朝日の「声」の欄に囲みで入っている「朝日川柳」がきょうはない代わりに 選者(西木空人)による「平成落首考」が書かれていた。 今年後半のまとめだそうである。 実におもしろい。 川柳自体もおもしろいものが多いが、それをつなぐ文章が気がきいている。 今までに読んだ記憶がないが、年2回、半年分を振り返るのが恒例らしい。 今まで読まなかったのは大いなる損失という感じがする。 この半年間の歴史がコンパクトにまとめられているではないか、 しかも、実に痛快に。。。
全文引用させてもらおう。
「昔ならとっくに年号変わってる」 いやはや多事多端、多事多難、いっそ禍々しいと申しましょうか。そんな今年が暮れていきます。 「信ずべきもの皆壊れる怖ろしさ」とはやや悲観に過ぎるとしても、「一年を称える一句が浮かばない」のが現実です。恒例により『朝日川柳』掲載句を編み直して下半期を振り返りましょう。
「あがきです間違えましたあかぎです」。思えば、そんな大臣がいましたっけ。「痛いとこしっかりきちんとはぐらかし」続けてきた首相もおりました。でも、さすがに「国民は誤解するほど馬鹿じゃない」。 「閣僚が刺客みたいな内閣ね」と阿部政権のお寒い実体はお見通しでした。参院選では「無理に通せば議席引っ込む」で、自民党は歴史的大敗を喫した。 なのに「NOと出た民意をGOと読むシンゾウ」首相は「敗戦を終戦ですと続投し」ます。その改造内閣も「泥船は十日持たずに穴があき」。とどのつまり、突如政権を投げ出した。「途中抜け敵も味方も唖然とし」。そして三カ月後には「ニコニコとお国入りする記憶力」。また、唖然。
「天地人すべてが民を痛めつけ」。台風、地震、それに伴う原発事故と、この夏の日本は災害列島と化しました。「危険言い廃炉言わない識者たち」の対岸の火事視はいつも通りですが、「原発も壊れてゆけば核爆弾」であって、「神話とは所詮神話の安全度」を改めて認識させられます。 「猛暑だけ格差解消する日本」。それにしても異常な暑さだった。 酷暑を増幅したのが、相変わらずの偽装問題です。白い恋人、赤福、船場吉兆などと「食べ物じゃなかった食わせものでした」の例が、いまに至るも数多続々。「偽偽偽偽偽イヤな音して閉まるドア」と歳末発表の今年の漢字も「偽」でしたね。 「社長らのばれぬと思う脳不思議」なのですが、「言われなきゃ今も旨いと食っている」であろうことも皮肉な事実です。「お詫び欄確かめてから買いにゆく」のが消費者のせめてもの心得なのでしょうか。 一方、原点を見せてもらった甲子園」の佐賀北優勝は、極暑をさわやかな風に変えました。北京五輪出場を決めた野球日本代表の奮戦も、「地上波の野球も捨てたものじゃない」と人々を引きつけました。 対照的なのが朝青龍や亀田兄弟の不始末です。「場所中継しないテレビがよく騒ぎ」、視聴者は「ドルゴルスレン・ダグワドルジと見ずに言え」るまでに訓練されました。
「選挙権ないのに福田いや麻生」とメディアが大騒ぎしたあげく、「三代目に懲りて二代目担ぎ出し」、福田内閣が誕生しました。けれど、「壊す人投げ出す人に戻す人」の元・前・現のうち『戻す人』は、「はぐらかす術は父上優に超え」るのが逆目に出て、「おとぼけの特技一つじゃ情けない」「まだマシと思いし人の軽い口」と、とんだ不評。 年末ぎりぎりに決断した薬害肝炎の一律救済法案についても「支持率のアップ薬にすがってる」と川柳子は辛口です。 なにしろ政権発足以来、ロクな話題がない。年金や薬害の懸案も「厚労相一人わめいて時が過ぎ」、成果の上がらぬままに官僚に取り込まれ「他人ならさぞや罵るマスゾエ氏」というありさま。行革にしても「独立と呼ぶよりむしろ省立に」と高姿勢の官僚に対し「行革を懐手して推す首相」と積極性が感じられません。 属性として既得権の維持拡大をもくろむ官僚の、腐敗の面の象徴が「部下はイラクへ次官はゴルフ」の守屋容疑者でしょう。阿部政権の末期、「見苦しや局茶坊主つかみ合い」の一方の主役だったこの人は「グリップもにぎにぎだものよく覚え」たらしい。にしても、「こんなにもやってバレずに来た不思議」を誰もが思うのです。
「アメリカのローンを世界が返済し」。サブプライム問題とやらで、日本も大きな影響を受けています。 「竪琴は昔も今も悲愴曲」。ミャンマーでは軍が民衆に発砲し「最初から狙ったような流れ弾」で取材の邦人が殺されました。 日本、英国、豪州などと「お友だち去って砂漠に独りぼち」のブッシュ大統領。「カリスマとはこんなもんよとプーチン氏」と意気揚々のロシア大統領。「二世とは違い隣は叩き上げ」の李韓国次期大統領。「ガス欠のニュースは聞かぬインド洋」なのに「アメリカにした公約は忘れない」わが首相。
「親孝行減って親暴行が増え」「誤ればいいんでしょうと子ども言い」の風潮は確かにある。 しかし、人の温もりもたっぷり感じられます。「子育てで世間と空が近くなる」「不細工なサラダ喜ぶ孫と居る」。 「倒れてる自転車誰も起こさぬ世」ではいけません。まず、自転車を起こすことから始めませんか。
