朝日新聞の世論調査で、
国民投票法案が今国会で成立することに賛成か反対か。 賛成 40% 反対 37%
今国会の法案では、投票率の高い低いに関わりなく改正が成立する。 憲法改正のためには、投票率が一定の水準を上回る必要があるか。 必要がある 79% その必要はない 11%
不思議である。 最低投票率を決める必要があると答えている人が約8割もいて、 そんな必要はないと答えている人は約1割である。 今国会で審議され可決されようとしている法案は最低投票率を定めてない と言っているのだから、今国会での成立の賛成者は約1割、 多めに見積もっても2割そこそこのはずである。 8割は、今国会での成立に反対するはずである。 しかし、2〜4割の人たちが、支離滅裂な回答をしていることになる。 最低投票率を定める必要はあるが、 今国会で最低投票率を定めない法案が成立することには賛成だという。。。
まったくわけのわからない民衆だ、という思いをまたもや新たにする。
しかし、これには2つの理由が考えられる。 新聞社の、誠意を装ったトリックではないかと思う。
ひとつは、質問が「最低投票率を定める必要」とは言っていないことだ。 「投票率が一定の水準を上回る必要があるか」としか聞いていない。 この問い方は、「法案に定められなくても、一定の水準の投票が必要だ」 つまり、国民はちゃんと投票に行くべきだ、 その水準を法に定めるか定めないかは別問題だ、という余地を残している。
もうひとつは、質問の順番である。 朝刊1面の記事では、こんな見出しになっている。
「最低投票率「必要」79% 国民投票法案 成立、賛否二分」
そして、まず先に最低投票率の調査結果について解説があり、 それから、今国会での成立についての解説が書かれている。 これを読んで私は、上記のような感想を抱き、 大衆への不信と脅威という長年の思いをまた一層深めたのだった。
しかし、4面の世論調査の内容を見ると、こういう順ではないようだ。 最初にまとめて書いた、あの順序で質問がされているようだ。 もっと詳しく言えば、 「安倍内閣を支持するか」「その理由」「支持する政党は」が先にあり、 それから「今国会での成立に賛成か」「最低投票率は必要か」の順である。 つまり、「今国会での成立に賛成か」と尋ねたあとで、 「今国会の法案には最低投票率が定められてない」と説明をしたわけだ。 だから、「今国会の成立」に「賛成」と答えた人が、 次の質問に入って「最低投票率」は「必要」と答えることもあるわけだ。
難しい論理学など学ばなくても、考え方の手続きをわきまえている人なら、 先に「最低投票率」について説明して尋ね、 それから「今国会の法案に賛成か」と問うだろう。 朝日新聞の担当者もバカではないから、それくらいはよくわきまえている。 だから、わざと反対の順序に質問事項を並べたのである。 それはおそらく、横暴なる政府への配慮であろう。 今国会での成立に反対があまりにも多くなるのはまずい、というわけだ。 調査方法は電話だから、この手はかなりうまく行くのだ。 もちろん、この手を使った裏には、無知なやつらが多いから、、という 判断があるのだろう。
そういう新聞社の巧妙なトリックがあるにしても、 やはり不思議なのは、最初の問いの「内閣支持率」である。
支持する 40% 支持しない 38%
半月前は、「支持する」が37%で「支持しない」が43%だった。 もちろん、同じ人が質問に答えているわけではないから、 単純に支持率と不支持率が逆転したと考えるわけにはいかない。 しかし新聞の論調は、支持率上昇をPRするムードである。 大手新聞社としてはやむをえないことなのだろうが。。。
しかし、私は、支持率が下落の一途をたどらないことで、 また大衆不信に陥ってしまう。 何でも許してしまう人たちがこんなにいるのだと思うと恐ろしくてならない。 わずかに、調査結果の中で唯一救いだったのは、 支持する理由、支持しない理由の中で、回答者全体に対する比率が21%と ダントツに高かったのが、「政策面で不支持」というものだ。
それにしても、やはり新聞社や放送局は、正義一辺倒に徹して欲しいものだ。 政府の思惑を気にしいしい、大衆操作をするのは犯罪だぞ(`ε´) 政府や与党が口出しをし、圧力をかけてくるためだと聞いたことがあるが、 それは憲法違反なんだぞ。
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