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■ エリザ300回と初☆内野トートは『可愛い』
今日でくづきの3月分「エリザベート」観劇は終了。マチネ公演で東宝エリザ 通算300回の上演になりました。終演後になにかあるかな〜と期待して待っ ていたら、メインキャストさんからの簡単な挨拶がありました。 うろ覚えですが↓な感じで。
いつものカテコの後で幕があがって一路さんがツツーと前へ。300回全出演 の一路さん、高嶋さん、初風さんのメイン3人がまず順番に挨拶。
★一路さん 「今回で300回目です。エリザベートを愛して下さる皆様には感謝して おります。ありがとうございます。」 ★高嶋さん 「初演からいろいろありましたが、300回嬉しく思ってます。」 ★初風さん 「私が最初に倒れるかもと思っていたけど頑張りました。一路さんの頑張り のおかげです。300回の間に大きい孫が3人、小さい孫が11人(ルドル フたちの事ね)できました〜」
その後で300回にはちょっと欠けちゃった ★鈴木フランツが予定にはなかったのか「え!僕も?えーと(ここで隣に立って いたマックス村井さんから早くしゃべれとツッコミが)、無事に300回迎え られて感謝してます」と、で約半分参加の ★内野トートが「山口さんと半分ですけど気持ちは300回一緒でした。」
花束贈呈とかあるのかなーと思っていたですが、それはなし。幕がおりた後で 記念撮影があったみたいでしたよ。プリンシバルキャスト以外に重臣'sやアン サンブルさんたちにも300回全出演の方が大勢いますものね。次は400、 500回へGO!
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本日のお初キャストは内野トートと塩野チビルドルフ。 とりあえず今期の初☆内野トートだったので彼について語ります(^^;
内野トートのビジュアルは写真で見た印象よりも後ろが長いシャギーストレー トの灰色の髪(もう少し光沢があってもいいなー)に山口トートより体のライ ンが出る仕立ての黒服姿。髪型が変わったせいか男らしさアップ?(笑)
内野さんのトートはあいかわらずの丁寧な役づくりでトートのキャラクターは とてもわかりやすいです。シーンごとの感情の移り変わりも見ていて良くわか ります。初めて出会った瞬間に恋に落ちてそのままシシィをどこまでも追い掛 けていく姿は・・・妙に可愛いんですけど。あれ〜?
シシィへの愛情表現がストレートでとにかく可愛い。シシィの態度に一喜一憂 するようなトート。ただし彼の愛情は空回り。シシィには中々通じません。誘 惑を振り切られる度にそんなにショックな顔しないで〜(^^; うーんと、小さい男の子が好きな女の子を苛める感じというか、飼い猫が自分 の獲物を嬉々として飼い主にプレゼントしにきて嫌〜な顔されちゃう感じとい うか。トートなりに考えていろいろするんだけど、あげる物が「不幸」だった り、「死」だったりして「そりゃー人間の女の子はそんなもの喜ばないわよ 〜」と。
最初のハンガリーで投げキスと共に娘の死体を渡されたらそりゃシシィも怒る でしょう。(ダンサーズが抱え上げてくる棺を指差す前に内野さんってば口元 に指を添えてたのよ。) あげる物に困ったからって息子殺して「こっちの世界は安らぎがあるよ〜」と 言われたらシシィだって自棄になるでしょう。
トートくん、もう少し人間の事をお勉強してから作戦たてましょうね!と教え てあげたくなるようなトートでした。 初めての「恋」にどうも浮き足立ってるような死神だなぁ。 『私が踊る時』で自信タップリな態度でダンスを申し込んで振られるところと か可愛すぎやん!山口トートはシシィに近付くけど直接は触れないままです が、内野トートは背後から抱きかかえるようにして踊ろうとするんですわ。
このシーンにかぎらず内野トートはシシィを誘惑するのに熱心です。最後通告 では机の上に寝そべってカモ〜ンだし、ドクトルでは爺様姿でやってきて 「待っていたーっ!」と変身!(ドクトルをまさかお爺さん風にやると は・・・インパクトありました)シシィやルドルフに触れる時は直接掴むん じゃなくて、たいていスル〜と撫でるように体に手を這わせてますね。でも全 体の印象が「可愛い」だったので、こういう行動に出ててもあまり色気を感じ なかったのが意外(^^; くづきのポイントとちょっと違うのね、内野トートは。
一路シシィも積極的に攻めてくる内野トートにはちょっとフラ〜となりつつ も、その度に逃げる感じ。このギリギリ感が昼メロドラマっぽい?と前は思っ たけど、今年はシシィが強いのであまりそうは感じなかったです。 良い事だ〜。
内野さんと言えば『歌』が問題な訳ですが・・・ えーと、正直言うとようやく「普通」になったかなと。ドカンと調子はずれに なる事はなかったので後は聞く方の好みの問題かな。台詞のように歌うという イメージなのか一言一言にアクセントをつけて切ったり、大事な台詞をやけに 強調して歌ったりというのがあるのでくづきはそれはちょっと苦手です。一つ の曲としての流れが歌によって切られてしまうというのが気になるのです。
『最後のダンス』は前半はこのブツ切れ歌いに「あちゃ〜」と思ったのです が、なんとサビに入ってビックリ!
