年09月23日(月) 何度も何度も名前を呼ぶ。 大好きな、あの人の名前。 なんて素敵な響きなんだろうって思う。 なんて幸せなんだろうって思う。 あの人の名前を呼ぶわたしのこころが、声になってあの人に届く。 あんまり何度も呼ぶから、あの人は笑い出す。 今日徹夜で準備を終わらせて、明日からあの人は1週間、レコーディングの缶詰に行く。 「頑張ってね。」 「頑張るよ。」 「応援してるからね。」 「うん、ありがと。頑張ってくる。」 「死なないでね。」 「死なないよ。」 「ほんとに死んじゃだめだよ。」 「なんで死ぬんだよ。」 「死んだら教えてね。」 「教えられないだろ。」 「やだ。教えて。」 「だから、死なないだろ?」 「ほんと?」 「だから。死なないって言ってよ。」 「死なない。」 それからまた名前を呼ぶ。 「どうした?」ってあの人が聞く。 呼吸を飲み込んで、目を閉じる。 なんて優しい時間。止まれ。止まれ。止まれ。 「好きだよ。」 やっと、また聞けた。 止まれ。止まれ。止まれ。 「あなたが大好き。」 「僕も好きだから。」 やっとわたしもまた言えた。 止まれ。止まれ。止まれ。 「帰って来たら、一番に電話するよ。レコーディングした曲、一番に聴かせてあげる。」 「ほんとに?」 また名前を何度も呼んで、今度はわたしが自分で笑い出す。 あの人がつられて可笑しそうに笑う。 「なかなか電話切らせてもらえないって思ってるでしょう?」 ピアノの鍵盤を駆け登るみたいにあの人が笑った。 わたしの大好きな、あの笑い方。 笑顔が見えた。 あの笑顔のままだよね。 あの人の胸に飛び込みたい。 まっすぐその腕の中に飛んで行きたい。 世界で一番行きたい場所。 一番行けなくて、 一番行きたいところ。 -
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