asahi.comトップ > 関西 > ニュース
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200607240049.html
駅で転落防止のホームドア、関西で整備進まず
2006年07月24日
転落防止のためホームにドアが設置されている京都市営地下鉄東西線=24日午前、京都市役所前駅で
電車の到着に合わせて開閉し、転落事故防止の決め手といわれる駅の「ホームドア」や可動さくの設置がなかなか進まない。全国の駅のうち、整備済みはわずか3%。とくに関西の駅の整備率は関東の約4分の1と「東高西低」の傾向にある。経営環境や安全対策への認識の違いがあるようだが、転落の危険にさらされやすい視覚障害者は「ホームは欄干のない橋と同じ。人命を重視してほしい」と一層の整備を求めている。
国土交通省によると、全国の駅ホームで04年度に起きた転落や列車との接触事故は118件で、死者は20人に達した(自殺は除く)。視覚障害者のほか、携帯電話の通話中に過って落ちたケースもあるという。
00年に施行された「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法)」に基づく国土交通省令は、鉄道事業者に新駅で「ホームドア、可動式ホームさく、点状ブロック」のいずれかの設置を義務づけている。だが、既存の駅については、努力規定にとどまっている。
同省によると、全国でホームドアを整備しているのは10事業者の119駅、可動さくは16事業者の183駅(4月現在)で全国の9566駅の約3%に過ぎない。
関西では、京都市交通局(東西線)▽神戸新交通(ポートアイランド、六甲アイランド両線)▽大阪市交通局(南港ポートタウン線)▽JR西日本(山陽新幹線新神戸駅)――の4事業者、計44駅にとどまる。大阪市交通局は12月開業予定の地下鉄8号線(今里筋線、井高野―今里)について、全11駅に1駅あたり約4300万円をかけて可動さくを設置するが、累積赤字が約1600億円に達し、既存路線の整備は困難という。
97年に開業し、ワンマン運転の京都市営地下鉄東西線の15駅は、1駅あたり約3億円をかけて高さ約2メートルの強化ガラス製ホームドアが整備された。だが、地下鉄の累積赤字は約2400億円に達するため、81〜90年開業の烏丸線については「財政上の負担が大きい」として追加設置の予定はないという。
これに対し、関東では12事業者、計154駅で設置され、既存路線にも整備が進む。
すでに25駅でホームドアや可動さくを設置している東京メトロは6月から、来秋までに約100億円をかけて丸ノ内線の25駅すべてに可動さくを設置する工事を始めた。同線はラッシュ時の混雑率が最高155%。「乗り降りの時間が増えるが、安全対策を優先した」という。
JR各社は列車の種類が多く扉の位置が異なっていることや、駅数が多く巨額の整備費用がかかることなどを理由に消極的で、新幹線の一部の駅に導入しているだけだ。
公共交通機関などでのバリアフリーを考える市民団体「視覚障害者の歩行の自由と安全を考えるブルックの会」(大阪市)によると、大阪市営地下鉄で89〜99年に少なくとも38人の視覚障害者が転落し、3人が死亡したという。
同会代表の加藤俊和さんは「視覚障害者がホーム上で人にぶつかると方向がわからなくなる。『欄干のない橋』と例えるほど極めて危険だ。関西の鉄道会社は人命にかかわるとの認識を持って、もっと整備を進めてほしい」という。