内野さん、カッコ良く歌えるじゃないかっ!!!
山口トートはどうしてもタップリめに歌ってしまう部分もスピード感のある歌い 方で「ロックスターみたいな死神」というトートの設定イメージが再現。 おおー、こう来たかーッ!とちょっと感動しました。(評判の良かった再演時の 博多座でもこんな感じだったんですか?) 最後はシャウト系でまとめられちゃったよ〜。 『私が踊る時』も綺麗にまとめていて落ち着いて聞けたなぁ。
時々出だしがちょっと怪しかったり高音が苦しそうだったりする時もあったり するんですけど、この上達ぶりは凄いです。レミの時より歌いやすいのかなぁ? これは・・・CDを作り直してあげないとマズイでしょう(^^; 売店でライブCDを買って帰った人が別の意味で驚いちゃう。
ダンスはちゃんとダンサーズたちと揃ってました。シンメトリーの動きでなめ らかに踊る姿を見て「ああ、ここの本来の振り付けはこうだったのか」と確認 する点が何ケ所か(^^;ハンガリーの革命ダンスとかね〜。
ダンスではないのですが、内野さんって「決めポーズ」を作りすぎません?各 シーンの終わりとか綺麗すぎるポージングで止まるのがちょっと気になりまし た。今回は暗転で終わるのが多いのでその為かなー?とも思いつつ、あまりに 作ったような手の位置や表情で決めるのでちょっと笑いそうに・・・内野トー ト=可愛いの図式はこういうところからも来てるのかも。
以前は流れの中で指先の動きが綺麗だったり、マントさばきやちょっとした首の 角度での表情変化が美しい〜と思ったのですが、今日はどこか漫画っぽいなぁ、 と思ってしまいました。 特に1幕ラストの階段で曲に合わせてギュイーンと手のひらを体に添わせて指を 開いていくようなポージングは「やりすぎ・・・」と。 ごめん!内野さん、ごめん!!! ハッ!もしや宗方コーチ風劇画タッチが抜けきっていないのかー!?(←ウソウソ)
ルドルフ絡みのシーン。 塩野くんのチビルドルフは寂しがりやな皇太子。一人ぼっちにされるのが心細 くてたまらないような雰囲気でした。トートが現れてニコーとするのが可愛い なぁ。最初の出会いでトートとチビは手の平を合わせて指を絡めて握手ていう のがあるんですがそれがサクッとやられてしまったのが残念。これは後の青年 ルドルフとの再会でもやるのでもう少し印象に残るように見せてほしかった (>m<。
内野トートはチビの事はあまり可愛がらんのうー。 チビの前ではニッコリ笑って「良いお兄さん」顔してますが、背後に回ると冷 たい瞳で彼を見ます。最初から駒にする気なのかな。この感じは青年パクルド ルフを相手にしている時も同じような感じ。 表面上は親し気だけど結局シシィの為の道具扱いっぽいよね。 今年の演出だとルドルフ絡みの耽美で退廃的な雰囲気がかなり抑えられている 印象なので、余計にそう見えるのかもしれません。
マイヤーリンクでは「さあ、俺と踊れ!」とばかりに無理矢理ルドルフと踊り ます。シシィと踊れない不満を解消なのかー!?この時のパクルドの戸惑った 表情がイイ!パクさんのルドルフって「清純派」というイメージ(^^; ちょっと内股ぎみに立つせいで内向的キャラに見えるのかな。 最後に銃を渡す時ってずっとキスしたままのかー。 お約束通りにすぐに銃を渡さず、やっぱり体にスーッと這わせてから渡すとこ ろが内野さんらしいというか。 銃を渡した後の「お前に残された道はそれだけだ」って感じの冷たい顔が美し かったです。自殺した後のルドルフには「つまらん奴」って感じで一瞥もせず に立ち去るのもGood!
ちょっと気になったというか、残念だったのはラストでシシィを手に入れてそ の後どうするの?という点。トートがシシィを手に入れるということは「死」 を与えるって事なのよね。「生きたお前に愛されたい」と願った死神の恋が叶 うと言うことはシシィが死ぬという事なので、そこのところの矛盾にトート自 身が気付かないまま終わってる印象でした。
トートとシシィが出会った事で変わったものが何もない感じなんですよね。 今回最後に白トートにもならない訳でビジュアル的にトートの変化がわからない。 元々が不動の帝王的な山口トートの場合は変化がなくても良いような気がする のですが(でも山口トートはラストで多少雰囲気変わってると思う・・・のは ファンの欲目?)最後まで強くシシィを求めた内野トートにあまり変化が感じ られないのは「?」。
死の国の特別席にシシィを座らせるのが目的だった訳じゃないでしょ? 貴方が愛した「生きたシシィ」はもういなくなるの。 彼女の望みが「死」だったとしても最後にそれを与える事で何も変わらないの?