検索してみたら、朝日のサイトにもこれはアップされておらず、 今年前半の分を、新聞からの切り抜きそのままでアップしている人がいた。 これもコピペできないので、打ち込まなきゃならないが。。。 しかしこれも引用させてもらい、今年のまとめ第1弾ということにしよう。
「近頃は食事時にはテレビ消し」 「休刊日世界平和のごとき朝」 内外とも多事多難。「普段着で今日と明日が来ればいい」とささやかに願っていても、残念ながら「日替わりで川柳ネタ出る世が怖い」のが現実です。「朝日川柳」掲載句を編み直し、上半期の世相を点検してみます。
「ウニとろを納豆巻きが下に見る」。テレビ番組に発した「やせます」ブームで、納豆が大きな顔をしたのは1月のこと。「納豆の分だけちゃんと太る人」が首をかしげるうち、「捏造」の二字が連日紙面をにぎわす事態に陥りました。 連れ添うように、低い「支持率も捏造だろうと気にかけず」、安倍内閣は「改憲とあ唐様に(あからさまに)いう三代目」「九条を討ってやるぞと勇ましく」突き進んだ。「憲法も古女房と畳並み」。戦後レジームからの脱却とやらで、新しければ、改憲すればいいらしい。 ケータイの「圏外のようなところだ永田町」。与党も議論無用で同一歩調をとる。「ブレーキを踏むそぶりだけ公明党」の一句が空気を象徴します。 さなか、柳沢厚労相の「産む機械」発言が反発を招きました。「男子産めという土壌と根は同じ」「特攻も人を機械に仕立てたり」と投句も山を築いた。からめ手から近づくのも川柳子の得意技。「趣味聞かれ機械いじりといいにくい」。ニヤリとした読者もいたでしょう。
小泉前首相が、政府は「鈍感力」が大切だと説いた。「鋭敏な内閣だとは露知らず」、いや失礼しました。「何もかも問題ないと言う総理」は正面突破を図る。きちんと、しっかりと、鈍感力を会得されたようで、ご同慶の至りです。 「まな板の上で憲法目を瞑り」。憲法記念日の5月、「本音では改憲国民投票法」の審議が急加速、「売り物はスピードだけの参議院」で、たちまち成立の運びとなりました。 一方で「潔白な事務所に置かぬ浄水器」と非難を浴び続けた松岡農水相が、突如自殺した。「介錯の遅きが故の悲劇かな」であり、安倍首相も内心忸怩たるものがあるでしょう。いずれにせよ「林道は松岡ヤマで行き止まり」。緑談合の捜査は終結する見通しになった。松岡氏本人は「語らずに自決するのだ美しく」の心境だったのでしょうか。 これまた突如という感じで大爆発したのが、年金問題です。なにしろ「返済を救済という鈍感さ」だから、社保庁は「確認に来なきゃ確認しないだけ」で「ミスしてもすべてが税でまかなわれ」ると悠々たるもの。「年金の代わりにストレス支給され」た形の国民は、「年金を自分自身で救出し」なければならない。 当然ながら「憲法の裾を年金踏んづける」結果になった。政府はあわてふためき、「言う方もできると思わない調査」を「不可能を可能にすると選挙前」ゆえに叫ぶのです。
「CMに出ていた猿を思い出す」。企業のトップたちは相変わらずテレビで、ハンセイ! と後頭部を開陳します。でも「心から謝罪の言葉心カラ」のように思えてならない。新聞に目を移せば「読めるなら読めとお詫び広告文」。虫めがね必携で、企業側はむしろ開き直っている。 個人も負けていません。「食い逃げもみんなでやれば怖くない」と給食費未払い族がはびこる。「朝夕も給食にせよと言いかねず」「親馬鹿というより馬鹿親バカに増え」る始末。 世の中「のど元のやたら短い人ばかり」で、さっきの熱さはどこへやら、ケロリ健忘症の風潮。「孫曾孫(まごひご)に暖房費要らぬ世を残し」つつある私たちですが、温暖化の「その割に温厚な人減る地球」がかなしい実感として迫ります。
イラク開戦から4年。しかしながら「いつまでも凱旋できぬ勝ちいくさ」が続き、「あと何枚若者包む星条旗」という無残。「万骨で泥沼埋める気のブッシュ」大統領です。 国内でも「銃声になって現る世のすがた」。伊藤長崎市長が選挙戦の最中に凶弾に倒されました。「言いたくば鉛の弾より紙つぶて」であるべきなのに、時代は自衛隊情報保全隊なる機関が国民を監視するなど、暗い方に向かっている気配。それでも川柳子は「常連はとうにブラックリスト入り」と言論の自由を最大限に発揮するのです。 三選を果たした石原東京都知事は「一夜明け障子を破る威勢なり」。タレント時代以上にタレント化した東国原宮崎県知事も「どこやらの知事に似てきた記者会見」と姿勢が高い。権力おそるべし、ですね。
「長生きが恐ろしくなる長寿国」ではありますが、「ほおかむりすれば何でも美しく」と逃避するのはよろしくない。折から参院選を迎えます。「もう入れぬ選挙の時だけ騒ぐ奴」の誓いを忘れずに、「一寸の虫ぞろぞろと七月へ」と参りましょう。「どうだろうと真面目が一番いいんだよ」
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