メリーさんの羊 - 2002年08月25日(日) 土曜日。仕事が終わって帰ってきて、気がついたら眠ってた。 目が覚めて時計を見たら10時10分で、仕事に遅刻した、と思ったら、窓の外が真っ暗だった。 たいくつでカダーに電話した。カダーは HBO で The Mexican を観てるって行った。 テレビでやってたんだ。わたしったら、ケーブル代払ってるのにテレビをまるで見ない。知ってたら観たのにな。最後のシーンが好きなんだって言ったら、カダーは笑った。言わなきゃよかったって思った。 「レイバーデイのウィークエンド、何するの?」って聞いたら、友だちとナイアガラフォールズに行くかもしれないって言った。カダーのソーシャルライフは忙しくて、わたしは入るすき間がない。今週は週末仕事だし、来週もまた会えないのかって思った。「どっか行こうよ」ってわたしは言えない。「可愛いよ」なんて言ってくれたって、わたしはセックスの相手でしかないんだ。でもそれさえ無くなって行くような気がする。 たくさん話したけど、なんとなく自分が無理してるみたいで、それが悲しかった。なんでこんなになっちゃってまで、わたしカダーに会いたいんだろ。 切るとき、「カダー?」って呼んでから、ちょっと迷った。「何?」「・・・」「何言いたいの?」。聞きたいけど怖くて聞きたくなかったのに、聞いた。「今度いつ会えるの?」。カダーは電話するよって答えた。 今日も仕事だった。帰ってからランドリーしに行こうと思ってたのに、またくたびれてて眠ってしまった。ドクターの夢見ちゃった。「もう少ししたら今やってる病院の研究が完了して、そしたら別のところに仕事に行くんだ。どこになるかはまだわからないんだけど。一緒に来てくれる? それまで待っててくれる?」って、あの笑顔であの声でわたしを抱き締めて聞いた。なんて夢見てんだろ。ドクターの笑顔は、かりって音がして、ほんとに素敵な笑顔だった。 公園にひとりで行こうとしたら、フランクとデイジーが帰って来る途中だった。デイジーはわたしを見つけてわたしに飛びついて、わたしの手をペロペロ舐めて、公園に行こうってわたしを促した。フランクはデイジーのリーシュをわたしに持たせてくれて、道路を渡るときにはちゃんとステイさせるんだよって言った。フランクも一緒にまた公園に行くことになった。フランクは言う。デイジーはなんでこんなにきみのことが好きなんだろう。ほんとに大好きなんだよ。きみが帰ってくるのを分かって、きみの車の音がしただけで階段を走って降りてくんだ。知ってた? 知ってるよ。わたしもデイジーが大好きだもん。わたしがどんなにデイジーが好きか、デイジーは知ってるからだよ。 それはメリーさんの羊と一緒。メリーさんの羊はメリーさんが大好きで、学校にまでついて来ちゃう。ほかの子が先生に「なんでメリーさんの羊はメリーさんがそんなに大好きなの?」って聞くの。そしたら先生が答えるの。「メリーさんがメリーさんの羊を大好きだからよ」って。 子どものときからメリーさんの羊の歌を信じてて、大人になってからもそれが愛し合うことの原点だと思って来た。だけど原点にしかすぎなくて、そっからどんどん色んなことが枝分かれしてく。いつまでもそこにいたいのはわたしみたいなおバカさんだけで、かしこい大人はたくさんのことを考えながら、かしこく枝分かれに順応して行くんだ。 あの人の声を最後に聞いてから、10日経った。 大好きな大好きな人。 わたしのデイジー。わたしの羊。わたしの天使。 -
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