そこのところをわずかでも感じさせてくれないとトートの「愛」とやらがあま りに幼く、そしてお莫迦ではないでしょうか・・・。 結局シシィの真実なんてトートにもわかっていないという事なのでしょうかね? 何の打算もないのが「死の愛」って事なのかな?
内野トートは人間的な感情で動くように思えるので最後だけいきなり人外のモ ノの思いを出されるようなのはちょっと違和感。 再演の時はシシィを見送る背中にいろいろな感情が詰まっているように感じて 泣かされたのだけど、今回の棺見送りパターンではイマイチその辺りが物足り なくて拍子抜けでした。正直内野トートならラストシーンにかなりの余韻とい うか、胸に来るものを与えてくれるのではないかな〜と期待していただけに、 ちょっとショック。 (これは内野さんの演技云々よりも演出の方向性の問題にも思えます)
今回の東宝版で一番モヤモヤしているのがこの点なのですが、最後にシシィは どうなるのかが見えてこないの。棺に入れて安らかな眠り?でも裁判なんて下 らないものの為に起こされるってどうよ?と、シシィの眠りはそれ位のことで 一々覚まされる程度のものなの?(100年間眠り姫状態なら充分すぎる?) 死んでからは魂も肉体もトートのもの?
初演、再演ではオープニングシーンにシシィはいません。 (※額縁から飛び出すように現れますが、明らかに他の死者達とは違う雰囲気 で登場してきます。) ハプスブルクの亡霊達が語るのはあくまでも過去のシシィのイメージ。 絵画の中に焼つけられた残像の中から現れるのは遥か遠い日の記憶だけ。光と 影が踊った時代の物語が語られて、何故彼女は最初の霊廟にいないのか?は ラストシーンの大扉の向こうの世界へ彼女の魂は舞い立ったから、と一種の カタルシスと共に明かされる仕掛けでした。 このラストでの開放感が東宝エリザの魅力の一つだったとくづきは思うのです。 初演時の手を繋いで〜というのは宝塚のラブラブムードを引きづっていたけど 再演の時のシシィだけ扉の先へ行かせるようなのは物語として綺麗だと思った のね。
(※これはあくまでくづきのイメージ。霊廟にいる人々はいつか来る「最後の 審判」と「復活の日」を待ち望んでいると思うのです。だから「自分達に罪は ない。全て彼女の事を思ってやった事。我等に神の御加護を」と亡者になっても 自己弁護を繰り返す訳。でもシシィだけはそんなものは必要無い。完全な「死」 で消えてなくなりたいと願っており、トートにもそれを「許された(=愛され た)」と思えたからです)
なーのーに、今回はしょっぱなから棺の中からこんにちは、でしょ? 最後に棺に入る事は別に良いのです。ただ、その後の彼女の扱いというか・・・
確かに今も「シシィ」は偶像化されて誰もが彼女を静かに休ませてはくれてい ないのかもしれません。実際『エリザベート』なんてミュージカルまで作って 彼女についてあれこれ煩く語ってる訳だし(苦笑)。
でもなぁ・・・なんか、こう、腑に落ちない部分が大きいんですよね。
うーん、うーん、ここのところを誰か私に納得できるように説明して(>m<。 以前の東宝版だったり、全く別世界が展開する宝塚版ではこういうことも いちいち考えずにノリとパワーで押し切られるような高揚感があったのだけど 今回はそういう盛り上がり以前にひっかかってしまうのよ〜。 しかも気持ち悪いひっかかり方なの。
そういえば最近御会いした方何人かから「でもウィーン版も最後は棺に入れて 終わりなんでしょ?」と聞かれました。初演の時はどうだったかは私にはわか りませんが、再演版ではトートがガイドしていれるなんて事はやってません。 私のウィーン版のレビューの書き方がわかりにくかったのかな。 えーと、最後にトートがシシィにキスするとその瞬間にシシィは死にます。 トートの腕から足下へ崩れるように倒れてしまうのですね。 で、彼女の体はそのままダンサーズたちが一段下がったセリの中に引きずり込む ように連れていってしまいます。(この後で棺か何かにいれてたのかなぁ?) この時の感じがシシィの魂は消え去り、カプツィーナに遺されたのはただの器 なんだよーって思えるんです。 なので東宝のとはちょっと違います、と。
他のキャストさんについては後でまとめてレビューアップします。
実は私の東宝エリザ観劇回数もこの回で丁度30回目でした〜。 10公演に1回は観てたのか、私。
2004年03月21日(日)
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