たりたの日記
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2014年02月07日(金) 「月下の一群」を手にした日

立ち寄ったカフェで、堀口大学の訳詩集「月下の一群」の復刻版を手に取った。

思っていたよりも分厚い本で、それは美しい装丁の詩集だった。
若い頃からこの詩集のことが気にかかっていながら、その一冊を手にするのは初めてのことだった。

十代の頃に暗誦し、変わらずに好きなその詩もそこにあった。
なぜ、この詩が好きだったのだろう、他の詩ではなく・・・
たくさんの「なぜ」と同様、答えは見つからない。

けれど長い時間をかけて好きだったものは、その表面的なものではなく、その核にあるもの、「魂」が好きなのだと、そんな発見があった。

何かが自分自身の魂と触れ合っているのだろう。
そしてそれはいつの間にか自分の一部にもなっているのだろう。

それだから何年も経って再会したとしても、特別な懐かしさと親しさがそこにあるのだろう。



      ミラボー橋   

                 ギョーム・アポリネール
                 堀口大学 訳


ミラボー橋の下をセーヌ河が流れ
     われ等の恋が流れる
    わたしは思ひ出す
悩みのあとには楽しみが来ると


    日も暮れよ 鐘も鳴れ
    月日は流れ わたしは残る


手と手をつなぎ顔と顔を向け合はう
     かうしていると
    われ等の腕の橋の下を
疲れた無窮の時が流れる

    日も暮れよ 鐘も鳴れ
    月日は流れ わたしは残る

流れる水のやうに恋もまた死んでゆく
     恋もまた死んでゆく
    命ばかりが長く
希望ばかりが大きい

    日も暮れよ 鐘も鳴れ
    月日は流れ わたしは残る


日が去り月が行き
     過ぎた時も
    昔の恋もふたたびは帰らない

ミラボー橋の下をセーヌ河が流れる

    日も暮れよ 鐘も鳴れ
    月日は流れ わたしは残る



    



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