TENSEI塵語

2007年10月30日(火) 名物の誇りは?

朝日川柳の一句に、

言われなきゃ今も旨いと食っている

赤福が営業停止になっている間に、観光客は御福餅に殺到し、
このところ売り切れが続いていたようだ。
しかし、その御福餅も、製造日・消費期限の1日先延ばし表示と、
原材料表示順の誤りのために、目下立ち入り調査中、販売停止らしい。

赤福の偽装工作は、あれからいろいろと手の込んだ手口が発覚して驚いた。
しかし、私は、こういう食品業界の工夫には同情的である。

もちろん、ごまかしはいけないし、これらとはまったく別件の、
並かそれ以下の鶏を高級○○鶏として売るなんてのは大犯罪だと思う。

けれども、もしも赤福がああいう工夫をしてこなかったら、
今までにどれだけの材料がムダに捨てられてきたか、計り知れない。
観光客、、、それは人によっては唯一の機会である可能性が高いのだが、
その観光客に、もうありません、諦めてください、とがっかりさせたくない。
かといって、翌日以降、新鮮でない商品を並べて、敬遠されて、
売れ残る日まで待って捨てるということはできるだけ避けたい。
安全に配慮しつつ有効利用し続けてきた結果がこれだ。

用心深い、自己保身を第一とするお役所が大事にする法律と、
現場の苦慮から生まれた工夫のどちらが大切なのか、難しい問題である。
実際、赤福で食中毒なんて話は聞いたことがないし、
あんな単純なお菓子の人気は、ぜんぜん衰えていなかった。
また、ごまかしや欺きはいけないと思うけれども、
もしも正直に説明したとしたら、ちょっとでも新鮮なものをという思いが
購入者にはあるから、せっかくの工夫も何の意味もなさず、
古いものや再利用のものは敬遠され、捨てられる運命になっただろう。
そういう意味でもやはり難しい問題だったのだと思う。

私は、赤福が好きで擁護しているのではない。
和菓子にはあまり興味がない。
赤福が好きというわけでもないし、ましてや、なごやんなど嫌いである。
ただ、こういう事件を聞くたびに、
余ったものは捨てなはれ、、、でいいのかな? と思うだけである。

私が赤福に苦言を呈するとしたら、偽装問題以前の問題である。
そんなに大量生産してはいけなかったのだよ。
何で、伊勢の名物が名古屋でも買えるのかね??
赤福を食べたかったら、または、お土産にしたかったら、
ちゃんと伊勢に来なさい!! それでよかったんではないかね??

赤福の罪は、手広く儲けようという野心にあった。
伊勢まで来てくれなきゃ赤福は手に入らないぞ、と言えるだけの
誇りを持ち続けるべきだった。
伊勢市内の店舗にはいくらか置くけれど、そこで売り切れたら、
本店に行けば作り売りする、という形を守れば、偽装の必要はなかった。
手広く儲けようと考えたために、要らざる偽装工作もせざるを得なくなった。

旅行すると思うのだが、わざわざその店まで買いに行ったのに、
よその町に行ってもあちこちの店で山積みになって売られてるのを見ると
いとすさまじき心持ちになってしまうものである。



 < 過去  INDEX  未来 >


TENSEI [MAIL]