TENSEI塵語

2007年03月09日(金) IL DIVO の魅力を分析

3日前の「なぜなんだろう?」の続きである。

1 いいメロディーの曲を集めている

   こういうポップス系のアルバム(吹奏楽の曲集もだが)を買っても、
   1枚のCDをまんべんなく聞けるということはあまりない。
   たいていはつまらない曲も混じっている、、、いやそれどころか、
   半分以上はつまらない曲であることが多い。
   サラちゃんのアルバムを聞き始めたとき驚いたのは、
   全部のトラックが聞くに値することだったが、今回もそうである。
   しかし、これは、曲自体がいいというだけではないようだ。

2 音色(声色)の変化

   たとえば、ファーストアルバムの「ネッラ・ファンタジア」や
   セカンドアルバムの「アヴェ・マリア」「アランフェス」などは、
   もうとうに聞き飽きた、今さら何で? と言いたくなる選曲だ。
   しかし、聞き始めたら聞いてしまう。

   本格的テノール歌手、本格的バリトン歌手、独学のポップス歌手、
   もとハードロッカーで、声楽の勉強もした歌手の組み合わせである。
   その4人が、ソロで歌い継いだり、ある時は二重唱、三重唱、
   そして全員の四重唱と、さまざまな編成で1曲を歌い上げている。
   これが、何とも言えぬ情緒や高揚感をもたらしている。
   特に二重唱の美しいことと言ったら。。。

3 表現力

   サラちゃんの「ラ・ルーナ」に「スカボロー・フェア」が入ってた。
   中・高生時代好きだった、とっくに聞き飽きた歌なのに、
   聞き始めてしまうと、つい引き込まれて飛ばせなくなってしまう。
   メロディーは聞き飽きているはずだが、その情緒は独特なものだ。
   それと同じ良さを、イル・ディーヴォも持っている。

4 しっかり盛り上げる

   イル・ディーヴォのレパートリーのほとんどは、
   しっとりと、あるいは、しみじみと歌い始める曲である。
   しかし、そのままの情緒で終始することはほとんどない。
   先も書いたように、歌い継いだり、声を重ねたりしながら、
   最後はたいてい全員の熱唱に入る。
   時には、本格テノール歌手のディビッドがオブリガードをつける。
   こういう高揚感も、すばらしい要素のひとつだ。
   たまに、わりと平凡で平板な曲が選曲されていても、
   常にクライマックスへの期待を抱かせてくれる。

5 伴奏の美しさ

   伴奏オーケストラの弦のメロディーがいつも美しく鳴っている。
   また、よく使われるギターのメロディーも実に魅力がある。
   歌なしで聞いても十分楽しめそうなほどすばらしい伴奏陣で、
   しかも歌も、上に書いたとおりすばらしいものだ。


実に贅沢な感じの音楽CDなのである。
結局のところ、サラちゃんについて感心した点と同じになってしまった。
サラちゃんは、音色(声色)の変化や表現力や高揚感を、
たったひとりでやっているところが偉いが、
イル・ディーヴォは4人がかりなだけに、もっとダイナミックである。
だから私の中で、サラちゃんの魅力に彼らがやっとこさ追いついているのだ。


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