西日が差したら枇杷の実を食べよう
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2002年04月19日(金) うーん。濃密だ。『シャンドライの恋』。

録画してあった『シャンドライの恋』をみる。
同じイタリア人監督というだけで、先日みたばかりの
『ニューシネマパラダイス』と比較するのも乱暴だけれど、
いたれりつくせりのサービス精神が、
ちょっと重すぎるわたしには、こっちの方が断然、好みだ。

なんたって、映画の中に流れている「時間」の「濃密」なことったら。
思い出してもためいきが出てしまうほど。
はぁ。
キスシーン一つないのに、これがまた、えらく官能的なんだな。
かといって、不潔さは、一切なし。凛としたエロさ。
純粋な、不純。なんじゃ、それ。でも、わかってください。そんなニュアンス。

この作品を、これからみてみようかと思っている人へ。
テレビドラマみたいな、説明過剰なセリフは一切なく、
映像+音で物語のほとんどすべてを語っているので、
ちょっと「かったるいな」と思う箇所もあっても、
じーっと画面に目と耳を傾けていてください。
もしかして、そのシーンが、あとあと、心にずーっと残る場面かもしれないから。

ピアノ曲も、アフリカ音楽も、イタリア語も、イタリア訛りの英語も、
ヒロインの褐色の肌色も、ローマの古びた屋敷のインテリアも。
そのすべてがカオスのように一体となって、
自然の樹木の匂いような、あるいは上等な香水のような、
ひそやかで、しめやかな濃密な空気を育んでいる、
そんな映画でした。 
 
あ、でも、きちんとそれなりの恋をして、
心が大人になっていないと、そんな「時間」もただ「退屈なだけ」かもしれないけどね。


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