TENSEI塵語

2007年04月01日(日) 「教育再生」の基本

本当は今夜は「国民の声」という題で書こうとしたのだが、
その関連で「30人学級」と検索してみたら、
そのトップに後にコピペする記事があったので、呆れてテーマを変えた。

私は、晋ちゃんが自慢げに開催している「教育再生会議」なるものが
最初に取り組むべき課題は、
小学校の少人数学級と1クラス2人担任体制だと確信している。
それに伴い、小学校から教科担任制、つまり、
担任がほとんどの授業を自分のクラスでするのでなく、
3年生あたりからは専門教科の人が授業をするようにするということである。

小学校の教育財政は、殊更に余分の教員を無くそうという方向である。
これは間違いである。
自閉症的症状の児童や、本来障害児学級に入るべき児童や、
さらには、家庭で、暴力のみが唯一の権威だと叩き込まれている児童が
普通学級に入って来ていて、言葉による指導が通用せず、
衝動的な行動で他の児童に危害を加えたり行方不明になったりしている。
病的症状で、机でじっとしていられない児童もいる。
そういう児童がひとりいるだけでも、教室内は大騒ぎなのだ、
その子をじっくり指導すればするほど、他の子たちを野放しにする事になる。

私は今の学校に赴任してから、25人前後のクラスでの授業を経験している
のだが、40人と25人では、15人の差以上の違いがある。
3倍か4倍、生徒の姿がよく見える、生徒の声も聞ける、という感じだ。

こういう現場の困難や、現場でしか感じられない感触を知らない連中が、
しかも、現場の声を聞くなんて発想はまったくない連中が、
教育再生とか何とか、机上の空論を振りまいているのだから、
何を定義して法案化しても、衰退・死滅の一途をたどることだろう。

・・・で、さっき見つけた記事というのは、1年半前の赤旗の記事である。
「30人学級」というのは、十数年前から何年も続けられた運動である。
全国で毎年3000万以上の署名を集めて請願し続けたのに、
まったく聞いてもらえなかった、それこそ、
日本の民主主義の真相を象徴するような運動であった。
一昨年にもまだこんな議論がされていたのか、、と感慨深い(笑)

この記事の中の、とりわけ、麻生クンの
「一律三十人学級という話は今の時代からするといかがなものか」
という発言には呆れる。
これは、教育について考えているのではなくて、
自分たちが税金の無駄遣いをすることは全面的に許した上での、
財政面のことだけを考えた発言である。
要するに、教育のことなど何にも考えてない人の発言が、
教育を動かしている、、、それが、最大の教育問題である。

今夜はとりあえずここまでにしておこう。

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 文部科学省は二〇〇六年度概算要求で国としての三十人学級実施予算を盛り込まず、全国から強い要求のあった三十人学級の制度化は先送りとなることが確定しました。三十人学級実施に必要となる教職員定数の改善を検討していた同省の調査研究協力者会議(座長・高倉翔明海大学長)の中間報告(八月二十三日発表)を受けてのものです。

 今年二月に中山成彬文科相は、それまでの消極姿勢を転換し、少人数学級推進の意向を表明しました。公立の小中学校の少人数学級は四十五道府県に広がるなか、国として実施に踏みこむかどうかが注目されていました。

■一転、腰砕けに

 積極姿勢を見せた文科省は省内に「教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議」を五月に設置しました。ところがその中間報告(別項)は、小学校低学年の「三十五人学級」を推奨したものの、国の「四十人学級制」はそのままで、学級編成の権限を都道府県から区市町村・学校にうつす方向を示すにとどまりました。

 やった方がいいが、国としてお金は出さないという内容で、「いつまで安上がりの教育を続けるのか」(茨城新聞八月二十七日社説)などの批判の声があがりました。

 いったんは検討に着手しながら腰砕けとなった文科省。なぜこうなったのか。政府関係者は「首相官邸、財務省の強い圧力」を指摘します。

 少人数学級が中央教育審議会で大勢を占めた直後の六月一日、小泉「構造改革」の司令塔となっている経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)が開かれました。会議には中山文科相、鳥居泰彦中教審会長が呼び出されました。席上、鳥居会長は「小一、二は三十人学級」を主張。諮問会議議員からは「一律三十人学級という話は今の時代からするといかがなものか」(麻生太郎総務相)などの発言が相次ぎました。このなかで中山文科相は少人数がよいと実は思っていないとのべ、後退します。

■「小さな政府」論

 その五日後、財務省の財政制度等審議会は「平成十八(二〇〇六)年度予算編成の基本的考え方について」を公表しました。このなかで教育について「総人件費抑制の観点から厳しく見直しを進める」「少人数学級編成等のため教職員を増員することを教育水準の向上と同視するといった安易な発想は排し」とのべ、少人数学級反対をかかげました。

 官邸や財務省の強行姿勢の背景には、小泉首相が叫ぶ「小さな政府」論があります。財界が「民間企業が総人件費を抑制している中、国や地方自治体はそれ以上の厳しさで公務員の総人件費削減を」(奥田碩・日本経団連会長ら、二月二十八日の経済財政諮問会議で)と主張しているテーマです。実際の日本の国と地方の公務員数は欧米より少なく、政府内でも「極めて小さな政府を人件費の上でも実現している」(同会議、麻生総務相)と認めています。

 こうした正論を引っ込めて国の財政危機を口実に、国民に必要なサービスを小さくし、必要な財政支出も認めない―少人数学級を通じても「小さな政府」論の反国民性が浮かび上がっています。


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